麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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 更新だいぶ遅れてすみませんでした!!

 私情の方が少し落ち着き、更新できました。


五十四話 目覚める力

 一夏達が、楯無達と合流した後の事。

 

 千冬が地上に向かった後、地下に残されたスコールは端末で組織と連絡を取るがつながらないことに苛立ち、オータムは既に動かなくなったガスマスクの強化兵に向け引き金を引き続けた。

 

「クソが!! ふざけやがって!!」

 

 千冬から既に自分達の組織が革命軍に支配されていた事と、自分達が捨て駒にされた事を聞き戦う意欲が既に失っていた。この二人もまた、それぞれの事情から世界を変えようとやり方は暴力的だが戦ってきた。

 

 命乞いをする者に引き金を引き、罪のない市民たちを焼き人々からテロリストと悪名を付けられようとも、無知な犠牲の上にできた平和を壊すために手を血に染めてきた。だが、いつの間にか現れた連中が勝手に世界を荒らしただけでなく、自分達のこれまでの思いを踏みねじった。

 

「はぁ、はぁ…」

 

 全ての弾を撃ち尽くし、銃を乱暴に投げ捨てるオータム。

 

「オータム」

 

 スコールが何かを決めた目をし、端末をしまう。

 今、彼女達にある選択は二つ。一つは、一夏達が入ってきた通路を使い脱出する。そしてもう一つは…

 

「行くわよ」

 

 息を切らすオータムとスコールは、千冬が上って行った階段を見つめ歩き始めた。

 

 

 

 

 

 「捕虜が逃げた!! 」

 「通信も破壊された、上との連絡がつかん!!」

 「敵はどこだ!?」

 

 会場内では、閉じ込めていた人質たちが次々と解放され混乱が起きていた。

 

「…さて、私達ができるのはここまで見たいね」

 

 先ほどまで通信室を占拠していた楯無達は、救出した人質達を地下道の方へ誘導していた。ISがまだ使えない自分達では、強化された兵相手では勝てず一夏達に頼るしかないことに歯がゆい気持ちになるが、箒と秋人はこらえる。

 

「秋人…」

 

「大丈夫、箒。もう、僕は馬鹿なことはしない」

 

これまでの二人なら、この状況でもなんとかしようと無茶な行動をしていただろうが。

一夏に心の声を伝え、受け入れられたことで二人の心は成長していた。

 楯無は二人を見て心配ない と判断し息を吐き出し、傍にいる妹に声をかける。

 

「簪ちゃん、どう?」

 

「まだ人質達の何人かが残ってる…」

 

「そう…」

 

 敵がこちらに気づいたら対処できない。とにかく時間がなく逃げる者達の中には怪我をしている者もおり、動ける者で協力して動いてもらうが中には我先にと身勝手な事をする者まで出て、余計な混乱を生んでいた。

 

「あんた達!! 私の弾よけになりなさい!!」

「ふざけんな!! 元は、お前たちのずさんな警備のせいでこうなったんだろうが!!」

「ISに乗っているせいで目が節穴になったのか? それとも、居眠りでもしていたのか!!」

「なんですって!!」

「男に癖に!!」

 

 役員の女性が、自身の保身のため周りの男に命令し、次々と問題が連鎖していく。

 今回の事件の責任のなすりつけや、既に殺されたIS委員の席を狙い生き残ろうとする者。さらに、普段からためていた怒りや憎しみがここで爆発し止まらなくなる。 

 

 楯無は舌打ちをし、近くにいた議員にやめるよう声をかけるが、何故早く救出しなかったと怒りをぶつけられてしまう。

 

「…なんで、なんで皆、自分の事しか考えていないんだよ…」

 

 身勝手な者達を見て、秋人の中で何かが大きくなる。これではISが使えないのに、傷つきながらも助けにきてくれた一夏達が報われない。本当に、今目の前にいる者達は助ける 必要があるのか? これでは、革命軍の言っている事が正しく感じてしまう。

