インフィニットストラトス 〜IF Ghost〜   作:地雷上等兵

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随分と更新が遅れました。
タイトル変更とかストーリー構築に変更とかしてましたが、ストックもなんとか10話まで出来ました。


第5話

丹陽はピットに戻ってすぐ一夏たちに迎えられた。全員あそこまで行って負けたことにおどろいていた。その後ラファールが機能不全を起こした原因を調査した。思いあたりがあったので、すぐにわかった。わかったからといってすぐに解決出来るものではなく、この設備では多少の改善までしか出来ない。

「6分くらいか。ISの稼働限界時間は」

専用機を作る方が早いのか、量産機を魔改造する方が早いのかどっちやら。

丹陽は身体をほぐし、寮に帰ろうとする。

「ここにいたか。丹陽思っていたよりやるじゃないか」

そう言ってきたのは千冬だった。

「皮肉のつもりか?」

「いや本心だ」

丹陽はなにも言わず立ち去ろうとする。

「どうした?槍が降ってくぞ、といわないのか?」

「言ったら本当に降ってきそうなんだよ」

「ところで丹陽」

「なんだ?」

千冬が話しを変えた。

「機能不全の原因わかったか?」

「十中八九こいつが原因」

そう言いながら丹陽は、右足のつま先で地面を叩いた。

「今は6分が稼働限界。専用機も時間がかかる。つまるところ俺は戦力に入れるな」

「新たに作るのか?前のを修復するじゃダメなのか?」

丹陽はポケットから情報記録装置を出し、千冬に渡した。

「あいつの戦闘能力をまとめた。前のやつでまるで歯が立たなかったんだ」

「そうか。わかった」

そう言って千冬は出て行った。

丹陽も寮に帰ろうとする。帰宅途中、アリーナでセシリアがいるのが見えた。

セシリアはISを装着していて。スターライトの銃口から硝煙が登っていた。かなり撃ったのだろ。

努力家なのかも知りない。だとしたらあの態度は、努力によって裏付けられたものだったのだろう。悪いことをしたな。セシリアにも一夏にも。

丹陽はセシリアから目を逸らすと速足に帰った。

 

 

土曜日の朝、丹陽は食事を取るため一夏たちがいる食堂にいた。自分の寮に食堂が無いため、距離がないとはいえ別の寮に移動するのは面倒だったのだが。もう6日目慣れていた。

丹陽と簪は同じ席で向かい合い食事を取っていた。

「…なんで私に構うの…」

簪を同じ席での食事に不満がありそれを漏らした。

「俺が構って欲しいの」

「…私はあまり目立ちたく無いの…あなたと相部屋だからっていろいろ訊かれたし…もうそれは仕方ないけどあまり私と関わらないで」

最後の方はハッキリと言った。

「ありのままを喋ればいい。関わらないなんて無理だ。相部屋で俺の指導者なんだし」

この一週間、ISのことを丹陽に簪は教えた。本当に初心者だったのだか、驚く程の早さで覚えた。そして金曜日の試合。簪には丹陽が姉と重なって見えた。だからそばにいて欲しくなかった。

「よう丹陽と簪、さんおはよう。隣いいか?」

こんな空気にまるで気がつかず一夏が話しかけてきた。

「…私…用事あるから…」

そう言って簪はこの場を去った。

「かんちゃん」

一夏と一緒にいた布仏もとい、のほほんさんが恐らく簪を呼び止めようとしたが、簪はそのまま行ってしまった。

「一夏なにかやったのか?」

「いや覚えはないが」

「加害者はいつも自覚がないものか。実のところ俺も昨日の夜から急に態度が冷たくされている」

心当たりがないというのは実は嘘で、思い当たる節は丹陽にはあった。

「ちょっと追いかけてくる」

丹陽が簪のあとを追った。

「2人とも」

一夏がテーブルの上を見る。

「食器おいて行っちゃった」

 

 

