魔法少女リリカルなのはStrikerS~紅き英雄の行方~   作:秋風

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活動報告で5月に投稿するといったな?

あ れ は 嘘 だ

…はいすみません。お久しぶりです。約1年ぶりの投稿になります。というのもですね、最終面接でほぼ勝ち確だったのに向こうの都合で落とされるとは思ってもみませんでした。はい

まあ、そんな私のことはともかくまたちまちまと話を書いて行きますよ。前作と違ってほぼなにもない状態からの再構築が辛いですが頑張ります

…頑張ります、と言っておいてなんですがもうこの小説と私の存在忘れてる人大半じゃねーのっていうのが正直な感想です

あ。あと近日中にタイトル変えます。なんか、自分の中でもすっきりしてないので

では、お楽しみください


06「ゼロ達の役割」

 機動六課 応接室

 

 一通り、話を終えたゼロとシエル、そしてはやて達。そこへ、来訪者が現れた。

 

「失礼します、主。ここにいると高町達から聞いたのですが…」

 

 そこに現れたのははやての守護騎士である烈火の将シグナム。その後ろには同じく鉄槌の騎士ヴィータ、湖の騎士シャマル、盾の守護獣ザフィーラの3人と1匹。早い話が八神家のメンバーであった。

 

「なっ…お前は…!」

 

「ぜ、ゼロ!?」

 

「なんで!?」

 

「……」

 

 シグナム、シャマル、ヴィータは思わず驚きの声を上げた。ザフィーラも声を出していなくとも、その表情には驚いた様子が伺える。それもそのはず。10年前に消息を絶った家族と等しき人物が目の前にいるのだ。そんな様子の彼女達に、ゼロは僅かに笑みを見せる。

 

「久しぶりだな。元気だったか」

 

「まさか、なのはの言っていた次元漂流者って」

 

「俺達のことだ」

 

 その言葉に、開いた口が塞がらない4人。それもそのはず。彼女達もまた、なのはのサプライズ作戦にまんまと嵌っていたからだ。それを察したのか、はやてが「やっぱり」と苦笑する。

 

「みんなも、なのはちゃんに騙された口やな?」

 

「私は、高町の保護した次元漂流者がかなり腕の立つ剣士、と聞きまして」

 

「あたしは、はやてと次元漂流者が話しこんでるって聞いて心配になったから」

 

「私はヴィータちゃんと一緒にいたので…」

 

「私もです」

 

 それぞれ、というより主にシグナムとヴィータが騙されたのだろうとはやては思いながら、「大体合ってるから困るわ」とこのことについてはなのはにしてやられたと思うはやて。すると、そのテーブルに座っていた横で、シエルがザフィーラを見て目を丸くしていた。

 

「ねぇ、ゼロ」

 

「どうした、シエル」

 

「今、あの犬…喋ったわよね?」

 

 シエルの言葉に、ここでゼロ以外の次元漂流者の存在にシグナム達は気づく。ゼロと同じく金髪で、桃色の可愛らしい服を着た少女の存在に。無論、彼女達もシエルのことは覚えていた。

 

「主、そのゼロの横にいる方は…」

 

「え? ああ、えっと…こちらはシエルさん。ゼロと一緒にこの世界にやってきたんよ」

 

「えっと、シエルです。その、初めまして」

 

 そう言って立ち上がり、ペコリと頭を下げるシエル。かつて夢で見たことのある容姿そのままであることに少し驚きながらも、シグナム達も自己紹介をすることにした。もっとも、初めて魔法的要素である、ザフィーラ(犬が喋るという現象)にシエルが釘付けではあったが。

 

「夜天の守護騎士、烈火の将シグナムだ。貴女のことはゼロから聞いている」

 

「同じく夜天の守護騎士、鉄槌のヴィータだ。よろしくな」

 

「私も同じく夜天の守護騎士、湖の騎士シャマルよ。ここでは医師もしているわ」

 

「夜天の守護獣、ザフィーラ……言っておくが、狼だ」

 

 ザフィーラの最後の言葉に苦笑するはやてたち。なんにせよ、これで八神家一同はまたゼロとの再会を果たすことが出来たのである。それを確認すると、はやてが「さて」と立ちあがった。

 

「じゃあリインフォース、私はちょーっと、なのはちゃんとフェイトちゃんに『お話』をしてくるから、二人を部屋に案内して上げてな~。ゼロ、また明日♪」

 