 

「まぁいいわ、黒騎士が囮になっているなら。ここで、連中と死んでくれれば助かるわ」

 

 豪華なスーツを着た議員の一人が、一夏の侮辱した発言をして秋人の中で何かが目覚めた。

 

「ふざけるな…ふざけるな!!」

 

 秋人が叫び、女性議員に掴みかかろうとし箒が止める。

 

「な、なんなのよあんた!! そういえば、あんたあの男の弟だったわね。兄弟そろって

野蛮だわ。あんたも、さっと私を…」

 

 一発の銃声が鳴り、話していた女性の肩に小さな穴と赤い液体が飛び散る。

 

「くっ!!」

 

 楯無が廊下の向こうを見ると銃を構えた複数の兵が見え、簪と箒が撃たれると目を閉じた時

 

「やめろ!!」

 

 秋人が叫ぶ。銃の引き金に指をかけていた兵達は秋人の叫びと、彼から出た何かに精神が揺さぶられ、力なくその場に倒れ、叫んでいた人質達も倒れていた。

 

「え…?」

 

「な、なんなんだ、今のは…」

 

 傍にいた箒と簪は倒れることはなかったが、秋人から出た何かのせいで体の震えが止まらない。叫んだ本人である秋人自身も突然のことで驚き先ほど撃たれた女性の安否を確認し傷は浅く気絶しているだけと知り安堵した。

 

「秋人君、今あなた何をしたの?」

 

 震える体を支えながら楯無が聞くが

 

「え? その、自分でも分からなくて…ただ、さっき言われた事でカッとなって…」

 

 本人も分から様子で、楯無が考えこむ。いくつもの戦闘や暗殺経験がある彼女だから感じたことだが、今のは「威圧」だった。しかも、今まで感じてきたことのないほど強力で人を気絶させるなど見たことがない。

 

 可能性があるのは、一夏から聞いた覇気の力だ。だが、覇気には武装・見聞の二つに大きく分かれており、さっき秋人が見せた力は二つに当てはまらない。

 

(やっぱり、まだ私が知らない力があるみたいね)

 

 一夏はまだ何か隠していることに気づくが、今は問いただす事はできずそれよりも先に気絶した人質達の介抱と移動を4人がかりで始めた。

 

 

 

「邪魔だ」

 

 日本刀で、ライフルを真っ二つにし兵士の一人を峰内で気絶させる千冬。彼女の背後ではマドカがライフルを乱射し敵の足を止めていた。

 

「しつこい奴らだ」

 

 弾が切れたライフルの弾倉を交換し、マドカは近くにいる一夏に声をかけ、振り向いた一夏の顔は血の気がないのか、少し青かった。

 

「やべぇ、血がたんねぇな。どっか肉ないか?」

 

「ふざけた冗談を言っている場合か、これではきりがない」

 

 マドカがぶっきらぼうに言い、千冬が一夏を観察するように見る。

 

「その体ではもう無理だ、おまえは下がれ」

 

「いや、まだ何とか...」

 

「ここでおまえに倒れられると、邪魔だ」

 

 同じ顔をした姉妹に言われ、苦い顔をする一夏。ここまで連続した戦いで疲労とダメージがたまり動きが悪くなっていた事が既に二人は気づき彼女達もこれ以上一夏を傷つけたくない思いで、一夏を下がらせるが

 

「悪い、まだ俺にはやることあるんでな!!」

 

 そう言うと、一夏は剃で移動し弾丸の嵐を駆け、蹴りや拳で敵を黙らせていく。

 背後で、二人の声が聞こえるが一夏は答えず前に進む。

 

「待ってろ、鈴...」

 

 一夏はつぶやき、背中の包帯が血でにじみ、痛みをこらえながら戦い続けたーー

 

 

 

 

 

 

 

 




 余談ですが、最近ISのスマホゲーム出ましたが進めるの難しいですね。

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