【GOD EATER】短編集。   作:堤防道路

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ピクニック隊長が発した言葉が、ブラッド皆の絆をふかめるほのぼのしたお話です。
ちょっとだけ片想いの女の子が……
そこはオリジナルですけど。

※作中の"緋風ライム"は主人公の名前です。
私のゲームデータをそのまま使用しました。


ピクニックに行こう【GOD EATER 2】

【小説】ピクニックにいこう【GOD EATER 2】

 

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「まるでピクニックだな……」

 

フェンリル極地化技術開発局所属の特殊部隊『ブラッド』の隊長、ジュリウス・ヴィスコンティ。

落ち着いた金色の髪、整った紺色の服を着た青年である。仲間とともに任務を終えた彼が呟く。

 

「本当にピクニックならいいんだが」

 

そういいながら、ブラッドでは一番年長のギルバート・マクレインが目標だったアラガミ、ガルムからコアを抜き取る。

 

「いいねーピクニック、おでんパン持っていきたいなぁ〜」

猫耳のような髪型が特徴の、香月ナナが楽しそうに言う。

 

ギル「前から思ってたが、おでんパンって汁たれないか?」

 

ナナ「その汁が染み込んで美味しいんですね!」

そんな会話を聞いていた所で、ジュリウスの無線に通信が入る。

 

『こちらブラッドβ、これから合流するよ』

 

ブラッド副隊長、緋風ライムからだった。

 

ジュリウス「ああ、回収班も間もなく到着する。そっちが到着次第、帰投しよう」

 

ライム『りょーかいっす』

 

 

帰投途中、ヘリの中で。

 

「そりゃ無理だろナナー」

 

ブラッド一のムードメーカー、ロミオ・レオー二が言った。

 

ナナ「えーでも行きたいー」

 

ピクニック談義で彼らは盛り上がっていた。

 

ライム「んでも、ピクニックってなにすりゃいいんだ?」

 

ナナ「えっと、お弁当もって行くんだよ!」

良く分からない。

 

「それならレーションが……」

 

意見を述べたのはブラッドの頭脳とおっぱいのシエル・アランソン。的確な意見と思えたが……

 

ギル「あれを弁当と呼べるか?」

 

シエル「……それは無いですね。私としたことが」

 

そんな会話をしていた所で、意外な人物から言葉が出た。

 

ジュリウス「ならば、任務が終わったあとに、皆そこでサンドイッチでも食べるのはどうだ?」

 

ナナ「それいいよジュリウス!さんせい!」

 

ロミオ「お、確かにいいな!公園のとことか、空母んとこも景色いいよな」

 

ライム「サンドイッチってなに?」

 

シエル「薄切りのパンに、ハムやレタスやトマト、チーズなどを挟んで食べる料理ですよ。」

 

ジュリウス「元は貴族が遊びの最中に片手で食べたいが為のものだったらしいな」

 

ギル「お前物知りだな」

 

ライム「へぇ……じゃあジュリウス、誰かに作ってもらおうよ。誰にお願いする?」

 

ジュリウス「それは聞く必要が」

 

ライム「誰にお願いする?」

 

ジュリウス「……ムツミ……ちゃん?」

 

ライム(ジュリウスかわいい面白いやべぇ)

 

ジュリウス以外のブラッドのメンバー、さらに会話を聞いていたヘリの操縦士までが肩を震わせた。

 

 

数日後、ブラッド全員での、2チームに分かれた任務が再びやってきた。場所は黎明の亡都。標的はヴァジュラ、コンゴウ堕天、シユウとその堕天の4体とそのほか周囲に湧いた小型アラガミ。

そして、終了後には、例のピクニックが予定されていた。

 

ナナ「楽しみだな〜」

 

ロミオ「ナナそればっか」

 

シエル「その前にまず任務ですよ」

 

ギル「引き締めていくか」

 

ナナ「ラジャ!」

 

ライム「ジュリウス、編成どうすっか」

 

ジュリウス「ブラッドαが俺、ロミオ、シエルでβがお前とギルとナナ、でどうだ?」

 

