麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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 麦わらの一味の一人「一夏」が出て一年が経ちその間感想やご指摘などをいただき本当にありがとうございます!!

 この作品はまだしばらく続く予定ですので何卒よろしくお願いしたします。

 (後、五月投稿できなくてすみませんでした。話の修正やらリアルでの事で忙しくこれからも投稿は未定です。本当にすみません)

 
 それと今回の話は、もし一夏が学園の教師になったら? の話です。
 ちなみに夢オチです。


番外編 1 一日教師の一夏

「と、言う訳で一夏君には一日教師をしてもらいます!!」

 

 学園寮で秋人の部屋で寝ていた一夏は、突然楯無に起こされ不機嫌になる。

 

「...おい、さっさと部屋を出て行くかそれとも俺にたたき出されるかどっちか選べ」

 

「いやん、そんな事言わないで?」

 

 可愛く言って怒りをなだめようとするが、一夏から闘気を感じ楯無は額に汗を流しながらさっさと要件を言う事にした。

 

「じ、実はね? 最近の騒ぎの処理とかで先生達がいないのよ。それで、このままだと授業ができないって事で一夏君に白羽の矢が立ったわけよ」

 

「なぁ、何も俺じゃなくても...」

 

「大丈夫よ♪ 参加する人は絞ってるしそれに一夏君の事は黙っているように誓約書を書いてもらったし大丈夫よ」

 

 実はその誓約書と言うのは「最強のIS。黒騎士の操縦者が行う授業」と大きく書かれた物で。契約書の細かい部分には参加者はデータ等の記録を禁じ破れば厳しい罰があると書いてあった。

 

「ちなみに箒ちゃんや、秋人君も参加するから。お願いね」

 

「秋人もか? ...っ、仕方ない」

 

 弟や幼馴染みも参加すると聞き、これまでにいろいろ迷惑をかけてしまった事を思いだし仕方なく引き受ける一夏。だが、この一日教師の裏に隠された陰謀をまだ一夏は知る良しもなかったーー

 

 

 場所は変わり実技が行われるグランドにて、ISスーツを着た秋人ら生徒達の前に借りた学園の制服を着た一夏が立つ。

 代表候補生や箒以外の生徒達は、一夏を見て緊張する者がいれば黒騎士を使ってみたいなど小声で話す者もいた。

 

「って、授業ってどう進めればいいんだよ...?」

 

「それは、一夏君の自由で構わないわよ」

 

 補佐として隣りに立つ楯無に聞くが自由にしていいと言われてしまう。そこで、楯無が生徒達に質問があれば聞いて良いと言い出し、次次と手が上がり質問がくる。

 

「先生!! 黒い剣見せてください!!」

 

「私も、剣触ってみたいです!!」

 

「織斑君、操縦教えて!!」

 

「彼女いますか?」

 

「黒騎士貸してください!!」

 

 

 と、明らかに授業とは関係ない質問がきて、特に彼女の質問に対して二人の候補生は殺気を放ち一夏を睨む。

 

 とにかくこのままでは収集はつかない。とりあえず、質問には適当に答え、黒騎士と黒刀は使わせないのと、彼女はいない事を告げる(それを聞き、鈴と簪の殺気は止んだ)

 

「そんじゃ、まずは軽く練習試合でもするか?」

 

 今目の前にいる生徒達は一年生だけで、未だにISに慣れていない者もいることから軽く戦ってもらおうと判断し、その授業は一夏と楯無の指導が入っての模擬戦となる

 

 銃の扱いとかは楯無が補助し、剣や接近では一夏がアドバイス等を送る。

 時折、一夏と戦いたいと申し出があり仕方なく戦うが結果は火を見るよりも明らかだった。

 

「せ、先生...」

 

「ひ、ひどい...私、一歩も動いてないのに、やられた...」

 

「つ、強すぎる...」 

 

 一夏は黒刀しか使わず斬撃も放って無かったが、それでも生徒達とは力の差がありすぎて圧勝してしまう。ちなみに、その戦いの後秋人ら専用機持ちも一夏と戦いたいと言い出すが、それでは他の生徒達の授業にならないと楯無から却下される。

 

「はぁい、文句言わないの。一夏先生は指導で忙しんだから」

 

 そう言いつつ、彼女は一夏の腕にしがみつきわざと自分の胸を押し当てる。柔らかい感触が伝わり顔を赤くする一夏だが、すぐにまた鈴と簪から殺気が放たれ急いでその場から離れ他の生徒達の指導を再開した。

 

「って、あんた離れろよ」

 

「えぇ? この状態でも指導はできるでしょ?」

 

 とにかく腕から離れろと言い、引き剥がそうとするが楯無はしつこく離れない。傍から見ればじゃれているカップルのように見え、二人に羨望や殺意等の視線が集まる。

 

「ねぇ、あの二人...殺っていいよね?」

 

「うん、そうね...」

 

 目から生気をなくしている鈴と、ISの薙刀を構える簪。これはまずい と思い秋人が止めに入ろうとするが、彼女達の威圧に押し負けすぐに引き下がる。このままでは、兄が殺されてしまう。と思い誰か止めれる人間はいないか探していると

