栄都学園へは、サッカー部専用のバスで行くんだとか。ワクワクするなぁ! ボク、生まれて初めてバスに乗るよ⁉︎ キラキラオーラを放つボクとみんなとの間に若干距離があるのは気のせいだ。絶対そうだ!
「ちゅーか、何でそんなにテンション高いワケ?」
性格も軽ければ、声の調子も軽い浜野くん。
「バスに乗るのが人生初だからです‼︎」
「え、初めてなの⁉︎」
「はい‼︎ ボク、小さい頃からずっと神社の中で育ってきたから……外なんて、行ったことなくて……」
「ずっと? 生まれてから?」
「はい‼︎ だから、すっごく嬉しいです‼︎」
「…………ふーん」
にっこり笑って、浜野くんを見上げる。だって、本当に嬉しいから。浜野くんが興味無くても、ボクにとってはとっても嬉しい事だから。
「さぁ、皆乗って」
春奈先生に促され、みんなが次々にバスに乗る。
うぁぁぁぁぁぁ。何かよく分かんないけどめちゃくちゃ緊張してきたよぉぉぉぉぉ。
緊張のせいか足が震え、カッチンコッチンとまるでロボットのように歩き出す。
「遅えよ」
「ぬぁぅっ⁈」
後ろに居た剣城くんが、ボクの後頭部をべしっと叩いた。くっそう、ボクが身長低いからってバカにしてっ‼︎
「し、仕方ないじゃないですか! ボクは今、人生初のバスに緊張してるんです‼︎」
「お前、チビなうえに人生経験乏しいんだな」
「チビは関係ないでしょ⁉︎」
何なんだ剣城くんは‼︎ ボクが身長低いからってバカにしてるな? 絶対そうだ! しかし、ボクと剣城くんの身長差は凄い。剣城くんの大体胸辺りにボクの頭がある。ていうか、剣城くんが大っきいだけだよ! 天馬くんや拓人よりも大っきいんだもん!
剣城くんとボクは暫く口論(と言ってもボクがずっと1人で剣城くんに突っかかってただけだけど)していた。
「お前いい加減にしろよ。時間が無いんだ。とっとと乗れ」
「だから……って、わぁっ⁉︎」
痺れを切らした剣城くんが、ボクの腕を掴み、バスの中へ引っ張っていった。ちょ、ボクの初めてがぁぁぁぁ‼︎ ボクの心の叫びも虚しく、ボクの初めては1つ終わった。
剣城くんはボクをぐいぐい引っ張り、奥の席まで連れていくと、その席にボクを突き飛ばした。
「うわっ‼︎」
そして、ボクが痛がってるのを知らんぷりして、何食わぬ顔でサッとボクの隣の席に座る。何だろ、剣城くんを殴りたくなってきた。何でこんなに乱暴なんだ……。お母さんはそんな子に育てた覚えはありません! ……って、違う違う。なんてバカな事を考えながら、ボクは黙って座り直し、窓の外を眺めた。
神童side
紅葉の腕に、剣城が触れた。それだけで、胸の辺りがもやもやした。これが嫉妬というものなのだろうか。いや、もしそうだとしても、相手が剣城だからかもしれない。
剣城は、雷門サッカー部を潰そうとしたから。あいつは、組織のシードだから。
危険なんだ。紅葉にだって、手を出しかねない。紅葉が何処か俺の知らないところへ連れて行かれるような気がする。そんな気がしてならない。
だから……俺が、守らなきゃ……。
俺は紅葉の事を気にしながら、じっと動き出しそうな体を抑えていた。
また試合行けなかった。うーん、何であまり進まないんだ?多分、きりがいいってことで終わってるんだ。
実を言いますと、スランプみたいです。アイデアが出て来ない……。
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