ライム「OK、問題ないと思う」

 

ジュリウス「ところで、……アレは持ったか?」

 

ライム「もちろん。絶対忘れらんないよ」

 

ジュリウス「よし、それではブラッド隊、出撃!」

 

ライム(内心ぜってぇ楽しみにしてるよなジュリウス……素直じゃねーなまったく)

 

 

作戦開始から約一時間。ブラッドβ(ライム、ギル、ナナ)はシユウ種2体と交戦していた。

 

ライム「かッたいな!攻撃通んねえ!」

 

ナナ「どんどんいくよー!」

 

ライムはショートブレード、ナナはブーストハンマーでシユウとその堕天を一体ずつ相手をしていた。ギルは珍しく、リンクバーストと銃撃による援護を行い、遊撃的に立ち回っていた。

 

ギル「こういう動きも、勉強になるな」

 

ライム「せぁあっ!」

 

ライムの相手をしていたシユウの通常種がダウンする。

 

ギル「使え!」

 

ギルがもっていたアラガミバレットをライムに三連射で受け渡しをし、ライムがリンクバーストLv.3状態に。さらにギルが血の力"鼓吹"を発動し全員の攻撃力が上昇する。

 

ライム「終わりだッ!!」

 

ライムがブラッドアーツ"スパイラルメテオ"を発動、シユウの弱点の頭部に必殺の一撃を放った。

シユウが絶命する。

見ればシユウ堕天も、ナナの猛攻により既に瀕死状態だった。

 

 

一方、ブラッドα(ジュリウス、ロミオ、シエル)はヴァジュラとコンゴウを相手にしていた。

遭遇直後、シエルのスナイピングにより部位を破壊され、2体とも防御が脆くなっていた。

既にコンゴウ堕天は絶命。シエルの血の力"直覚"により、ヴァジュラも大分弱っていることが分かった。

 

ジュリウス「ここで一気に!」

 

ジュリウスが隙を突き、血の力"統制"を発動、全員がリンクバーストLv.1状態になり、自身はブラッドアーツ"疾風の太刀・鉄"により、一瞬でヴァジュラを切り刻む。

大きくのけぞったヴァジュラ。すかさずロミオが力を溜め、

 

ロミオ「いっけえええ!」

 

ヴァジュラの顔面目掛けて、チャージクラッシュを放つ。頭部を粉砕され、ヴァジュラは沈んだ。

 

ロミオ「よっしゃア!」

 

コアを回収、ジュリウスが別働隊に無線を繋ぐ。

 

ジュリウス「こちらブラッドα。標的を撃破した」

 

ライム『こちらブラッドβ。こっちも終わったよ。今から合流する』

 

ジュリウス「よし、待ってるぞ」

 

ライム『ああ』

 

 

数分後、両チーム合流した……のだが。

 

シエル「何故そんなに息が切れているのですか?」

 

シエルが聞くが、しばらくだれも答えられない。

 

ライム「いやさ……ナナがさ……早く行こう早く行こうって言ってブースト起動してさ……」

 

ギル「それでライムも……エリアルステップまで使って飛んできがって……」

 

ライム「ギルだってチャージグライドしまくってたじゃん……」

 

ロミオ「なんか凄い光景だなそれ」

 

神機使いの全力のかけっこ。

 

ジュリウス「フッ、なら早く食べるとしよう」

 

ジュリウスが笑う。

 

ナナ「さんせーい!」

 

シエル「どんなサンドイッチか、楽しみですね」

 

ロミオ「やっとだぜ〜」

 

ギル「任務終わりの一時、悪くねぇな」

 

ライム「場所どこにする?」

 

ナナ「そこの水辺の所とか」

 

ギル「図書館も悪くないかもな」

 

シエル「あ、シートかなにかあれば良かったですね……」

 

ロミオ「あーまぁしょうがないか」

 

ジュリウス「フッ……」

 

ライム「ジュリウスどした?」

 

ジュリウス「そう思って、シートを持ってきた。」

 

ライム「すげええええええええ」

 

ーーー

ーー

 

 

