麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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十一話 予兆

 試合中にラウラが見せたISの事件より一日ーー

 

 教室でボードの前に立つ一人の女生徒。

 

 シャルルと名乗っていた彼、いや彼女は本来の自分の名前「シャルロット」を皆に伝える。

 

「シャル...」

 

 彼女を安心したように見つめる秋人。そして、自体は急変する。

 

「ねぇ、昨日って入浴室、秋人君使って無かったけ?」

 

「え?」

 

「まさか!?」

 

 全員の目線が秋人に集まり、つい最近。周りの気配に敏感になった秋人は、教室の中で感じる二つの殺気の内、一つから出た何かをかわす。

 

「おほほほ、かわされてしいましたわ」

 

 ISの銃を構えるセシリア。そして、その近くには刀を持った箒が睨む。

 

「秋人、貴様!!」

 

「ご、誤解だーーーー!!」

 

 教室から出ようと走るが、突如。廊下から殺気を感じ、ドアが開けられた。

 

「秋人!!」

 

 ISを装備した鈴が怒りを表し、肩にある砲台が音を上げる。

 

 (ここで、撃つのか!?)

 

 もはや怒りで理性を失っているのを感じた秋人は、最後の手段として窓から飛び降りようと覚悟を決めたーー

 

 その時。窓から誰かが入り込み秋人の前に立つ。

 

「うるさいぞ、貴様ら」

 

 一つの声が上がり、その瞬間。鈴から放たれた弾が教室を破壊することは無かった。

 

「ラウラ!?」

 

 ISを一部だけ展開し、殺気を出してない彼女を見て戸惑う秋人。

 

「あ、ありがとう...」

 

 とお礼を伝えた瞬間。彼女がいきなり接近し、唇を塞いだ。

 

「む、むぐ!!」

 

「...ふむ」

 

 ラウラが秋人から離れ、秋人を指差しーー 

 

「今日から貴様は私の嫁だ!! 異論は認めん!!」

 

 と謎な宣言をしでかすのだった。

 

「な、何を...?」

 

「この国では、気に入った物を嫁を言うのだろ?」

 

「い、いや言わないし、それに...うわっ!!」

 

 再び殺気を感じ、その場にしゃがむ。すると頭上を弾丸がかすり行った。

 

「ははは、もう秋人ってば...何をしてるの、かな?」

 

 ISの銃を構えたシャルが秋人を狙い、同時に四人の少女も獲物を向ける。

 

(...兄さん、僕。もうじきそっちにいきます...)

 

 心の中で遺言を残し(実際には生きてるのだが)迫りくる暴力に覚悟していた時だったーー

 

「何をしている、お前ら?」

 

 鬼神。

 

 手に持つ出席簿がまるで妖刀に思えたぐらいの、威圧を放ち教室に足を踏み入れる彼女。

 

「この、馬鹿者共どもがーーーーーー!!」

 

 

 負けなしの女傑の怒鳴り声が学園中に響き、その日六人は地獄を見ることになり。

 

 翌日の朝には屍のような秋人達がいたのだった。

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「その、始ましてクロエさん」

 

「そう、かしこまらなくて結構です。一夏様。それに、私の事はクロエとお呼びくださいませ」

 

 まるでお見合いのような空気の中、二人は向かい合って座る。

 

 何かの調査を終えたクロエが秘密基地に戻り、束から二人でここに待機するように言われ、数分になっていた。

 

 (こんなに気まずいのっていついらいだ? 檻に入れられた時ですら、こんなのなかったぞ?)

 

 もっともその時は、国を乗っ取られそうになっていたので、そんな余裕は無かったのだが...

 

 

「やっほ~~ どう、自己紹介してた?」

 

 と、ここで雰囲気をぶち壊す束が出現し、一夏は内心で一息ついた。

 

「束さま、いかかでしたか?」

 

「うん、くーちゃんが集めた粒子、結構多かったよ~~もう、無理しちゃって・・・」

 

「いえ、この位大したことではないので。」

 

 頭を下げるクロエ。束はそんなクロエの頭をなでて、下を向いた彼女も顔を赤くするが何も言わない。

 

「さてさて、さっきくーちゃんには馬鹿どもを殲滅してくれたし、後は...」

 

「馬鹿ども?」

 

「あぁ、またアイツ等がさ、やらかしてさ・・・今度はISの中に変な機能つけて暴走したんだって、けど、あっくんが止めてくれたから大丈夫!! しかも、どこも怪我してないから、心配はないよ?」

 

 ちなみに、そのアイツ等とは誰何か、一夏は口調からして察して、質問をしなかった。

 

「そうですか...」

 

 秋人の事も、束が大丈夫と言えばきっとそうだろうと信じ。慌てた様子がなかった。

 

「さて、さて...ここでいっくんにお願いがあるんだけどダメかな?」

 

「お願い? 粒子を集める事ですか?」

 

「違う、違う。それは、もう二人が集めてくれたから、後はシステムを作るだけ。お願いって言うのはね...箒ちゃんの練習相手になってほしんだ?」

 

 練習? それはどうゆう事かと聞くが。ラボに来るように言われ二人は部屋を出る。

 

「実は、さっき箒ちゃんから連絡さってさ、ISを専用機が欲しいって言われてね?」

 

「箒...あいつか、で専用機どうするんですか?」

 

「もちろん、あげるんだけどこのまま渡してもな~~って思って」

 

 やがて三人はラボに入り、奥に紅いISが置かれていた。

 

「紅椿。これが、束さん特製第四世代のISなんだ~~」

 

「第四世代...ん? そういえば、俺が使ってる黒騎士って」

 

「黒騎士は白騎士と同時に生まれた機体、ですので第一世代の機体となります。」

 

 後ろからクロエが補足し始める。

 

「そうなんだよね...いっくんの黒騎士。まだ第一世代の性能のままだから、早めに改修するから待っててね?」

 

「あ、それはいいんですが。俺、旧式で戦ってたんだ」

 

「さらに言えば、一夏様は黒騎士を使いこなし、いや完全にコントロールされておりますので、これは私の考えですが、一夏様の力は代表候補、いや。国家代表クラスの力があると思われます」 

 

 クロエの真面目な意見に、少し照れながら礼を言う一夏。束はディスプレイを出し、一夏の声をかける。

 

「ところでいっくん? 改修するに際に、何か希望する武器とかある? 今は剣とナイフしか装備してないしさ?」

 

「装備か、う~ん」

 

 画面に写しだされる黒刀を見てうねりを上げる。偶然とはいえある人物に似ている剣を見て、とある事を思いだす。

 

 その人物が所属していた、ある物に

 

「じゃ、これなんかどうですか?」

 

 一夏は思いついた事を言い、束がキーボードを打ち込みそれぞれ、何かの形になる。

 

 ある物は、蛇のような顔をし

 

 ある物は、小さなコウモリの形を

 

 さらに、手の部分には熊のような大きめ装備と

 

 細い何かかが手から飛び出す。

 

 最後に、機体の一部が動き回る。

 

 

「うん、了解!! 先に、能力の開発の方進めるから遅くなるね?」

 

「よろしくお願いします」 

 

  

 紅椿を待機状態にして厳重に保管し、さらに何かが創られようとしていた。

 

 

 そして、一夏・秋人が再び出会うのは

 

 そう遠い日ではなかったーーー

 

 

 

 

 




 

 本当にコメント。お気に入り登録など、ありがとうござました!!

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