「え? あの、我が主? ……了解しました」

 

 そのはやての表情を見て、リインフォースは今のはやてを見て何かを察したらしく、最早止めることは不可能だと理解してはやてを送りだす。

 

「はやてはどうかしたのか?」

 

「…いえ、お気になさらず。むしろ、気にしたら負けかと」

 

「ですぅ」

 

「「?」」

 

 リインフォースたちの言葉に首を傾げる二人だが、リインフォースはこれ以上話題を続けてはならないと判断し、二人を部屋に案内することにした。余談だが、この日の夕方になのはとフェイトの部屋から人知れず悲鳴が上がり、翌日はやてがとてもいい笑顔で出てきたのは別の話である。

 

 

 

 

翌日 機動六課ロビー

 

 

 機動六課のメンバーは朝、全員に部隊長であるはやてから集合が掛った。というのも、この機動六課で新たに「民間協力者」が加わるということで、それの顔合わせをするのだという。機動六課のメンバーが集まり、整列している中で、フォワードメンバーの1人であるティアナ・ランスターは、その部隊長の行動に首を傾げていた。

 

(民間協力者、十中八九あの男と、女の子よね…)

 

 この部隊に配属され、初出撃だった昨日の任務。それは無事に終えることができたが、それは突如現れた次元漂流者達の手助けがあってこそである。本来、1つだけと言われていたはずのレリックが2つあったことは想定外であり、増援として送られたガジェット達も想定外だった。しかし、一番の想定外はその鬼神の如き力を自分たちに見せつけた男の存在。同期であり、同じ分隊に所属する自分の友人、スバル・ナカジマ、別分隊のエリオ・モンディアルや、キャロ・ル・ルシエはただただその目の前の存在に驚くだけであったが、ティアナだけは違った。

 

(あのでたらめな強さ、あの男は一体何者なの…?)

 

 そう、ゼロの力に畏怖の念を抱いていた。アレだけの戦闘力を見せつけられては、自分などまるで役立たずではないかとティアナは感じていたのである。ティアナがそんなことを考えていると、3人の人物がロビーに入ってくる。1人は機動六課部隊長である八神はやて。そして後の2人はティアナの予想した通り、美しい金髪の髪をした男女の姿。そう、ゼロとシエルである。ただ、ゼロは昨日のような戦闘用のボディスーツではなく、かつてはやてがゼロのために地球で買った私服を着ている。

 

「みんな集まっとるな。今日皆に集まってもらったのは外部協力者がこの部隊に来てくれはったからや。では、自己紹介を」

 

「本日より、外部協力者と言う形でこの部隊に配属になる。八神ゼロだ。よろしく頼む」

 

「お、お、同じく、シエルです。よろしくお願いします」

 

 2人の挨拶に拍手が起こる。ゼロは特にプレッシャーを感じてはいないが、シエルは大勢の前に出ることに若干緊張をしているらしい。拍手が小さくなったのを確認し、はやてが再び口を開いた。

 

「ゼロはフォワードと同じく前線での戦力として、シエルさんはゼロのサポートとしてロングアーチへ配属されます。二人のことは以上。それと、今日のスケジュールでは…」

 

 2人の紹介の後、数分の朝礼が行われ、後に一同が解散して勤務に入る。それぞれが機動六課へと協力することになりはしたが、機動六課に所属する職員達の2人への視線は歓迎というような視線ではなかった。むしろ、物珍しそうな目の方が多い。何しろ、次元漂流者として保護された1人が八神の姓を名乗っているのだから当然である。しかし、それはゼロにとっては特に気にする点でもない。ゼロが気にするのは他の点である。

「はやて、俺が前線に出るのは構わないが…質量兵器の使用はどう話をつけるつもりだ?」

 

 そう、ゼロの気にしている点はゼロが使う武器のこと。『Zセイバー』や『バスターショット』を中心とした武器はこの世界では全て『質量兵器』という扱いがされる。ゼロの知る所によれば、管理局が使う武器には『質量兵器』は存在しない上、使用が禁止とまでされている。しかし、ゼロは真逆の存在。魔力を持つ者ではない上、質量兵器しか持っていない。むしろ、ゼロ自身が質量兵器であると言われても過言ではないだろう。

 

