春秋の恥さらしネタ帳 作:春秋
『そうか、そうだったのか――! なぜ君があの爆発を、他のマスターたちと違って生きていられたのか疑問だったけど、その謎がいま分かった。思えば特異点Fでアーサー王の聖剣を受けた時や、ロンドンでソロモンが現れた時にも、君の霊基に変調が見られた。その理由はこれだったのか!!』
ロマニの言葉に反応を示さず、少年は己の内に没頭する。
深く、深く、自意識すら曖昧になりそうな内界の奥底に沈む
「なに、これ。力が溢れて来る――ギャラハッドさんの
「サー・ギャラハッドは聖杯をはじめ、数々の聖遺物を手にした聖人だ! この天才をして今の今まで見抜けなかった。そうか、だからそもそも君たちの契約はそれほど強固に――」
周囲の驚愕に見向きはしない。そんな暇はないのだ。獅子王の暴威――否、神威に対抗するには他に手がない。深い眠りに着いているソレを起こすのに、強すぎる刺激を与えてはいけない。ゆっくり、ゆっくりと慎重に、段階を踏んで覚醒させなければ。
そうしなければ、この
「なるほど、そうか。お前たちがこの時代にやって来たとき、妙な胸騒ぎがすると思ったのだ。あの時分は捨て置いたが、今となってみれば共鳴、というものだったのやもしれんな」
人類最後のマスターを前に獅子王は語る。
人を捨て王となり、王から転じ変貌した――変質し成り上がった女神は謳う。
「そも、彼の塔はこの世を繋ぎとめるための楔である。敷物を止めるのに縫い付けるのが一ヶ所では、風に煽られてめくれ上がってしまうだろう? ならばそれと同様に、最果ての塔もまた複数存在している。ならばまあ、こんなこともあるだろうさ。だが、人理を守るべく戦うものこそが、最も容易く人理を崩壊せしめる術を持つなどと。世界とは、運命とは皮肉で残酷なことだ」
向かい合う彼我は、男と女。民と王。人間と神霊。人類を守る者と、人類を愛す者。人類史の崩壊を覆すべく戦う者と、人類史の崩壊をやり過ごすべく努める者。
何もかもが違う両者の袂には、異なれども同じ槍がある。
聖槍――世界の果てにて、この
最果ての塔こそが本体であり、聖槍とはその分身のようなもの。言い換えれば、座に在る英霊と降霊したサーヴァントの関係にも近いかもしれない。地上にある槍は塔の管理者の証なのである。
問題は、そもそもなぜ『塔』が星に刺さっているのかという点。現在まで続くこの人間世界は、惑星の表層に敷かれた一枚の敷物に過ぎない、という考えがある。その惑星の覇権を握った知的生命体の認識する世界。我々に当てはめるのなら、物理法則といったところだろうか。
地球という惑星に張り付いた、世界という敷物。これが剥がれないように縫い付けているものこそが、『最果ての塔』と呼ばれる現象であるらしい。
そしてこの『塔』は世界に点在し、その影たる槍も何本も存在している。歴史上で幾度か確認されているように、時にはアーサー王伝説に登場するように。或いは――かつて髑髏の帝国の指導者が手に納めたのち、ウィーンにてハプスブルク家が所有していた
――そう、最果ての槍は此処に在る。
古の時代から世を繋ぎ止める偉大にして荘厳なる威光は、此処に存在しているのだ。
「起きろ、聖槍。その残照にて世を抉れ、断崖の果てを飛翔しろ――
対神、対魔、対界宝具。世界を繋ぎ止める権能の槍。
「この槍は世を照らし、世を繋ぎ、世を穿つ星の輝き――聖槍、形成」
――これは、歴史の最果てを紡ぐ物語。
ラフムの言葉がキーボードのかな打ちに連動している事に気付いた瞬間は背筋が凍るような思いをしましたよ。コイツらほんとに醜悪な怪物だって強烈に思い知らされましたね。あれはBETAにも似た生理的な嫌悪感を覚えました。
ところで花の魔術師なんですが、攻撃モーションでエクスカリバー使うじゃないですか。
むかしむかし、まだマーリンの設定が欠片も表に出ずStayNightのセイバーの回想くらいだった頃。勝手に妄想していたサーヴァント・マーリンの設定に――
『流石に名前は覚えてない(エクスカリバー・プロト?)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
星剣ならざる聖剣。折れた選定の剣をマーリンが打ちなおしたという伝承から、『約束された勝利の剣』を生み出すまでの過程で生まれた、エクスカリバーの失敗作。星の聖剣には至らぬまでも、その魔術行程は神霊の域に及ぶ高度な位階に位置している。(的な感じだったと思う)
――というような宝具を思い描いていた過去がよみがえってきてしまいました。黒歴史ぃぃぃっ! でも、アイツ公式でエクスカリバーを義手に改造とかやらかしてたので、もしかしたらあながち的外れじゃないのかもしれない。