ナナミは戻ってきたレオリオに説明をする。
「あれは斬撃を飛ばしたんです」
そう言ってナナミは右手を前に出し、その手がブレる。
ズザンッ
リングの方で斬撃音がし、落ちてたロウソクが浮き上がる。
そして次はナナミの両手がブレる。
「ロウソクが十字に!!」
四つに切り分かれるロウソクを見て皆が納得する。
「それで試練官のロウソクを切り落としたわけか」
「はい、・・・バレないように上手くやったつもりだったのですが、・・・すみません」
「あ、いや、・・・まぁ、ナナミは勝つためにやってくれたことだしな、気にすんな」
「ですが・・・」
「ナナミが手を出さなくでもレオリオが負けてたって」
「・・・否定はしねーが、オメーが言うな!」
キルアの言葉につこっむレオリオ
「終わったことはしかたない、時間制限があるんだ、次へ行こう」
「もう負けられないね」
ゴン達が早くも2敗、残り3戦を全勝しなければならない。
「次は私が行こう」
「クラピカさんがいきますか・・・汚名返上のために私がいこうかと思ったのですが」
「この場合最後の方が汚名返上になるんじゃね」
「・・・・・・それもそうですね、では私は最後にします。もしお二人のどちらかが負けたとしてのも私に文句はありません」
「そんなに気にすることないのに」
「ならば、次は私、4戦目はゴン、5戦目がナナミの順番で行くか。ゴンもそれでいいな」
「うん」
残りの勝負の順番が決まり、クラピカが橋を渡る。
三戦目の試練官はマジタニ。
マジタニはデスマッチを提案し、不気味な顔と屈強に見える体、さらに仕掛けをした右手で床を砕いたり、
背中の蜘蛛の刺青(偽)を見せることで相手を戦意の喪失を狙うが、蜘蛛の刺青にブチ切れたクラピカにあっさりK.Oされる。
戻ってきたクラピカは幻影旅団の恨みから、普通の蜘蛛を見ただけ逆上して性格が変わる事を説明する。
「クラピカには蜘蛛は見せないようにしようね」
「うむ!」
「よし!次は俺だね、相手は誰?」
気合をいれてリングに進もうとするゴン、だが試練官の一人レルートがそれを止める。
「残念だけど今の勝負、まだ決着がついてないわ」
「?・・・どういうこと!?」
そのレルートは橋を渡り、横たわるマジタニに近づき、
「・・・・・・気絶しているだけ」
生きていることを確認して言った。
「勝負はデスマッチ!! 一方が負けを宣言するか、死ぬかするまで戦うと決めたはず。彼はまだ生きているし、負けも宣言していない」
このレルートの屁理屈を聞いて、レオリオがクラピカに止めを刺す様に言うがそれをクラピカは断る。
クラピカとレオリオが口論になり、キルアも混ざるが結局マジタニが起きるのを待つこととなった。
そのまましばらく待つが起きる気配を見せないマジタニにキルアが
「あのさ、もしかしてあいつ・・・死んでるんじゃないの?」
「死んでる?」
それ聞いてレオリオはマジタニを見るが、よく見えない為、確認を要求する。
「さっきも言ったでしょ。彼は気絶しているだけよ」
「あれから何時間たってると思ってるんだよ。とてもお前の言葉だけじゃ信用できねーな」
「それじゃ賭けましょうか? 彼が「生きている」か「死んでる」かで」
「賭け!?一体何を賭けるってんだ?」
「時間よ」
レルートが時間をチップに賭け勝負を提案する。
「でも勝負するのはあなたではなく、残りの二人のうちのどちらかだけどね」
「賭けとかやったことあるか、ゴン」
「島の漁師さんがやってるのを見てたことはあるけど、ミトさんがダメっていうからやったことない」
ゴンに賭け勝負とかミスマッチだと考える他の四人。
「ナナミは?」
「私も賭け事はやったことありません、交代してもいいですが・・・」
「オレやるよ」
「・・・そうだな、イカサマには気をつけろよ」
「うん、わかった」
