麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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三十話 明かされる印の意味

 「くそ...あいつら...」

 

 夕方。自室で端末を操作していた弾が舌打ちをし、いくら連絡しても返事がないことに苛立ち端末を放り投げ畳に横になる。

 

 「俺はもう、用済みって事かよ?」

 

 先日の学園際の際、亡国機構との協同任務で失敗し、組織から何も連絡が来ない事に弾は苛立ち、腕を武装色で硬化させる。

 

 学園際で秋人に誘われる事は計算内だった。その後は、怪しまれる事なく学園の中枢まで侵入し破壊活動を行うだけだったのが、任務は失敗し自分は負けたのだ。

 

「まさか、一夏に負けるとはな...」

 

 しかも自分を負かした人物が何故か行方不明になっていたはずの親友、一夏だった。

 

 最初は互に仮面をかぶり分からなかったが、戦っている内に相手が一夏だと分かり、思わず涙を流してしまった。そして、その後予想もしなかった事が起き、侵入者を撃退に来た千冬と一夏が戦い始め、一夏が勝ってしまったのであった。

 

「それにしても...あいつ、どんだけ強いんだよ?」

 

 今だ硬化し真っ黒になっている自分の腕を見つめ呟く弾。革命軍に入り様々な訓練と肉体強化の処置をされ超人となった自分を倒した一夏。彼がどうやって強くなったのか聞きたくなり端末に手を伸ばす。調度その時一件のメールが入る。

 

「...っ!? これは!!」

 

 メールは革命軍からの物で内容を見た弾は顔をしかめる。そして、すぐにある人物に連絡を取り始めるのだったーー

 

 

「兄さん? どうしたの?」

 

 

 学園の寮にて、秋人の部屋の空いたベッドに横になる一夏。呆然とする彼に、心配になり秋人が声をかけるが生返事しか帰ってこない。同じく部屋にいる箒や簪達も一夏の様子が変に思っておりちなにみ、楯無だけは学園の破壊された物やIS委員会の報告などで席を外していた。

 

「一夏?」

 

 鈴が気になって話しかける。一夏の様子がおかしくなったのは、昔彼にもらったペンダントを見せた時だった。鈴は問題の原因と思われるペンダントを取り出し一夏に見せようとするが、箒がそれは何だと聞き出し、鈴が昔一夏にもらった物だと答えた。

 

「私はそんなものもらってないぞ!?」

 

「そんな事私に言われてもね」

 

 鈴が眉をひそめ箒を睨み。鈴の手にあるペンダントを秋人やシャル達が眺める。

 

「あ、懐かしい。昔の写真だね?」

 

「ねぇ? この表面にある印ってなんなの?」

 

「まるで動物の蹄みたいですわね?」

 

 ペンダントと写真。そしてペンダントの表面にある印に感想を告げ箒や簪は内心自分達も作って欲しいと思っていると 

 

 「その印は奴隷の証だ」

 

 起き上がった一夏がペンダントを見つめて告げる。いきなり奴隷と単語が出て困惑する彼女達に一夏は説明を続けた。

 

「それは竜の蹄で、俺が冒険した中で天竜人って奴らが使っていた紋章だ」

 

「てんりゅう...びと?」

 

 再び初めて聞く単語につぶやいた簪だけでなく、他の少女達は黙って話に耳を傾ける。

 

「そいつらは貴族で、自分達の権力をいいことに人を物のように扱ってたんだ。そして自分達の所有物である奴隷にはその印の焼印を体に刻み込められる。しかも、気に入らなければ女子供だろうが容赦なく殺す事をためらわない最悪の奴らだ」

 

「なっ!?」

 

「ひどい...」

 

 異世界の貴族の事を聞き、あまりにもひどい事に驚きの声が上がる。

 

 この世界でもISでの差別があるものの、それらはすぐに飢えて死ぬわけでもなく、ましては奴隷として焼印をおされる事がないが、どこの世界でも差別による悲劇があるんだなと、冒険中に一夏は何度も思っていた。 