時は流れ試合の時間に。

一夏は第2アリーナのピットにいた。

箒や千冬はいるのだが、丹陽がいない。なにをしているのかだいたい見当がつくが気にはしてられない。

「一夏お前のISが届いたぞ。時間が無い初期化と調整は戦闘中になんとかしろ」

「おう」

千冬がかなり無茶なことを言っていたが、一夏は応えた。

重い金属音とともに、ゲートが開き白いISが現れた。

『これが一夏君の専用機、白式 です。武装は近接武器の 雪片弍型のみです。ですが白式の速度は、ブルーティアーズやラファールを遥かに上回ります。回避と接近に専念してください』

スピーカーから山田先生の声が聞こえた。

「油断するな一夏。セシリアは丹陽との戦いでいろいろと学んだ。丹陽と同じ手が通じると思うな」

山田先生と千冬のアドバイスを聞きながら白式に触れる。

今までのISとは違う。こいつがなにで、こいつが俺を求めていることそれが直感的にわかった。

「起動方法はわかるな?」

一夏は白式を起動した。だがおかしなところがあった。

一夏は起動を命令していないのに、一夏に食らいつくように動き勝手に装着した。

そんな現象が起きていたが、一夏は恐怖を感じなかった。

外れていたパズルのピースが収まったようで心地よかった。

「一夏すまなかった」

箒の声で一夏は現実に戻る。

「なにが?」

「結局ISの訓練は昨日以外ろくにさせてやれなかった。負けたら私の責任だ」

箒が申し訳なさそうに言う。

昨日一夏と箒は、丹陽セシリア戦を見てこのままでは勝てないと思いISを本格的に使った訓練をした。だが、1日だけ、たかが知れている。

「そうだな。剣道ばかりやっていたし負けたらお前の責任だな」

「一夏!貴様言い方があるだろう」

箒は俯き、千冬は怒鳴った。

一夏は臆せず続けた。

「でも大丈夫だ。俺は負けない」

箒は顔を上げ、千冬は黙った。

「世界最高の姉がいて、幼馴染にあれだけ付き合ってもらったんだ。負けねよ」

一夏はカタパルトに乗る。

「箒、千冬姉行って来る」

発進した。

 

 

「飛ぶことが出来て安心しましたわ」

一夏がうまく浮いているのを見てセシリアが言った

「そう言ってお前、丹陽に負けそうだったじゃねえか」

「たしかにあの男には惨敗しましたが今度はそうは行きませんわよ」

セシリアがスターライトを構えながら言った。どうやら、あの勝ちはセシリアは認めていないらしい。

「さあ行きますわ」

白式から、射撃警告。回避行動に一夏はうつるが、被弾してしまう。セシリアに次々撃たれるが一夏は回避しきれずにいた。

「俺が白式の反応に追いつけていない」

白式からはスターライトの弾道が表示されるが。一夏はそれに追いつけずにいた。

次々撃たれ、シールドエネルギーが削られる。このままでは負ける一夏は打開案を考えた。

[第一形態移行、許可申請]

白式から突然そうメッセージが来た。すぐに選択肢が表示される。

[肯定又、是]

選択肢ないじゃねえか!

一夏は警戒して白式に応えずにいた。

「これでおしまいですわ」

セシリアがスターライトと6機のブルーティアーズを使い、最大火力を叩き込んだ。

やるしかない!

一夏は決意した。

白式は第一形態に移行。一夏はすかさず回避行動にうつる。スラスターを小刻みに吹かしビームを回避。続けて来たミサイルを回避するため、機体を急降下させた。地面すれすれで水平飛行に。追って来たミサイルを地面に激突させる。

一夏はISの操縦が やっと慣れて来たようだ。

「男性がISを操縦するとそうなるのですか」

セシリアは焦りを隠せずにいた。

「今度はこっちの番だ」

一夏が雪片を展開。セシリアに接近するため飛んだ。第一形態に移行した為さっきよりも早くなっていた。

セシリアはブルーティアーズを突撃させた。

「そのファンネルもどきを動かしている間、お前は動けないそうだ…え?」

一夏はブルーティアーズのビームを回避しながら言ったが、セシリアがスターライトを撃った為おどろいた。だがなんとか回避した。

「それは何時の話ですの?」

やっと余裕が生まれたのか、セシリアが高らかに言った。

白式から来る情報でやっと理解した。

セシリアは2機しかブルーティアーズを使っていない。2機しか使わないことによって操縦負荷を減らし、本体も戦闘に参加出来るようにした。

これの他にも、ブルーティアーズは一定間隔でエネルギーを補給しなければいけないが、2機ずつ使うことによって補給と攻撃するのを交代交代出来る。万が一接近された時に、迎撃するのに使える。そして丹陽戦の時のように一度にすべてのブルーティアーズが全滅するリスクも少なくなる。

