春秋の恥さらしネタ帳 作:春秋
あと三人称。
彼の者は不死にして不滅――一切の血族同胞を持たず、支配を望まず、ただ災厄の化身たる十二の眷属を従える。
第四真祖の諸説であり定義。
世界最強の肩書きを持つ者。
“
長く美しい金髪は風に煽られ、七色の光彩を放つ。
それは正に
カレイドブラッド――万華鏡のように煌く鮮血。
それは、確かに彼女を表すに相応しい言葉だった。
「アヴローラ!」
「我は再び恒久の微睡みに身を委ねる。汝は闇に濡れた衣を脱ぎ捨て、この冥道より去るがいい」
茶髪の少年は、虹色に揺らめく金髪の少女に詰め寄る。
しかし、少女はそれを許さない。
「我は、我は嬉しかった。楽しかった。故に恐怖はない」
少年は少女に逆らえない。
血の従者は、主の命に逆らえない。
しかし……
「そんな嘘吐いてんじゃねぇ!」
それでも、少年は抗う。
何故ならば。
「怖くないなら、悲しくないなら、なんで泣いてるんだよ!!」
彼は、少女の涙を見過ごせない。
「わ、我、我は、汝と生きたい……」
「だったら!」
「でも、それは出来ない」
少女も、譲れない事がある。
「汝は、身命を賭して我を救った。我もまた、汝の安寧を望む」
「俺は……」
「汝の幸福を祈る、じゃあね、一誠」
「アヴローラァ―――――――アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
そして少年は、兵藤一誠は第四真祖となった。
「あー、おっぱい揉みてぇ」
「またそれかよ、こりねぇなお前は」
「おっぱいの素晴らしさが分からないというのか矢瀬!」
「そんなもん、分からない訳が無い!! だがしかし」
「朝っぱらからなんて会話してんのよ馬鹿ども!」
「「げぇ、浅葱っ!」」
それから数ヶ月、兵藤一誠は日常に戻った。
年相応に異性への興味を持ち、並外れた性欲を宿す男子高校生に。
その日常が破られ、再びその身を血で汚すのはもうすぐ。
“第四真祖”兵藤一誠の名が世界に轟くまで、そう時間はかからない。
「待って下さい、兵藤一誠!」
「うぇ、俺の名前まで」
剣の巫女が監視役に任命されるまで、
「先輩はほんっとうにいやらしい
「お宝映像ありがとうございます! そしてエッチでごめんなさい!」
世界に拒絶された異端者たちが出会うまで、
「雪菜ちゃん、巻き込んでごめん」
「大丈夫です。私は、イッセー先輩の監視役ですから」
赤龍の主と神狼の担い手が心を通わし、運命を共にすることを誓うまで。
その時は近づいている。
これは第四真祖と呼ばれる少年とそれを監視する少女、そしてその周囲を取り巻く者たちの物語。