『G』の日記   作:アゴン

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今回、主人公と原作主人公達(元ZEXIS)との違いが明らかになる……かも?


その77

 

 

 

⊕月/日

 

“トールギスⅡ”先の再世戦争の際に地球人類の敵となるべくトレーズさんが駆ったトールギス系列のMS。けれどZEXISとの最後の戦いを繰り広げた際、この機体は破壊されたモノだと聞いている。

 

それが何故? 当然疑問に思う自分にシュナイゼルの奴は得意げに話した。何でも彼のお抱えだったロイド博士が自分が手掛けたとされるこの機体に興味を持ち、人知れず秘密裏に回収して、今日まで修復作業に専念していたのだという。

 

別に自分が手掛けた訳じゃないんだけどね。トールギスはコロニーの……つまりはヒイロ君達のガンダムのプロトタイプの様な機体であり、トールギスⅡはそんなトールギスのノウハウを受け継いだ機体だ。機体自体は既に組み上がっていたし、自分が弄ったのは精々機動性や加速性能といったシステム面のモノ、まぁ確かにそれ以外にもトレーズさんと一緒にアレコレ弄り回したが、別にロイド博士が注目する程の事ではないと思う。

 

しかし、こうしてトールギスⅡはロイド博士のお陰で蘇ったのだ。感謝こそはしても余計な詮索は無粋というモノだろう。

 

シュナイゼルはこれを、グランゾンとは別にもう一つの自分の機体として受け取って欲しいと言った。少しばかり躊躇する自分だが、特に断る理由もない為に俺はこの機体を有り難く受け取る事にした。それに、この機体をこのままここに置いておけば地球至上主義の連中に接収されるだろうし、そうなれば再世戦争のモビルドールの様に奴らの操り人形にされる危険性もある。

 

それだけは断固として阻止せねばならない。そういった意味を含めてトールギスⅡを受け取った自分はそのまま機体に乗り込み、各システムの最終チェックに入った。

 

元ブリタニアの最高の技術者であるロイド博士が直しただけあって、機体の状態は最高の仕上がりとなっていた。機体性能もトレーズさんが乗った時と全くと言って良いほど変わらなかったし、機動誤差もコンマミリ単位にまで修正されていた。

 

ただ、あの戦いでトールギスに搭載されていた武装は全て破壊された状態にあり、直したばかりのこの機体には武装らしきものは何もなく、殆ど丸腰状態なのだという。

 

そこでロイドさんはトールギスⅡの性能を最大限に高める為に、新たに武装を作る事にしたのだという。左右の肩にそれぞれドーバーガンと高出力ビームサーベルを搭載した盾を装備し、更に背中には大出力のスラスターが載っけられている。加速性能を損なわずに防御面にまで手を加えるのだから、本当に頭が下がる思いである。

 

やはりロイド博士は凄い人だ。プリン伯爵の異名を持つ博士の凄さを改めて実感した自分は機体を自分に合わせてシステムチェックを完了させ、自分は機体を発進させようとする。その際にシュナイゼルの奴から上から目線の頑張れエールを受け取り、ブースターに火を灯してトレーズさんの屋敷を後にした。

 

で、一通り機体を飛ばしてとある無人島にいるのだが……やー、トールギスⅡってばマジぱねぇ、単純な速さだけならグランゾンに匹敵するんじゃねぇのか? いやマジで。

 

旋回速度も申し分ない程に速いし、この分なら火力面の方も期待出来るのかもしれない。あとはこの機体を使いこなし、自分のモノにするだけである。この機体はトレーズさんとシュナイゼル、そしてロイドさんの想いが込められた機体だ。それくらいやってのけなければ寧ろ彼等に対して失礼というものだろう。

 

俄然やる気が出てきた自分は、シュナイゼルから餞別代わりに受け取った整備品でトールギスⅡ改(仮)を磨き上げるのだった。

 

ただ、トールギスをワームホールに……グランゾンの隣に収納する際、何だかグランゾンにジト目で睨まれた気がした。

 

や、違うからね? これは別に浮気とかそんなんじゃないから。友人から友人の形見を受け取っただけだから、そんな疚しいモノじゃないから、うん。

 

……一体俺は何の言い訳をしているのだろう?

 

 

 

⊕月*日

 

今日は安定した筈の次元境界線が歪曲し、久し振りに時空振動が起こった。時の牢獄の完成に伴って時空は安定してきていると聞くが、もしかしたらそうでもないのかな? いや、時空振動自体が早々に起こるものじゃないんだけどね本当なら。

 

まぁそれは良いとして、今回の時空振動によって融合された世界……というか街は、何だか初っ端から騒がしく、いきなり正体不明のロボットによって襲撃されていた。

 

なんか数も多いし、この世界の防衛隊らしいロボット達も追い詰められていた事から、自分はトールギスⅡ改(仮)を駆って出撃、マーティアル教会支部以来となるグランゾン以外の機体で戦闘に参加した。

 

結果は快勝。機体性能もさることながら相手が無人機だった事から特に苦戦する事もなく、連中を叩く事に成功したのだが、ここで突然獣のようなロボットが街に出現した。

 

