麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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十三話 白と黒

 時刻11:40

 

 臨海学校に来ている学生達がISの訓練をしている間

 

 専用機を持つ秋人達(簪を除き)と千冬。さらに専用機を持たない箒も旅館から離れた海岸にいた。

 

「あの、なんで箒まで?」

 

「それはね~~~私が呼んだからだよ!!」

 

 突如、ハイテンションな声を上げ奇妙な格好をした女性が出現する。

 

「た、束さん!?」

 

「うんうん、元気そうだねあっくん? そして~~~箒ちゃんも!!」

 

「ど、どうも...」

 

「うんうん、特に箒ちゃんはお胸とお尻が...」

 

 ガッ!!

 

 箒がどこからか出した木刀の強烈な突きをまともに受け、束が吹き飛ぶ。顔を真っ赤に染めた妹は息を荒げ束を睨み付け、千冬も睨みながら束に近づく。

 

 

「束、さっさと要件を言え」

 

「もう、ちーちゃんたら、もう少しお話しようよ...」

 

「さっさとは・な・せ!!」

 

 額に青筋を浮かべた千冬を見て、これ以上ふざける事が出来ないと判断し束が空を見上げ。何かが振ってきた。

 

「さ~~て、ご覧あれ!! これが、箒ちゃん専用機...紅椿だよ!!」

 

 「紅、椿...これが、私の...IS」

 

 念願の新型機を手にした箒とその場にいる者達の意識が紅椿に向いている中。束だけが別の事を考える。

 

(さ~て、いっくん。後で無事に合流しようね♪)

 

 心の中で、一夏の事を思いつつ箒の紅椿の設定をするのであったーー

 

 

 

 時刻 11:50

 

 

 施設の最重要部。

 

 そこには、大量のコードにつながれた一体のISが置かれ、周りの職員が忙しく走り回る。

 

「システム構築異常なし、火気システムコントロールOK」

 

「後は登場者の設定のみ」

  

「いよいよか...」

 

 完成間近となり緊張した雰囲気の中ーー

 突然、扉が開かれISスーツを着込んだ栗色の髪をした女性が銃を発砲する。

 

「動くな!!」

 

 女性が発砲し、職員が警備の者に声をかけるが異変が起こる。その場にいた警備兵が全員銃を構え、同様に一部の科学者も隠し持っていた銃を取り出し突如、重要部を制圧された。

 

「な、なんだお前ら!!」

 

「なんのつもりだ!!」

 

 突然の事で叫びをあげる科学者達。兵士が彼らの足や肩を銃で撃ち抜き悲痛な叫びが幾つかでて、撃たれる恐怖に誰も彼らに逆らおうとしなくなる。

  

「銀の福音。起動急げ!!」

 

「外部との連絡遮断完了、基地の重要箇所の爆破を準備を!!」 

 

「機体の設定をエレン様に合わせろ!! 」 

 

 エレンと呼ばれた女性が、銀の福音と呼ばれる機体を装着しシステムを確認する。この女性、エレンはIS学園を空爆した男の副官を務めており、どうやらこの作戦の要でもあった。

 

 そして、機体の設定を合わせ終わったのか機動し始める。 

 

「システム、オールグリーンーーいつでも行けるわね」

 

「エレン様、基地に接近する物体が複数確認しました」

 

「流石に気づかれたか。私が敵の注意をひきつけます。その間に貴方達も脱出しなさい。もちろん、ここにあるデータを本部へ届けるのを忘れずに」

 

 兵士にそう伝えると、天井が大きく開き始め機体はそこから上空に飛ぶ。

 

「さぁ、世界の変革の為に動いてもらうわ!! シルバリオ・ゴスペル!!」

 

 

 基地の上空まで飛ぶと、二体のIS「ラファ-ル・リヴァイブ」が接近しているのが見え、エレンは機体にある36の砲口をリヴァイブに放つ。

 高エネルギー弾の嵐を回避運動をとるが何発か命中してしまいリブァイブにダメージを与える

 

「くっ!! ただちにISを停止せよ!!」

 

「でなければ、撃破する!!」

 

 二人の操縦者が警告を発し銃を取り出す。だが、エレンは忠告を無視し高速に動き二体のリヴァイブに接近する。

  

「撃破? 本当にできるの? これ、結構費用使ってるのに?」

 

 軽い挑発をしつつ高エネルギー弾を放ち、敵をどんどん追い込んでいく。量産型の機体と軍用ISの性能の違い、さらにエレン自身の能力も高いようでさっきから応戦する二機の攻撃にかすりもしていなかった。

 

「くっ!!」

 

「テロリストの手に渡るぐらいなら!!」

 

 明らかな格の違いを見せつけられても、彼女達は撤退する事なく福音を睨み付け、エレンは容赦なく

 

「そう...だったら死になさい」

 

 二人に死の宣告を与えた直後。二機のISは爆発し海に落ちるのだったーー   

 

 

 時刻 14:30

 

 旅館の一室にて、海岸で集まっていた秋人達と、千冬。そして先ほどまでいなかった簪もその場にいた。 

 既に革命軍により新型ISが強奪されたことをIS委員から連絡を受けその対処のために緊急会議が開かれたのだった。

 

「そんな、新型ISがテロリストの手に渡るなんて...」

 

「信じられませんわ...」

 

 シャルとセシリアが驚きの声を出し、ラウラが奪われた機体のデータを求め表示される。軍事用に開発されたISだけあり、スペックが高性能でうかつに手が出せないため、どのように近づくか話合うも膠着状態になりーー

 

「は~い、何かお困り見たいだね?」

 

「貴様はさっさと帰れ」

 

 緊張した空気を破壊した兎を冷たく一蹴する千冬。突然現れた彼女に秋人達が目を丸くすると

 

「奪われた機体の事でしょ? もう、また革命軍~~?」

 

「帰れと私は言ったはずだが?」

 

「いや~~私も何か協力しようかと...」

 

 バン!! 