 

「実際、俺の知り合いが人間オークションで売られそうになった時も、そいつらがいて危うく知り合いが殺される所だったんだが」

 

 大いなる航海(グランドライン)の後半の海の玄関口。そこで、奴隷として売り出される寸前で一味が駆けつけ救出した事を思い出す。そして、そこである人物と出会い、一味に大きな影響を与える事になったのを思い出し笑みを浮かべる。

 

「? 一夏?」

 

「あ、いや。ちと、懐かしいのを思い出しただけだから、気にすんな」

 

 簪にそう返事をして、再びペンダントを見る一夏。何故、異世界の印を昔の自分はこのペンダントに刻んだのか? どこで、これを知ったのか記憶をたどるが思い出せない。

 

 

「...ねぇ、兄さん。僕、これ見たことある..」

 

 無言になっていた秋人がそう言い、一同の目線が秋人に集まる。

 

「何!? 本当か!?」

 

「う、うん...確か、昔この絵を書いて姉さんにすごく怒られたのを覚えてる。もしかしたら、その絵がまだ家にあるかも」

 

「そうか...千冬姉はまだ怪我が治ってないし...仕方ない、家に探しに行くか」

 

「って、もしかして今から行く気なの?」

 

 秋人が、ベッドから離れ部屋から出ようとする一夏に声をかけるが、無視して扉を開けると楯無が待ち構え一夏を部屋から出さないようにする。

 

「どこに行く気かしら?」

  

「さっきから部屋の前で聞いてたろうに...家にだよ」

 

 見聞色で楯無が部屋の前で立ち聞きをしていた事に気づいており、一夏は楯無を軽く睨むが彼女は気にせず話を続ける。

 

「ふぅん...で、貴方は家の探し物が終わったらここに戻ってきてくれるのかしら?」

 

 楯無は目を細くし一夏を睨む。彼女の手に持つ扇子は「逃走?」と書かれていて扇子を一度閉じて一夏につきつける。

 

「戻るって...ここはもう安全だろうが?」

 

「貴方自分の立場を分かってるのかしら? 女子高に勝手に侵入して暴れて、君が壊した物…どうしてくれるのかしら?」

 

「箒達とあんたを助けただろうが!!」

 

 楯無の姿が、強欲な航海士の姿と重なり思わずため息をついてしまう。このまま彼女のペースに巻き込まれてしまえば、いつまでもここにいるハメになるため、もう無視して行こうとも考えていると。

 

「...織斑先生は心配じゃないの?」

 

 楯無からそんな一言が聞こえ足を止めてしまう。その時、一夏の脳裏には学園際で見た千冬の涙と、病室で自分に謝る彼女の姿が脳裏に写り一夏は顔を上げる。

 

「...千冬姉が元気になるまでだぞ」

 

 とだけ言い部屋のベッドに横になる。去ろうとする一夏を見てハラハラしていた秋人達は笑顔になり目を閉じる一夏を見るのであった。

 

「姉さん...ありがとう」

 

「ふふふ、どういたしまして」

 

 簪が楯無に感謝の言葉を述べ、楯無は扇子で口元を隠しながら一夏に感謝していた、何時の間にか妹と距離が縮まってこうして会話できた事に。その礼なのか、楯無は一夏が学園にいることを委員会に報告せずにいた。

 

(さぁて、これから楽しくなってきたわねぇ...!!)

 

 まるで楽しみができたかのように笑顔で部屋から離れる楯無。そして残った箒達も、いつまでいるかわからないが、一夏と話せる事に嬉しく思っていると携帯の着信が鳴る。

 

「あ、ごめん僕だ...弾から?」

 

 学園際から一切連絡がこなかった親友に疑問を抱きながら秋人が電話に出る。

 

「秋人か!? 」

 

「弾、今までどうしてたんだよ? 怪我したって、蘭から聞いたんだけど...」

 

「その話はいい!! 一夏の連絡先は知らないか!?」

 

「え? に、兄さん?」

 

