麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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 今回詰め込みすぎましたので、戦闘は次の回になります・・・


十二話 臨海学校

 ーーそれは、簪が一夏と出会った日の夜に起こった出来事であった。

 

 「...」

 

 キーボードを打ち終え目の前に置いてあるISを不安な顔で見る簪。

 

 「...やっぱり...私だけじゃ...ダメなの?」

 

 ため息をこぼし、彼女の目から涙が落ちる。

 

 昔からいつも天才の姉に比べられ簪がどんなに頑張っても何一つとして姉・・・楯無には全く勝てずにいた、しかも

 

 「貴方は弱い」

 

 そうはっきりと言われた事があり、それが原因で簪の心が折れてしまい姉を拒絶してしまっている状態だった。

 

 簪は涙をぬぐい、ディスプレイの画面を切り替える。そこに写し出されているのは一枚の画像で、麦わら帽子を被った一夏の顔があった。実は一夏に抱えられた際、咄嗟に端末で撮った物だった。

 

 「...また、会えるよね?」

 

 じっくりと映像の一夏の顔を見つめる簪。子供っぽいが、正義のヒーロー等が好きな彼女にとって今日助けてもらってまるで自分が物語のヒロインになった気になり、簪は一夏と会いたい気持ちで一杯だった。

 

 暫らくして時計が深夜を表示しているのに気づきそろそろ整備室から出ようと片付ける。当然、今整備室には彼女一人しかいないため片付けに大分時間が経ち最後にISの状態を確認するため、右腕だけ一部展開した時異変が起こる。

 

 「ッ!? 」

 

 フォン

 

 突如、彼女の目の前に大きな黒い穴が出現し穴に吸い込まれそうになる。ISを装着している簪はなんとか踏み止まりブラックホールに向けて射撃武器を放つが弾丸は穴に吸い込まれるだけで変化が見られ無かった。

 何度も、何度も引き金を打ち続け穴を破壊しようとするがやがて弾丸が空になり、さらに穴の吸引力も増していた。

 

「いや、いや...イヤ!!!!!!」

 

 真っ暗で底が見えない穴を見て恐怖し 死にたくない と頭の中ではただそれ一つしかなくパニックになっていた。やがて穴が大きくなりISの腕が穴に入った瞬間。ISのエネルギーが全て空になり、ブラックホールが消滅し大量の粒子が部屋中に舞う。

 

 まるで、光る雪のような光景を最後に簪はその場で意識を失う。そして彼女は大量の粒子を一晩中浴びる事になり異変が起こるーーーー

 

 

 

 数日後が経ち、簪はたった一人で専用機である「鉄打二式」を完成させる事となり戦う力を得た彼女と一夏が出会うのは、そう遠い日では無かった。

 

  

 

                    ○

 

 そして日が変わり、とある快晴の日。

 

 IS学園から出たバスが海に近づき生徒達がはしゃぎ出す。

 

 そう、この日は彼女達の臨海学校が始まる日だった。

 

 

 

「うはっ!!」

 

「気持ち!!」

 

 青い海 雲のない空の下で乙女達が、騒ぎ遊ぶ。もちろん、その中には

 

 

「暑い~~」

 

 気だるく肩を落としながら歩く秋人もいた。水着姿で海を満喫する彼女達の声がどんなに遠くても聞こえてしまい、耳を塞ぎたくなっていた。

 突然芽生えた、気配を感じる力をなんとか自分なりにコントロールをしており最近は制御の訓練に集中して疲れていたのだった。

 

「こら~~秋人!! 何て顔してんのよ!!」

 

 ビーチボールを持った鈴が叫び、傍には水着姿のシャルやタオルを全身に巻いたラウラが立ち、秋人は苦笑しながら彼女達に近づき

 

 

「かんちゃん~~~どこいったの~~?」

 

 本音がどこかに行ってしまった幼馴染みを必死を探していた。  

 

 

 

 

 

「...気持ちいい」

 

 場所が変わり秋人達がいる海から少し離れた岩場に座る簪。

 

 風に当たり波の音を聞きながらどこまでも広がる海を見ていた。人がいるとどうして落ち着かず、今こうして離れていても遠くで海で遊ぶ彼女達の声がはっきりと聞こえてしまう。

 

「...」

 

 再び場所を変えようとし立ち上がった時、後ろにある森に続く道で僅かに音を感じた。普通の人間なら、そんな音はISでも使わない限り聞こえないはずなのだが今の彼女は普通では無い。

 

「誰か、いるの?」

 

 

 簪はそのまま森の入り口まで歩く。しかしさっきまで感じていた気配が消えてしまい、簪は仕方なく皆がいる所まで戻るのだった。

 

 

 

「...なんで分かったんだあの娘? まさか、覇気を...そんなわけないか」

 

 去って行く彼女の後ろ姿をはるか上空で月歩を使って飛ぶ一夏が呟くのであった。その後、簪を探していた本音と合流し二人は旅館に戻り、秋人達は夕食が始まるまでずっと海で遊び、やがて夜になりーー

 

 秋人と千冬の部屋では

 

 「「「「「 す、すみませんでした!!   」」」」」

 

 

 五人の生徒 箒 セシリア 鈴 シャル ラウラ が正座をし、椅子に千冬が座り見下ろす。 

 

 今は秋人は一人だけ入浴しており部屋にはおらず、その事を知らずのこのこと五人同時に入って見つかってしまったのだった。

 

「まぁいい。おまえらには聞きたい事があった所だ、最近の秋人なんだが」

 

 千冬の質問に、彼女達も疑問に思っており箒達も心当たりのある事をすべて千冬に話した。

 

 時々。呆然とする事や一人になる事が多くなり

 

 さらに、黒騎士について調べている事を挙げる。

 

 彼女達も秋人に何かあったか聞いたが 「なんでもない」 としか返事が返ってこず、そこから一歩も踏み込みきれないでいた。もちろん千冬もだ

 

「秋人...」

 

 彼女達はこの部屋にいない人物の事を想うが、秋人がその想いに気づくのはまだまだ先の事だった。

 

 

 

 同時刻

 

 日本から離れたとある島にてーー

 

 

「警備異常はないか?」

 

「問題ないです。それより、明日行われる新型ISについてですが...」

 

 警備兵らしき二人の男が会話し明日のスケジュール等を手元にあるタブレットを操作し確認する。

 

「しかし、こんなに警備を厳重にしなくてもな?」

 

「ですが、油断は禁物です。最近IS学園が襲撃されたの忘れたわけではないでしょ?」

 

「はは、相変わらずおまえも真面目だな~~まぁ、肩の力少しは抜けよ~~そんじゃ、お休み~~」

 

「ははは、気をつけますよ。お休みなさい」

 

 先輩らしき男があくびをしつつ部屋を出て行く。そして、残った真面目と言われた方の若い兵はタブレットを真剣に見つめ、別の端末を取り出しどこかにメールを送る。

 

「...決行は、11:50。例の物を手にすれば我が軍の力になる...」

 

 兵の持つ端末には、ドラゴンの紋章が描かれていた。それは、二度もIS学園を襲撃した組織ーー革命軍の物だった。

 

 

 そして夜が明け、再び戦いが起こるーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    




 水着買うシーンはカットしました。

 早く戦闘シーン書きたい所です。

 

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