ブラック・ブレットー白き少女ー   作:虚無龍

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 今週と来週で補講が終わるので、そしたら投稿ペースが上がると思います。

 後、オリキャラに関するアンケートの選択肢を少し変更したので、古い方をやった人はもう一度確認してもらえると助かります。


雑魚を処分するだけの簡単なお仕事です

「さてと、どうするかなぁこれ」

 

 アリスは、影胤からの仕事を果たそうと未踏査領域の目的地に着いてグリューネワルトに作って貰った音響手榴弾を使い、ガストレアを集めたのだが、

 

「集まりすぎだろ…………」

 

 アリスはステージⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳが入り交じった100を越える群れに囲まれていた。

 

 それもそのはず、人の近くに転がして爆発させると、二、三分はほぼ完全に耳が聴こえず、数時間は耳鳴りが止まないほどの威力をもった音響手榴弾である。

 

 数キロ先まで鳴り響いて、その範囲内にいるガストレアが大挙してやってきたのである。

 

 民警で言うならば、IP序列1000番台であろうと生存率は0%であろうこの状況下でもアリスはいたって落ち着いていた。

 

「帰ったらもう少し威力を抑えたやつ作って貰おう」

 

 そう言ってアリスはずっと手に持っていた太刀『狐龍刀(こりゅうとう)』を抜き放った。

 

「こっちのほうが雑魚には効果的だしね」

 

 その言葉を理解したのかは定かではないが、ガストレアはアリスに向かって、猛然と突進を開始した。

 

 ガストレアはステージが進めば進むほど、様々な生物のDNAがまざって、元のモデルが全くわからなくなっていく。

 

 ステージⅢを越えると、もう外見的な特徴によっての判別はほぼ不可能だ。

 

 そして、例外なくガストレアは、『ステージの数=強さ』と言われている。

 

 何故なら、ステージが進めば進むほどに、ガストレアは巨大になっていき、その巨体を支える為により力強く、より硬くなっていくからだ。

 

 その中で、上位に当たる推定ステージⅢの数メートルの巨体のガストレアとアリスが交錯し、ガストレアがずれた(・・・)

 

 周りのガストレアは何が起こったかわからない様に、顔をしばらく見合せていたが、アリスが振り抜いた狐龍刀が紅く染まっているのと、ガストレアの切断面が異様に綺麗に切れているのを見て、ようやくアリスが斬ったのだと理解した。

 

「ふふふ、まだ一体が逝っただけでしょ? まだ百体はいる。さあ、もっと立ち向かって来いよ! 手足が無くなってもお前らなら生やせるだろ? さあ、お楽しみはこれからだ。ハリーハリーハリーハリーハリーハリー!」

 

「クゥゥゥン!!」

 

「みゃぁぁぁ!!」

 

「テケリ・リ、テケリ・リ!!」

 

 今のアリスの威圧感溢れる某チート吸血鬼の様な言葉に様々な鳴き声…………と言うか悲鳴を上げながら全てのステージⅠと数体のステージⅡのガストレアは逃げ去ってしまった。

 

 …………最後の鳴き声は聞こえなかったことにしよう。

 

 しかし、アリスは大漁のガストレアが逃げ去ったのを見て、

 

「あ、やっちゃったよ。()が減っちゃったよ。揃いも揃って皆ビビりだなぁ」

 

 むしろ残念がっていた。

 

「じゃ、続けよっか♪」

 

 

 クギャァァァ!!!

 

 

 その日一日はガストレアの悲鳴が響きわたっていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 ブゥゥゥン ブゥゥゥン

 

 

「なんか用? 影胤」

 

『いや、仕事を頼んでおいて悪いのだが、少しこっちに戻ってきて手伝ってくれないかい?』

 

「影胤と小比奈ちゃんだけでも大抵のことはなんとかなると思うんだけど、なんかあったの?」

 

『いや、少し蓮太郎と話がしてみたくてね。『七星の遺産』を奪取するついでに、私が蓮太郎と接触するから、その間、他の民警どもを引き付けておいてくれ。ガストレアの駆除は後回しで構わない』