この時奴が自分に狙いを定めていれば結果は代わったのだろうが、獣ロボットは自分にではなく、一緒に戦っていた巨大ロボに狙いを定めたのだ。

 

奴の苛烈な攻撃によってロボットはその形を保ってられずに分離、一機は市民がいるであろう市街地へと墜落していった。

 

これ以上好きにさせないとトールギスⅡと共に獣ロボットに肉薄するが、これまで経験したことのない相手に、自分は動きを制限させる事しか出来なかった。

 

けれどそんな時、市街地に墜落した機体が復活し、突然自分達の所に姿を現したのだ。身動きが取れない彼等の所に現れたその機体は眩い光で包み込むと、三位一体の巨大ロボへと合体した。

 

つーか、アクエリオンだった。細部が違う事から恐らくはアポロ君達のアクエリオンの次世代機と思われるその機体は、本家本元と同じトンデモ力によって獣ロボットを圧倒、見事迎撃をして見せた。

 

で、その後アクエリオンの二号機からのお礼の通信に耳を傾けていた自分は、この時近付いてくる機体を察知し、それがZEXIS達のモノだと知ると、自分は再びトールギスⅡのスラスターに火を着け、すぐさまその場から離脱していった。

 

なんか逃げるような形で申し訳ない事をしたけれど、今自分が使っている機体はグランゾンではないのだ。再世戦争の時に敵対した機体が復活したと知れば彼等に余計な警戒を抱かせる事になる。

 

……ていうか、今更ながら気づいたけど、この機体だと却って見つかると余計に面倒な事になるんじゃね? トレーズさんのトールギスⅡってあんまし良い印象ないみたいだし。

 

い、いや。UCWとADWが融合した今の世界ならその事に気付く人はそんなにいない筈、今は深刻に考えず、思考を軽くしていこう。幸いZEXISは自分を視認出来ていなかったし、それが出来ない位速く離脱したし、うん。万事問題なしという事にしておこう。

 

そんな事よりもまさかアクエリオンに兄弟機が造られていた事は驚いた。あの様子だとパイロットの子達は皆エレメント能力者みたいだし、もしかするとアポロ君達の後輩だったりするのかな?

 

彼等がいると言う事は当然あの人もいるという事だし、再会する時が断然楽しみになってきた。

 

 

 

⊕月α日

 

転移してきた街がアクエリア市として地球連邦に編入された翌日、アクエリオン二号機が収納された学園――聖天使学園では、新たにこの世界に訪れた人々を歓迎するという事で、簡単なセレモニーが開催される事になった。ランカちゃんやシェリルさんの歌声によって高まった歓声は離れた市街地にまで聞こえてきて、自分はその盛り上がりぶりを堪能していた。

 

本音を言うなら自分も学園の方に向かい、ZEXISの面々に見つかる事を覚悟してでもせっかくのセレモニーに参加したかったのだが、この時の自分はある人物に呼び出されており、会場に向かうことが出来なかった。

 

その人物の名は不動ZENさん。明らかに不動GENさんと知り合いらしきその人は自分と幾つか話をすると、興味深そうに頷いて不敵に微笑んでいた。

 

つーかZENさんて不動さんの血縁者なのだろうか? 肌が浅黒い所とか、今一つ要領の得ない言動とかソックリだし、もしかしてこのダブル不動さんは双子の兄弟だったりするのだろうか? こっちの方がイケメンさんだったけど。

 

で、その後再び先日襲ってきた連中──ZENさん曰くアブダクターと言うらしい───が襲撃してきたのだが、ZEXISとアクエリオン二号機、そして時空振動によって転移してきたオーガスと桂木桂さんも参戦した事から、連中をあっさりと迎撃してみせた。

 

ただ、その後現れたバジュラによって皆混乱しているようだったけど、一体彼等はどうしたのだろうか? ランカちゃん達の歌声も聞こえていなかったみたいだし、もしかしたら別の群のバジュラだったのだろうか?

 

また今回も色々と謎が深まる話だった。その後はZENさんにドーナツを奢って貰い自分達も解散したのだけど、去り際の彼の一言が少し気になった。

 

“シンカの果て”そう口にするZENさんの顔には、GENさん張りの不敵な笑みを浮かべていた。

 

シンカって、進化の事じゃないの? 相変わらず要領の得ない事を口にする不動さんに困惑しつつ今日の所は終了する。

 

……しかし、どうしてZENさんはあんな事を聞いてきたのだろう? アポロ君達の事とか桂さんの事とか、クロウさんやランドさんの事も執拗に聞いてきたし、もしかして自分があの人達の事を忘れているとでも思ったのだろうか?

 

いや、よくよく考えればZENさんとは初対面だし色々聞きたいこともあるんだろう。不動というのだからてっきりGENさんみたいな何でもありの人かと思ってた。失敗失敗、次は気を付けよう。

 

 

 

 

 

 




ボッチ「トールギスⅡスゲェ! 頑張って使いこなすぞ!」

トールギスⅡ「ドヤァ」
グランゾン「グヌヌ」



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