話数が多いだけって……(泣。
それではどうぞ!
剣城side
静かな病院の廊下に、コツコツと俺の足音が響く。俺は兄さんの病室の前で足を止めて、2回ほどノックし、入室した。
「今日も来てくれたのか」
ベッドの上で上半身を起こし、本を読んでいた兄さんは俺に微笑みかけた。俺も兄さんに笑いかけ、近くに置いてあった椅子に座った。
「今日、雷門中の入学式だったんだろ? おめでとう」
「……ああ」
思わず、目をそらす。兄さんのためとはいえ、俺は兄さんの大好きなサッカーを穢してしまっている。それを知って、兄さんに悲しんでほしくないんだ。
「? どうしたんだ、京介。…………! まさか……」
「‼︎」
もしかして……バレた⁉︎ 息を呑んで兄さんの言葉を待ったが、返ってきた言葉は……。
「入学早々……恋しちゃったとか⁉︎」
何故そうなる。俺は思いっきり、椅子から落ちてしまった。
「何でそうなるんだよ……」
「えっ、違うのか? だって京介、顔赤いぞ……」
「ええっ⁈」
パッと自分の手で顔を触ると、頬がとても熱かった。心当たりが全くない。何で俺が真っ赤になって……? ……もしかしたらある……かも。
「……そうかもしれない」
「えっ、本当か? 京介にもようやく春が来たのか……」
おめでとう、と言って兄さんが頭を撫でてくれた。
「で、どんな子なんだ? 可愛い子か?」
「……まぁ、可愛いって言ったら可愛い……かな」
「告白したのか?」
「はぁっ⁈」
何言ってんだ兄さん‼︎ 何故そうなる⁉︎ 告白したのかって……俺の兄さんはいつこんな乙女になったんだ……?
「してるワケないだろ? あいつかなり鈍感だし、言っても分からないだろ……」
「ふーん……」
……俺は、あのキツネ女が好きなのか? よく分かんねぇ……。確かにあいつは可愛いと言える女だけど……好きになんの早過ぎんだろ俺。ま、そんなことはどうでもいいか……。
神童side
「はぁ……」
俺はピアノの鍵盤に手を置き、ため息をついた。まさか、紅葉に会えるとは思ってなかった。小さい頃、恋い焦がれたあの子が……。紅葉は俺のことを覚えてくれた……。それだけでもすごく嬉しい……。なでなでもできたもんな……。だが……。
「紅葉に告白なんてできるのか?」
あの様子だと、よく分かんないと言われるだろう。鈍感だからな……。好きな人に告白できないって、辛いんだな……。
思えば、紅葉を好きになったのはいつだろうーーーー。
「拓人っ、サッカーやろうよ‼︎」
いつも、そう言って走ってきた紅葉。動きにくそうな巫女服の袖をばさばさといわせ、綺麗な金色の目を俺に向けていた。俺はもちろん紅葉の誘いを快諾した。
数十分後、流石に疲れて俺達は神社の賽銭箱の前の階段で座っていた。しばらく他愛のない会話をしていたが、突然紅葉が俺に寄りかかってきた。
「……寝てる……?」
すやすやと気持ち良さそうに眠る紅葉。綺麗な赤髪が俺の肩にかかる。長い睫毛、桜色の唇……。
その全てが、俺を虜にした。自然と頬が熱くなる。
この時、俺は10歳。俺の初恋の瞬間だった。
進まなかった……(泣。
でも、ちょっと恋愛ものっぽくなった‼︎ うしっ‼︎
まさか剣城が紅葉ちゃんに恋⁉︎ そして、優一さんがかなり乙女だった。前から気があった神童も…。
この恋愛展開にもご注目下さい!