「その辺は私がなんとかするから、気にせんでええよ?」

 

「……そうか。それと、シエルの配属のロングアーチというのは?」

 

「ロングアーチは私の務める後方支援隊。索敵や超長距離射撃時のサイティングサポート、人員輸送とかの後方業務全般を担当するんよ」

 

「なるほど、シエルには適任だな」

 

 実際、シエルはレジスタンスではサポート役に徹してきている。彼女ほどその役が合う人間はいないだろう。シエルは既に空き部屋を用意され、そこにトレーラーの資材を運ぶための指示を出すことになっているのでもうこの場にはいない。ちなみに、トレーラーの中にいたプレシアとアリシアはミットチルダのド田舎にある街へと身を潜めている。というのも、これは昨夜のうちにはやての手回しによって行ったこと。この手際の良さには流石のゼロも驚かされたが、これでフェイトとばったり会ってしまうということは回避された。

 

「で、ゼロのことやけども…」

 

「八神部隊長、ゼロさん、お待たせしました」

 

 はやてが言いかけた所で、そこになのはが現れた。その後ろには、先日ゼロが助けた少女達の姿もある。それぞれがそれぞれ、どう思っているのか。ゼロの事を見ている。ゼロからすれば、それは今に始まったことではないので気にしてはいないが、1人だけ気になる少女がいた。オレンジ髪の、自分に銃を突きつけた少女だ。彼女は物珍しいという眼ではなく、まるで睨みつけるかのようにゼロを見ているような気がした。

 

「…ゼロだ。よろしく頼む」

 

「私はクロワール。ゼロをサポートするサイバーエルフ……うーん、リインフォース達と同じと思って。どうぞよろしく」

 

「ほら、挨拶は?」

 

 なのはに促され、ゼロたちを見ていた4人は慌てて敬礼をする。様子からして、未だに前日の戦闘が強く印象に残っているのであろう。少々、怯えている様子もある。

 

「スターズ3のスバル・ナカジマです! よろしくお願いします!」

 

「…スターズ4、ティアナ・ランスターです」

 

「ライトニング3、エリオ・モンディアルであります!」

 

「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエであります!」

 

 それぞれが改めて敬礼し、ゼロへ自己紹介する。ゼロは4人を改めて見る。スバルやティアナに関してはシエルと同い年くらい、エリオとキャロに至っては幼き日のはやてたちと同じぐらいだろうという予測がつく。ゼロから見ればまだまだ未熟な戦士たちだ。

 

「俺は外部協力者であって、局員ではないから敬礼は不要だ。それと、八神の姓を使っているが、はやての親族ではないから、そう固くなる必要もない」

 

「あの、じゃあなんで部隊長と同じファミリーネームなんですか?」

 

 スバルが疑問の声を漏らす。その疑問については、この機動六課にいるメンバー一同が感じる当然の疑問だろう。ゼロが答えようとすると、それを遮るようにはやてがスバルの前に出る。

 

「ゼロはこの世界の出身でも、私やなのは隊長の世界の出身ではないんよ。でも、私達が地球にいた時に地球へ次元漂流者として来て、私と出会って、しばらく私達と生活をしてたんよ。だから、八神の姓を使っている。わかったスバル?」

 

 ゼロの代わりに、はやてがそう説明を加える。色々と省いている部分もあるが、おおむねそんな感じである。なのはははやてが割って入ったことからゼロの事を詳しく追及されることを拒んでいると察し、手を叩く。

 

「ほら、ゼロさんのことはこれくらいでいいね。みんなは今日も訓練だよ。朝練の続きをするから外に集合!」

 

「「「「はい!」」」」

 

 なのはの言葉に素直に返事をして素直に走っていく一同。その様子を送り届けて、はやては小さくため息をついた。

 

「なのはちゃん、ゼロに関してあの子たちが聞いてきたらお願いね? 私も言葉には気をつけるから」

 

「うん、もちろん」

 

「…? 何の話だ」

 

「ゼロ自身のことや…外部にゼロが、ううん、ゼロそのものがバレるのを防ぎたいんよ」

 

 ゼロはレプリロイドという存在であり、人間ではない。なので、はやては次元漂流者の数の欄には1名という報告で報告書を提出した。それはゼロと言う存在を明るみにしないためである。もし地上本部になどバレたりしたら大変なことになる。それは、ゼロ自身も望むところではない。

