先の感想でテッサ艦長を戦犯扱いのモノが多くて吹きました(笑)
本人にはそんなつもりは全くなかったからどうか許して上げてください。(笑)
テッサ「わ、私の所為じゃない。私の所為じゃないわ!」
地球「止まるんじゃねぇぞ」
────真化。
それは、知的生命体が辿り着く一つの到達点。
それは、命在るモノならば等しく秘めている可能性。
その可能性を目覚めさせ、その極点へと到達した者が得る宇宙の真理────それは一つの窮極である。
圧縮された体躯。凝縮され、濃縮され、仰々しかった鎧と共に一体と化した魔神は、以前のような強大さが感じられなかった。
────否、感じられないのではない。小さな微生物が広大な海を認識出来ない様に、魔神を目にしている誰もが、魔神から発せられる圧に気付かずにいた。
真化を果たし、太極の極致へと至った魔神が得た新しき姿、その銘は
その背に日輪の輝きを背負う蒼き魔神、アサキムの至ったシュロウガ・シンとは異なる極点の極致を目の当たりにした一同は敵味方問わず誰もが思った。
“何だアレは?”理解が追い付かず、変貌を遂げたグランゾンをただ見つめるだけ。シュロウガの一撃を受けたにも関わらず、平然としているその姿勢に誰よりもアサキム自身が驚嘆を露にしていた。
────魔神が、一歩踏み出す。その瞬間空間は悲鳴を上げ、大地もまた断末魔の如く震え始める。
レナードの行おうとしている時空修復とそれに合わせて引き起こされている次元境界線の歪みは、因果と結果を混濁させる一種の隔絶宇宙の様なモノ。通常の物理法則を度外視した規格外的空間だが……所詮は、一個人が生み出した即興の不思議空間。
それは大海の如く質量を持ったエネルギーをたった一つの紙コップで受け止める様なもの、もしこの魔神が現在第三新東京市を覆うこの空間を喰い破ったらどうなるのか。………最悪、ゼロ・グランゾンの存在の圧力に負け、地球そのものが圧壊してしまう可能性すら出てくるだろう。
今の歩みでその事を本能で理解したシュウジは、グランゾンの力を極力抑える事に専念する。ゆっくりと、静かに、己の愛機に落ち着けと諭す。すると、グランゾンは主であるシュウジに答えたのか、徐々にその圧を抑え、鎮静化されていき、それに合わせて地球の震えも収まっていく。
(しかし、それでも周囲の次元境界線は以前として不安定なまま……か。この様子だと今のグランゾンが戦うのはあとニ、三分が限界って所かな)
己の愛機が原初に至った事への周囲の影響力から、既にもう猶予はない事を悟ったシュウジは、一番厄介なシュロウガとアサキムへと視線を戻す。
「さて、と。折角新しいグランゾンのお披露目をしたい所だけど、生憎と時間は残されていない。……悪いが、すぐに終わらせて貰うぜ」
『っ!?』
己の全力を受けて、それでも尚平然としている魔神にアサキムは怯む処か敢えて前進し、距離を詰めた。そこに彼らしい小癪な策はなく、がむしゃらに振り翳す刃だけがシュロウガの手に握られていた。
四つのスフィアを手に入れ、その全てを使いこなすことが出来たアサキム、永い時の中で漸く手に入れた強大な力、しかし彼は気付く。目の前にいる魔神は、最早スフィアを複数手中に収めた程度で相手取れる存在ではないという事を。
既に太極の────真化の果てへと手を伸ばしつつある目の前の存在を、アサキムがどうにか出来る筈が無かった。
スフィアの力をフル稼働させてグランゾンの頭上へと跳躍するシュロウガ、転神させ、先程と同じ全力の一撃を放とうとする彼に魔神は微動だにしない。
『君が果てしなく成長を続けるのならば、僕も何度でも立ち向かおう! 受けるがいい破界の魔神、ジェノシック・ノヴァ!』
黒衣の死神が闇を纏いて蒼の魔神へ突撃する。空が黒くなり、死という概念そのものと化したシュロウガ、その一撃は文字通り神すら屠れる力を宿しており────
「温ぃ」
しかし、その黒衣の死神は己に纏わせた死ごと魔神の裏拳によって粉砕され、破界されてしまった。
転神が解かれ、宙に舞うシュロウガ。既にアサキムに敵意……というか意識はない、が。
「この程度で終われるとは………思ってないだろう?」
────
放たれた魔神の蹴りはその全てがシュロウガに叩き込まれ、機体を文字通り八つ裂きにしていく。再生する事も許されず、完全消滅の一歩手前まで追い詰めていくその容赦の無さは、Z-BLUEが良く知る魔神の姿だった。
「お前は四つのスフィアを持っているからな。簡単には消しはしねぇよ。直ぐに相手してやるから、今はそこで大人しくしていろ」
