麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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五十話 三姉弟VS強化兵

 地下通路の戦いは激しくなる。

 

 一夏が悪魔風脚(ディアブルジャンブ)で何度も大砲を持っていた兵にダメージを与えるが、強化された強固な肉体のためか倒れない。マドカも鞭の攻撃のせいで接近するのが難しくなり、千冬も兵の持つ特別性の刀のせいで自身の刀にヒビが入っていた。

 

 一夏もマドカもISがあり使えるのだが、ここはすでに海の底であり下手に攻撃すれば海水が入り通路が水没する危険があって下手な攻撃ができない。

 

「いい加減に倒れろ!! 粉砕(コンカッセ)!!」

 

 鉄をも砕くような足の一撃を受け、兵が再び壁にめり込む。

 

「はぁ!!」

 

 ナイフを投げ、兵の動きを止めると新たに取り出したナイフで兵の腹部を刺す

 

「…」

 

 千冬もヒビの入った刀で兵の体を切り裂く。血を流し倒れる兵と同時に、持っていた二本の刀が折れて地面に突き刺さった。

 

「こいつら…どんだけ強化してんだよ…」

 

一夏がつぶやく中、マドカと千冬が向かい合う。

 

「…」

 

「おまえのことは束から聞いている…」

 

 マドカは何を言わず千冬を見つめ千冬はマドカに近づき

 

「だが、おまえも私の…いや、私達の家族だ」

 

 マドカの頭を優しくなでる。

 

「ね、姉さん…」

 

 マドカと千冬のやりとりを見て安心する一夏。正直、こんな形で二人を合わせるのは不安だったようだが、杞憂に終わり安堵した。

 

「さて、こっからどうやって進むか…なっ!?」

 

 一夏が倒した兵がいつの間にか大砲を構えていることに気づき一夏が飛び出すが、足に鞭が絡みつき大弾が発射される。

 

「こいつら!!」

 

「させない!!」

 

 真耶が短銃で大弾を撃ち落とし爆発が起こり通路全体に振動が響く中、マドカは新たなナイフを、千冬は残った二本の刀を構えると三人の兵はダメージを負っているはずなのに通路の先をふさぐよう立ちふさがる。

 

 普通なら死んでいるはずの傷を受けていても侵入者を通さないためそれでも戦う姿を見て二人は

 

「人形ふぜいが」

 

「どこまでも邪魔を…」

 

 同じように悪態をつく。真耶に助けられた一夏は、真耶に礼を言い二人の真ん中に立ち光剣を抜く。

 

「これ以上もたついていられねぇ」

 

「あぁ、さっさと終わらせる」

 

「行くぞ!!」

 

 千冬の言葉に一夏とマドカが動く。刀を持った兵に一夏が交戦し、鞭を持った兵に千冬が大砲を持った兵にマドカがつく。

 

 鞭を持った兵にマドカがナイフを投げ、その隙に千冬が攻撃し。一夏と千冬が近くにいた時は互いに敵を交換し戦うなど敵を変えていく。

 

 流れるような動きで戦いをしていくうちに戦況に変化が起こる。マドカが鞭と大砲の兵を相手にしている時、刀を持った兵が一夏の攻撃を防御しようとすると、一夏の背後に死角になって隠れていた千冬が兵の腕を切った。

 

 さらに、一夏と千冬がマドカの援護に向かい高速で動く鞭をマドカが交わす中。

 

 黒く染まった光剣で鞭をバラバラにし、武器を失った兵に向けマドカ前から千冬が後ろから兵の体を刺し兵が倒れる。最後に残る大砲を持った兵は、仲間が倒れたことに何も反応もなく、また発砲しようとして

 

「私のこと、忘れてませんか?」

 

 真耶の放ったグレネードが大砲を直撃し、爆発が起こるが兵はそれでも倒れない。しかし体には重度の火傷があり戦闘でのダメージが効いてきたのかよろめく。

 

「悪魔風脚(ディアブルジャブ)!! 」

 

 動けない兵に向け一夏が再度足を燃やし急接近した

 

「画竜点睛(フランバージュ) ショット!!」

 

 兵の体をさらに蹴りと炎が襲いかかり、衝撃と共に壁にめり込む。壁に埋め込まれる程の蹴りを三度目になり、ついに兵は動かなくなり一夏は大きく息をはいた。

 

「やっと終わったか…つぅ!!」

 

 一夏は腹を抑え、体に巻いていた包帯に血がにじんでいた。ここに来る前に魔の海域でのダメージが残っていて、そのせいで傷が開くが千冬たちに気づかれないよう声を殺す。

 

「山田先生」

 

「はい、わかってます…」

 

 真耶は、千冬の言葉にうなずく。これ以上ついてきてもグングニールの範囲に行けば自分は邪魔になることはわかっており、悔しい気持ちでいる真耶に一夏は

 

「さっきは本当にありがとうございました、けどこれから先は俺達が何とかしますから…あなたは、あなたのできることをしてください」

 

 

 

 一夏の言葉に真耶は力強くうなずき通路を戻った。真耶は内心、さっきまでの戦いを思いだし強化兵達と一夏達との違いは、連携が取れていることや戦術を見ているなどではなく、そこには心がつながった家族が、信頼しあった兄妹だからできた戦いだったのではと思いながら

 

「どうか、ご無事で…」

 

 真耶は小さくつぶやき、リヴァイブを全速させ離脱して。三人は先に進んだーー

 

 


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