何だか懐しさすら覚えます。
あ、あと今回で本作一番の謎(?)に触れます。
?月?日
おはラッキー! 皆元気してるぅー? 久し振りの日記で若干テンションが上がっているシラカワ君だよー! 今現在、自分達はガルガンティアから離れて右も左も分からない海上のど真ん中に来ておりまーす♪
と、まぁ悪ふざけはここまでにして、少し真面目にここまで至るまでの経緯を説明しておこうと思う。まず始めに、自分ことシュウジ=シラカワは病み上がりの躯でありながらも友人から託された
流石星間連合と呼ばれるだけあって連合の科学技術の高さに驚いた。500mを超す戦艦が機動兵器張りの機動性を発揮するとか、最初は目を疑ったものだ。オマケに武装も並の戦艦の比じゃないとか、割とマジで焦った。アレが今後の自分の敵となると割かし憂鬱になる。
まぁ、ともあれ無事倒す事も出来たし、世話になったガルガンティアを守る事も出来たので、取り敢えず良しという事にしておこう。そうそう、追い払うで思い出したのだが、どうやら向こうの指揮官、ギル何とかって奴が自分の事を目の敵にしているらしいのだ。
らしいというのは自分に直接言いに来た訳ではなく、ガロード君を経由して伝えて来たからだ。何故自分に直接言いに来ないのかと疑問に思うが、恐らくその指揮官の策略の一つなのだろう。自分に姿を見せずに言葉だけ伝えてくるとは、かなりの用心深さの持ち主らしい。
戦いというのは情報一つによって左右される。ギル某は多分そう言った事を熟知した上で、敢えて自分に言葉だけという接触を果たして来たのだろう。サイデリアルの指揮官ギル某、恐ろしい奴!
けれどこれで一つ不安要素はなくなった。奴が自分の事を目の敵にするという事は、少なくともガルガンティアに手を出すことはないだろう。ああ言う手勢は策略家でありながら、激情家の一面も併せ持っている。…………プライドが高いとも言うのかもしれない。その手の人間は偏に一つの獲物に対して貪欲になる傾向がある。根拠はないが自分は確信を持てた。
ブロッケンは考え過ぎでは? と言うが、自分達の戦力の一つが失われた程度であっさりと退却する奴だ。確かにそれだけで判断すれば弱腰のヘタレだと思えるが、逆に言えば自分があの戦艦を撃破した瞬間、奴は自分達の敵だと正しく認識したという事に他ならない。
恐らく次は自分達を倒すべき敵として襲ってくるだろう。奴の追撃部隊と接触する前にガルガンティアから離れた方がいい、そう思い至った自分達はブロッケンの乗ってきたと言う輸送機と共にガルガンティアを後にした。
本当ならお世話になった船団の人達に恩返しをしたかったが、何せ事態は急を要している。恩を返す為にまた戦禍に巻き込んでは、それこそ恩を仇で返すようなものだ。
急ぎ足で輸送機の発進準備をしていると、褐色肌が特徴の少女、エイミーちゃんと彼女の友人である二人の少女から餞別に食料や包帯、薬やその他日用品を幾つか貰えた。何でも助けて貰った事に対するお返しとかで自分に物資を寄越してきたのだ。
此方は巻き込んだ側というのに、なんと有り難い話だろうか。特にエイミーちゃんは怖い思いをした筈なのに自分に気を遣ってくれるとは…………なんて良い子なのだろう。彼女と交際する奴はきっと幸福者だな。
そんなこんなで無事ガルガンティアから離れる事が出来た自分等は、取り敢えず東へ行くことにした。途中までガロード君に護衛して貰い、安全に進むことが出来た。
翠の星、そう呼ばれるもう一つの地球。自分達の頭上には二つの月ともう一つの地球が瞬いていた。
?月?日
翌日、翠の海を抜けて現在陸の上を往く自分達は、取り敢えず今日も東に向けて進むことにした。途中で変な海賊に襲われたりもしたが、まぁ特に脅威になる事もなく、適当にあしらって終わらせたのでそんな書く事はない。
