ブラック・ブレットー白き少女ー   作:虚無龍

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 思ったより執筆スピード上がんなかった…………

 そしてサブタイが思い浮かばなくなってきた

orz


「今、幸せ?」

 アリスが未踏査領域についた頃には、民警の乗っているヘリが飛んでいるのが見えた。

 

「…………蓮太郎、まだ戦意が残ってるかな? 普通はあれだけボコられたら立ち向かわないだろうけど」

 

 しかし、アリスは口ではそう言いつつも、蓮太郎が絶対に再び影胤の前に立ちはだかるのを予感していたのだった。

 

「まあ、具体的には分からないけど、蓮太郎と影胤はなんらかの繋がりがあるらしいし」

 

 少し影胤と蓮太郎の接点について思案してみたが、特にこれといったことは思い浮かばなかった。

 

「…………今、ヘリから降下したの蓮太郎だよな。話題にしてたそばから現れるとか、エスパーかよ」

 

 そう言ってから、歩き出してしばらくたった頃、アリスの目にそれは映った。

 

「青白い光?」

 

 それは短く点滅するライトパターンの様に見えるものだったが、未踏査領域に出るに当たって、解放した鋭敏な五感を騙すことは出来なかった。

 

「腐臭と…………死臭? なんらかのガストレア…………推定ステージはⅢって所か」

 

 それがガストレアだと言うことに気が付いたアリスは触らぬ神に祟りなしとでも言うかの様に迂回していこうと踵を返したその時、

 

「将監さん、あのライトパターンは」

 

「ああ、味方かも知れねぇな。一応行ってみるか」

 

 そう言ってガストレアに近づいていくペアがいた。

 

(おいおい、普通に考えたら、あんな色のライト誰も使ってないことくらい分かるだろ!)

 

 嫌な予感がして、危険をおかしてペアに忠告しようとしたが、既に手遅れだった。

 

 

 ドォォォン!

 

 

「なっ!?」

 

 民警のペアがガストレアの罠にかかり、イニシエーターの方が装備していたショットガンの合体装着(アドオン)タイプのグレネードランチャーユニットから榴弾を発射したのだった。

 

 その結果…………

 

 

 グォォォ!!!

 

 

「クソッタレ! 巻き込まれ損だよ畜生!」

 

 大量のガストレアが集まって来て、その約半数がアリスに向かって来たのだった。

 

 アリスとしてはあまり目立ちたくないと思っているので、ガストレアを皆殺しにして誰かに姿を見られるのは避けたい為、逃走を選択したのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ、占いに生存運って項目があったら多分、『生きる事を諦めましょう』って書かれるレベルだな。…………不幸だ」

 

 某幻想殺しの様なことを言いながら未踏査領域を歩いていると、防御陣地(トーチカ)を見つけたのだった。

 

 ガストレア大戦時に築かれた防御陣地(トーチカ)はそこら中にあると言うほど多い物ではないが、さして珍しい物でもないので、アリスはスルーしようとしたのだが、

 

「ん? 血の匂い?」

 

 それは防御陣地(トーチカ)の中から匂って来ていた。

 

 ガストレアかも知れないと思い、何時でも《狐龍刀》を抜ける様に居合いの構えを取ろうとしたが、同時にパチパチと薪が()ぜる音が聞こえて来たのでガストレアではないと分かった。

 

 しかし、危険な人物ではないという保証はないので、愛用のバタフライナイフを構える。

 

 そしてそのまま突入すると、いきなりショットガンを突き付けてきたので、銃口近くを手で払い照準を反らし、相手ごイニシエーターであることを確認し、持ち前の身体能力と体術で瞬時に後ろに回り込み、首にナイフを突き付けた。

 

「なっ!!」

 

「はい、動かないでねー」

 

 相手の無力化を済ませ、改めて相手の姿を見てみたアリスは片腕にある獣にでも噛みつかれた様な傷口を見て、

 

「ちょっと、怪我してるじゃん! 銃おろしてこっち向いて。取り合えず応急処置するから」

 

「えっ? いや…………」

 