ブルーティアーズに一夏は斬りかかるが、スターライトに阻止される。お互いにお互いを守っていた。

「セシリアも学んでいるか。だったら」

一夏はセシリアに一直線に加速する。このままではジリ貧一気に片を付けるつもりだ。

スターライトが撃たれるが、大きく旋回して回避。ブルーティアーズが撃たれるが回避せず手の装甲を犠牲に接近した。雪片の間合い一夏はそこまで近づく。

「もらった!」

「そうは行きませんわ!」

一夏は斬りかかったが、セシリアは何処からか出したインターセプトで受け止める。

「なに!まさか始めから出していたのか」

「勘だけは鋭いようですわね」

セシリアはISを起動した時から、インターセプトをスターライトの裏に忍ばせていた。

スラスターを噴射して、力押しでセシリアを崩しに一夏はかかった。セシリア体勢を崩す前にミサイルを放った。一夏は回避出来ず直撃する。が爆発はしなかった。代わりに一夏をセシリアから遠ざける。

遠ざかる一夏にセシリアを素早く照準を合わせる。

「やらせるか!」

一夏は雪片を投げた。

投げられた雪片は吸い込まれるようにセシリアに当たり、スターライトとブルーティアーズ1機を破壊した。と同時にセシリアのシールドエネルギーを削った。が一夏を飛ばしていたミサイルが爆発。

「ぐああああ」

一夏のシールドエネルギーは100を切った。

一定距離になりお互いに向き合う一夏とセシリア。高度はほぼ同じ。

「ハハハ」

突然笑い出す一夏。

「なにがおかしいですの?」

セシリアは怪訝そうな顔で訊く。

「セシリアやっぱりお前強いよ。てっきり最初は、女としての立場を利用しているだけのやつだと思ったけど。そうじゃないんだな」

「あっ当たり前ですわ」

お世辞抜きの男性からの初めての評価にセシリアは戸惑う。

「でも俺はお前を超える。そしてもう守ってもらうだけじゃなくて守れるぐらい強くなったて証明してやる」

「なにを言っているかわかりませんがあなたに勝機はありませんわよ。何故あなたにはもうあの剣はありませんが、私にはまだスターライトがあります」

セシリアは予備のスターライトを展開した。

「そうだった!」

今更のように驚き、一夏は雪片を探した。セシリアを挟んで向かいの壁に雪片は刺さっていた。

「一か八か」

一夏は雪片に向かって急降下させた。セシリアは一夏の考えを予想、雪片の前にブルーティアーズを2機持ってきた。がその動きを見ていた一夏が急転回。セシリアに加速する。

とっさにスターライトをセシリアは撃ったが回避されてしまう。またセシリアに接近した一夏。セシリアはインターセプトを横に振ったが、紙一重で避けられる。一夏はインターセプトを持つ手を蹴り飛ばした。

宙に舞うインターセプト。

それを一夏は取った。

「これで戦える」

一夏は喜んだが、インターセプトが作動しなかった。

何故かと手元を見ると、[盗難防止用暗号解析中]と表示されていた。

敵に武器を奪われることを想定して、ISの武器は特定の解除コードがなければ作動しないようになったいる。そのことを一夏は知らなかった。

結局一夏はほとんどなにも変わらないが、セシリアは接近武器を失った。

「だったら」

一夏は セシリアに接近。セシリアはそれを迎撃する。がまた急転回、雪片に向かって急降下させた。

「そんなのお見通しですわ」

「間に合え!」

セシリアはすべての火力を一夏に叩き込んだ。 ビームが被弾、シールドエネルギーは残るも1機のミサイルが追い付く。

回避行動をする?だめだ雪片との距離を開けるわけにはいかない。このまま振り切る!