 

 「織斑先生!! 大変です!!」

 

 ふすまが壊れるかと思うぐらいの勢いで開き、息を荒げる麻耶。

 

 そして彼女の口から福音が見つかった事と、

 

 黒騎士が現在交戦中という報告を受け、全員が固まった。 

 

 

 

「くっ!! また、私達の邪魔をするの? 黒騎士!!」

 

 漆黒の剣「夜」を構え、エレンの行き先を邪魔する黒騎士。

 

「けれど!! この機体のテストには調度いいわ!!」

 

 福音からエネルギー弾が雨のように発射されるが、一夏は黒刀を振り上げ斬撃を放ち、弾を切り裂き攻撃を防ぐ。

 

「くっ!! だったら、射程はこっちが上よ!!」

 

 うかつに接近すれば切られる事を恐れたエレンは、黒騎士から離れ再び弾を発射しようとしーー突然右の翼が切り落される。

 

「なっ!?」

 

「...そこも俺の射程距離だ」

 

 一夏は彼女にそう告げ、再び刃を向ける。一夏は残っている左の翼を切り落とそうとし剣を振り上げるーー

 

 が、センサーが急速に近づく何かを感知し一夏がその方向を見ると。紅い機体が高速に接近し刀で一夏に切りにかかる。

 

「はぁ!! 黒騎士!!」

 

(っ!! 箒か!! こんな時に!!)

 

 紅椿の二刀流を受け流しつつ、一夏はさっきまで戦っていた福音を見る。すると福音は白い機体と交戦しており、その機体は秋人が乗る白式だった。

 

「邪魔だ!! どけ!!」

 

「負けるか!!」

 

 弾幕の軌道を読み、秋人は白式の能力である零落白夜を発動し迫りくる弾丸を回避し一気に福音に叩き込む。

 

「がぁ!!」

 

 まともに受けてしまった福音はエネルギーが無くなり完全に沈黙して、ISが解除されたエレンは落ちる。

 

「くそ!! 間に合え!!」

 

 エレンを何とか回収しようと、秋人が手を伸ばした時。どこからか一体のリヴァイブが飛んできてエレンを捕まえた。そして何時の間にか近くに一つの船が存在していた。

 

「まさか、革命軍の空母なのか?」

 

 秋人はそのまま、謎の船を追跡しようとするが突如。後ろの方で箒の声が聞こえ振り向く。

 

「貴様、馬鹿にしているのか!?」

 

 息を切らし、黒騎士を睨む箒。今、黒騎士が持っている武器は黒刀「夜」ではなく十字架のようなナイフ一本だけだった。

 刀二本を持つ箒の方が有利に見えるが、実際はどんなに箒が攻めても、二本の刀は決して当たる事がなく、小さなナイフに全て彈かれてしまっていたのだった。

 

(馬鹿な!! そんな馬鹿な!! このような物に、私の剣が!! )

 

「ふざけるな!!」

 

 野獣のように叫ぶ箒。彼女はひたすら剣を振るい猛攻を繰り返すが、どれも当たる事はない。一方で攻撃を防いでいる一夏はと言うとーー

 

(つまんねぇ、こいつの剣は単なる獣だな)

 

 心のそこから箒に冷めた目を向け、拳に力を入れ殴りつける。シールドに守られた箒自身に傷はないが、体勢を崩し機体が落下していく。

 

「箒!! 畜生!!」

 

 怒りにとらわれた秋人が剣を握り締め黒騎士を睨み接近する。一夏もナイフから黒刀に持ち替えて切りかかる秋人を向かい打つ。

 

 「黒騎士!!」

 

 「白式!!」

 

 

 ギン!!

 

 二つの剣が交わり、二人の間に剣同士がぶつかった事で生じた火花が生じ拮抗する。

 

 「おまえの目的はなんだ!? 誰なんだ、おまえは!?」

 

 秋人が叫んで問うが、一夏は答えない。沈黙し続ける黒騎士に苛立ち、秋人は白式のブースターにエネルギーを入れるが、突如機体から危険を知らせるアラームが鳴る。

 

 「!? エネルギーが!?」

 

 勢いが弱くなった白式を押し出し一夏はこれ以上ここにいる必要はないと判断しさっさと離脱しようとするが。

 ここで、思いもよらない人物が出現するー

 

 「待って!!」

 

 一体のISが急速に接近し打鉄に似た機体を操縦する青髪の少女ーー簪が一夏に向けて声を上げる。

 

「...あの時、助けてくれた人でしょ!? なんで、なんで...正体を、隠すの!?」

 

「正体を、隠す?」

 

 秋人は簪の言葉がどうゆう事なのか分からず呆然とし、簪はポツリ、ポツリと口を開く。

 

「変なの...貴方のISから声が聞こえて、貴方が誰なのか教えてくれた。ねぇ、顔を見せて...」

 

 後ろを向いたまま一夏は黙って簪の話しを聞き、そして簪は彼の名を

 

「織斑、一夏君...」

 

 そこで、死んだはずの人間の名前が告げられるのだったーー  

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 




 長い話しになってしまいました。

 誤字、脱字がないように確認しましたが・・・かなり不安です。

 

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