魔法少女リリカルなのはStrikerS~紅き英雄の行方~   作:秋風

12 / 24
とある方の評価コメントより
『 日間おめでとうございます。』

( ゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシ

日間ランキング 
3位 魔法少女リリカルなのはStrikerS~紅き英雄の行方~

 
(;゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚) …!?

 なんか、気がついたら日間ランキングにこの小説がランクインしててビビりました。しかも、今(9月1日)でこそ14位とか入ってますが、ちょっと前に見た時に3位とかの位置にいてすげービビりました。どういう基準でランキングが設定されてるのかは知りませんが、こういうの見るととてもやる気が湧いてきます。ありがとうございます…そして、これからもがんばります
 実は今回からリメイクではなく完全新規で話を作っているので更新は私のアイディア次第で変わってしまうことをご了承ください。
この出張任務編はしばらく続きます。ではどうぞ

感想、評価、超待ってます


11「機動六課出張任務(中篇)」

 はやてたちがガールズトークで盛り上がってしまったことで夕食の準備にはだいぶ時間がかかってしまったが、ゼロが戻ってきたことで話が中断して準備が再開することで夕食の時間にはなんとか間に合い、夕食会が始まった。夕食会といっても基本的に食材を焼いて食べるだけの鉄板焼きなのできっちりとした食事会というわけではない。なので必然的に肉の取り合いなども発生する賑やかな食事会となっていた。機動六課のメンバーに加え、現地協力者であるアリサとすずか、それにハラオウン家なども参加することで賑やかさはより一層大きなものであった。しかし、その中で1人、その賑やかさに反して暗い表情で食事をする人物が1人だけ存在した。1人だけ食事の輪から外れ、不機嫌そうな表情でもくもくと口に肉を運んでいる。そんな様子を見ていたゼロがその者の近くにより、腰を降ろす。

 

「…どうした、アルフ」

 

「ゼロ…」

 

 そう、それはフェイトの使い魔であるアルフだった。ここにきてからというもの、あまり元気がなく、面識のあるエリオやキャロにもその様子を心配されてしまった。ただ、そのアルフの様子と、アルフの視線の先にある物を見て、ゼロもその原因を理解する。

 

「プレシアのことか」

 

「…まあね」

 

 そのアルフの視線の先にいるのは主であるフェイトと、その母プレシア、そしてフェイトにとっては姉に当たるアリシアの姿であった。その3人は楽しそうに食事をしており、その姿は仲の良い親子と言う風に見えるに違いない。ちなみに、プレシアとアリシアのことについては当然ながらティアナを筆頭とするフォワードメンバーから誰なのか、という疑問なども上がっていた。エリオに至ってはアリシアの姿を見て驚いて何かを察している様子であったが、はやてと、リンディたちからプレシア達に対する追及と口外を禁止されているため彼女達も追及は出来ずに事が済んだ。それはさておき、その楽しそうに食事をするフェイトの姿にますますアルフは元気をなくし、その頭に付いた耳は垂れている始末である。

 

「だってさゼロ…フェイトはあの鬼婆に酷い仕打ちをされたんだよ? 挙句、最後はフェイトの手を取らず、虚数空間に消えたんだ…なのに、なんで今更現れたんだい?」

 

「さあな…俺にもそれはわからない」

 

「そもそも、なんでフェイトはあんなに楽しそうなのさ…!」

 

 そう、アルフの疑問であり、アルフが苦しむ理由がそこであった。10年前、アルフはフェイトが散々痛い思いと悲しい思いをしたことを強く覚えている。フェイトの使い魔であるが故に、そのフェイトの感情を共有していたアルフにとってプレシアは仇と言っても過言ではなかった。しかし、その感情を共有する元であったフェイトが今はあんなにも笑顔でプレシアと会話をしている上、その彼女から楽しい、嬉しいという10年前とは真逆の感情がアルフの中に流れ込んでくるのである。本来であれば出会いがしらにでも殴るかその喉へ噛みついてやろうかとも思っていたアルフだが、フェイトがそれを望んでいるわけがないのは感情を共有していなくても分かることで、それを理解せずに行動を起こすほどアルフも愚かではない。故にアルフはどうすればいいのかとずっと考えてしまうのだ。

 

「フェイトの今の心情は…俺にも分からん。だが、フェイトは過去を受け止め、プレシアの行った過ちを赦し、今を受け入れている」

 

「だから、私もあの鬼婆を許せっていうのかい?」

 

