Δ月Ω日
トウキョウでルルーシュ君達の攻防戦に協力してから数日、皇国軍からの追撃も無くなり、現在自分は比較的安全圏とされるオーブ……そこのビジネスホテルの一室にて、ボロボロのボン太くんを修繕しながらこの日記を書いている。
ルルーシュ君達は無事にトウキョウから逃げ切ったと思う。戦いの最中に散り散りとなり、彼等の状況を確認することは出来なかったから詳しくは知らないが、ボン太くんに備えておいた通信傍受の器機からは彼等が討たれたという話は聞いていない。
だから大丈夫と楽観視するつもりはないが、彼等も三度に渡って続いてきた大戦を潜り抜けてきた猛者だ。無傷とはいかなくとも大事には至っていない筈だし、あの蠍野郎をキッチリと抑える事が出来たのだ。今は無事だと信じておこう。
しかし、まさかボン太くんにここまでの性能があったとは思わなかった。いや、実際ただの着ぐるみなんだけど、これを着ると何だか力が湧いてくるような気がして、何でも出来る気がしてくるのだ。実際コレを着ただけで20m以上の巨大な機動兵器と渡り合えたし……。
なんというか、やたらとテンションが上がるんだよね。普通なら機動兵器を相手に生身で挑むのは自殺行為なのに気分はさながら某怪物狩人、大剣や弓矢の代わりにマシンガンやRPGを使って暴れ回った時は気分良かったし、弾薬尽きて追い詰めたと勘違いした蠍野郎を機体越しに顔面を殴った時は言葉に出来ない爽快感があった。
まぁ、そんな無茶苦茶に暴れた所為でこのボン太くんはボロボロになった訳なのだが…………確か、マイアミ警察署に届けられる筈だったんだよねコレ。それがどういう訳かレジスタンスの隠し拠点の隅っこで埃被ってて放置されていたのを自分が譲り受ける事になった。
レジスタンスの人が言うには、このボン太くんは所謂パワードスーツ改造を施した後、警察を始めとした治安組織に犯罪への抑止力として配備される予定だったのだとか。最初はその性能の高さにレジスタンスの人達は期待していたが、皇国軍の苛烈な攻撃の所為で改造計画はご破算、ただの着ぐるみとして残る事になったボン太くんはその後誰にも必要とされる事はなくなり、今日に至るまであの拠点で埃まみれになるまで放置されていたのだとか。
そういうわけで要らないなら頂戴とボン太くんを頂いた自分はコレを着てルルーシュ君達を援護、彼等が逃げ切れる時間を稼ぐ殿役を務める事となったのだ。
ボン太くんという意外な助っ人の登場にルルーシュ君は戸惑っていたけど、すぐに状況を立て直しその場から離脱していった。気になる点があるとするなら、C.C.さんが乗っているであろうピンク色のランスロットが離脱間際にコッチ見ていた事が気になったけど…………まさか、バレてないよね?
いや、バレる筈がない。以前働いていたバイトでボン太くんの言葉はマスターしたし、完全になりきっていた。一体何処の誰かと怪しむ事はあってもそれが自分であることを特定する事は不可能の筈! そう、きっと気の所為だ。C.C.さんの訝しむ視線は自分の過剰な自意識の所為だと…………そう、思い込む事にする。
ともあれ、前回の戦いでルルーシュ君達を無事に逃がせたし、あの悪趣味な機体の乗り手がバルビエルとかいう蠍野郎だと改めて確認する事が出来た。今回の戦いはそれが分かっただけでも充分に意味があるものだった。
シオさんやラトロワさん達を助ける為にも今は焦らず、ひとつずつ出来る事をこなしていこうと思う。
…………しっかし、一体何処の誰なんだろうか。ボン太くんというマスコットキャラをパワードスーツに改造しようと考えた頭のおかしい奴は。
きっとコロニーの五博士のような頭のネジが二、三本抜けた人なんだろうなぁ。
√月γ日
またもやボン太くんで出撃する事になった。
ことの始まりは数時間前、日記を書き終えて就寝し、朝頃に目が覚める所から始まった。何と連邦軍の正規軍がオーブにいきなり攻撃を仕掛けてきたのである。
こんな時になんで地球人同士で戦ってるんだよと呆れながら、ボン太くんに着替えた自分は既に戦闘を開始していたキラ君とリディ君と合流。二人ともルルーシュ君達と同様最初こそ戸惑うも、自分が敵ではないと分かってからは協力的となり、連邦軍を攻撃しなんとか撃退する事を成功させた。
…………今思えば、あの連邦軍の連中はクロノの部隊だったのかもしれない。やたら動きが機械的だし、何だか薄気味悪いものが連中を通して感じられた。
元々クロノは連邦組織と深い繋がりがある組織だ。時空振動で融合された世界では様々な財閥や勢力が政府に食い込んでいると聞く。恐らくその組織の一つが、オーブに隠された何かを奪うために派遣された尖兵だったのではないだろうか?
