『G』の日記   作:アゴン

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スパロボVクリア! 現在二週目プレイ中!
個人的には結構面白いです!


その141

 

 

 

Δ月β日

 

ラース・バビロン。新地球皇国もといサイデリアルの連中が根城にしている総本山、幾多の戦場を潜り抜け単独でその地に赴いた自分は、シオさん達を救出しようと単身奴等の総本山に乗り込もうとした。

 

本来なら慎重に慎重を重ねて挑むべき案件だが、先日とある人物から得られた情報を耳にした自分はこの時、少しばかり冷静にいられなかった。

 

その人物の名はセルゲイ=スミルノフ。再世戦争の頃、当時の正規軍であるアロウズのやり方に付いていけず軍から離れ、以降は息子のアンドレイ君と一緒に世界情勢の情報収集に勤しんでいた。彼等の情報網も中々のモノで、彼等のお陰で倒したはずのグレイス=オコナー達の動向を知ることもできた。

 

そんな彼等と偶然鉢合わせた自分は、彼等から得られた情報に唖然とする事になる。ジャール大隊、即ちラトロワさんとあの子供達が、一人残らず新地球皇国に捕らえられたと言うのだ。

 

サイデリアルが地球侵略に押し寄せてきた頃、同じ地球に住む人類として立ち上がることを決意したラトロワさんとジャール大隊の皆はレジスタンスとして各地を巡り、現地の人達と共にサイデリアルと戦っていたのだという。セルゲイさんも現在の地球の状況に静観するのを止め、軍人の一人として息子と共に戦場に返り咲いたのだとか。

 

何日も続くゲリラ戦、圧倒的不利な状況の中でジャール大隊と合流できたセルゲイさんはアンドレイ君とラトロワさんが率いるジャール大隊と共に一大作戦を踏み切ろうとした。戦力も人員も充分に補給された今が好機と敵拠点の一つに奇襲を仕掛けた時、不運にもサイデリアルの幹部と遭遇、それも圧倒的火力として知られるハイアデスの旗艦と戦闘する事になった。

 

勝てると思った戦いから一変、逃げる事しか出来なかった戦場で、ラトロワさんが自ら殿になることを志願し、ジャール大隊の皆もラトロワさんと一緒に残り、セルゲイさん達を逃がす事を進んで務めた。

 

当然セルゲイさんはコレに反対。昔自分の判断で奥さんを亡くした事があると言うセルゲイさんにとって、ラトロワさんの判断は個人的に許容出来ないモノだった。

 

だが、状況的にラトロワさんの判断が一番その時の状況に合致していた。本当なら意地でも自分が殿を務めようとしたけど、意外にも息子であるアンドレイ君の後押しもあってラトロワさんの判断を了承。セルゲイさんは負傷者を含めレジスタンスを退避させ戦場から離脱することができた。

 

アンドレイ君がラトロワさんの判断に従うのは意外だった。本人は数少ない家族である父を失うのが嫌だったと自嘲しているが、彼もあの大戦を生き抜いてきた猛者だ。恐らくは父と同じ戦場を生き抜いてきた事によりモノを見る目というのが養われていたのだろう。無論、本人が言っている様に個人的な感情もあったのだと思う。セルゲイさんはアンドレイ君だけでなくソーマ=ピーリスさんにとっても大事な父親だ。そこら辺の事情も多分混ざっているのだろう。

 

セルゲイさんはラトロワさん達を守れなくて済まないと頭を下げてきたが、謝る必要は無いと自分は返した。ラトロワさんは聡明な人だ。歴戦の戦士だった彼女がそう判断したのだって、そうした方が一番多くの人命を守れると考えたからなのだろう。ああいう察しの良い所に自分も救われたことがある。ラトロワさんにとってその時の選択は悔いの無い判断の筈だ。だからセルゲイさんが気に病む必要はない。

 

尤も、それに自分が納得しているかはまた別の話だ。セルゲイさんの語る当時の状況から仕方の無い判断だったとは思うが、理解と納得は別物。自分はセルゲイさんからの情報を頼りに連中の本拠点であるラース・バビロンへと足を運んだ。

 

ラトロワさんもジャール大隊もシオさん同様、自分にとってかけがえのない大事な人だ。あの人達に救われた様に今度は自分が彼女達の助けになる番だと思い、ラース・バビロンへ潜入しようとしたのだが…………。

 

アサキム=ドーウィン。ラース・バビロンに潜入しようとする直前、奴によって阻まれてしまった。何故火星のZONEに封じた筈の奴が自分の前に現れたのかは未だに分からないが、奴と奴の駆るシュロウガによって潜入は中断、おまけにサイデリアルの幹部まで出てくるという最悪の事態に陥ってしまった。

 

どうにかあの戦場から離脱する事が出来たからこうして日記を書けているが、アサキムの野郎が騒ぎ立てた所為で、唯でさえ厳重だったラース・バビロンの警備が更に頑強な守りに固められてしまった。しかも何やら結界まで張られてしまったらしく、お陰で正攻法で潜入することはほぼ不可能となってしまっている。

 

しかもどうやらアサキムの方もZONEに封じられていた間にスフィア関係で力を蓄えていたらしく、シュロウガの能力が以前と段違いな程に跳ね上がっていた。尤も、成長したのはこっちも同じで遅れを取ることは無かったけどね。シュロウガのスピードにも食い付ける様になったし、剣捌きだけを見ても、俺と奴の実力差はグランゾン抜きで語っても殆ど差異はない筈だ。