 すぐ傍に本人がいるのだが、果たして変わっていいものか? 秋人が考えていると、彼の携帯を一夏が取り上げる。

 

「に、兄さん!?」

 

「弾? どうした?」

 

 自分が世間で追われているのにも関わらず、普通に会話する一夏を見て周りは心配するが、電話相手である弾が一夏が出た事に驚いた様子だった。

 

「一夏!? そこにいたのか?」 

 

「あぁ、また学園が襲われたから飛んで来た。んで、どうしたんだよ?」

 

「実は...お前と話がしたくなってな...」

 

 つまりは電話で言えない。誰がか盗聴している可能性があると一夏は気づき、二人はとある場所で落ち合おうのを決めやがて、夜になり月が登る。

 

 IS学園から離れた、近くの公園で茂みに隠れ辺りを警戒する一夏。やがて、公園に誰かが入り、それが弾だと気づいて茂みから出て姿を現す。

 

「...一夏」

 

「よう、弾」

 

 二人は軽く会話をしてから公園の奥に進み人気のない所に来てベンチに座る。弾は真剣な表情をし、視線をそらし話を始める。

 

「一夏...その、来てくれて、ありがとな?」

 

「何言ってんだよ、来るに決まってんだろうが」

 

 弾は自分が革命軍の兵であるにも関わらず一夏が自分を信じてくれた事に嬉しく思い笑みを浮かべる。そして、お互いの緊張が解けた所で夕方の電話の話を続ける。

 

「実はさ、革命軍と亡国機構が手を組んでまた攻撃を仕掛けるってメールが来たんだ...」

 

「攻撃? 学園でか?」

 

「いや、今度は一ヶ月後にIS学園のイベントで行われるキャノンボール・ファストって奴だ」

 

 キャノンボール・ファスト。 

 

 ISの高速のバトルレースであり、普通のレースと違い他の選手に攻撃をし妨害するのが許された物だった。

 

「レースねぇ...」

 

 妨害ありのレースと聞き、海賊どうしのなんでもありのレースを思い出すが、話の方に意識を切り替え集中する。

 

「どのぐらいの勢力で攻めるのかまでは分から無いが、その中の一つにイギリスから強奪した新型がいるそうだ」

 

「強奪って...まさか、福音を奪ったやつがくるのか?」

 

 これまでに二度戦った女性の事を思いだしため息をつく。福音に乗って戦った事で彼女がただで引き下がる性格だとは思わず、できれば二度と戦いたくないとも思っていた。

 

「いや、その機体を奪ったのは副官のエレンのはずだ。その新型はファントム・タスクの連中のだ」

 

「そうか...それにしても。いいのか? そんな事俺に言って?」

 

「さぁな...けど、なんだろ…これをお前に話さないといけない気がしてな…」

 

 言葉では表せきれない衝動にどう説明したらいいのか悩む弾に、一夏はただありがとうと感謝を述べ、いつの間にか二人の間にはわだかまりはなく、二人は笑顔で会話をしていた。

 

 一夏は、異世界で海賊になり世界一周をしたこと。そして、その後、束と共に行動し黒騎士が自分に反応し操縦できた事を話す。

 

 弾は、革命軍に入り訓練や強化実験をしてこれまでの罪を話す。

 

「でもよ、まさかお前も覇気が使えるなんて。とんでもない実験だな?」

 

「? はき?」

 

 弾の様子に一夏は腕を出し硬化させる。一夏の黒く染まった腕を見て弾が驚いていると一夏から説明が入る。

 

「覇気ってのは全ての人間に潜在する力の事で。おまえの力は「武装色」の覇気と言い、鍛えればISの装甲だって砕く事ができる」

 

「武装...色? 」

 

「そうだ。他には気配を感じる見聞色があって。これがあれば敵の位置や数を察知するだけでなく、相手の動きまで読めるようになる。どうやら、お前は俺と同じ武装色のほうが得意みたいだな」

 

 