だが現実そう甘くはなかった。

明らかに雪片よりもミサイルの方が早く一夏の下に来る。

終わった、誰もがそう思い一夏すらも諦めた。

だがその時不思議なことが起こった。

[自立制御]

そう白式は一夏に伝える。

突然白式が反転、ミサイルに向く。反転した遠心力を生かしインターセプトを投げた。投げられたインターセプトはミサイルに直撃撃墜した。

[操縦権限返還]

一夏は唖然としたが、すぐに我に返って雪片を取った。

「セシリア。行くぞ!」

ラストチャンス。一夏は突っ込んだ。

凄い。セシリアはそう思った。今まで会ってきた男性とは明らかに違う。

もしかしたら…でもここで手を抜いたら失礼。

「さあ来なさい」

セシリアがスターライトを構え、ブルーティアーズを向かわせた。

次々撃ってくるビームを一夏は雪片で防ぐ。白式が銃口をハイパーセンサーで表示していてくれて、一夏はそれに合わせて正確に雪片を持ってきていた。

もう少しというところでセシリアがミサイルを放った。

一夏回避しようとしたが、白式から情報が流れ込んできた。

[敵安全装置圏内回避不必要]

白式が避けるなと言っている。

白式。お前を信じる。

一夏は突っ込んだ。ミサイルが一夏に直撃する。しかし爆発しなかった。

ミサイルは通常、母機に近すぎると爆発しないように安全装置が付いている。白式は今までの戦いからブルーティアーズの安全装置圏内を割り出していた。

ミサイルは弾き飛ばし、急加速。

[零落白夜発動]

雪片が変形、光刃を出現させた。

セシリアを横一線に切った。

 

 

WINER 織斑 一夏

アリーナの観客席で歓声が上がった。

理想の男性。セシリアはハイパーセンサーを使って一夏を見た。

気が緩みセシリアは落ちてしまう

「きゃあああ」

「セシリア!」

一夏は落ちるセシリアを追いかけた。

見事に捕まえ、抱え込んだというかお姫様抱っこ。

「大丈夫かセシリア?」

「えっええ」

先程とは比べものにならない程に近くにいる、一夏に思わず赤面。顔を背ける。

「一人で飛べるか?」

「もっ申し訳ごさいませんが、飛ぶことが出来ません。ですから、あの〜ピットまでこのまま運んでもらってよろしいでしょうか?」

嘘を付いた。 自分一人でも帰れた。

「わかったすぐやる」

「できればゆっくりで」

セシリアが小さな声で言った。

「何か言ったか?」

「なんでもありませんわ」

もっとくっついた。

 

一夏がピットに帰ると箒が居なかった。

「ちふっ、千冬先生。箒はどこに?」

千冬が呆れたように言う。

「自分の胸に手をあて考えろ」

一夏が考える。

「ああ。お手洗いか」

千冬がため息をつく。

トイレとは言わなかったのに。一夏はまた考える。

「ところで一夏なんだあの戦い方は」

「え?勝ったじゃん」

「あんな無鉄砲な戦い方をするようなやつに守て貰いたくはない」

「近接オンリーなだけに」

ガン!

一夏の親父ギャグに千冬が鉄拳制裁をした。

「でっでもさあ。専用機てあんなに便利なんだな。いろいろ、教えてくれるし」

「なにを言っているんだ、量産機も専用機も基本的にはなにも変わらないが。まあいいあとで聴いてやる。早く着替えろ」

千冬が出て行こうとする。

「一夏」

千冬が出て行く前に止まった。そして一夏を見ずに言った。

「私に少しでも追いついたつもりか?あまり思い上がるなよ、お前はまだまだ私の…」

出て行った。

「私の弟だ」




オリ主よりワンサマーさんの方が全体的に無双すると思いますが、気にしないでください。後、白式の挙動が某sf空戦小説にそっくりですが気にしないでください。


誤字脱字表現ミス、おかしな描写有りましたらご指摘お願いします。

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