麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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 一部修正しました7月11日


九話 出会い、そして水の淑女

  

 IS学園から離れた街にある、とある店にてーー

 

 「はい、予約をしていた更識です」

 

 店員から箱を受け取り代金を渡す人物。眼鏡をかけた私服姿の彼女はアニメ専門店を出て、外で待つ親友と合流する。

 

 「あ、かんちゃん~~」

 

 「ごめん、本音、待った?」

 

 本音と呼ばれた少女は気にして無い様子で 大丈夫 と答え。二人は歩きだす。

 

 「かんちゃん、それって?」

 

 「ん? あぁ・・・」

 

 少女。簪が箱を少しだけ開け見せる。中はDVDでパッケージの表面には、とある剣士の主人公が活躍する内容のアニメだった。

 

 「ねぇ、その主人公も黒い剣使ってるね? まるで、黒騎士見たいだね~~?」

 

 「黒騎士...」

 

 今学園内で誰もが噂している謎のIS。漆黒の剣を使い二度もIS学園に現れ、テログループを撃退している。

 簪も画像で見た事もあり、とても気になっていた。

 

 「そうだね...」

 

 昼間の街を歩く二人。そして、その二人を影から追ういくつかの人影がいたーーーー

 

 

 

 

 「え~と、次の穴は?」  

 

 麦わら帽子を被り、伊達眼鏡をかけた一夏が端末を頼りに街を歩く。

 

 (それにしても、誰も俺には気づかないもんだな...)

 

 一応、世界最強の姉の弟のはずなのだが、誰も一夏だと気づかない。やはり、誰もが千冬しか見ておらず、その家族ーー弟はどうでもいいのだろう。

 

 「まぁ、そのほうがやりやすいけどな、ん?」

 

 目の前にある店から突然二人の少女が走って来て、人気のない道に走って行き、その後から黒服を着た複数の男女が店から出て来た。

 

 「くそ!! ターゲットは裏に入った!!」 

 

 「B班!! 裏に道に入れ!! このまま挟み撃ちにする!!」

 

 通信でどこかと会話し、すぐに道に入って行く。

 

 「こんな昼間っから、なんだよ?」

 

 ため息をつきながら、一夏は足を一回屈伸させ 

 

 「剃」

 

 と言った瞬間、その場から姿を消す。  

 

 

 

 「はぁ、はぁ!!」

 

 「頑張って!! 本音!!」

 

 後ろから追ってくる黒服達を睨み一本道を走る二人。簪はどうして自分達が追いかけられているのか心当たりがあった。

 

 簪の家である「更識家」

 

 古来より日本を守る暗部の家で、当然敵も存在する。恐らく、後ろの黒服達もその敵だろう。

 

 

 「ISさえあれば...」

 

 簪も日本の代表候補だが、運悪く現在彼女はISを持っていおらず、ただの少女でしかない。もちろん本音もだ。

 

 

 「いたぞ!! 更識の妹だ!!」

 

 前から別の黒服達が向かって来て二人は足を止め、後の連中にも追いつかれてしまい囲まれてしまった。

 

 

 「大人しく、ついてこい」

 

 一人の黒服が懐から銃を出し向ける。本音は悲鳴を上げ簪に寄り添い目を閉じる。

 

 「安心しろ、麻酔だすぐに終わらせてやる」

 

 男が言い、引き金に指が触れてーー

 

 

 「何が安心しろだ」

 

 ドン!!

 

 銃を持った男が吹き飛ぶ。

 

 簪も、周りにいた黒服達が驚きの顔になり固まる。

 

 何故なら、いつの間にか簪達の前に拳を突き出し、麦わら帽子を被った少年が立っていたのだった。

 

 

 

 「え!?」

 

 簪が驚いていると、少年...一夏は帽子を上げ簪と本音を見る。

 

 「大丈夫か? つか、こいつら、何?」

 

 「貴様!!」

 

 一夏が質問していると、男達がスタンガンや特殊警棒を手に持ち何人かが襲いかかる。

 

 「に、逃げて!!」

 

 「あ?」

 

 簪が一夏に逃げるように言うが、その場から逃げない。そのまま無残な姿の彼の姿に覚悟した瞬間。

 

 一夏は逆立ちになって回転し、蹴りを入れ込む。

 

 

 「がっ!!」 

 

 「うわっ!!」

 

 「うぐっ!!」

 

 「ぶっ!!」

 

 足技で男達を吹き飛ばし、逆立ちの状態から戻る一夏。残った三人の黒服女は突然のことに驚きの声を上げるしかない。

 

 「女性に、武器むけんじゃねぇよ」

 

 あの世界で、女性に対しての騎士道を学んだ一夏はそう吐き捨て、女性達を睨み拳を壁に叩きつけーー

 

 

 ドォォン!!

