Δ月Δ日
シュウジ は グランゾン の 力 を 使えるようになった!
文字にすれば酷く陳腐な内容だが、実際それが出来事として起こってしまうと何一つ笑えないという事が最近分かった。
昨日の翠の地球の森、森林で生い茂った自然の塊は自分が何気無く起こしたアクション一つで地球上から姿を消した。幸い其処は人気の及ばない地だったから自分が放つ重力波に巻き込まれた人はいない。
不幸中の幸い、と言えば聞こえは良いが、実際この問題はかなり大きい。そもそも、なんで自分がグランゾンの力、その一部を使えるようになっているのか。
やはり、これもグランゾンと真化融合を果たした結果、その影響なのだろうか。確かにあの戦い以降自分はグランゾンの気持ち…………心の声というモノをそれとなく察する事ができる。真化融合を果たし、自分とグランゾンは一つの存在に昇華し、その能力も共有する事になった。
そう考えると、真化融合した時のグランゾンがあの姿になったのも、自分と融合をした影響でああなったと考えると納得もする。トールギスを吸収したのもそうだが、ガモンさんに師事を仰いで空手を扱えるようになった。そんな自分と融合し、自分とグランゾンが最大限の力を出せるのがあの姿という訳だ。
まぁ、確かに通常のグランゾンやネオの状態じゃ純粋な接近戦なんて出来ないし、出来ても精々正拳突き位だ。それが悪いとは言わないが、自分の力を引き出すという点では少々心許ないのもまた事実。
────ふと、初めてシュウ博士と出会った時の事を思い出す。あの時博士は当時返すつもりだったグランゾンを自分専用だと言った。もしかしたら、博士はこうなることを知っていたのかもしれない。
いや、ほぼ確実に知っていたなあの様子だと。真化融合をしていた時はそれとなく聞き入れていたけど、自分はあのシュウ博士の事を何も知っていないし、お婆ちゃんの事だって聞いていない。
何故お婆ちゃんの事を博士が知っているのか、理を越えるとはどういう事なのか、自分とこのグランゾンの関係性は一体何なのか、今までサイデリアルの事とかで考える余裕が無かったから気にしなかったけど、そろそろその事も頭に入れておいた方が良いのかもしれない。
…………話が大分逸れた。つまり、結局の所グランゾンが自分の事を取り入れて
今の所できるのは
流石にBHCは勘弁したいが、もしワームスマッシャーが撃てる様になったら…………やべぇ、英雄王ごっこが出来る。それにこの重力制御を上手く扱えるようになれば、単身生身で空を自由に飛び回れる様になるかもしれない。
夢が広がる。本来兵器であるグランゾンをこんな風に扱おうと考える自分は、少しばかり能天気だろうか。まぁ、たまには良いだろう。最近はギルターの協力のお陰でサイデリアルの基地制圧も上手くいっている。この力を制御する意味でも今は少し休む事にしよう。
暫く活動を休止する。その事を伝えたらギルターは泣いて喜び、かと思えば疲弊した老兵の様に深い溜め息を吐いてその場に座り込んでしまった。やはり、此処のところ彼を酷使していた様だ。
ギルター=ベローネは稀少な人材…………いや、人財だ。彼を労う意味も込めて今日の夕食は少しばかり豪華にしようと思う。当然、疲弊回復の調味料も加えて。
ギルターに料理を振る舞ってみせたら、何故かまた咽び泣いた。喜んでくれるのはいいがあそこまで号泣されると流石に引いてしまうものがある。サイデリアルの連中、普段はどんなものを食ってるんだ?
Δ月α日
サイデリアルに動きがあった様だ。先日顔を合わせたレジスタンスの人達によると、どうやら合流したZ-BLUEがサイデリアルの幹部に襲われたらしく、その際にセツコさんがバルビエルによって拐われてしまったらしいのだ。
まだ当分は動けない筈なのに、バルビエルの野郎意外と根性があったらしい。それとも、向こうには身体を回復させる施設があるのか、はたまたスフィアの力で無理矢理回復したのか。
どちらにしても自分がやることは変わらない。連中が折角姿を現したのだ。自分もそれに合わせてやろうじゃあないか。使いこなしてきたこのグランゾンの力、試して見るのも合わせて自分達も動く事にしよう。
この事をギルターに伝えたら、なんかものスッゴく不気味な笑みを浮かべていた。余程自分の嘗ての上司に思うところがあるのか、クックックとひきつった笑みを見せるギルターに、思わず自分は戦慄した。
やはり、この男を引き入れて正解だった。この調子で奴等と戦う際にはその頭脳をフル稼働させて欲しいものだ。
そうそう、先に重力制御を使いこなしてきたと述べたが、追加事項があります。この度、白河修司は無事に武○術を会得しました。
ブイブイV( ^∀^)V。
◇
セツコ=オハラがバルビエルに拐われた。彼女を救出するため、Z-BLUEは翠の地球におけるサイデリアル最後の拠点に向けて進軍を開始する。
マクロス=クォーターの内部格納庫、そこではセツコ救出の為に拠点に攻撃を仕掛ける各々のパイロットが、それぞれの愛機の中でその時を待っていた。
『それにしても、まさかバルビエルの野郎が動くとはなぁ』
『アイツ、確かヒビキの言ってた蒼のカリスマ…………シュウジにボッコボコにされたんだろ?』
『俺、前にアイツの強さってのを…………えっと、パラダイムシティだっけ? あそこでガドライト=メオンサムとやりあったのを間近で見たんだけどさ』
『酷いもんだったぜ。一方的なんてもんじゃない。蹂躙っていうのはああいうのを言うんだろうなぁ』
『以前も武闘派のカイエンの後ろをあっさり取ったり、透明化するユノハの位置を見破ったりしたんだろ?』
『端から聞けばまるで化け物だな』
『神出鬼没でならあの不動司令にだって引けを取らないぞ』
『なんでスフィアリアクターじゃないんだアイツ』
セツコを拐ったバルビエルからそのバルビエルをボコボコにした蒼のカリスマへ話題が広がっていく。己の兄貴分が皆に知られ、畏れられている。その事が何だか嬉しくてこそばゆいヒビキはいけないと思っているのに作戦前ににやけてしまう。
『確か、アムロ大尉だけでしたよね。アイツにシミュレーターで勝てたのって』
『喧嘩も強くて機体の操縦技術も超一流、オマケに顔も良くて料理も得意』
『なんだこの完璧超人』
『もういいだろ。そろそろ作戦開始時刻だ。全員気を引き締めろ』
部隊のまとめ役であるアムロの一言に、これまで和やかだった空気は一変して張り詰めたモノへと変貌する。作戦開始まで後僅か、セツコを確実に救出する為、自分達の役目は陽動に徹底し、突入部隊の時間を稼ぐことにある。
(突入部隊の皆、セツコさんをお願いします)
今頃動き始めているであろう彼等の事を心配しつつ、ヒビキはその時を待つ。その先に自身を待ち構える最大の絶望があるとも知らずに…………。
そして。
「まさか、このタイミングで来るとはな。少しがっつき過ぎるんじゃあないか?」
「ウフフフ、言ったはずですよ。貴方は私が頂くと」
翠の魔女の前に最悪の魔女が立ちはだかっていた。
ギルター「そうだ。身体を壊してしまえば戦わずに済むのでは!?」
ボッチ「身体の具合はどうです? 良ければ此方を召し上がって下さい」
ギルター「」
ギルターの苦悩は終わらない。
それでは次回もまた見てボッチノシ
前回の感想欄で皆さんがボッチの重力波に然程驚いていなくて寧ろ此方がビビりました(笑)