許可が下りました。
挿絵を投稿します。
…相変わらずの雑さですが、まあ大目に見てください。
縁側で壁にもたれ掛り、腕を組んで思案を巡らせる。
料理教室の先生を引き受けたと言っても、いったい何をどのように教えたらいいのだろうか。
ベストなのは、やはり家でも簡単に出来る料理を教えること。そうすれば親と一緒に作ることができるし、それによってコミュニケーションもとれる。
だが、それには問題がある。家庭によって台所設備が異なっているだろうし、未だにかまどで料理をしているところもあるだろう。
白玉楼や博麗神社のように、ほぼ最新の設備が整っているところでしか料理をしたことのない俺が、果たして火の調節でさえ一苦労する場所で料理を作れるのだろうか…。
それか、みんながあまり体験できそうにないことを体験させてあげるのはどうだろうか。
外の世界で人気のある洋菓子を作ってみんなで食べれば、それだけで忘れられない経験ができるだろう。例えばケーキの飾りつけは子供たちの個性によって出来上がりが何通りもあり、みんなで協力しながら楽しくできるだろう。
ただ、そのためには大量のスポンジ部分が必要になる。それを作るだけでもかなり時間がかかるし重労働なので、それを準備するだけでも大変だ。しかも家では簡単に作れない。
「どうしたものかなぁ…。」
自然とそう声を漏らす。
子どもたちだから、何か甘い物が良いんだろうね。
料理よりかは、お菓子の方が人気が高いだろう。
どちらにしても一長一短だ。
いい案が全然思いつかない。
慧音さんと相談してみるのがいのかなぁ…。
もしもの時のために呼んだ妹紅さんを含めて3人で話し合う必要があるだろう。
「あら、ここにいたんですね。」
「ん?…ああ、妖夢か。」
不意に聞こえた妖夢の声で、一人だけの世界から呼び戻された。
顔を上げると、妖夢が熱い緑茶の入った湯呑を差し出した。お礼を言ってそれを受け取ると、香りを楽しんだ後口に含んだ。
はぁ、やっぱり緑茶は落ち着くな…。湯呑を置き、お茶請けの煎餅へ手を…
…煎餅?
「そうだ!」
その直後、脳内を電流が駆け巡った。
そうだ、これがあるじゃないか!!
隣で驚いている妖夢をしり目に、自分の部屋に駆け込んだ。
さっそく計画を立てよう。
~翌日~
「…というわけですが、どうでしょうか。」
寺子屋の一室で慧音さんと向き合い、昨日出来上がったばかりの計画を説明した。
「なるほど、クッキーというやつか。」
その計画書に目を通しながら、慧音さんが呟いた。
そう、昨日煎餅を見て閃いたもの。それはクッキーだ。
「子ども達に普段は経験できないような料理をやらせたいんです。それに、調理自体はとても簡単で子ども達の個性も発揮できます。たくさん作れるので、両親や友達へのプレゼントもできます。」
「なるほど…。でも、会場にはオーブンという機械は無いぞ。」
今回の料理教室の会場に充てられたのは、里の集会場だ。
そこには広いスペースにいくつもの調理台が並び、コンロやレンジといった近代的な設備が置かれている。だが、あいにくオーブンという珍しい機械だけは置かれていない。
「それに関しては、俺と妹紅さんの能力を活用すれば十分に代用できます。」
オーブンは熱した空気や壁面などから発する赤外線によって食品を加熱し、焼いて、または乾燥を行う調理器具である。
この機能は、俺の持つ『空気を操る程度の能力』と妹紅さんの『炎を自在に操る能力』を用いれば疑似オーブンを作り出すことができる。
そう説明すると、慧音さんは「なるほど。」と頷いてくれた。
「そうか、分かった。ではこれで行こう。」
「はい、よろしくお願いします!」
慧音さんに向かって頭を下げた。
「お待たせ。」
「遅いですよ。」
寺子屋を後にし、そばの甘味屋で休んでいた妖夢と合流した。
俺が慧音さんと相談をしている間、妖夢は頼まれた買い物をしてくれていたのだ。