 武装色 見聞色 革命軍の間では弾のような強化された者の持つ力は今だ解析ができておらず、一夏から聞かされた覇気の力を自分が使っていた事に驚く弾。

 

 だが一夏は、あと一つ存在する覇気を話さないまま説明を続ける。

 

「覇気は引き出すのに時間はかかるもんだが...革命軍の奴らどうやって短時間でお前に力を与えたんだ?」

 

「さあ...俺は実行部隊だから。それに、研究している側はどうにも機密保持だって言って詳しく話さない」

 

 弾は何度も、自分の力はどうやって得られたのか? 疑問に思い上に話したが、機密が外部に漏れるのは避けたいの一点張りで誰も教えてくれなかった。

 

 一夏が言ったように覇気の習得には時間がかかる物で、二年の修行で六式の一部をとある人物達に教えてもらう中で覇気に目覚め、新世界で様々な強敵達と戦う中で覇気を磨いて行った。 

 

(もしかして、俺みたいに世界の移動をした奴が革命軍にいるのか? そいつが、覇気を知っていてこの方法を思いついたのか?)

 

 もし、本当に世界を行き来している人間がいるなら。その人物はあっちの世界でどこに所属していたのか?

 

 名のある海賊か

 

 もしくは、実力と地位を持った海兵か

 

 あるいは、革命家なのか

 

(とにかく、連中を指揮してる奴に合わないとな...)

 

「お、おい? 一夏?」

 

 考え事に夢中になり、自分を心配している声に気づき顔を上げなんでもない とだけ答え満月の空を見上げると一夏は眉をひそめ何かの気配を感じた。

 

(...一人か、俺らを見てるな...) 

 

 自分達を見ている気配は様子を見ているのか、全く動かない。一方で弾の方は未だに何も気づいた様子もなく自分に話しかけるだけだった。

 

「? どうした?」

  

「ん? いや別に...っと。すまんな、内緒で抜け出してるからそろそろ俺寮に戻るな」

 

「お...おう」

 

 長くなるとうるさい奴がいるから と言い話を急に切り替えその場から立ち去ろうとするが弾が呼び止める。

 

「そ、その...暇があるときでいいんだ。学園にいる虚って人元気にしてるか、見てきてくれないか?」 

 

「? あぁ、わかった」

 

 その言葉を最後に一夏は公園から離れ、後に残った弾が顔を赤くし夜空に浮かぶ満月を見上げるのだった。

 

 

「...そろそろ出てきたらどうだ?」   

 

 公園から離れた建物と建物の間の細道で一夏が後ろを振り向くと、外灯の灯に照らされ顔を隠した一人の少女が姿を現した。

 

「何が目的だ? さっきから俺だけに殺気を向けやがって」

 

 殺気をまとう少女に問いただすが、少女は静かに銃口を一夏に向け引き金を引く。乾いた銃声と共に弾丸が一夏に向うが体を僅かにそらし弾を回避し弾丸はあさっての方向に飛んで行く。

 

「どういうつもりだ? いきなり撃ってくるなんて切られても文句言えんぞ?」

 

「答えろ...貴様は、本当に織斑一夏なのか?」

 

「だったらなんだよ? っ!!」

 

 再び銃の引き金が引かれ、一夏は光剣を取り出し迫る弾丸を全て切り裂く。銃の残弾がなくなった所で少女は銃を捨て濃い青色をしたISを装着し一夏に向けライフルを向け叫ぶ。

 

「黒騎士っ!!」

 

「くそっ!! 月歩!!」

 

 銃剣から放たれたレーザーを飛んで回避し空中に逃げる。だが、青いISが一夏の目の前まで迫り手にしているナイフで刺そうとし、一夏は剣で防ぐのが間に合わないと判断して左手を武装色で硬化させ腕でナイフを防ぎ金属同士がぶつかる音が響く。

 

 キィン!!