 

「ほぉう? 授業が全く進んでいないようだが貴様ら?」

 

 いつの間にか一夏と楯無の背後には威圧を放つ千冬が立っており、二人が背後を見ようとした瞬間。出席簿が二人の頭に直撃しパァン!! と大きな音がグランドに響くのであった。

 

「「痛いっ!!」」

 

 「この馬鹿者共が!! 授業の様子を見に来れば、何を関係ないことを。そんなに騒ぎたいなら、私と一緒に試合でもするか?」

 

「!! い、いえけ、結構です!! 間に合ってますから!!」

 

「って、なんで俺もだよ?」

 

「問答無用だ!! 行くぞ!! 織斑!! 更識!!」

 

 ISのブレードをどこから持ち出し二人に接近する千冬。楯無はすぐさま思考を走らせ目の前にいる鬼神から逃れる術を思いつき行動に出る。

 

「で、では!! これから織斑先生対一夏先生の試合となりますので、皆さんしっかり見学しましょ!! 」

 

「って!? おい!?」

 

 一夏を前に押し出し全速力で逃げる楯無。そして、ブレードを振り上げる千冬に一夏は黒刀で防ぐ。

 

「ほおぅ、それが噂の黒刀か? 相手にとって不足はないな」

 

「ちょとまて!! 千冬姉ねぇ!! あんた、まだ怪我治ってないだろうが!?」

 

「こんな倒しがいのある相手を逃すか!!」

 

 この間再開したばかりの姉が何時の間にか戦闘狂になってた事に軽くショックを受け、しかもその姿が一味の中にいた最強の剣士と少しかぶりすぐにでも逃げたい気分になった。

 

「てぁ!!」

 

「うおぉ!!」

 

 ブレードと黒刀が何度も激しくぶつかり、二人の戦いに誰もが見とれていた。世界最強の乙女である千冬と、片やその弟で無敗のIS。黒騎士を使う一夏との戦い。

 

 

「うわぁ...逃げてよかった...」

 

 二人の激しい戦いを見て楯無がつぶやき内心ヒヤヒヤする中、何度目になるか白と黒の刃が混じり火花が飛び散る。 

 いつしか一夏は逃げる選択肢を捨て、本当に千冬と戦い。いつの間にか二人の表情はゆるくなり純粋に戦いを楽しんでいる様子だった。

 

「あ、秋人...何とかあの二人を止めれないか?」

 

「箒...僕に切られてこいって言ってるの? それ?」

 

 もはや剣士の戦いを誰も止める気がなく、その戦いは授業終了のチャイムがなるまで続いたのだった。

 ちなみに、その戦いを見ていたとある生徒達の感想は

 

「あんな嬉しそうな教官を見るのは初めてだった...」

 

「あれは人間同士の戦いじゃないよ」

 

「あ、あれが秋人さんのお兄様の力...」

 

「一夏...あんた、人間やめたの?」

 

「す、すごい...まるでアニメのヒーローみたいだった...」

 

 と感想を述べ、さらに補佐をしていたとある女生徒は

 

「良かった、ちゃんと逃げれて」

 

 と、身の危険を感じたそうだった。

 

 それと戦いが終わった後、一夏は様々な授業に参加するのであった。

 

 家庭科の料理の授業では、見たことのない料理を作り生徒達には絶賛され

 

 音楽の授業では、何故か参加した者のテンションが上がり演奏会になり

 

 さらに、もう一度行われたISの授業では剣を教えてほしいと懇願されたり

 (その際、交際して欲しい等言われるが断っている。それでもしつこい場合は楯無が会長権限でその生徒を追い出していた)

 

 とにかく忙しいまま時間が過ぎ、そろそろ一日教師が終わろうとした頃。

 

「って、なんでまたISの授業しないといけないんだよ?」

 

 楯無より、最後の授業をすると言われ一人アリーナの中央に立っていた。一夏はため息をつき目を閉じて今日の授業の事を思だす。

 

(今日は忙しかった...秋人の奴いつもどんな風に学校で過ごしてたんだろうな...)

 

 誘拐されたあの時。もしも、あの世界に行ってなかったら自分も秋人のような毎日を過ごしていたのだろうか? 海軍や、同じ海賊に命を狙われる事なく穏やかで平和な毎日を、もしかしたら普通の生活があったのではないか? と考えてしまう。

 

(だけど、あの海で俺はあの人と出会って多くの冒険をして仲間と出会って来たんだ。悔いなんてあるものか)

 

 もし麦わら帽子を被った彼に出会わなかったら、今の自分はおらずそのまま姉と弟の板挟みで苦しむだけだったかもしれない。 

 

 だが、海賊になり自分は変わることができたのだ。自分の置かれた環境に苦しんでいた少年が様々な強敵や困難を仲間と共に戦い、いつしか一人の男になる事ができたのだから。  

 

(何考えてんだろうな俺? ここに居すぎたか?)

