レストラン白玉楼   作:戌眞呂☆

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とうとう結婚式が始まりました。
永遠の愛を誓う欧我と文を見守っていてください。


誰がどの役をこなすのか、それを予想しながら読むのも面白いと思います。

新  郎:葉月欧我
新  婦:射命丸文
介 添 人:皆月潤

司会進行:???
父親代理:???
司  祭:???
演  奏:???


第33話 結婚式 ~愛の誓い~

 

 会場の中には、すでに多くの人が席について待っていた。プリズムリバー三姉妹の少し騒々しい音楽が流れる中、潤さんと一緒に祭壇を目指して進んでいく。会場には今まで俺が出会った仲間たちがたくさん集まってくれた。時に弾幕ごっこで競い合い、時に一緒に酒を飲み、時に写真撮影を快く引き受けてくれた、俺にとってかけがえのない仲間たちだ。

 みんなの視線が集まる中、ゆっくりとした足取り(浮いているけど)で祭壇の前に辿り着いた。後は、文の登場を待つだけ。実をいうと、俺は今まで文のウェディングドレス姿を見たことが無い。どんなドレスを着て登場するのか、それが非常に楽しみだ。

 

 祭壇の前に浮かんで文の登場を待っていると、ゆっくりとドアが開いた。開く音に反応して、みんなの視線がドアの方に集中した。大きく開いたドアのところには、純白のウェディングドレスに身を包んだ文が立っていた。

 

 

「っ…!」

 

 

 父親代理である小傘と腕を組み、バージンロードを一歩ずつ歩いてくる文の姿を見て、その美しさに心を奪われた。普段の文からは想像できないような魅力に溢れている。純白のドレスに身を包み、小傘と腕を組みながら一歩一歩着実に足を進める文の姿は、さながら地上に舞い降りた天使のようだ。ベールに覆われているが、いつも俺を見守ってくれる優しい瞳でじっと俺を見つめ、俺の大好きな笑顔を浮かべている。 

 俺は瞬きを忘れてその姿をじっと見つめることしかできなかった。ウェディングドレスを着た文の姿に、俺は改めて恋に落ちた。心を奪われ、ドキドキと鼓動が早くなる。

 

 ゆっくりとバージンロードを歩いてきた文は、祭壇の前で俺の左側に立った。間近で見る文の美しい姿は、筆舌に尽くし難い。ここまで文と腕を組んでくれた小傘とお辞儀をかわし、小傘は自分の席に戻っていった。彼女にはこの後写真屋としての仕事があるらしい。

 

 

「では、続いて結婚の誓いに移ります」

 

 

 司会進行役の妖夢の言葉に従い、俺達の前に司祭役の早苗さんが、なぜか神奈子さんと諏訪子ちゃんを伴って歩いてきた。どうして神奈子さんと諏訪子ちゃんが一緒に来たのか、その理由が分からなかったが、とにかく早苗さんなりの考えがあるのだろう。ここは突っ込まないでおくか。

 前に立った早苗さんは小さい声で「よしっ!」と気合を入れると、いつもの子供っぽい笑顔とは違う、大人のような優しい微笑みを浮かべた。

 

 

「新郎、葉月欧我さん。あなたは射命丸文さんを妻とし、永遠に愛していくことを神に誓いますか?」

 

 

 早苗さんはそう言うと、後ろに立つ神奈子さんは腕を組み、諏訪子ちゃんは腕を腰に当ててじっと俺を見つめている。

 …まさか、2人が出てきたのはそのため!?神って、こっちの神に誓うのかよ。確かに2人は神様だし、実際に存在するか分からない天の神様より、すぐ近くにいる仲のいい神様に誓った方が良いよな。うん。それにしても、この常識クラッシャー(東風谷早苗)は流石と言うか何と言うか…。

 

 

「もちろん誓います」

 

 

 神様2人が出てきた意味に自問自答したため少しの時間が開いてしまったが、はっきりと大きな声でそう宣言した。

 その宣言を受け、神奈子さんと諏訪子ちゃんは同時に頷くと、今度は文の方に視線を移した。

 

 

「新婦、射命丸文さん。あなたは葉月欧我さんを夫とし、永遠に愛していくことを神に誓いますか?」

 

 

 早苗さんは、俺の時と同じように文に聞いた。文の答えはもちろん…

 

 

「はい、誓います」

 

 

 文のその返事を聞き、心に…いや体中に溢れる幸せ。くそっ、目が潤んできやがった。

 

 

「では、指輪の交換をお願いします」

 

 

 介添人である潤が祭壇にやってきて、文からブーケと手袋を預かった。早苗さんから指輪を受け取り、文の左腕をとる。文の手は、純白のドレスによってなのか何時もより白くきれいに輝いて見えた。文と相談した結果「指輪は初めて交換した記念の物がいい」ということで、生前九天の滝の上で文にプレゼントした薔薇の指輪だ。その思い出深い指輪を、文の薬指にゆっくりと通していく。

 指輪をつけ終わると、今度は文が早苗さんから指輪を受けっとって俺の左腕をとった。そして、文からプレゼントされた、エメラルド色に輝く指輪を左手の薬指に通してくれた。

 

 

「それでは誓いのキスを」

 

 

 文の顔を覆うベールの隅を両手でそっとつまみ、ゆっくりと、そして優しく上げていく。改めて文の顔を間近で見ると、美しさの中に可愛らしさが秘められている。世界中の誰よりも、一番美しいと胸を張って宣言できる。

 文は、顔を赤らめながら潤んだ瞳でじっと俺を見つめてくれている。小さく頷き合い、唇を重ね合わせた。結婚の嬉しさ、幸せ、喜び、そして温もりを唇を通して分かち合う。一瞬という長い時間キスを交わし、そしてゆっくりと唇を離した。

 

 

「いいなー」

 

 

「ん?」

 

 

 今、早苗さんが何か小さな声で言ったような気がしたけど、聞かなかったことにしておこう。はっと我に返り、頭を小刻みに左右に振った後、早苗さんは俺達の手を重ね合わせた。

 

 

「2人は永遠の愛を神に誓い、指輪を交換し、キスを交わしました。よって、ここに2人を夫婦と認め、結婚が成立したことを宣言します!」

 

 

 司祭役の早苗さんの宣言により、俺達は正式に夫婦になることができた。これから先、予想外の異変や困難が待ち受けているだろう。でも、俺は文と一緒にそれらを潜り抜けていく。文を支え、愛し、助けながら生きてこう。

 

 

「新郎新婦の退場です。皆様、拍手でお見送りください」

 

 

 文と腕を組み、ゆっくりとバージンロードを歩いて行く。割れんばかりの拍手に包まれながら、俺達は新しい未来へと新たな一歩を踏み出した。

 




 
皆さんの予想は当たりましたか?
答え合わせです。

新  郎:葉月欧我
新  婦:射命丸文
介 添 人:皆月潤

司会進行:魂魄妖夢
父親代理:多々良小傘
司  祭:東風谷早苗
神  様:八坂神奈子&洩矢諏訪子
演  奏:プリズムリバー三姉妹

でした。
え、神様?それは早苗さんの案です。
 

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