ブラッドのメンバーがアナグラに帰ってきたのは、その日の夕方だった。あの後、回収されたヘリの中で、別の場所でアラガミが発見、極東支部に向かって侵攻しているという報告が入り、急遽出動中だったブラッドに連続で任務がアサインされた。ヘリは進路を変え、ブラッドは廃寺エリアにてもう一つ任務をこなしたのである。

アイテムが補充できない環境においてのこの成果は、流石はブラッドと誇れるものであった。

 

ジュリウス「俺が報告をしておく。みんなは休んでくれ」

 

ライム「ん、ありがとなジュリウス。みんな、ラウンジ行こうぜ」

 

報告こそ任せたものの、ラウンジでジュリウスをまって皆でリラックスしようというライムのささやかな配慮である。ライムのこういうところが、ブラッドや極東支部のメンバーにも好かれている理由なのである。

 

 

「あ、ブラッドの皆さん、お帰りなさい」

 

元気な声。ここラウンジで料理を振舞う、千倉ムツミのものだ。9歳にして調理師の免許を持ち、その料理の腕前は神機使い、スタッフなどから大好評である。

 

ライム「ただいまムツミちゃん、今日はありがとね!」

 

ライムがサンドイッチのお礼を言う。他のみんなも口々に、ありがとう、おいしかった、などと言っているナナが「次はどこで食べる?」といい、ピクニック談義が再び巻き起こった。そこへ、

 

ムツミ「ねぇねぇ、ライムさん」

 

ムツミがカウンターに寄りかかっていたライムの袖を引き、こそりとライムを呼んだ。

 

ライム「ん?」

 

ムツミは声をおさえてライムに聞く。

 

ムツミ「……ジュリウスさんは、サンドイッチおいしかった、って、言ってた?」

 

ライム「あぁ、そりゃ---、」

 

ライムが言おうとして、ラウンジに入ってきた足音に気がついた。

 

ギル「お、報告ありがとな、ジュリウス」

 

ジュリウス「構わないさ。今回は少し状況が複雑だったからな」

 

ジュリウスの存在を後方に確認、さらにムツミをみると、若干頬が赤く染まっている。

ライムはニヤリと笑った。

 

ライム「ジュリウス!」

 

ジュリウス「ん?」

 

ライムが少し大きめの声でジュリウスを呼ぶ。少し場が静かになった。

 

ライム「ムツミちゃんが、サンドイッチおいしかった?だって!」

 

ムツミ「らら、ライムさん!」

 

他のメンバーは、流石はブラッド、何かを察し、黙った。

 

ジュリウス「……ああ、とてもおいしかった。また別の機会にも、作ってほしい」

 

そう言ってジュリウスは爽やかに笑った。

それを聞いてムツミは、ぱあっと明るい顔になって、

 

「あ、ありがとうございます!」

 

と笑った。

それを見ていたラウンジの他の神機使い、スタッフは、

 

(ムツミちゃんマジかわいいわぁ)

(ジュリウスさん羨ましぃ……)

(これは、意外な人物が……!)

 

などと考えていたとか。

 

ジュリウス「……ん、何だどうした?」

 

ジュリウスが他のメンバーの様子に戸惑う。

 

ロミオ「いやぁ?なんでもないですかもねぇ?」

 

ギル「ロミオ顔ニヤけてる上に言葉がおかしいぞ」

 

シエル「このサンドイッチ、メニューに追加してみては?」

 

ナナ「シエルちゃんナイスアイデア!ブラッドお墨付き、特製サンドイッチ、とか!」

 

ライム「良かったな、ムツミちゃん」

 

ムツミ「うん!」

 

ラウンジは、明るい声に包まれた。

 

 

end.




ムツミちゃん可愛いです。
ラウンジでご飯食べてる人達は幸せですよほんとに。
そこにジュリウスをくっつけてみたらなんかすごい妄想が進みましたw
こんかい、皆をたくさん喋らせるよう意識しました。下手するとジュリウス黙っちゃいそうで…(^_^;)
ブラッドは家族、みたいなのも意識して書きました。ラケル先生、これでいいですか?

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