ブラック・ブレットー白き少女ー   作:虚無龍

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 今回出てくる登場人物書きにくい…………

 後、ちょっとしたアンケートをするので、よろしければ活動報告を覗いて貰えると嬉しいです。


組織

 完全に日が暮れた頃。

 

 アリスは『NO.0013』という数字が描かれているモノリス。

 

 十三号モノリスの足元に来ていた。

 

「ほんとにここ、遠すぎるって。もうちょい何とかなんないのかね? 私じゃなかったら、たどり着けないぞ」

 

 アリスはモノリスに近づいていき、触れられる位に近づくと、懐からカエデの葉をかたどった鍵を取りだし、そこに差し込み回転させる。

 

 わずかな解錠音がした後、音もなく開く。

 

 アリスはなれた様子でごく自然に入っていった。

 

 

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 中には一軒家ほどの小さなドーム状に地盤が抉れており、そこにはいつもつかっているライトレール輸送(LRV)があり、中に乗り込むと運転手が運転席に座っていた。

 

「あれ? いつもは誰もいないから自分で動かしてたんだけど、今日はいるんだ?」

 

 アリスがそう言って運転席に座っている男に話し掛けると、

 

「あ! 白狐さん! はい、今日は今からちょっと、色々な人が来るので」

 

「色々な人? 誰だろ」

 

 そう言ってしばらく席に座っていると、やがて人が来た。

 

「ん? アリスじゃないか。君も召集を受けたのかい?」

 

「お、悠河じゃん」

 

 今、アリスに話し掛けて来たは巳継悠河。アリスが協力しているこの組織の中で、比較的仲がいい人物である。

 

「ここでは悠河じゃなくて、『ダークストーカー』って呼んでよ」

 

「じゃあ、私のことも『白狐』でね」

 

「…………ところでその狐のお面は組織の集まりのときは外さないんですか? 普段は外してるのに」

 

「理由は特にないけど、強いて言えばスイッチの切り替えの為かなー」

 

 こんな風に二人が会話していると、更に人が集まってきた。

 

「ん? なんだ、俺が最初に来たと思っていたんだがな」

 

 そしてその直後に、

 

「あれ? もう結構集まってるな、私って遅いほう?」

 

「『ソードテール』に『ハミングバード』じゃん。最早、二枚羽根以上の奴、全員集めてんじゃないの?」

 

 アリスは後半、運転手に尋ねると、

 

「一枚羽根の私にはわかりません。ただ、来るのは後、一人だと聞いています」

 

 その言葉を聞き、「まだ待つのかよ」と一人事を言いながら待っていると、

 

「全員揃っているようだね、それでは出発してくれ」

 

 最後に来たのは、この組織…………『五翔会』最高幹部、五枚羽根の一人、紫垣仙一だった。

 

 その姿を確認した瞬間、アリス以外の全ての人間が紫垣に対して礼を取った。

 

「…………紫垣さんじゃないですか。なんで最高幹部の一人がこんな所に?」

 

 アリスの疑問は最もだった。

 

 通常、最高幹部たる五枚羽根は秘匿された場所にて行われている五翔会最高幹部会議にのみ参加しており、こうした場所に来るのはほとんどないからだ。

 

「いやなに、『ブラックスワン・プロジェクト』の進捗具合を見に来るのと、アリス君に仕事の連絡をね」

 

「…………なんで誰もコードネームで呼ばないんだよ」

 

 アリスの悩みの一つであった。

 

「…………つまり、私が仕事の連絡。ダークストーカー、ハミングバード、ソードテールが『ブラックスワン・プロジェクト』についての事か」

 

「ああ、そうだ」

 

 紫垣は一拍置いてから話を続けた。

 

「アリス、お前は近々行われる聖天子の暗殺のサポートをしろ」

 

「一つよろしいですか?」

 

 ここで、今まで黙っていた悠河が口を開いた。

 

「それならアリスに直接殺らせた方が確実だと思うのですが」

 

「いや、アリスはサポートだ。これは会議で決まった事だし、何より本人が嫌がるだろうからな」

 

「よくわかってるじゃん」

 

 アリスはにやりと笑うと、話しは終わったのかと言った風に紫垣の事を横目で見ると、

 

「後、もうひとつ。アリス、お前の研究成果は今どの様な状態だ?」

 

 アリスはその言葉を聞くと少し考え込むように腕を組み、黙って暫く思考に耽り、

 

「ハッキリ言って分からない。最初から言っていた通り、あの実験(・・・・)の結果はまさしく神のみぞ知るとしか言いようがないからね。安定しているのかも知れないし実は行動してないだけで暴走しているのかも知れない。唯一つだけ分かるのはあの個体はもう少しで覚醒するってことかな」

 

「そうか…………分かった引き続き励んでくれ」

 

 その言葉を聞くとアリスは話しは終わったとばかりに寝はじめてしまったのだった。

 

 

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「おい、起きろ!」

 

「ふにゃ?」

 

 誰かが自分を起こそうとしている声が聞こえて来たのでアリスは目を覚ました。

 

 少し伸びてから、

 

「話し合いは終わった?」

 

 するとアリスを起こした人物ーー悠河は、

 

「それどころか皆帰ったよ…………」

 

 と、呆れた声で言って来たので謝ると、

 

「いや、いいよ。それよりアリスも早く帰ったらどうだい?」

 

「そだね。悠河も帰るのか?」

 

「ああ、取り合えずあそこに帰るよ」

 

「そっ、じゃ、またいつかねー♪」

 

 そう言ってアリスは東京エリアの内側の方に歩いていった。

 

 

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ブゥゥゥン ブゥゥゥン

 

「またこのパターンかよ」

 

 東京エリアの方に走っていたアリスは一時停止し、バイブ音が響く携帯の画面をタッチし、電話に出た。

 

「もしもし」

 

『私だ』

 

「影胤か。どうした? 何か仕事が出来たのか?」

 

『ああ、詳しい事はまだ未定だから、明日から数日間の予定を開けて置いて欲しいのだが。どうだね?』

 

 アリスは五翔会での暗殺計画はまだ当分先だと言われたのを思い出して、

 

「今んとこ開いてるよ」

 

『そうか、なら明日改めて連絡する』

 

 アリスは通話終了すると、

 

「さて、これからなにが起こるんだろうね。どうせ蓮太郎君は影胤の誘いを断るだろうし、あんまり蓮太郎君とは戦いたくないねぇ。あ、東京エリアが大絶滅を起こしたら聖天子の暗殺計画パァじゃん。さっき言っておけばよかったな」

 

 アリスはそんな独り言を呟くと、再び走り出した。


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