素直な返事をして前に出るゴン、その素直さがこの場合不安な4人。
「よーし、勝負を受けるよ」
「オーケー」
レルートはどちらに何時間賭けるかを解いてきた。
「う~ん・・・生きてる方に10時間かな。死んでてはずれたとしても、クラピカの勝利が確定するしね」
言ってることはそのとおりだが、賭け勝負で思ってることを口していることにさらに不安になる他の4人。
「それじゃ確認してもらいましょう」
橋が掛かり、ゴンがマジタニの脈を確認する。
「生きてるよ~!」
ゴンがみんなに向けて言う。
「ね、気絶しているだけでしょ?」
これでさきほどの賭けはゴンの勝ちとなり、掲示板にチップ替わりの時間の数字が40:60と表示される。
ゴンがリードしたことで喜ぶとこだが、マジタニがそのまま起きずに残り時間が過ぎるほうがマズイことに気づく。
「さぁ 次はアンタの番よ。賭けの内容を決めてちょうだい」
「う~ん・・・じゃコインの裏表を当てるのは?」
ゴンは単純な賭けを提案する。
「もちろんいいわよ」
「じゃあ、決まりだね! キルア俺のカバン取って」
「でも投げる前にコインの確認をさせてもらうわよ」
「うん!」
キルアから渡されカバンからコインを取り出し、ゴンはレルートに渡す。
「エラく単純な勝負を提案したな。何か考えでもあるのかゴンは?」
「ゴンに限ってそれは無いだろ」
「ねーだろうな」
「ありませんね」
信頼の厚いゴンであった。
「問題はないわね。でも念のためコインは手で受けるのではなく、床に落とすようにしてくれるかしら」
「わかった、裏表どっちにする?」
「裏で10時間賭けるわ」
「よし、じゃあ投げるよ」
そしてゴンがコインを上に跳ばし、
チャリーン
落ちたコインは、
「やったー!表だ」
「ふふ、やるわね」
素直に喜ぶゴンとハズレたのに余裕のレルート
時間の数字が30:70と表示される。
「一応優勢だな」
「今のは本当に唯の運だが、次あたりなにか仕掛けてくるかもな」
賭け勝負を言い出してきたからには、運勝負などしないだろうと考えるクラピカ。
「次の賭けに行きましょうか」
「どんな賭けをするの?」
「そうね、それじゃ」
レルートはフードをとる
「あたしが男が女か賭けてもらうわ」
「男か女かを賭ける?」
レルートの見た目があきらかに女性、それをなぜ賭けにするのかわからず首を傾げるゴン。
「ちょっとまて、それゴンがハズレた場合、どうやって確かめる気だ?」
賭けの内容を聞いて質問したのはレオリオだ。
「気が済むまで調べればいいわよ。あたしの体をね」
「・・・おいゴン、男に賭けろ。調べるのは俺がやってやる」
「え?なんで」
「そりゃ~おめぇ~、ぐっへっへ」
ガスッ
「ぐはぁっ!!?」
レオリオの頭にクラピカの武器がめり込む。
「レオリオの言うことはほっとけ、ゴンが決めろ」
「え~と、うん、わかった」
そしてゴンはレルートを観察するように見て、
「女の人に10時間」
「・・・本当にそれでいいの?」
「うん」
「本当の本当にそれでいいのね?」
「うん」
「本当の本当の本当に・・・」
「女の人でいいよ」
「・・・・・・・・・チッ、正解よ」(さすがに子供過ぎたか)
「やったー!!」
これで20:80、次はゴンが賭けの内容を決める番となる
「次は何にしようかな」
ウーンと唸りながらなかなか良い案が浮かばないゴン。
「では、こちらはクラピカさんが男か女かを賭けてはどうでしょう?」(^^)
「ちょっ!?、ナナミ!!?」Σ(゚□゚(
「それだ!!」(ノ゚ο゚)ノ
「ゴン、何を言っt」∑( ̄ロ ̄(
「女に10時間よ!!」(/ ̄^ ̄)/
「だから、待てと言っt」ι(`ロ´)ノ
「本当にそれでいい?」(^-^ )
「ええ!」( ̄^ ̄)
「正解は~、・・・・・・クラピカどっち?」(・・?)