隣には食材ではち切れんばかりになったバッグが置かれている。
妖夢は湯呑に残っていた緑茶を飲み干し、バッグを抱えて立ち上がった。
「さあ、帰りましょうか。」
「うん、でもその前にタケノコを掘りたいから竹林へ行くよ。」
「迷いの竹林!?」
~迷いの竹林~
「と、いうわけで…っと!」
地面に向かって鍬を振り下ろす。
タケノコを傷つけないように狙いを定め、周りの土を掘り起こしていく。
「そのために協力してくれませんか…とりゃっ!」
今の一撃で、ようやく根のあたりまで掘り起こすことができた。
「ふーん、料理教室ね。…ほら、スコップ。」
「お、ありがとうございます!」
妹紅さんからスコップを受け取り、先端をタケノコの根元へぐいぐいと押し込んでいく。
竹林でタケノコを掘りながら、妹紅さんに料理教室の内容と作るもの、そして妹紅さんの協力が必要であることを説明する。
スコップに蹴りを入れ、ザクッとタケノコを切り離す。
これで7個目だ。やはり妹紅さんと一緒にタケノコ狩りをするといっぱい見つかるもんだなぁ。
…ってそうじゃなくって!
俺はここに妹紅さんと相談するために来たんだった!
「というわけで、協力してくれませんか?」
「そうだな…あ、向こうにまだタケノコがあるぞ。」
「え。本当に!?…じゃなくて!」
むぅ~。
…仕方ない、許可を得られるまで掘りまくってやる。
~数時間後~
「た、ただいまぁ・・・。」
白玉楼の中庭に降り立ち、その場に倒れ込んだ。
傍らには約20個ものタケノコが入った籠が置かれている。
あの後勢いに任せて掘りまくったが、慣れない重労働のために疲労が溜まってしまった。
だが、ただ闇雲にタケノコを掘り返していたのではない。時間をかけての説得で、何とか妹紅さんの協力を得ることができたのだ。
「ほら、起きてください。幽々子様の夕食を作りますよ。」
「えー、でも疲れたし…。」
「文句は言わないでください!それがあなたの仕事ですよね?」
そう言いながらぐいぐいと腕を引っ張る。
くそっ、やってやるよ!やればいいんでしょ!
その後、夕食にはタケノコをふんだんに使った大量の料理が並び、欧我は台所で真っ白に燃え尽きていた。
ところで、文写帳にでてきたエレメントを操る5人についてなんですが…。
元ネタは戦隊物の第29代、魔法戦隊マ○レンジャーなんですよね。
大地、風、水、雷、火の5つのエレメント。
まさか東方ですべてそろうとは思いませんでした。
せっかくなので、5人に名乗ってもらいました。
「唸る大地のエレメント!緑の魔法使い、私は比那名居 天子!」
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「ふっ…吹き行く風のエレメント。桃色の魔法使い、射命丸 文///」
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「揺蕩う水のエレメント!青の魔法使い、河城 にとり!キュウリ大好き!」
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「走る雷のエレメント!黄色の魔法使い、蘇我 屠自古!」キラッ☆
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「燃える炎のエレメント。赤の魔法使い、藤原 妹紅。」
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5人
「溢れる勇気を魔法に変える!魔法戦隊、マ○レンジャー!!」
にとり
「文、顔真っ赤だよ。」
文
「だ…だって恥ずかしいです。」
妹紅
「そうか?たまにはコスプレもいいじゃないか。」
天子
「そうよ。ほら、葉団扇で顔を隠さないの。没収。」
文
「あやややや!?///」
屠自古
「この衣装、気に入ったぞ!」
欧我
「いいね!はい、チーズ!」