 

「お前達には、苦労をかける」

 

「今に始まったことやあらへんよ。気にせんとき」

 

「…感謝する」

 

「さて、それでゼロのことやけども、なのはちゃんが来た理由はわかっとる?」

 

 ゼロはああ、と短く頷きなのはを見る。どうやら、先ほどの訓練に付き合うことになるようだ。実際、前線のフォワードメンバーと共同戦線を張ると言うことは、訓練も共にする必要があるのである。

 

「ゼロさんには、私と同じ教導官という立場にいて欲しいと思います」

 

「なるほど……だが、俺の戦い方が参考になるかはわからんぞ」

 

 管理局の戦闘において、その第一目的は対犯罪者を殺さずに捕縛、制圧することにある。そのため相手を殺すような戦い方はどの士官学校でも教わらない。非殺傷設定というものが存在するのもそのためであり、相手を殺すようなことを前提としない闘い方が基本的なスタンスになる。しかし、ゼロはその真逆。相手がレプリロイドであることもあり、ゼロは敵とみなした相手を全力で破壊しにいくもので、相手をいかに効率的かつ迅速に破壊できるかを念頭に置いた戦い方をしている。そのため、ゼロが新人である彼女たちを教導するのはミスマッチなのである。

 

「そんなことありませんよ。相手はガジェット…機械が大半です。なら、ゼロさんの闘い方も参考になると思うんです」

 

「……そういうことか」

 

「じゃあ、訓練場に行きましょうか!」

 

 なのはの言葉に頷き、ゼロはなのはと共に訓練所へと向かうのだった。

 

 

 

機動六課 訓練スペース

 

 

 機動六課の外には訓練スペースが存在する。これは基礎設計をシャリオ・フィニーノ、内容監修をなのはが行った特別訓練施設であり、海上に張り出す形で設置されている。市街地から森林まで様々な状況を再現する事ができ、デバイスにシミュレータ用の細工を施す事でAMFも再現可能となっていることで対AMF戦訓練も実施可能になっているという。現在はその訓練スペースにて、新人であるスバル達が訓練を行っている最中である。

 

「ここまでの技術は俺達の世界にはない」

 

「驚きよね」

 

 訓練スペースへ訪れたゼロ、そしてクロワールの両名はそのシミュレータの存在に驚きを隠せない。その驚きを見てか、なのはもソレに満足そうにしている。

 

「皆には今、ガジェットを敵として想定した訓練をしてもらっています」

 

「ガジェット……あの丸いメカニロイドか」

 

 二人の視線の先には、廃都のビル群の間でガジェットと訓練を繰り広げる4人の新人たちの姿である。それぞれが4人でチームとして動いている姿。単独での潜入、ゲリラを行ってきたゼロにとってその光景は何とも珍しい光景だ。遠い記憶でエックスと共に戦っていた記憶もあるが、それも断片的にしか覚えていない。

 

「あの子たちにとって、昨日がこの部隊での初実戦でした。どうですか? ゼロさんから見てあの子たちは」

 

「さあな…他人を評価することなどしたことがないからわからん」

 

「それじゃあ教官になった意味がないわよ。ゼロ…」

 

 ゼロの言葉にため息をつくクロワールだが、ゼロは「だが」と言葉を付け加える。

 

「今後の評価、というのはなのは…お前の技量次第だ。しばらくしてから、また同じ質問をした時に答えられるようにしておく」

 

「ゼロさん……にゃはは、大きなハードルですね」

 

 なのははそんなゼロの言葉に苦笑する。要するに、「今は評価できないが、今後のなのは次第で評価は変わるだろう」と、ゼロは言いたいのだろう。そんな話をしているといつの間にかフォワードメンバーたちがなのはの出現させたガジェットを全て行動不能にしていた。

 

「さて、じゃああの子たちが上がってきたらゼロさんに戦いのお手本として、ガジェットと「その必要はないぞ、高町」へ?」

 

 訓練の見本をゼロに見せてもらおうと思っていたなのはだったが、その言葉はとある人物の言葉によって遮られる。振り向くと、そこには騎士甲冑を着こみ、愛機「レヴァンティン」を持つシグナムの姿があった。

 

「ゼロの相手は、私がやる」

 

 シグナムはそう言って不敵に笑みを零すのだった。

 




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