「そうは言っていない…ただ、お前がそう頑固にプレシアを否定しても無意味だ。許せとは言わん…だが、プレシアを理解しようと歩み寄ることはできるはずだ。」

 

 理解して歩み寄ること…それはかつてエリアゼロでゼロとキャラバンの人間達が行ったことでもあった。一方的に忌み嫌うだけでは何の解決にもならない。互いの存在を理解して、その溝を埋めようということができることをゼロは知っている。

 

「歩み寄る努力ってことかい? じゃあもし、それでも駄目だと思った時は?」

 

「その牙で噛み千切ってやればいい」

 

「ブッ…」

 

 ゼロの言葉に覆わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになるアルフ。流石のアルフもそれは極論過ぎないかと思うが、その前にゼロが言葉を続ける。

 

「歩み寄るということは、相手のことを知るということ。お前が今のプレシアを知り、昔と変わらぬ、フェイトを傷つけるだけの存在だと判断するのなら…そうしたほうがフェイトのためになる」

 

 つまり、ゼロはアルフがそんなことをするような事態になるとは微塵にも思っていないということだとアルフは理解する。今のプレシアはフェイトに害をなす存在ではない。だからそんなに警戒するな…ゼロなりの、アルフへの注意だったのかもしれない。それを理解したアルフは思わず苦笑してしまう。

 

「アンタからそんな言葉が出るなんて思ってもなかった。なるほど、確かに10年前のあの女は知っているけど、今のあの女のことをアタシは何も知らないや…アンタの言うことを信じて、しばらくは様子を見てやるかね」

「ミッドチルダではあの2人は目立つからしばらくは地球のハラオウン家に滞在することになっている…プレシアを知る機会はいくらでもあるだろう」

 

「…それ、初耳だよ?」

 

「先ほど決まったことだ。俺も先ほど知った」

 

 リンディとはやての相談の結果、次元犯罪者として名を刻んでいる人物が公式で死んでいるとはいえ、本人が管理世界にいるのはさすがにまずいのでは、というリンディの話で、プレシアたちは地球に残ることが決まっている。なので、もしゼロの話がなければアルフは今後ストレスで悩まされることになっていたかもしれない。そんな会話をしている二人の元に、エリオ、そしてキャロが駆け寄ってきた。

 

「アルフ、お肉焼けたよ」

 

「一緒に食べよ!」

 

「ん、そうだね。色々スッキリしたし、食べるよ!」

 

 そう言って立ちあがるアルフ。その元気になった様子のアルフに喜ぶエリオ、そしてキャロ。アルフはその場を離れる前にゼロへと顔を向ける。

 

「ありがとね、ゼロ。ちょっと頑張ってみるよ」

 

「…ああ」

 

 こうして、アルフが鉄板の方へ走っていくのを見届けるゼロ。そんな様子を見ていたフェイトがプレシア達との会話を打ち切り、こっそりとゼロの傍へと近寄る。

 

「ありがと、ゼロ」

 

「…礼を言われる程の事じゃない」

 

「ううん、そんなことないよ。アルフのこと少し心配だったから…」

 

 フェイトも、アルフのことはプレシアと再会したあと気にかけていた。10年前にフェイトとアルフがプレシアから受けた仕打ちは深い心の傷として残っている。今でこそフェイトはそれを過去のことと水に流しているが、アルフとしてはフェイトのことを誰よりも大切に思っている故に誰よりもプレシアを怨んでいたといっても過言ではない。

 

「後は、お前次第だ」

 

「うん」

 

 ゼロの言葉に、フェイトは嬉しそうに笑うのだった。

 

 

 

 

「じゃあ、これからスーパー銭湯に向かいます。みんな、お風呂の準備をするように」

 

「スーパー…」

 

「銭湯?」

 

 食事を終えて片付けが済んだ頃。はやてがそうメンバーに促した。といっても、フォワードの4人には『銭湯』と言う言葉は聞き慣れない言葉で、4人とも首を傾げて頭にクエスチョンマークを付けている。そんな疑問からか、スバルが近くにいたゼロに声をかけた。

 

「あの、ゼロさん。銭湯…って?」

 

「日本の公衆浴場の一種…機動六課にもある大浴場と同じものという解釈でいい」

 

「へー」

 

