突然の襲撃に合い、秋人と鈴の二人は不気味なISと対峙していた。
「なんなのよ!? こいつ!!」
不気味で全身が装甲に覆われたISがレーザーを連射し二人は回避をする。
「鈴、エネルギーは!?」
「ヤバイわ!! もう、そろそろ限界よ!!」
「...分かった、なら賭けに出るしかない!!」
レーザーの攻撃を躱しつつ、秋人が鈴に作戦を伝える。鈴からは ”そんな無茶はするな” と言われるが。今はこれしかない事を強く言い彼女を納得させる。
「わかったわ...でも、絶対成功させなさいよ!!」
空気が振動する音が聞こえ始め、甲龍の肩にある砲口にエネルギーが溜まっていく。
攻撃を躱しつつ秋人は接近し、鈴の前に秋人が移動した時ーー
「秋人ーーーーーーー!!!!!」
突如、箒の声が鳴り響く。二人が視線を放送室に向けるとマイクを握りしめ叫ぶ箒の姿があった。
「箒!?」
「あの、馬鹿!!」
謎のISが目の前にいる秋人達から視線を移し、放送室にいる箒を狙いを定めーー
「やらせるか!!」
ザンッ!!
空気の弾丸を背に受け一気に加速した状態の白式の剣が振るわれ謎のISは胴体が二つに別れる。だが、機体の中に人の姿はなかった。
「え? 誰も乗っていない?」
「嘘、まさか? 無人機だとでも言うの? っ!! 秋人!! 上!!」
鈴が叫び、ISのセンサーが何かに上空から来る物に反応し二人の前に複数のIS出現した。今度は先ほど倒した無人機のISと違い、現れたのはちゃんとした人が操っているものだった。
「侵入成功」
「織斑秋人を発見・・・」
「これより、捕獲する」
顔を隠した女性達が三人。量産型であるリヴァイブを駆り秋人達を包囲する。箒が逃げるように叫び、千冬が動ける者がいないか呼びかける中ーー
ドン!!
突然、一機のISが持っていたライフルが切られて爆発が起こり天井から漆黒の刃を持ったISが出現した。
「あ、あれは!?」
女達は突然の敵に驚き、火気を乱射するが。黒いISが黒刀「夜」を振り斬撃で弾丸を切った。
「くそ!! 動くな!! 直ちにISを解除しなければ、こいつらの命はないぞ!!」
女性の一人が、何時の間にかエネルギーが切れISが解除されている秋人と鈴に向け銃口を突きつける。
(人質かよ、どんだけ面倒なんだ、こいつらは?)
一夏は内心で悪態をつきつつ、顔を隠す装甲以外を全て解除し生身の状態になる。そして女達はためらいもなく一夏に向け引き金を引く。
「あっはははは!!」
「馬鹿なやつめ!! 貴様のISは我々が有効に使わせてもらうぞ!!」
「おらおらおら!! 」
叫びを上げながら銃器を乱射するが一夏は特に何も驚かずに足に力を入れーー
「剃!!」
一夏の姿が消える。乱射していた三人が消えた一夏に驚いているとセンサーの反応に気づき後ろを見ると人質として取っていた秋人達がおらず
「弾の無駄使いどうも」
何時の間にかアリーナの端に二人を両脇に抱えて立つ一夏がいた。
(な、何なの、この感じ、声...どこかで?)
(この声って、まさか)
抱えられていた二人はそれぞれ何かを思い、一夏に話しかけようとするが地面に下ろされ一夏は再びISを起動させ黒刀を振り斬撃を放つ。
まずは、一機目のISに直撃させ壁まで吹き飛ばし残り二体にも同様に攻撃しようとするが、一発の弾丸が黒騎士の手に当たり黒刀が手から離れてしまう。
「動くな」
天井から新たなリヴァイブが出現しスナイパーライフルを構え一夏を狙っていた。武器をなくした一夏を見て二体のISが銃弾の嵐を放つ。
剣を失った黒騎士はISを装備していない秋人と鈴の盾になり徐々にエネルギーが消失していく。
「テロリストの癖に、何体持ってんだよ? 仕方ねぇ」
秋人と鈴の盾になっている一夏が何かを思いつき、後ろにいる二人を見てーー
「秋人!! 鈴!! お前らの剣、俺によこせ!!」
「え?」
「な、なにを」
「いいから、全部よこせ!!」
身動きできない一夏に、今度はブレードを展開し三人が一斉に襲いかかる。
秋人と鈴は剣をよこせと言われ戸惑ったが、懐かしく聞いた一夏の声に心が動きそれぞれの剣を一夏に渡し、千冬や箒が黒騎士がやられると思った時ーー
ガギン!!
「「「 何!? 」」」
両手を交差させ、鈴の持つ双天牙月を両手に。口に秋人の雪平弐型をくわえた黒騎士の姿が存在した。
「二刀流・・・いや、三刀流・・だと?」
千冬がこれまで見た事のない剣のスタイルに目を大きくし驚いていると、黒騎士はブレードを弾く。
「パクリで悪いが!!」
両手を再び交差させ、腰を低くし突進する。そして、幻覚なのか一夏の後ろに鬼の顔が一瞬見え、技の名を口にする。
「鬼斬り!!」
まずは一体。リヴァイブの装甲を切り、操縦者を守るシールド働き操縦者にはダメージはなかったが機体はエネルギー切れを起こし待機状態に姿を変えた。
「う、うぁぁぁっぁあぁ!!」
やられた仲間を見て接近するのは無謀だと判断し、二人目が銃を乱射するが一夏は攻撃を受け流しつつ、三本の剣を振るうーー
「三刀流...狼流し!!」
柔の剣より繰り出された技で銃を持った腕ごと切られ爆発を起こし二体目のリヴァイブは次々とブースターや足も切り落とされ鉄くずに変えられてしまい、女性は死の恐怖で気絶していた。
「ば、馬鹿な、剣だけで我々を...な、何なんだ。何なんだおまえは!?」
一夏の黒刀を弾いた四機目のリヴァイブがブレードを捨てライフルを乱射する。目の前にいる未知なる存在に我を忘れ、引き金を無我夢中に引き続けるが当たらない。
「そんな狙撃、当たるかよ」
弾丸は一夏をかする事なく通りすぎ、一夏は両手の剣を体の前に出し高速に回転させる。
「見よう見まねだけど...三刀流、奥義!!」
「く!! 来るな!!」
風車のごとく回る刃を見て、ライフルを投げ捨て女性は涙を流しながら逃げようと背を向けるが
「三・千・世・界!!」
技が完全に決まり、最後に残ったテロリストのISを切り捨てる。
「う、うわぁぁぁぁ!!」
切られたISが爆発を起し、パイロットは地面を転がり完全に気絶した。
「...真似しただけで倒せちゃったよ...まぁ、元と比べればかなり劣化だけども」
一夏は船員の中にいた、三本の刀を使い剣士を思いだし本来の威力はこんな物ではないと思いつつ三本の剣をその場に落とし、近くに落としてしまった黒刀を拾う。
「止まりなさい!! 」
いつの間にか、青いISを操縦しているセシリアが銃口を一夏に向けていた。しかし彼女の声は震えており、一夏がセシリアに向け殺気を向けただけでセシリアはひっ と短い悲鳴を上げ彼女がひるんだ隙に一夏は逃げる。
セシリアもその後を追いかけようとするも千冬に止められてしまい、黒騎士を見逃すのだった。