麦わらの一味の一人「一夏」   作:un

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一話 出会いと、別れ

 人里から離れた夜の工場。

 

 工場の中で複数の人間が銃の引き金を引き、複数の火花が放たれる。

 

 「うわ!!あぁぁ!!」

 

 物影に隠れていた織斑秋人が悲鳴をあげ秋人の口を誰か塞ぐ。

 

 「落ち着け!! 」

 

 秋人の口を塞いでいたのは、同じ年である兄の織斑一夏だ。一夏は秋人を落ち着かせるため声をかけるが

 

 「で、でも... ボク達...もう、姉さんに...」

 

 秋人の目は絶望に染まり、生気がない。実は、さっき二人を誘拐した犯人達の口から姉である千冬が自分達を見捨て大会に出場したと聞かされたのだった。

 

 秋人はそれを聞き諦めていたが、一夏は隠し持っていた針金で手錠を開け犯人の隙をついて秋人の手錠も外して二人で逃げ今に至るのだった。

 一夏は千冬の名を聞き、険しい顔をして秋人の肩をつかみ目を合わせる。

 

 「そんなの知るか!! 例え、あの女が見捨てたとしても、俺は生きるんだ!! 生きて、生きて俺の存在を証明するんだ!!」

 

 「兄さん...」

 

 

 「はぁ!! 何ガキ二人も仕留め切れてねぇんだよ!!」

 

 突然女の声がしたと思えば、倉庫の壁が崩壊し一体のISが出現する。そして、ISのセンサーが隠れている一夏と秋人を感知して誘拐犯もろとも攻撃した。

 

 「クソ!! 味方もかよ!! 走れ!!」

 

 一夏は秋人を立たせ二人は倉庫の出口まで必死に逃げるが、女性は二人に向けグレネードを発射した。

 

 「クソ!!」

 

 一夏は自分達にグレネードが発射さてたのを見て、前を走る秋人の背中を強く押し工場の外に出し、扉を閉める。

 

 「兄さん!?」

 

 「...生きろよ...例えあんな姉の下で生まれても、お前はお前だからな...」

 

 一夏は秋人にそう伝えて扉に鍵をかける。そしてグレネードの弾が一夏の真後ろで爆発した。身を焦がす程の熱風が背中の皮膚を焼き、衝撃で身体が宙を舞う。

 

 (...あぁ、ここで俺死ぬのか...結局、俺は何もできなかったな...夢もない人生だった...あぁ、クソ)

 

 一夏達を攻撃していた女性は既に脱出し、誘拐犯達も殺されていたため誰も気づかない。一夏の目の前にブラックホールのような穴が出現し一夏の姿が消えた事を。 

 

ーーーーーーーー

 

 (・・・海?)

 

 気がついた一夏が見たのは、広大な海だった。どこかの港なのか、木製の船がいくつも並んでいる。

 

 (俺...そうだ、なんか変な穴が出て来て、それで...)

 

 意識を失う前に起きた事を思いだし、立ち上がろうとするが身体が傷だらけで力が入らない。

 

 「ーーさん!!あそこ!! 人が倒れてます!!」

 

 一夏の耳に、かすかに人の聞こえ首を動かす。ピンクの髪をした誰かが近づき。その後ろにはーー

 

 「なんだ? 腹減ってんのか?」

 

 麦わら帽子を被り顔に傷をつけた青年が近づいてくる。

 

 これが、後に海賊王となる男と、異世界からの少年の出会いだった。

 

 そして、数年の時が流れーー

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 数年後

 

 東の海のとある王国 「ゴア王国」

 

 今は貴族達の横暴はなく。平和と自由の国へと変わっていた。そして、この日世界中の人々がある事に注目していた。

  

「おい、歩け」

 

 王国の中央にある高台。その高台の階段を死刑執行と共に歩く男がいた。黒い外套を羽織り顔に傷を持った男だった。

 男は台を最後まで上り座り込む。傍にいるピンクの髪を持ちいくつもの勲章を服につけた男が声を上げる。

 

 「これより!! 海賊王「麦わらのルフィ」の処刑を行う!!」

 

 

 「ルフィ...」

 

 処刑場から離れた時計塔。そこに、一夏やこれまで旅をしていた仲間達が彼の最後を見届けようとし集合した。

 全員、今にも助けに行こうとする衝動を抑えており。先日の船長命令により、一味は解散し彼の最後に姿を見届ける為にここにいるのだった。 

 

 「海賊王...最後に言い残す事、は...?」

 

 ピンク髪の海軍元帥は、唇を噛み締め涙をこらえる。そんな彼をみて、麦わら帽子を脱いだ彼は笑うのだった。

 

 「おい!! 海賊王!! 」

 「おまえの財宝はどこなんだ!?」

 

 大勢の民衆が彼に声をかけーーそして彼は答えた

 

 「俺の財宝か?...欲しけりゃくれてやる!! 探せ!! この世のすべての底に、俺は置いてきた!!」

 

 彼が民衆に、そう答えた瞬間。

 

 ザク

 

 処刑執行人の持つ剣の刃が彼に突き刺さる。大量の血を流しているのにも関わらず彼は痛みを気にせず、最後まで笑を浮かべていた。

 

 彼の死刑が終わり、人々はこれで平和な時代が訪れた。これで安息の日々が送れる、と思っていたはずだったーー

 

 「「「「 うあぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!      」」」」

 

 突如、民衆が叫び港へ走る。あるのもはドクロの旗を掲げ。

 あるものはその手に剣を持ち震え上がる。

 

 「・・・始まったんだ・・・」

 

 急激に振り始めた雨に打たれ、一夏は港を見る。既に何千とも船が動きこの時、人々は海へと駆り立てられていた。

 

 「新しい時代が・・・あの人の意思を引き継いで、夢を求める時代・・・」

 

 一夏はこの光景を目に焼き付け、忘れないようにしてた。異世界の人間であり、自分を仲間にしてくれた彼が創ったこの時代を、そして今をーー

 

 「新しい、大海賊時代が!! 始まったんだ!!」

 

 一夏は叫び、新たな時代に涙を流しながら身守る。後ろにいる仲間達も涙を流し、愛した船長の最後と、これからの時代を見守るのだったーー

 

    


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