麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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五話 旧友

 学園の襲撃から一ヶ月程経った頃。IS学園にて

 

 「秋人さん、これから私と訓練を...」

 

 「いや!! 私とだ!!」

 

 ISを装着した少女達。セシリアと箒が言い争い秋人はため息をこぼしつつ別の事を考える。

 

 先日。特攻覚悟でこのIS学園を襲撃してきたテロ達を撃退したあのISについてだった。

 

 ほんの一瞬、相手は顔を隠していたが目が合いその時、頭の中である人物の顔が浮かんだのだった。

 

 (兄さん...いや、そんなはずは...)

 

 「おい!! 秋人!!」

 

 「聞いてるのですか!?」

 

 「あ、あぁすまない...」

 

 考え事をしていた秋人は二人に謝罪しつつ、後でできる限り黒騎士について調べようと考える。

 

ーーーーーーーーーー

 

 「いや~それにしてもすごかったよ!! いっくん、いつの間にあんな事できたんだ!!」

 

 「あ、別に斬撃だしただけなんですけど...」

 

 学園での戦闘映像を見て、興奮する束に相槌をしつつ一夏は端末を操作する。襲撃事件が終わり、どうやら世間では自分の事を黒騎士と読んでいるらしく、ふと 何かに気づき顔を上げる。

 

 「束さん、このIS? なんで秋人のISと似てるんですか?」

 

 「ん? ああ、そういえば言ってなかったね。実は...」

 

 束が空中ディスプレイを出現させ何かが表示される。

 

 「いっくんの機体はね、束さんが初めて作ったIS「白騎士」の次に生まれた機体でチーちゃんにすら教えてない機体なんだ。何しろ、この機体ワンオフ・アビリティーがまだ出来てないから正直、欠陥品なんだよね~~」

 

 「ワンオフがない?」

 

 「そう、この機体...まぁ、黒騎士って呼ぼうか。黒騎士は他のISと違いコアが不安定だから、かなり操縦に不安があったんだけど、なんでいっくんが操縦しても問題なかったのか不思議なんだ」

 

 「まぁ確かに...研究所の中迷子になって、偶然触れたら機動したのが不思議でしたからね、それにあの黒剣も束さんの話だと、黒騎士が俺の記憶を読み取って作り出したんですよね?」

 

 「多分そうだと思うけど...ねぇ、いっくんがよければ束さんが新しいIS作って上げてもいいだよ?」

 

 一夏は束の提案を丁寧に断る。

 黒騎士が欠陥品だと聞いて、昔自分も姉と弟の欠陥品と言われた事を思いだし、黒騎士にどこか自分と似た所があると思ったからだった。

 

 「大丈夫ですよ、俺はコイツを...黒騎士を気に入ったんですから」

 

 と束に告げ、腕につけている黒いガンレットをさすり短くよろしくと告げる一夏。そして、ガンレットがほんの一瞬。一夏の返事に答えたかのように光った事に二人はきずかなかった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 「たくっ!! 事務所ってどこよ!!」

 

 小柄な少女が悪態をつきながら学園の廊下を歩いていた。少女は大きなバックを持ち、手にある紙を見てうなだれる。

 

 「あ~もアイツ、どうしてるのかな?」

 

 ポケットからペンダントを出し、中には子供の頃の少女と秋人。さらに赤髪の少年や一夏が写った写真を見つめた。。 

 

 「...」

 

 少女は何も言わずペンダントを戻し、再び地図を睨み悪戦を続けるのだった。と、少女の後ろから一人の人物が歩く。

 

 

 「だめか、どこも大した情報はないか...」

 

 スマホを片手に歩き、前を向いてないせいで少女とぶつかってしまい。二人は顔を見て声を上げた。

 

 「!!っ 秋人!?」

 

 「え!? まさか、鈴!?」

 

 「そうよ、全く、何であんたがIS動かせてんのよ? テレビ見て驚いたわよ...?」

 

 「いや、僕も突然の事でさ...」

 

 「まぁ、いろいろ話をしたいけど。まずは、事務所どこかしらない?」

 

 「あぁ、それなら...」

 

 秋人が事務所を案内し鈴は後をついて行き建物に入って行く。そして、その光景を見ていた箒の目が大きく見開き唇をかみしめていた。 

 

  

 「なんなのだ、あの女は!?」

 

 女の嫉妬からか、まともな考えも浮かばないまま箒も建物に入り二人の跡を追ったのだった。

 

ーーーーーーーーーー

 

 再び、束と一夏の場面に戻る。

 

 秘密基地の格納庫。

 

 一つのISが組立られているが、通常のISと違う事が一つ。人の入るスペースが存在しなかった。

 

 「で、この人形で少しは実践してもらおうと?」

 

 「そうそう、いつ命狙われるのか分かったもんじゃないしね? 箒ちゃんの方も対策はしてあるから大丈夫だよ」

 

 「なるほど。で、いつ動かすんですか? これ?」

 

 「そうだね...一週間後かな?」

 

 のんきな会話をしている中。一機の不気味なISが完成して行く。

 

 そして。一週間後ーーーーー

 

 

  「秋人謝る気になった?」

 

  「だから、何を謝ればいいんだよ?」

 

 クラス対抗試合日。クラスの代表同士の戦いが行われるこの日まで、秋人と鈴の仲は何故か悪かった。

 鈴が学園に来てからいろんな異変が起こっており、それはーー

 

 秋人の部屋にて、部屋を変えて欲しいと迫る鈴に不機嫌になる箒。

 さらに、騒ぎを聞きつけたセシリアまで不機嫌になる始末。

 

 さらに、黒騎士にしか意識していなかった秋人は彼女たちに何もフォローもしていなかったからなおさらだ。

 

 「とにかく!! この試合で私がかったら殴らせろ!!」

 

 「意味がわかんないよ!?」

 

 秋人が突っ込むが無情にも試合開始の音声が重なり鈴には聞こえなかった。

 

 

 「くらいなさい!!」

 

 鈴の機体から見えない衝撃の弾丸を放たれ、秋人はどう対処したらいいのか分からずまともに受けてしまいエネルギーが大幅に消費する。

 鈴が放った攻撃。龍砲は空気を圧縮して放つ射撃武器であり、鈴の乗る甲龍(シェンロン)が白式を追い詰めて行く。 

 

 

 秋人も距離を取りつつ、何とか近づき二人が接近戦の武器で何度もぶつかっていると

 

 ドォン!!

 

 突如アリーナの天井が爆発し、黒い影が忍び寄る。

 

 


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