 

 コンクリートでできた壁に穴が空き、ヒビ割れる。

 

 「あ、あああぁぁぁぁぁあぁ!!!!!!!」

 

 女性達は一夏がしたことを見て、すぐに理解してその場から叫びを上げ逃げだした。

 

 

 

 「まぁ、これでいっか」

 

 逃げ出した奴らを追う事なく、一夏は後ろにいる腰を抜かし座り込む簪達を見る。流石に、壁をぶち抜くなどしたら怯えられるか と内心思い、その場から立ち去ろうとする。

 

「ま、待って!!」

 

 何とか口を開き、立ち去ろうとする一夏を止める簪。

 

 

 「あ、ありがとう...」

 

 「ん、あぁ・・・ところで自分で立てるか?」

  

 

 一応彼女たちに聞くが、二人は首を横に振る。そして、気づけば辺りが少し騒がしくなり、人が集まり始めていた。

 恐らく、壁を破壊した時の音で気づかれたようで、近くからパトカーのサイレンが聞こえ始めた。 

 

 「めんどうだな...仕方ねぇ!!」

 

 即座に簪と本音を脇に抱え「口閉じてろよ、舌かむから」と言い、上に跳ぶ。

 

 「月歩!!」

 

 足を高速に動かし、三人分の重力があるにも関わらず。一夏は・・・宙を舞っていた。

 

 「え?」

 

 「す、すごい!! と、飛んでる~~~~!!」

 

 ISもなしに生身で飛び、二人は驚きで声を出し。やがて、傍にある店の屋上に辿りついて二人を降ろす。

 

 「い、今のは?」

 

 「あ、その、単なる体術だから。そんじゃ」

 

 どう言い訳したらいいからからず、一夏はそのまま立ち去ろうとして、簪が思わず手を掴む。

 

 「ま、待って!! 助けてくれてありがとう...その、貴方は...?」

 

 「俺か?」

 

 流石に自分が死んだはずの人間だと言う訳には行かず、このまま手を離してくれそうにもない彼女に一夏はどう答えたらいいのか悩んでいると

 

 「あら、私も是非聞きたわね?」

 

 と、気づけば一機のISが空に浮かび、簪に似た青髪の少女が槍を一夏に向けていた。

 

 「ね、姉さん!?」

 

 「かんちゃん、離れて...そこの貴方、一緒に来てもらうわよ?」

 

 突然の人物の登場で一夏から手を離す簪。一方で槍を向けらた一夏はどうしてこうなった? と肩を落としーー

 

 「悪いけど、嫌だ」

 

 その場から消えたような速度で屋上の出口まで走る。

 

 「!? 速い!!」 

 

 センサーのおかげで一夏が出口に向かっていることに気づいたIS使い。

 

 簪の姉である楯無は一夏を追う。

 

 「止まりなさい!! さもないと、撃つわよ!!」

 

 槍にある四つの銃口で狙いを定め、一夏は止まる事なく扉に走るーー

 

 のでなく、傍に落ていた鉄パイプを拾い楯無に向かい、一夏の手と持っていたパイプが黒く変色し楯無の槍とぶつかる。

 

 

 ガギン!!

 

 「うそ...!!」

 

 目の前で信じられない光景に簪も本音も大きく目を開いた。ISは世界最強の兵器であり、もちろん使っている装備だって簡単に人を殺せる物のだがISをつけてもいない生身の人間が、鉄パイプごときでISの槍を受け止めたことにその場にいた少女達が驚く。

 

 

 「っ!! ば、馬鹿な!!」

 

 「悪いけど、俺は行くからな」

 

 一夏はパイプから手を離し、黒く染まった左手で殴り、ISを吹き飛ばす。

 

 「そんじゃな!!」

 

 パイプを捨てて、扉を開けて逃げ殴り飛ばされ体制を立て直した楯無は追いかけなかった。

 

 「し、信じられない...」

 

 素手での一擊を食らったが、ISのシールドに守られた楯無は無傷だったが、今さっき起こった現実に驚きが隠せないでいた。

  

 

 「これは...ただの、鉄よね?」

 

 先ほどまで一夏が持っていた鉄パイつをつかみ、触るがどこも変な所なぞない。なら、あの黒くなったのは? と答えの出ない、いろんな疑問が頭の中に広が、

 

 「ふふ、不思議ね? また会える気がするわね」

 

 怪しい笑を浮かべ、開けっ放しになった扉を見て、簪も見た

 

 「また、あえるよ、ね?」

 

 簪も、まだ名も分から無い彼の姿を頭の中で浮かべ呟いたーー

 

 

 

 一方で、逃走中の一夏は

 

 

 「げ、穴消えてるし」

 

 目的地の裏通りに入るが、既に穴が閉じていたらしく。がっくりと 肩を落とすのであった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 数時間前。

 

 

 一夏が簪達と遭遇した時。

 

 裏どうりを通る一人の男が、秋人が歩いていた。

 

 「だめだ!!」

 

 頭をかきむしり、気分転換が全くできていなかった。

 

 「どうしたらいいんだよ、僕は?」

 

 ベンチに座り込み、肩を落とし顔を上げると・・・

 

 「!? な、なんだあれは!?」

 

 いきなり目の前に、黒い穴が出て来て思わずISを起動させてしまう。

 

 白式の剣を腕ごと穴に入ってしまい、思わずワンオフ・アビュリティーを発動してしまいーー

 

 黒い穴が消失して粒子と化しす。そして逃げる暇もなく秋人は粒子を浴びてしまう。

 

 「う、うわぁ!! な、なんだこれ?」

 

 粒子を浴びてしまった体を見るが、どこにも異常は見られない。得体のしれない事が起こり、秋人はISをしまい、そのまま走って逃げる。

 

 この時、彼はまだ自身の変化に気づいていなかったのだったーー

 

 

 

 

   

 

 

 

 




 一応、秋人が強化します。

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