インフィニットストラトス 〜IF Ghost〜   作:地雷上等兵

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今回は短めです。
クラス対抗戦の時オリ主がなにやっていたかです。その前半。それと今回、最初の方は意味が分からないと思います。
それと何回か本文を変更する事があります。すみません。


第18話

丹陽は寮の階段を登っていた。絞首刑台を登って行ってるのでは無いのに足取りは重い。時間は掛かったが2階に着く。

時間が惜しかったとはいえ強引過ぎた。というか遊び過ぎた。こんな結果になった自分の行動を後悔しながら階段を登っていた。

例の部屋に入る前に、それとなく廊下にあった消化器を眺める。

失敗した。それでもやれるだけの事はやる。

部屋に入ろうとドアノブに手を伸ばした。

「どうした泉?なんでそんなところにいるだ?お前の部屋は上だろう?そんなところに用はないだろ?なんか言えよ?なあ!」

用務員が2人並んで来た。どこから現れたかは分からない。 用務員は2人共苦い顔をしながらツカツカと歩いてくる。丹陽も歩み寄る。

「なんか言ってくれよ…」

1m程の距離まで近く。

突然、丹陽が2人の間を覗くような動作をした。

「簪?」

「「え?」」

用務員2人が後ろを向いた、誰もいない。直後丹陽が左の用務員の股間を蹴り上げる。

「ンガ!」

蹴られた用務員が悶絶。続けて、丹陽は残りの用務員の左から右足間接を狙い回し蹴り。用務員は悲鳴を出さなかったが、片膝を着く。間髪入れず丹陽は頭狙いのハイキック。用務員はそれを前転で避け、そのまま丹陽を通り越し振り返る。丹陽は膝蹴りで追撃。用務員、両手のひらで受け止め、その勢いを利用し立ち上がる。

用務員は距離をとり、お互い構える。用務員はなに言えば恰好が着くか考え。丹陽は後ろにもう1人いる状況、余裕が無い。

丹陽はすり足で距離を詰め、左ジャブ。用務員は受け流す。右ストレート。今度も受け流すが、身体を沈めながら丹陽の右手を左手で掴む。危険を感じる間も無く与えず、用務員は掴んだまま左手を引きながら、右肘を丹陽の胴に叩き込む。むせる丹陽。そのままきれいな一本背負いを決められ、地面に叩きつけられる。

背中に鈍い痛みを感じながら丹陽はゆっくりと立ち上がる。

「やめとけ泉。お前じゃあ勝てない、俺たちどっちにも」

「いい金的だった。だが諦めてついて来い」

丹陽は頭を振り意識をはっきりとさせる。

「御託はいい…来いよ…」

やれやれとと丹陽を下した用務員が近づく。丹陽は右足で踏ん張り、両手で用務員を押す様な動作をした。用務員はそれを受け止めた。受け止めてしまった。

「え?」

丹陽の両手でのツッパリに用務員は車にはねられたように吹っ飛んだ。

「ええええええ!」

丹陽と残り用務員の距離は3mはあった。しかしその距離を右足で地面を蹴り一瞬で跳躍、そのまま左膝蹴りが顔面を狙う。用務員はそれを避け、空中の丹陽を抱え込むように捕まえる。そこまでは良かった。しかし細い右足から繰り出されたとは思えない威力の蹴りで意識を持ってかれた。

長い廊下、2人の用務員が床で伸びている。

丹陽は気絶した用務員から通信機と拳銃を頂き、立ち上がる。

「そこまでよ」

廊下の突き当たり。全面ガラスをバッグに楯無が立っていた。距離は数十mは空いている。手にはランス状の武器が持たれていて、手はISが部分展開されていた。

「会長、どうしたんですか?怖い顔しちゃって。怖い」

「ふざけないで」

楯無がランスを突きつける。丹陽からは4門のガトリングが顔を覗かせているのが分かる。

「確かに、ふざけるのは貴女の十八番だ」

「両手あげて、持ってるもの全てその場に捨てなさい」

丹陽は拳銃と通信機は言われたとおりに捨てた。そして両手をあげる。

「ところで会長、いつまでそうやって距離をとるつもりですか?」

「つまりはなに?説明してくれる?」

「俺なにか隠し持ってるかも」

丹陽は細い自分の腰を軽く叩いた。

「隠し持ってるもの全て出しなさい」

「じゃあこっちに来てください」

「いやよ、歩けるでしょ。それともここでストリップしてくれる?」

「会長のエッチ」

丹陽は手をあげたまま楯無に歩いて行く。

楯無はハイパーセンサーで丹陽の全身を調べる。携帯端末、財布、ハンカチ、ペンが数本、そして手書きの地図。そして首元にあるISコア。しかし丹陽のISは武装解除されており、まともな戦闘は出来ない。いったいこの余裕は何処から?ハッタリそれとも…。

「会長、質問が」

距離が半分に縮まったころ、丹陽が質問した。

「なにかしら?」

「妹さんとは仲良くなりましたか?」

「ええ、その点だけは感謝してるわ。ありがとう」

「そうですか。どういたしまして」

突然丹陽が前のめりに倒れた。楯無は動じず、ランスをむけたまま。

「少しは俺も心配してくだっさい!」

丹陽はISを展開した。武装解除されていて、背中のスラスターも無い。

楯無は迷わずISを全身に展開。4門のガトリングを発射、丹陽を襲う。

「後ろに仲間がいるだろうに」

丹陽は怯まず楯無に突撃、胴に取り付く。そして地面を蹴って跳躍、窓を割りながら自分ごと楯無を外に押しだす。そしてそのまま、いつかの池に落ちる。

水中で丹陽は楯無を組み伏せようとするが、世代間の差がもろに出てしまった。第3世代IS、霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)を装備した楯無は第2世代IS、ラファール・リヴァイヴを装備した丹陽を容易に引き剥がした。パワーアシストの出力が違い過ぎる。楯無は自身に装備されているナノマシンを使い水を沸騰圧縮、意図的に泡を発生させた。