 感心するスバルを横目にゼロははやてに後の片付けは自分に任せ、銭湯へ行ってくるようにと促した。はやてもそれに頷き、用意したワゴンにメンバーを乗せて別荘を出発する。これは、フォワードから何故ゼロが残るのか? というような疑問を出させないためでもある。結果的に残るのはゼロとクロワール、ザフィーラで、ゼロはレプリロイド故に、クロワールはサイバーエルフ故に人前に出られないため、そしてザフィーラは本部でロストロギアの反応を警戒ということで残ることになった。片づけを終えたゼロが何気なくその椅子に腰を降ろしていると、ザフィーラが近寄ってくる。

 

「すまないな、ゼロ」

 

「いや、別に問題はない。それよりザフィーラ。お前は行かなくて良かったのか」

 

「全員がここを離れるわけにもいくまい。それに、人型になると俺は目立つからな」

 

 特に耳が、と付け足すザフィーラ。確かに、筋肉質な身体で、その頭に狼の耳がある人物が銭湯にいればそれは嫌でも目立つだろう。もし他の人間がその場にいれば笑っていただろうが、ゼロはそうか、とだけ答える。そんな様子のゼロに、ザフィーラは相変わらずだと短く笑う。

 

「時にゼロ…以前シグナムと戦った時の傷は癒えたのか」

 

「パーツは交換済みだ。戦闘にも支障はない…何故だ?」

 

「なに、俺も一手拳を交えたくなっただけのこと……シグナムとの戦いを見て、俺もお前と戦ってみたくなった。当然、ロストロギアの反応が出ればそこで中断する。どうだ?」

 

「……いいだろう」

 

 ザフィーラとしてもこのままジッとしているのが退屈だったのだろう。ゼロも何もしていないよりはましであると判断してそのザフィーラの申し出を受けて立ちあがる。場所は開けた広場のような場所。そこにザフィーラが結界を張ることで被害が出ないようにする。

 

「準備はいいか?」

 

「ああ」

 

 ゼロはZセイバーを抜刀し、ザフィーラは人型へと姿を変えてかつてはやてがデザインした騎士甲冑に身を包む。そしてその睨みあう両者の丁度真ん中にクロワールが浮遊し、ゆっくりと右腕を上げる。どうやら、審判をするらしい。

 

「じゃあ、二人ともいいわね? 試合、開始!」

 

 言葉と共にクロワールの右腕が振り下ろされる。クロワールの右腕が振り下ろされたほぼ同じタイミングで二人が飛びだし、ゼロはZセイバーを振りおろし、ザフィーラはそのZセイバーへ拳を突き出す。その同じタイミングで放たれた攻撃がぶつかり衝撃音が鳴り響く。

 

「せいっ…!」

 

「っ…!」

 

 ぶつかった直後、すぐに拳を収めたザフィーラは体制を変えてゼロめがけて蹴りを放つ。接近戦はゼロの得意分野ではあるが、近すぎてZセイバーを振りまわせない。ゼロはそのZセイバーの刃を消してそのエネルギーを腕に蓄積することでザフィーラの攻撃を防御する。蹴りを受けて吹き飛び、着地するゼロだが、その防御のおかげでダメージはほぼ受けていない。

 

「やるな…シグナムとの戦いでもそうだったが、その腕は昔と変わらない」

 

「お前もな。Zセイバーの刃を叩きに来るとは思わなかったぞ」

 

「俺は盾の守護獣…防御においては自信がある。あまり舐めてもらっては困るぞ、ゼロ」

 

「ならば、これはどうだ!」

 

 そう言ってゼロが左手にバスターを構え、トリガーを引く。それもただのバスターショットではなく、バスターショットの他にチャージされた弾丸のおまけつきだ。ザフィーラがその弾丸を弾き飛ばし、チャージされたバスターを避けて攻撃に転じようとするがその目の前にいたはずのゼロがいない。

 

「ぬっ…!」

 

「隙を見せたな」

 

 ゼロはザフィーラがチャージショットを避けた瞬間視界を外したのを見計らってその資格に飛び込み、接近していた。そしてゼロはその右腕をゼロナックルへと換装し、エネルギーを解放した右腕をザフィーラへと突き出す。

 

「はあっ…!」

 

「ぐっ…」

 

 ゼロの放った拳がザフィーラのわき腹にヒットして吹き飛ばされる。地面にバウンドした後どうにか着地するザフィーラ。その痛みに苦悶の表情を浮かべるも、その表情の後に口元をニヤリと釣り上げてゼロを見る。

 

「っ…! まさか、カウンターを入れてくるとは」

 

「言ったはずだ。盾の守護獣を舐めてもらっては困ると」

 

