メンチは電話でハンター協会会長の秘書に試験の結果を報告していた。
「とにかく、あたしの結論は変わらないわ!」
メンチが電話と受験者にたいして言い放つ。
「二次試験後半の料理審査、合格者は1名!!よ」
メンチの試験で合格出来たのはナナミだけだった。
ズズズッ
「受験者が私一人だけになりますが、あとの試験はどうなるのですか?」
お茶を飲みながらナナミがメンチに聞く。
「・・・うーん、多分次で最終試験になるんじゃないかしら、予定していた三次以降の試験は一人では無理でしょうし。ひょっとしたらこのまま合格ってこともあるかもね」
ズズズッ
「それだと楽でいいですが」
ナナミ的には残念なことに試験は終わりにはならなかった。
あの後、255番のレスラーが暴れて、ブハラぶっ飛ばされたり、飛行船からハンター協会の会長が飛び降りて来たりと、色々あった結果、二次試験は再試験となった。
再試験の内容は谷の間にあるクモワシの卵を獲ってくるというものだった。
グツグツ
スシは作れなかったゴン達もこの試験は楽勝だったようで、獲ってきた卵を大釜で茹でていた。
ちなみにナナミはスシの試験で合格していたので、卵獲りを免除されていた。
「う・・・うまいっっ!!」
「濃厚でいて舌の上でとろける様な深い味は、市販の卵とははるかに段違いだ!!」
クモワシの卵を食べた試験者は皆その味を絶賛していた。
「ナナミー、はいこれクモワシの卵、あげるよ」
「ゴン君、・・・私の事は気にしなくてもいいのですよ。せっかく獲ってきたのですから自分で食べてください」
「オレはさっき食べたんだ、これはスシの作り方を教えてくれたお礼、結局最後までナナミみたいにうまく出来なかったけどね」
「・・・・・・そうですか。それではありがたく頂きます。ありがとうゴン君」
ナナミはお礼を言って卵を受け取る。
「何だ、ゴンもナナミに卵獲ってきたのか」
「考えることは皆同じだな」
「別に俺は借りがあるのが嫌なだけだけどな」
レオリオ、クラピカ、キルアもスシのお礼に卵を獲ってきていた。
「あらあら、皆さんまで、ありがとうございます・・・・・・そういえば私、殿方から何か物をもらうのは、これが初めてです」(^^)
「へー、ちょっと意外だな」( °o°)
「そうだね、ナナミ美人なのに」(⌒_⌒)
「・・・ゴン、よく恥ずかしげもなくそんなこと言えるな」* ̄д ̄*
「否定はしないがな」( ̄  ̄)
「ずっと島暮しでしたからね・・・・・・あ、これがゾクに言う逆ハーレムですか?」(^^?)
「「「ちげーよ」」」( ̄□ ̄)
第二次試験 後半メンチの料理合格者 42名
キルアはイラついていた。
三次試験会場へ飛行船での移動の最中、会長の提案でボール取りゲームをすることとなった。
会長が只者ではないことは一目見てわかっていたが、右手、左足使わない状態でゴンと二人がかりでも取れないとなるとムカツきもする。
ゴンはまだ続けているが、キルアはボールを取るのを諦めてゲームを降りた。
「くそー、スッキリしないなー」
ドン
そんな状態で廊下を歩いていたため、気配に気づかず曲がり角で人ぶつかってしまう。
キルアはイラつきのままに殺ってしまおうと手を動かすが、
パシっ
「なっ!?」
攻撃はあっさり止められ、反撃の手刀がキルアの首に添えられる。
「あら?、キルア君」
「な、ナナミ!?」
キルアがぶつかった相手はナナミだった。
「危ないですよ、ちゃんと前を見てないと」
ただぶつかったことを注意ているような言葉だが、今もキルアの首にはナナミの手が添えられている。
「もう少しで首を刎ねてしまうところでした」
「わ、わりぃ、ちょっとゲームに負けてイライラしてて」
「フフっ、お子様ですね。まだ試験はあるのですから、早く寝たほうがいいですよ」
ナナミは手を離し、「おやすみなさい」といって廊下を歩いて行った。
「・・・・・・ふぅ」
ナナミが見えなくなったところで、キルアは緊張を解いた。
体から先ほどまでとは違う嫌な汗が出る。
伝説と言われるゾルディック家の暗殺者として育てられたキルアは、相手の実力を見抜くのも一流だ。
自分より強い実力者だったら、普通ぶつかった瞬間にわかるし、攻撃などしない。
でも普段のナナミからは、全く実力を測れない。
「ほんとに、何者なんだ」
そうつぶやきつつ、ほとんど無意識にキルアはナナミとは戦わないことを決めた。
「ここが三時試験のスタート地点になります」
飛行船で案内されたのはトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんだった。
「さて試験内容ですが、試験官の伝言です」
豆のような顔を会長の秘書が試験内容の説明をする。
「生きて下まで降りてくること、制限時間は72時間」
第三次試験参加人数42名
「それではスタート!! 頑張ってくださいね」
試験開始。