それよりもまだ説明仕切れていない部分があるので、今日はそこら辺を書いていこうと思う。まず自分の愛機であるグランゾンについてだが、破損具合が酷く、修復機能が上手く作動出来ていない。恐らくは先の戦いのせいなのだろう。現時点ではとても戦闘に耐えられるとは思えない。
自分が直してやりたい所だが、グランゾン程の機体となると必要となる設備のレベルも必然的に高くなっていく。当然この輸送機ではそんな事は無理だし、ガルガンティアでもグランゾンを直せる程の機材を用意出来るとは思えない。
だから当分の間、グランゾンをこのまま放置するしかない。…………情けない話だが、今の自分ではどうする事も出来ず、悔しいが今はグランゾン自身の修復機能に任せるしかないだろう。
或いはサイデリアルの拠点の一つでも奪えば進展があるかもしれない。優れた科学技術を持つ奴等の事だ。何かしらの手段にはなるかもしれない。
その間は自分自身でどうにかするしかないが……大丈夫だろう。寧ろ自分は今までグランゾンに頼りすぎていた。相棒を休ませてたまには自分の力のみで状況を打破して見せよう。まぁ、そうなるには問題は山積みなのだが。
次に俺自身の問題だが、記憶に関する以外特に問題はない。胸元にデカイ傷痕が新たに出来ている事以外目立った外傷もなく、手足も思い通りに動かせている。今まで眠っていた…………いや、死んでいただけにやや体力が落ちていたが、何度もトールギスに乗っている内にそれも改善できた。トールギスに乗り込む時は最大限の性能を発揮出来る事だろう。
そしてその記憶についてだが、未だ思い出せない所が多い。何故グランゾンが大破しているのか、何故自分は死んでいたのか、何故蘇る事が出来たのか、思い出せそうで思い出せない。
けど、その中で幾つかハッキリとしている事がある。“喜びクソ野郎”日記に記されたこの単語、そしてこの単語に該当する人物。そいつだけは許してはならないと、奴だけはこの手で滅せよと、尋常ならざる怒りがふつふつと沸き上がってきてそれを忘れるなと本能が告げてくる。
そして……シオさん。彼女をサイデリアルから取り戻す。これもまた忘れてはならないモノだ。あの人は俺にとって大切な人の一人、泣かせてしまった事、心配させてしまった事、他にも沢山彼女に対して言うことがある。
以上の事を踏まえて大まかだが二つのやる事が認識できた。一つは喜びクソ野郎なる輩の排除、そして……サイデリアルの壊滅。
何だかシュナイゼルの頼みが序でみたいな扱いだが……まぁ、やる事は同じだから別にいいだろ。
大雑把になったが、目標が出来たので取り敢えず今回はこれで終わりにする。明日も早い、事態の進展に期待しながら眠ろうと思う。
◇
「いやー、こいつに色々書くのも久しぶりだな。いっそ新鮮な感じすらするな」
用意された寝床にて日記を書いていたシュウジは日記を掲げ、手にした手帳を見る。随分と使い古された手帳だ。これまで自分はどんな想いでこの日記に言葉を書き綴っていたのだろう。
早く思い出したいものだ。未だ思い出せない記憶にもどかしさと楽しみを抱きながら眠りにつこうとした時……ふと、シュウジの脳裏にある疑問がよぎった。
「……そういえば、何で俺、この日記を持ってたんだ?」
尋ねる様に口を開くシュウジ、当たり障りのない筈の疑問、しかし何か引っ掛かる。そうは思っても日記はシュウジの疑問に応える事なく、静かにシュウジの手の中に収まっていた。
久々の日記で内容も殆んどありませんが、こんな感じで飛ばして次に向かいたいと思います。
尚ギルターに対する評価。
周囲の人達:小者な卑怯者
ボッチ:シュナイゼル並の策略家
次回、レイライン。
次回もまた見てボッチノシ