「スーパーキャビテーションかぁ!」

泡をランスに纏わせ、楯無は突いた。貫通こそしなかったものの胸部装甲に突き刺さる。砲門と目標がゼロ距離になった。接射、丹陽の胸部装甲を蜂の巣にする。丹陽が怯んだ。そのすきに楯無は池から浮上、陸地に着陸する。まだ池から丹陽は浮上してない。

「清き熱情(クリア・パッション)」

ナノマシンが池を一瞬で沸騰、水蒸気爆発を起こす。巨大な水柱を立たせ、局所的な雨を降らした。

「終わったとは思ってないから」

水蒸気により霞んで見えない池の中、ラファール・リヴァイヴの反応は健在だった。楯無はガトリングを再度発射した。その時、霧の中から何かが飛び出て来た。

「ラファール!」

応戦しようとした。が。ハイパーセンサーと自分の目で状況に大きな変化があったことを知る。

「ラファールに誰も居ない」

ラファールには誰も乗っておらず、装甲だけが四肢を垂らし力無く中を浮いている。霧でよく見てないが、ラファールの間から黒い甲冑の様な手足が見える。

「もう1機…」

ハイパーセンサーはもう1機のISの存在を知らせている。そいつはラファールを脱ぎ捨て、今度は盾代りにしている。盾を持ったまま地面を蹴り跳躍、一気に接近してくる。速い。

「なにそれ!」

「黒騎士!」

楯無はランスでラファールを薙ぎ払う。そしてそのまま黒騎士に刺撃。だが黒騎士の右手がランスを掴む。楯無はすかさず射撃。が、ランスを中のガトリングごと握りつぶす。

霧が晴れはじめた。

黒騎士の全身がやっと楯無にはわかった。なぜ最初から使わなかったのも。黒騎士は、それを知らない楯無でもボロボロだとわかる程に傷ついてた。恐らく全身装甲だったのだろうが、装甲は両足と右手全て、左手首までを覆う程しか残って無い。それも弾傷だらけ。そして生身と装甲の境界線では装甲側からアメーバの様な触手が脈打ち生身側に張り付いている。

生体パーツ。ISにそんなものが使われている話など楯無は聞いたことがなかった。

黒騎士が楯無を蹴り上げる。楯無は水のフィールドでガードする。

霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)の最大の特徴はアクアナノマシンとそれによって制御される水。水を装甲代り纏わせたり、先程の様に水蒸気爆発させるなど攻守両面で使用する。だから楯無は、射撃武器用とはいえ水の装甲で敵の蹴りをおくれさせ。ボロボロとはいえ未確認のIS、蛇腹剣のラスティー・ネイルを展開、本機最大火力のミストルティンの槍を放つつもりだった。

試験で水の装甲は戦車砲に耐えた。しかし、今回はまるで煙の如く突破された。

「嘘…」

それ以上のことを言う前に、黒騎士の足のX字状の4本爪に捕まえらる。

何これ…。そう言う前に地面に叩きつけられる。デタラメなパワー。一撃でIS2台がすっぽり入る叩痕が地面に出来た。現行、会長が知る限り試作機も含めてこれ程のパワーを持つ機体他に無い。

「会長」

返事は無い。放心状態。

「春季の水泳も悪くないですよ」

サッカーボールを蹴るように足で掴んだ楯無を黒騎士は投げた。投げられた楯無はミステリアス・レディの最大速度以上で飛翔、学園の遮断シールドを破り学園に設置されたCIWSの追撃をもらいながら水平線の彼方に消えて行った。

「よし!決まった!倍返しだ!」

太平洋側に投げたので、大気圏を突破しない限り恐らくは着水している。

ガッツポーズ。それと同時にタイムリミットが来た。ラファールは待機状態のチョークに、黒騎士は半待機状態の右足に。

「完全に展開するとカップラーメンも待てないか」

ISはどうやら2機同時に同一人物が展開すると機能不全を起こすらしい。その事はつい最近知った。身を持って。それについては研究はされていて、プログラム次第でどうにかなる。しかしご覧の通り丹陽はそれを持ってない。

丹陽は右足の調子を確かめるため、バク転をした。

「良好だな。けどISは使えないか…」

ISはエラーを表示するだけで反応しない。

「会長までは倒せたが…案外このまま逃げられるかも」

丹陽は手書きの地図を開き、ルートを再度確認した。

クラス対抗戦が有るからか、離れた場所に有るからか寮の前の道には丹陽以外だれもこなかった。しかし時間の問題。丹陽はすぐさま行動に移ろうとした。すぐ近くに人を認める。衆生。衆生朱道だ。

「ボスラッシュかな?」




セシリア戦でオリ主が負けたのはこの右足が原因です。
ところで会長のISは元々ロシア製ですよね。だとしたらランスのガトリングは元々はガスト式機銃かリボルバーカノンだったのかもしれません。まぁチャンバラする武器の中にこの2種は信用出来ませんから、案外良かったのかも。


誤字脱字、表現ミス、御指摘お願いします。

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