「男に決まっているだろ!!」(`Д´)
「本当なの?、確認させてもらうわ」( ̄ロ ̄)
「どうぞどうぞ」LL(゚^゚ )LL(゚^゚ )LL(゚^゚ )
「やっ、ちょっ、やめろ」(゚A゚;)
「じっとしてなさいよ!!」(`Д´)
「いや~!!」(/ω\*)
そんなわけで掲示板の数字が10:90となる。
「・・・なんで私がこんな目に」
「予想外にゴン君が圧倒してますね」
「ああ、さっきのは相手の自滅だけどな」
いじけているクラピカをよそに、始めは不安だった賭け勝負はゴンの連勝でリーチとなっていた。
「おい!もう後がないぞ」
「大丈夫よ」
ベンドットの言葉にこの状況でも余裕を崩さないレルート。
「次は何で勝負する?」
「カードゲームで勝負しましょう」
「うん」
「では試験官、トランプを用意してくれるかしら」
少し待ってトランプが用意される。
『そのトランプに仕掛けはない、試験官として保証しよう』
「ゴン、それでも相手の手の動きに注意しておけよ」
「うん、わかった」
「心配しなくてもイカサマなんてする気はないけどね」
「賭けるのは10時間で」
試験管が言う以上カードに仕掛けがないのだろう、そしてゴンが注意していればそう簡単にはイカサマはできないはず、しかし。
「これは・・・マズイですね」
「「「ああ、マズイな」」」
皆の予感通り
「はい、これで私の勝ち」
「うぅ・・・」
他の四人の想像通り、ゴンの負け。
真っ直ぐで単純なゴンは思っていることが顔に出やすく、カードゲームには不向きだった。
「後の勝負、同じような顔に出やすい勝負方法でくるだろうな」
「まずいだろ!!どうすんだよ!?」
「手出しできねぇんだから、ゴンに任せるしかないだろ」
「そうですね。ゴンくんに任せましょう」
次はゴンがゲームの内容を決めるターン、ゴンはしばらく考えてから。
「ジャンケンでもいいかな?」
「いいわよ。私は自分が勝つ方に残りの20時間をかけるわ!!」
自分のターンでほぼ確実に勝てるのに、ジャンケンに残りのチップを全部賭けるレルート。
それも相手の動揺を誘うため、これまで子供相手だから、嘗めていたが、本気でやれば勝てるとレルートは思っている。
ジャンケンも最初のコイン同様、特に考えもなく思いついた分かりやすり勝負を提案しただけだと。
しかし、ゴンにとってジャンケンだけは違った。
「「最初はぐー!ジャンケン、ポン!!」」
ゴンはチョキ、レルートはパー。
「っ!?・・・」
「やった~、勝ったよ!!」
両手を挙げてみんなに報告するゴン。
「よっしゃ~!ヒヤヒヤしたぜまったく」
「結果だけ見れば圧勝と言える」
「運が良かっただけだけどな」
「ふふっ・・・運も実力のうちですよ」
レルートは呆然と自分の出したパーを見ていた。
「何全部掛けて、あっさりと負けてんだよ!?」
ベンドットの怒りは当然であるが、心理戦の要素もあるジャンケンでならレルートは十分な勝率があると見込んでの賭けだったのだ、しかし先ほどのカードゲームと違い、ゴンは自信に満ちた顔をしていた。
(・・・イカサマ?、しかし、ジャンケンでイカサマなんて)
レルートが思いついたのは、
「後出しよ!」
「え!?」
レルートに確証はなかった、しかし考えられるのはそれしかないから発した言葉だ、その言葉にゴンは明らかに動揺していた。
「オ、オレ後出しなんてしてないよ」
「おい!難癖つけてんじゃねーよ」
「難癖ではないわ」
「証拠でもあんのかよ」
「無いわよ、だからやり直しするしかないわね」
「ふざけんな!!」
確かに証拠はない、しかしイカサマをしていない証拠もないのだ、難癖と言われようと、時間をかけたくない受験者側はいずれは折れなくていけない、というのがレルートの考えだった。
「試験官さん判定していただけませんか?」
そう言ったのはナナミ。
今回の勝負も試験官は見てたはず、正確な判断ができるだろう。
「二戦目で口を出したのですから、今回はしないとは言わないですよね」
『・・・・・・わかった、少し待て』
痛いところ突かれたからというわけではないだろうが、試験官が了承する。
そして少しの間があって、
『私が見たところ、後出しはしていない、よってこの勝負、受験者側の勝利!』
「やった~!!」
「くっ!、・・・でもまだ三戦目の決着は着いてないままよ、せいぜい彼が起きるのを祈るのね」
悔し紛れにそう言って戻っていくレルート、ゴンも橋を渡りみんなのところへ戻る。
レルート言う通りマジタニがずっと気絶していたら時間がなくなる。
だがそれは杞憂となる。
なぜなら、
「ちょっと何を!?」
レルートの声を無視し、フードを着たままの試練官が橋を渡る。
マジタニの近くにまで行ったその者は、頭部を掴んで持ち上げ、そして、
「え!?、ま、まt!!?」
グシャッ!!!
「さぁ、五戦目をはじめるぞ」
最後の試練官、ジョネスがマジタニの頭部を握り潰したからだ。