 その拳を放ったはずの右腕。ゼロはその右肩を抑えていた。ザフィーラはゼロに殴り飛ばされるその瞬間に左足を上げて回転し、左足でゼロの右肩へと蹴りを放つことでゼロの攻撃の威力を殺していた。

 

「今度はこちらから行かせてもらおう…縛れ、『鋼の軛』!」

 

 詠唱と共にザフィーラがその両腕の拳を地面に叩きつける。それによってベルカ式の魔法陣が現れ、幾重にも柱が出現してゼロを襲う。

 

「ちぃっ…!」

 

 かつて、闇の書の防衛プログラムの動きを止めたことを覚えているゼロも、鋼の軛をくらうのは不味いと感じてバック転をしながら距離を取る。しかし、それは叶わなかった。そのゼロへと向かってくる鋼の軛とは別の支柱がゼロの真後ろに出現して行く手を阻んでいたのだ。

 

「…!」

 

「でえええぇぇぇぇい!」

 

 そして、ゼロが後ろに出現した鋼の軛に気を取られてしまった一瞬の隙を付いてザフィーラがその右腕に魔力を乗せ、突貫してその拳を突き出した。隙をつかれたゼロはシールドブーメランなどを展開する暇もなく、とっさに腕をクロスさせてその拳を防ぐが、その魔力の乗せられた拳に耐えられるわけもなく、その攻撃をまともに食らう。そして、そのゼロの真後ろにあった支柱が砕けてゼロも吹き飛ばされた。

 

「ぐっ…やるな…!」

 

「まさか、今の一撃を耐えきるとは…流石だな、ゼロ」

 

 なんとか着地するゼロだが、かなりのダメージを受けてしまう。シグナムの紫電一閃などの威力以上のザフィーラの魔力を乗せた純粋なパワー。その一撃をなんとか耐えたゼロは立ちあがって再び構えを取るゼロ。その様子を見たザフィーラは短く笑う。

 

「なるほど、シグナムの気持ちが分かった気がする。お前と闘うのは心底楽しい。盾の守護獣本来の役目は主の盾となり、主を守ること。シグナムのように敵を切り裂く剣ではない…が、お前と闘うとそれすら忘れてしまいそうになる」

 

 そういって再び構えを取るザフィーラ。ゼロもZセイバーとゼロナックルを構える。そして、同時にその地を蹴って互いの相手へと向かって行く…が、それは叶わなかった。突如、その二人の間に何かが撃ち込まれて爆発を起こす。二人はそれを防御してその打ちこまれた方向を見た。

 

「随分と楽しそうなことをしているなぁ…見学だけのつもりだったが、思わず攻撃しちまったぜ。俺も仲間に入れてくれよ」

 

「……何者だ?」

 

 そうゼロは自分たちの試合を邪魔した相手に語りかける。爆煙で未だその姿は見えず、そのゼロの問いに笑い声が鳴り響く。

 

「ハッハッハッハッ! おいおい、ゼロ…まさか、この俺を忘れちまったのか? この『俺』を」

 

「…何?」

 

 次第に晴れる煙から現れた声の主。そこに現れるのは1人の人物。黒いスーツの上に頭、胸部、足を紫色のアーマーで覆っている。そしてその声からするに男のようだが、その顔はすっぽりとヘルメットの様なものが覆っているため顔を見ることはできない。そして、その男のもっとも特徴的なのはその肩に装備された巨大なキャノンとミサイルランチャーだ。それを見て、ゼロはその男が人間でないということを理解する。

 

「レプリロイドだと…?」

 

「おいおいおい、まさか本当に覚えていないってのか…? 散々、お前やエックスと戦ったはずだ」

 

「俺やエックスと戦った…?」

 

 ゼロの世界において、エックスが戦っていたのはもはや百年前以上にも遡る。ましてや、ゼロとも戦ったことがあるということはゼロが封印される前の話である。そうゼロが思った瞬間、ゼロの脳裏にフラッシュバックが起きる。自分とエックスの前に幾度となく、その目の前の男は立ちはだかって戦いを挑んできた。敗れても再び自分たちの前に姿を現し、エックスを倒さんと自分達に向かってきたのをゼロは思いだす。

 

「貴様は…」

 

「ようやく思い出したのか? この……VAVAを!」

 

 男、VAVAはそう言って笑うのだった。




登場したVAVAはロックマンエックス3登場のMK-II仕様です

NEXT「機動六課出張任務(後篇Ⅰ)」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。