 

「何!?」

 

 まさか生身でISのナイフを受け止められるとは思わず少女から驚きの声が上がる。その隙を狙い、光剣で顔を隠しているバイザーを切りつけると少女の素顔が現れその顔立ちは千冬に似ていた。

 

「な!? 千冬姉!?」

 

 少女の素顔が千冬に似ている事に驚き、一夏の声がカンに触ったのか今度はビットを出現させいくつものレーザーが襲いかかる。

 

 いつまでも月歩で回避し続けるのが難しくなって一夏はついに黒騎士を呼び少女から離れる。

 

「そうだ、そのISで私と戦え!!」

 

 千冬似の少女は、まるで一夏が黒騎士を使うのを待っていたように叫びビット攻撃を再び仕掛ける。何故、この少女は千冬姉に似ているのか? どうして、自分をここまで狙うのだろか?

 

(って、考える暇はねぇか!!)

 

 これ以上周りに被害を出さないよう戦闘を早く終わらせるため黒刀を抜き斬撃を放とうとするが、少女は一夏の行動を見てさらにビットを増やし、黒刀を使う暇を与えないように攻撃してくる。

 

「えぇい!! クソ!! だったら...」

 

 回りを高速で飛び交うビットを見て新たな装備を出現させた。それは、周りを跳ぶビットより少し大きく、何故か蛇を思わせる目や牙らしき物がつけられており、そしてこの装備の名は

 

 「いけ!! スネークビット!!」

 

 二つの蛇がまるで獲物を喰らうがごとく動き出す。蛇を模したビットの牙が、敵のビットを噛み砕き、また口から特殊な電磁波を流しビットを無力化させ次々と落としてていく。

 

「なっ!? BT兵器だと!?」

 

 これまでの黒騎士は剣しか使っておらずここにきてBT兵器を巧みに操る一夏に少女は唇を噛み締め何かを呟く。

 

「ありえない...私が、あんなのに負けるなど!!」

 

 何かを否定するように首を振り、引き金に指をかけ後ろを向けている一夏に向けレーザーを放つが、後ろを向いたまま肉球のような手だけを動かしレーザーを弾き彼方の空に飛んで行った。

 

 そして、少女を無力化するため黒騎士が黒刀を振ろうした時、どこからか炎が飛び黒騎士を包みこむ。

 

「M、何を勝手な事をしているのかしら?」

 

「くっ!! スコール」

  

 金色のISに乗った女性。スコールは千冬似の少女、Mに問いただす。この戦いは、彼女達が所属するファントム・タスクの指令とは関係なく、これはMの独断による物だった。

 

「それにしても、まさか黒騎士が出るなんて...まぁ、いいわ。あの機体を持ち帰ることにしましょう...!?」

   

 ザンッ!! 

 

 黒騎士を囲んでいた炎が切り裂かれ、中から無傷の黒騎士の姿が現れる。「いきなり燃やしやがって...」とぼやきながら、一夏は黒刀を構え、ビットを近くに呼び寄せMとスコールを睨む。

 

「驚いたわ、さすが噂どうりと言うことかしら? 黒騎士...いや、織斑一夏」

 

「って、やっぱりバレてたか...」

 

 学園際の楯無との戦闘中に、顔を表してしまいその映像は既にニュースに流れてしまっていたので黒騎士の操縦者の正体は既にバレていたのも当然だった。

 

 名と顔を知られたせいで、以前のようにブラックホールの調査がしにくくなっている事にため息をついていると、騒ぎを聞きつけた軍のISが接近しているのに気づく。

 

「M、ここは撤退するわよ」

 

 スコールの命令を聞かず動かないまま、Mは一夏を見つめ口を開く。

 

「私は...織斑、マドカ...次は必ず、貴様を殺す」

 

 短くそう告げて二体のISはその場から撤退し、後に残った一夏は去って行くマドカと名乗った少女の後ろ姿を呆然と見ていた。

 

「マドカ...? それに織斑って...」

 

 軍のISがすぐそこまで来ており、面倒を避けるためスピードを出しその場から逃げる。そして、学園の近くで黒騎士を解除し剃と月歩を使い寮に戻るのであった。 

 

 

 


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