バラバラに切り刻まれ、身動き一つ取れないシュロウガに聞こえているかなどお構いなしにアサキムにそう告げるシュウジは、次に使徒とこの地に馳せ参じた侵略者達に視線を向ける。
一番奥にいるレナードが乗る機体は後回しでいいだろう。この状況を何とかすれば後はどうとでもなるだろうし、そもそも奴とは宗介君こそが決着をつけるべき相手に相応しい。自分はそれまでの場を整えてやるだけでいい。
そんな風に考えるシュウジはベヘモスの影に隠れるレナード機、ベリアルに目もくれず、この場に一番場違いな者達───使徒へ標的を定める。
己が魔神の標的になった事を生存本能で理解した使徒は、その力を駆使して魔神に抗いの姿勢を見せる。
命乞い等はしない。否、そんな機能等存在しない使徒達は、己の全てを駆使して、迫る魔神を拒絶するしかない。
使徒特有のレーザー光線、ラミエルやゼルエルと言った攻撃に特化した使徒達の放つ光は、第三新東京市の大地を抉り、引き裂いていく。
されど、光の中で佇む魔神に怯む様子も堪えた様子もなく、ただ使徒達の様子をジッと観察するように見つめ───そして。
「第三の眼───開眼ッ」
額に破界を宿す第三の眼を開かせた。
「角度、修正。地球へのダメージを考慮し、威力は最小……さぁ、受け取るがいい。ゼロ・グランビーム」
原初の魔神が放つ光は使徒達の光を呑みこみ、空を裂き、宇宙まで延びていく。太陽系の土星の輪を抉り、冥王星を掠める事で漸く収まった魔神の光………その後には何も残されていなかった。
「………少し、悪いことをしたかな」
現れた目的も分からず、攻撃してきたから迎え撃っただけ、これまでの敵対してきた相手とは違い、何処か純粋と感じられる使徒達の最期にシュウジは少しばかり罪悪感を感じた。
これで残すは侵略者のみ、宇宙魔王と皇帝ズール、そしてミケーネの神々。残り時間からギリギリと判断するシュウジはそのまま片付けようとグランゾンを動かす。
『おのれ、おのれぇぇ! 何故だぁ! 何故貴様がこれ程の力を持っている! 真化の果て? 太極の極致? その程度で計れるモノではない! 貴様のソレは、まるで、まるでぇぇ……』
頭を抱えて苦悶し、憤慨し、羨望し、絶望に打ちのめされるズール皇帝を見て、明神タケルは同情を抱いてしまう。
自分が望み、永い時間を掛けて其処へ至ろうとしていたのに、自分よりも遥かに若い小僧が瞬く間にその境地へ足を踏み入れていく。何が違った? 何を間違えた? どれだけ思考を巡らせても、相手を支配することしか頭に無いズール皇帝には、目の前の魔人がそこまで辿り着けた事に理解が出来なかった。
「………別に、そんな難しい事はしてないつもりだけどなぁ」
『────っ!?!?』
そして、酷く狼狽えるズールについポロリと溢してしまったシュウジの一言が、ズール皇帝の何かを切れさせてしまった。何もかもを度外視した闇雲の一撃、ズール皇帝の放つエネルギー衝撃波は対象の身も心も蝕み、魂すら歪める力を持っている。周囲の大地ごとねじ曲げ、時空すら歪曲させる皇帝ズール。確かにその力は一つの勢力をまとめ上げるのに相応しい力を持っていた。
────しかし。
「………返礼しよう」
魔神の力の一部が胸部に収束されるのと同時に装甲が展開される。そこに集められるエネルギーは先の光の比ではなく。
「時間と空間、総てを歪曲し、破壊し、終極させる。……さぁ、受けるがいい」
“ディストリオン・ゼロブレイク”
『あぁぁぁぁぁぁ………』
天を貫き、その反動で第三新東京市を跡形もなく吹き飛ばした魔神、その余波で時空修復の影響を受けていた空間とズール皇帝を消滅させ、辺りにはただ静寂だけが残っていた。
巨大なクレーター、一つの街を丸々消し飛ばしたグランゾンは既にいつもの姿へと戻っている。時間切れの変身解除、しかしそれは強制のモノではない。原初の魔神と成ったシュウジは、既にその力を自在に操ることができている。
誰も口出し出来なかった。蹂躙というには圧倒的過ぎる光景、Z-BLUEもレナードも、敵味方問わずその場の全員が押し黙る中で……。
「さて、状況が変わった事だし、続きを始めるとしようか」
しかし、蒼の魔人は手を止める気が微塵も無かった。
Q.今回のボッチ、どれくらい本気だった?
A.スパロボVのマジンガーZEROさん位には本気でした。
それでは次回もまた見てボッチノシ
先の感想でテッサ艦長を戦犯扱いのモノが多くて吹きました(笑)
本人にはそんなつもりは全くなかったからどうか許して上げてください。