召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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百三十八話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

イクスがアギトを羨ましがる→嫉妬なのかアギトを待ち伏せで襲う→阻止成功→第二回ヴィヴィオ特訓→武器無しでヴィヴィオの勝利

 

模擬戦を終えて家に入るとキャロが軽食を作ってくれていた

 

・・・主婦だ

 

 

「あーきぃーパパっとーおーふろ~」

 

「パパ言うな」

 

 

模擬戦で汗を掻いたと言う事もあって、ヴィヴィオを風呂に入れている

 

別にイクスも一緒で良かったのだが二人の間で何か有るらしい

 

勝者、と言う言葉をヴィヴィオがイクスに自慢気に言っていた時のイクスの必死に殺意を我慢している顔が怖かった

 

 

「そんなにイクスに勝てたのが満足か?」

 

「イクスおねぇーちゃんつよいもん」

 

「強いねぇー」

 

 

本気になれば一人で国を落せる実力者だしな

 

・・・将来的にはヴィヴィオもな~

 

 

「ヴィヴィオもーちょっとつよくなってるよね?」

 

「勿論な、俺が講師だから確実に強くなる」

 

 

それが俺の特典スキルでもあるしな

 

若干ヴィヴィオが幼いからって理由で本格的では無い部分もあるけど・・・

 

 

「うん、そうだね」

 

「そうそう」

 

「ねぇ、あき・・・なのはさん、だいじょうぶかな?」

 

 

笑顔だったヴィヴィオも高町一尉の事は笑顔では語れないみたい

 

 

「高町一尉は平気だろ、あの人に真正面から打つかって勝てる人なんて居ないと思う」

 

 

大丈夫と伝えるとコロリと笑顔に変わる

 

それにしても高町一尉は何時考えてもミッド式の限界を超えているよな

 

実際問題として単純な数値の上での計算なら高町一尉以上の人は居るんだが・・・例えばイクスとか・・・でもなんかイクスは勝てない気がする

 

 

「だよね、うん。ねぇねぇ! なのはさんってかっこいいよねっ!」

 

「・・・そうか? そもそもヴィヴィオは殆ど面識無いだろ」

 

「そだね! でもぉーわかるんだっ! あきがね、そばにいなかったら、きっとヴィヴィオはなのはさんのところにいたって」

 

 

俺に次ぐ育て役にはエース教導官が相応しいって訳か・・・まぁ理解出来る

 

特典スキルがそれだけ反則だって事にもなるんだろうけどね

 

 

「確かにあの場で判断を迫られたら、お前はきっと高町一尉を選ぶだろうな」

 

「それに、ホントのパパもママもいないってきづいちゃうと、いろいろヴィヴィオもかんがえちゃうんですよぉー」

 

 

えらくヘビーな話をさらっと笑顔で偉そうに言う

 

 

「思ったより反応に困るぞ」

 

「んー? なんであきがこまるのぉ?」

 

「なんとなくだ」

 

 

もしかして、最近やたらとパパを混ぜてくるのは、昔のイクスの様に一人が嫌で、家族が欲しいからなんじゃないのかってね

 

 

「なんとなく、か・・・あきらしいや」

 

 

一瞬だけ陰の差したヴィヴィオの顔は何時もの幼女では無くて、イクスの様な長い歴史を感じさせた

 

やっぱり寂しかったりするのか?

 

 

「あはっ! あがったらアイスたべてもいい?」

 

 

・・・なんとも切り替えの早い事

 

 

「夕食前だから駄目」

 

「ぶぅーケチんぼー」

 

「ケチで結構」

 

「どケチ」

 

「何を言っても変わらない」

 

「・・・じつはキャロおねぇーちゃんがね」

 

「詳しく聞こう」

 

 

事と次第によってはアイスくらいなら

 

何せキャロは偶に妙な悪戯を仕掛けている時がある

 

 

「あきのしゃつになにかしてたー」

 

「シャツ? 何かが重要だろ、思い出せ」

 

「ん~、うしろからだったもん」

 

 

つまりキャロが俺のシャツに何かしているのを後ろから覗いて見ていた訳か

 

まぁまぁの情報だな

 

 

「よし、一カップの半分だけ許可しよう」

 

「やったー!」

 

 

あとでキャロには問い詰めないといけない

 

・・・もし俺がシャツに何か細工をするならと想定したら発信機か盗聴機だな

 

サーチャーが使えるキャロがするとは思えないけど

 

 

「ん? でも、のこりはんぶんは?」

 

「俺が食べる」

 

「えぇ~~」

 

「ヴィヴィオには半分くらいで十分だろ」

 

「そんなことないよぉー!」

 

 

この間、それで夕食を余り食べずに俺が怒られたのを忘れたか・・・本当の原因はキャロのイチゴアイスを食べたの事だろうけど

 

 

「さて、長風呂だったかな。出ようか」

 

「・・・あ、あきパパ!」

 

 

出て行こうとした俺を止めたヴィヴィオは今すぐにでも泣き出しそうな顔をしていた

 

 

「何事」

 

「・・・おいていかないで」

 

「は?」

 

「あ・・・ううん、なんでもない! ごめんね、パパ!」

 

 

すぐに何時もの元気なヴィヴィオに戻ると俺を追い越して脱衣所に走った

 

 

「・・・変な奴だな」

 

 

ヴィヴィオの真意は読めなかったが取り合えず俺も脱衣所に向かった




ヴィヴィオが今まで以上に雨水を意識・・・ してます

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