まぁ、そこら辺は別にどうでもいい。政府に癒着する組織なんて探せば幾らでも出てくる。その中でクロノを動かせるだけの影響力を持つ勢力を絞りこんでいけば、今回の戦いの首謀者は簡単に割りだせられる。
問題はその後にやって来た皇国軍だ。奴等、クロノの襲撃に合わせて大部隊を用いて一気に仕掛けてきやがったのだ。
クロノの部隊と皇国軍の大部隊を相手にする事となったキラ君とリディ君、途中でZ-BLUEの片割れが救援に駆け付けてきてくれたが、その頃には既に戦況は悪化の一途を辿っており、オーブは戦火に包まれようとしていた。
そんな時、オーブの代表であるカガリちゃんが突然の降伏宣言を表明。キラ君達を逃がす為、自国民を守るために敗北する道を選んだカガリちゃんの判断は、間違っていないと思う。
その後、キラ君達に想いを託したカガリちゃんは皇国軍を受け入れ、俺達はオーブを後にした。その途中、キラ君が自分に何者かと訊ねて一緒に来ないかと誘ってきたが、自分はボン太くんの言葉でコレを拒否。首を横に振って断る自分に戸惑うキラ君の隙を突いてその場を離脱、自分もオーブを後にすることにした。
…………え? 海に入ったら水分を含んだボン太くんの重みで溺れるだろって? その点なら心配要らない。走ったから思った程ボン太くんは濡れていない。
近くの岩礁に止めておいたトールギスに乗り込んだ自分は、Z-BLUEが離れていく頃合いを見計らってオーブを離脱する事に成功、新地球皇国許すマジ。決意を新たに今日の日記を書き終える事にする。
√月※日
今日、何だか聞き捨てならない情報を入手した。
いつも通りレジスタンスの人達と協力していた自分だが、皇国軍の拠点に侵入した時、奇妙な話を聞いたのだ。
“ネオ・アルカトラズに収容された歌姫二人”この事を聴いた自分は早急に皇国軍の基地を制圧、後の事をレジスタンスの皆さんに任せ、急遽自分はネオ・アルカトラズに向かう事にした。
ネオ・アルカトラズ。難攻不落の要塞で捕虜達を投獄する最悪の監獄。皇国軍の手によってより強固になったその施設を見て、自分はここに彼女達が幽閉されている事を確信した。
ランカちゃんとシェリルちゃん、二人とも地球圏を代表する歌姫であり、Z-BLUEにとってもマドンナ的存在、時獄戦役の戦い────というか、自分の最後の戦いの時以来音沙汰なかった彼女達が、ここに投獄されていたと知った時はまさかと驚いた。てっきり二人ともZ-BLUEに身を寄せていたと思ってたから…………。
何故彼女達が彼処に捕まっているかは定かではないが、そうと分かれば実行あるのみ。今回もボン太くんの出番だなと意気込みながら、明日のネオ・アルカトラズ潜入に向けて今日は早めに休むことにする。
今回の様に暫くは話が飛び飛びになるかも。
具体的にはボッチの愛機復活の所まで。
Q.もしもボッチがスパロボVに参戦したら?
A.勇者特急に感動し、ヤマトに号泣、沖田艦長にサインを強請りその他のボスキャラを独自にボコっていく…………つまり、いつも通りという事。
それでは次回もまた見てボッチノシ