 

 この一日教師が終わったら、束の所に戻り再び姿を隠そう。そう決めた時、楯無から通信が入る。

 

「一夏君。待たせてごめんなさいね? 皆の準備に時間がかかって...」

 

 準備とは何の事か聞こうとするが、楯無は一夏の声を無視して話を続ける。

 

 

「ねぇ、一夏君? 相談なんだけど...このままIS学園にいてみない?」

 

「はぁ?」

 

「いや、教師って事だけでなく。もちろん入学って方もあるんだけど...今日の参加した子達の様子を見て、あなたは皆に頼りにされてるって思ったの」

 

「なんでそうなるんだよ? それに、俺は海賊だし自由にやるだけだ、勝手に決めるな」

 

「で、でも!! これからの戦いは貴方一人だけでは無理よ!! 一緒にいれば、安全だし、それに秋人君達だって...」

 

「断る」

 

 今にも泣きそうな声で話す彼女にきっぱりと断る一夏。内心では感謝しているのだが、これ以上秋人達に面倒をかけさせたくないのと自分の身をこうまでして心配してくれた楯無の事を思い断るのだった。

 

(すまないな、ならず者の俺がこんな所にいたら迷惑だろうに...)

 

 と、申し訳ない気持で一杯だったのだが

 

「ふぅ~~作戦失敗かぁ、仕方ない。作戦B発動!! 皆出て来て!!」

 

 と、突如明るい声になった楯無の合図と共に無数のISが出現しアリーナを囲んでしまった。そして、ISを装着し集団を指揮していると思われる楯無が一夏を見下ろし。

 

「あぁ~~もしかしたら作戦Aで成功すると思っただんだけどな...仕方ない!! 作戦B 一夏君を捕まえろ作戦開始!!」

 

「お、おい!! ちょ、まて!!」

 

 一夏の静止の声を聞かず、次つぎと訓練機のISや専用機が近づいてきた。前に来たISを避け、その後に着た二体の打鉄を光剣で切り、操縦者を傷つけないように動きを止める。

 

「ごめんね一夏君? そのまま貴方を返したら、いろいろ不都合なのよね~~主に授業とか、食事とか食事とか」

 

「なんでそこで二回も言うんだよ!?」

 

「いいから!! 細かい事は気にしない!! 大人しく捕まりなさい!!」

 

 実はこの一日教師の狙いは、どうやって一夏を学園にとどめる事ができるのかであり、幾多の会議の結果「彼に学園を楽しんでもらい、そのままいてもらおう」と言う事で楽しんでもらった後、もしも楯無の説得(演技)がだめだった場合。最終手段として力ずくで学園にいてもらうことが作戦Bだった。

 

「一夏!! 大人しくしなさい!!」

 

「貴方はここにいるべき!!」

 

 

 と、ここに来て共闘し始めた鈴と簪が武器を振り回し。余り乗る気ではない秋人も背後に回る。ISによる一体多数の戦いが始まり一夏は

 

「ふざけんなぁ!!!!!」

 

 キレて、次次と装備をフルに使い落として行く。

 

 攻撃を肉球を模したアームで防ぎ弾き返し

 

 見えづらい糸で動きを封じ

 

 蛇を模したBT兵器で相手の武器を破壊して無力化させ

 

 黒刀の斬撃で次々と落とし

 

 

「おらぁ!! 今度はおまえだ!!」

 

 

 黒刀を大きく振りかぶり、斬撃を放とうとしたところで....一夏の目が覚める。

 

「んぅ!?」

 

 ベッドから慌てて起き上がり部屋を見渡し、そこでさっきまでのことが夢だった事に気づいた一夏は

 

 「なんだ...夢かよ...」と大きなため息をつき、そこで手が何か暖かい物に触れ一夏が見ると。

 

「んぅ...なぁに? 大きな声だして...」

 

 と、のんきにあくびをし上半身だけパジャマで下は穿いていない楯無が起きてそこで彼女は気づく、一夏が殺気を込めた目で自分を見ていることを。

 

「...え、えっと...へ、部屋を間違えちゃって、その...てへ」

 

 可愛く舌を出しごまかそうとするが、一夏は額に青筋を立てたまま

 

「...おい、さっさと部屋を出るかそれとも俺にたたき出されれるかどっちか選べ」

 

 夢の中で言った事と同じ事を言い、さすがにヤバイと感じ楯無はすっ飛んで部屋を出て行くのだった。

 

「...たく」

 

 部屋に鍵をかけ、一夏は再びベッドに横になり眠り入る。そして、床に落ちている楯無が脱いだ寝巻きのズボンと共に「入学手続き」と書かれた書類が落ている事に一夏は気づかないまま、再び夢へ入る。

 

「...ルフィ...みんな...」

 

 そして今度は、かつての仲間達の夢を見るのであったーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに

 

 「? お姉ちゃん、どうしたの? なんで下穿いてないの?」

 

 この日の朝、学園の生徒会長が何故か寝巻きの下を脱いだまま妹の部屋に駆け込みその妹のベットに入り身を震わせていた。

 

 「ご、ごめんなさい...もう、しません...」

 

 と、誰かに向け謝罪を繰り返すばかりで彼女の妹とその従者の女生徒は首をかしげるのだったーー

 

 

 

  

 

  

 

 


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