「いくら『呪われた子供達』でも痛いものは痛いんだから!」

 

「いや、私あなたに銃口向けて…………」

 

「つべこべ言わない!」

 

「…………はい」

 

 これがアリスと千寿夏世のファーストコンタクトだった。

 

 

ーーーーーーーー応急処置中ーーーーーーーーー

 

 

 アリスは応急処置している間にこれまでの夏世の状況聞いた。

 

「ふーん、じゃあ森であいつに榴弾撃ったの夏世なんだー」

 

 ジト目で言ってくるアリスに夏世は気まずそうに目をそらした。

 

「はい…………なんというか…………すみません。て言うか、殺人よりもそっち?」

 

 現在の状況を簡単に説明すると、夏世は正座させられてアリスに怒られていた。

 

「まあ、過ぎた事はもう良いけどさ」

 

 しゅんとして涙目でうつむく夏世を横目で見ながらアリス。

 

 しかし、その怒った態度とは裏腹に、アリスの思考状況はというと、

 

(なにこの生き物、かわい過ぎる! 癒される~)ゴクリッ ハァハァ

 

 性別と年齢次第ではブタ箱間違いなしの状態になっていた。

 

 前にマンホールチルドレンと一緒に居たときにもこの挙動不審な所はあったのだが、これは一種の病気であった。

 

 人々はこの症状の病気をこう言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『RO・RI・KO・N』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、アリスはその性別と年齢の関係から犯罪にはならない…………その点においては、他の『RO・RI・KO・N』よりも悪質だと言える。

 

「…………ちょっとこっち来てくれる?」

 

「?」

 

 夏世が訳もわからないまま取り合えず寄っていくと、

 

「うわぁ! なにするんですか!?」

 

 アリスが膝の上に夏世を乗せ、後ろから抱き締めた。

 

 夏世は困惑していて、アリスは恍惚とした満足げな顔をしていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 しばらくそのまま夏世をなで回したり、頬擦りしたりしていたが、ようやく本題に入ろうとしていた。

 

「まあ、この体勢はいいとして」

 

「良くないですよ!」

 

 もちろんその体勢のままで。

 

 そして渋々アリスが夏世を離した。

 

 すると、一転してアリスは真面目な顔になり、夏世も雰囲気で察したのかだまって話を聞きはじめた。 

 

「夏世はさっきプロモーターに命令されて途中で会った民警ペアを殺したって言ったよね?」

 

「っ! …………はい」

 

 一気に暗い顔になった夏世を見て、アリスは続きを話はじめた。

 

「で? 夏世自身はどう思った?」

 

「どうと思ったかと言われても、イニシエーターは殺す為の道具です。そこに本人の感情など関係ありません」

 

 するとアリスは、ため息をついてから質問を変えた。

 

「じゃあ、端的に言って…………今、幸せ?」

 

「っ!! ………………………………ですか」

 

「そんな小さな声じゃ誰にも届かないよ。もっと大きい声で言ってごらん」

 

 アリスが夏世に優しく諭す様に言ってあげると、夏世の中の何かが崩れた。

 

「幸せなわけないじゃないですか!」

 

 俯き、下を見ながら夏世は叫ぶ。

 

 地面をみると、水滴が落ちた様な跡がいくつもあった。

 

「私だって殺人なんかしたくないです! だけど、プロモーターに逆らったりしたら…………。それともあなたは私を今すぐ助けてくれるんですか!? 無理なんですよ! 誰にもどうすることも出来なっ…………!」

 

 その言葉の続きはアリスが夏世を強く抱き締めたことによってつづけられることはなかった。

 

「…………そうだね。私には少なくとも今すぐ夏世を助けてあげたりすることは出来ない。だけどね、夏世を今こうして慰めてあげる事くらいはさせてよ」

 

「うぅ…………うわぁぁあん!!」

 

 夏世はしばらくアリスにすがりつく様に泣き続けた。




 アリスが『呪われた子供達』に対して優しいのは半分は『RO・RI・KO・N』のせいで、もう半分は時機に明かします。

 後、三、四話で一巻終わります。

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