 

寧ろ奴の方が驚いていたっけ、やりあっていた最中に時々耳にする「まさか」とか「既にそこまで…………」と、驚愕と悔しさに満ちた奴の言葉を聞くたびに仮面の奥でドヤ顔していた自分は悪くないと思う。

 

アサキムの所為で撤退を余儀無くされ、次は正面から突破する事しか手立てがない事実に嫌になってくるが、今の自分の気持ちは比較的穏やかだ。何せ連中の親玉であるサイデリアルの首魁である皇帝から、直接の通信が送られて来たのだ。

 

『貴様の想い人達は俺が丁重に預かっている。その時が来るまで彼女達の身柄は保障しよう』

 

音声だけの通信、言葉だけの口約束であったが、そこに打算や策謀の類いは無く、真摯な気持ちが其処に込められていた。依然として全貌が把握できていない上に危険だとは思うが、何処ぞの喜び野郎に捕まるよりは億倍マシと判断し、自分は奴の言葉を取り敢えず信じる事にした。

 

危険だとは思うが、彼処で無理にでもラース・バビロンに突っ込んでしまったらそれこそシオさん達の身が危なかっただろう。アサキムも自分がラース・バビロンから離れるまでしつこく攻撃してきたし、そもそも潜入自体無理があった。

 

今回の敗因は冷静になりきれなかった自分の落ち度だ。今回はそれを戒めに大人しく引いておこうと思う。…………それにしても、アサキムの封印を解いた奴は本当に余計な事をしてくれたものだ。めんどくさい奴が復活した事により、この星での戦線はより混沌としたモノになるだろう。

 

だからその時が来るまで、自分は奴にシオさん達を預ける事にした。

 

────シオさん、ラトロワさん、ジャール大隊の皆。それまでどうか無事でいてください。

 

 

 

 

Δ月ω日

 

今、自分はエリア11改め新日本へ来ている。ラース・バビロンから離れ、取り敢えず情報収集する事にしたのだが、ここで嫌な情報を耳にする。

 

新地球皇国の幹部とZ-BLUEの一員であるゼロが、トウキョウにて決戦を仕掛けようとしているらしい。どうやら新地球皇国側の巧妙な策略により、このような状況に追い込まれてしまっているらしいのだ。

 

今頃はトウキョウでドンパチが繰り広げられている筈。自分も加勢に行きたい所だが、ラース・バビロンの一件で自分は奴等に必要以上に目の敵にされている。別に自分個人が目の敵にされるのは良い、だが自分が出ていく事で状況が複雑化するのは避けたい。

 

しかし、ゼロが相手にするのはサイデリアルの幹部、即ちスフィアリアクターだ。彼等が奴等の能力を把握しきれていない以上、戦況は圧倒的に不利な状態…………恐らく、ゼロは敗北する。

 

そうなった時、撤退する際に殿役が一人でも多く必要になってくる。ソレスタルビーイングもゼロを助けようと動くらしいが、彼等だけでは必要以上に被害を出すかもしれない。

 

これは実力云々の話ではない。相手の能力を知っているか否かの問題だ。もしゼロが────ルルーシュ君がサイデリアル側のスフィア能力を知っていれば、こんな事にはならず新日本も守れた筈だ。

 

やはり、自分も手助けするべきだろう。ルルーシュ君がいると言うことは其処にはスザク君やC.C.さんもいる筈だ。

 

となれば善は急げ、次の戦場に向けて急ぐことにする。調度蒼のカリスマ以外のカモフラージュ衣装が手に入ったのだ。上手く使うチャンスでもある。

 

ルルーシュ君、待ってろよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『くはははは! どうだいゼロ? 僕が用意したプレゼントは? 気に入ってくれたかい?』

 

『…………くっ!』

 

左目を抑え、踞るルルーシュの瞳にはこうなるよう仕向けたサイデリアルの幹部、バルビエルに対する怒りが色濃く滲んでいた。奴の能力で憎しみに駆られた新日本の住民達、彼等を鎮める為に二度と使う事はないと誓ったギアスを使用してしまった事に、ルルーシュは罪悪感と悔しさに仮面の奥で表情を歪める。

 

状況は既に此方の敗北、敵戦力を削った所で焼け石に水、次から次へと送り込んでくる新日本の住民達を前に、ルルーシュとソレスタルビーイングの面々は撤退を余儀無くされた。

 

『なんだい、もう逃げるのか? つれないなぁ、もう少し楽しんでいけよ? なぁ!』

 

しかし、そうはさせまいとバルビエルのアン・アーレスが一行に襲いかかる。圧倒的強さを持つバルビエル、殿役としてC.C.が前に出ようとした、その時。

 

突然の爆発がアン・アーレスを襲った。

 

『なにっ!?』

 

完全に意識外からの攻撃、バルビエルもルルーシュも、その場にいる全員が驚きに固まった。一体何処からかと攻撃のあった場所に視線を向けると…………。

 

「ふんもっふる~!!」

 

RPGを担いだボン太くんが…………そこにいた。

 

 

 




ルルーシュ「なん…………だと?」
スザク「ボン太くんだって!?」
カレン「どうしてボン太くんがここに!?」
バルビエル「おのれネズミ風情ガァぁぁ!」
C.C.「なにやってんだアイツ」

次回もまた見てボッチノシ


あぁ、V編書きたい。


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