 

「ガストレアならもう、あらかたやっちゃったよ」

 

『…………』

 

「ガストレアならもう、あらかたやっちゃったよ」

 

『…………』

 

「ガストレアな」

 

『いや、もういい。…………いくらなんでも速すぎないかい?』

 

 アリスが言った通り、既に周りにはガストレアが大漁に事切れた状態で転がっていた。

 

『威圧的に少しだけ(・・・・)叫んだら、半分位逃げちゃったから、そこまで殺ってないけどねー』

 

 嘘はついていない。ただ、基準がアリスの感覚になっているせいで、おかしく感じるのだ。

 

「とにかく戻ればいいんでしょ?」

 

『ああ、明日決行だから急ぎ過ぎ無くてもいいぞ』

 

 

 ピッ

 

 

「蓮太郎と接触ねぇ。仲間への勧誘は失敗したから、もう興味は失せたと思ってたんだけど、なにか思うことでもあったのかな?」

 

 アリスは多少その場で思考に耽っていたが、周りの大漁のガストレアの死体に目を落とすと、

 

「まあ、その辺はあとで本人に聞けばいっか。それよりもまずは…………」

 

 

 

 

「いただきます♪」

 

 

 

 

 

 アリスが東京エリアへと帰還を開始したとき、既にその場にはガストレアの痕跡はほとんど無かった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「パパ、アリス斬っちゃだめ?」

 

「だめだといつも言ってるだろうが」

 

 翌日、影胤はアリスとの合流地点であるアリスの寝床(外周区の廃屋)を訪れていた。

 

「つまんなーい」

 

 しかし、早くも小比奈が退屈していたのだった。

 

「影胤? もう来てたの…………って小比奈ちゃん何してるの?」

 

 部屋の隅っこで体育座りをして、ひたすら床に「の」の字を書いている小比奈を見てアリスは少し引いていた。

 

「この子はじっとしてることが大嫌いでね…………本当に困った事だよ」

 

 こりゃ暗殺者には徹底的に向いてないなとアリスは思った。

 

「それで? なんで蓮太郎と接触するの?」

 

「ああ、彼の所の社長が私の後援者について嗅ぎまわっていてね。正直うっとおしいし、後援者からも早く片をつけろと催促されたものだからね」

 

「つまり見せしめ(・・・・)ってこと?」

 

「まあ、平たく言えばそうなる」

 

 アリスは少し考える素振りを見せたが、

 

「ま、私は邪魔が入らない様に他の民警の妨害してればいいんでしょ?」

 

 と、呆気からんとした様子で言ったので、流石の影胤も驚きを禁じ得ない様に、

 

「…………君は蓮太郎君が死んでもいいのかい?」

 

「私の持論の一つに『引き金を引いていいのは、引き金を引かれる覚悟がある者だけだ』でね、まあ、『人を殺していい者は、殺される覚悟を持っている者だけだ』みたいな感じで、似てるものも結構あるけどねー」

 

「随分とドライな考え方だね」

 

「お互い様じゃない?」

 

 ふふふふふ、と怪しげな笑い声を互いに上げると、後ろから、

 

「…………まだー?」

 

 と低い声で小比奈が言ってきたことで、二人は冷や汗をかいて話を早めに切り上げることにした。

 

「…………それで? 必要な物は?」

 

「SVDドラグノフ狙撃銃と狙撃するためのヘリ。人員はこっちで用意するから要らない」

 

「OK。用意しておこう。後、今から拠点に帰るのと何だし、止まっていってもいいかね?」

 

 アリスは「いいよ」と、言おうとしてから思いとどまり、小比奈の方をじっと見つめるてから、

 

「条件付きで許可してあげる♪」

 

 そんなこんなで夜は更けていった。

 

 え? その後どうなったかって?

 

 簡単に言うと、二人は泊まっていって、小比奈は条件を呑んだ影胤を恨みのこもった目でみてたよ⭐




 アリスはバトルジャンキーではないので、積極的に戦闘はしないし、むしろ避けることも多いです。

アリス「苛ついてボコる時もあるけどねー」

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