なんとか2ページに収めました。
この話で、いよいよ決着がつきます。
一進一退の攻防の末に勝つのはどちらなのか。
「あー!あー!…よし。」
聴力が回復してきた。
視界も未だにぼやけているがさっきよりは見えるようになった。
だが、体力はほとんど持ってかれた。
全ての空気の動きに常に意識を向けないといけないし、高速で飛び続けたことで体力を激しく消費してしまった。
更にすべての弾幕の軌道を読み切れず被弾してしまった。
今はまさに危機的状況だ。しかし、今はこの状況を楽しみたい。だから絶対にあきらめない!
それに、ただ飛び回っていただけだと思わない方がいい。
もう、仕掛けは整っている。
「…あれ?」
魔理沙さんがいない!?
しまった、探知「
きょろきょろと辺りを見回しても、魔理沙さんの姿はどこにもない。
真下を見下ろしても、ただ白玉楼の中庭が広がっているだけ。
…っ!と言う事は、上か!?
「星符『ドラゴンメテオ』!!」
「
虹色を付けた空気を圧縮し、真上に向かって一気に解き放った。
虹色に輝く虹線は、まるで天に昇る龍のごとくまっすぐ突き進んだ。
どうやら魔理沙さんと同時にスペルカードを発動したようで、2人の光線はちょうど中間あたりで衝突した。
そのまま一進一退の攻防が続き、衝突部位で爆発が起こることで攻防は終わりを告げた。
爆風に吹き飛ばされ、背中から中庭に激突した。幸いにも中庭に敷き詰められた小石や砂が衝撃を吸収してくれたおかげで身体にダメージはない。
「まだまだ!虹符『
空気を
大量にばらまかれた蜻蛉は一旦同心円状に広がると、それぞれの軌道を描きながら猛スピードで魔理沙さんに向かって飛び立った。
これは幽々子様の反魂蝶を参考に好きな昆虫である蜻蛉を使って編み出したスペルカードだ。
上空でこのスペルカードを見た魔理沙さんもスペルカードを発動する。
「じゃあいくぜ!魔符『スターダストレヴァリエ』!!」
魔理沙さんの両手からおびただしい数の星形の光弾がばらまかれた。
蜻蛉を操って光弾の間に開いたわずかな隙間を縫って飛び回らせるが、弾幕の密度は濃く次々と破壊されていった。
しかしこちらも負けるわけにはいかない!
「巻の弐!!」
軌道を変え、蜻蛉を1列に並べて飛び回らせる。
さらに周りに弾幕を展開し星形の光弾を破壊していく。
こうすれば、一番前の蜻蛉が破壊されてもその隙をついて後続の蜻蛉が相手に襲いかかる。それが破壊されればまたその次の蜻蛉が…といった感じに、弾幕を突破することに重点を置いた構えだ。
魔理沙さんの弾幕を突破した蜻蛉が一斉に襲い掛かる。
ほうきを走らせながらその攻撃を避け続ける。
わずかだが濃度が薄まった今がチャンス!
「巻の参!!」
蜻蛉の弾幕を大量に生成、放出し、四方八方から魔理沙さんに襲いかかった。
魔理沙さんは星形の弾幕を放ち続けながらその攻撃をかわし続けるが、次から次へと襲ってくる蜻蛉にいら立ちを募らせる。
「この!!」
そしていったん距離を置くと、ミニ八卦炉を取り出した。
「恋符『マスタースパーク』!!」
スペルカードを発動させた瞬間、ミニ八卦炉から極太のレーザー光線が発射された。
そのレーザー光線に巻き込まれ、蜻蛉の弾幕は跡形もなく消滅した。
あれほど大量に放出した弾幕がたった一撃で消されるとは。
やはりこの技の威力はすごいな。
「どうだ、弾幕はパワーだぜ!」
「すごいですね。やっぱり魔理沙さんとの弾幕ごっこは楽しいです。」
俺の言葉を聞き、魔理沙さんは「だろ!」と言ってニッと笑みを浮かべた。
本当に、魔理沙さんとの弾幕ごっこは楽しいけど、もうそろそろ決着をつけようか。仕掛けは万端、そのことに相手はまだ気づいていない。
イマジネーションを働かせ、魔理沙さんの動きをイメージする。
そして湯気の弾幕を展開した。
ほうきを操り、魔理沙さんはその弾幕を避けるが、その動きはイメージ通りだ。
タイミングを見計らい、空気に意識を向けて空気を固めた。そして…
「うわぁっ!?」
魔理沙さんはその固めた空気にぶつかった。
「痛て…。なんだこれは?」
手を伸ばすと、手の平が何か固い物に触れた。
「空気を固めて壁を作ったんだよ。正確には立方体だけどね。」
「空気を固めるって…どうやって!?」
「ああ。まだ話してなかったけど、一度死んだことで新たな能力を手に入れたんだ。それは「空気を操る程度の能力」。空気を固めることくらい朝飯前さ。」
もちろん手の内を相手に知られてはおもしろくない。
だから、わざと今まで自分の能力の事は隠し通してきた。
魔理沙さんは驚きの表情を浮かべる。
それに構わず、俺は言葉を続けた。
「空気は目に見えない、だから何でもできるのさ。空中に大迷宮を作り出すことだってな。」
そして、スペルカードを発動させた。
「空城『インビジブル・ラビリンス』!!」
意識を向けた空気を立方体の形に固め、湯気によって真っ白に色を付けた。
その直後、空中に大量の立方体が姿を現した。
その桁違いの多さに驚いた魔理沙さんはあたりをきょろきょろと見回している。
「いつの間にこれだけのものを!?」
「俺が虹速『ラピッドクロウ』で飛び回っているときに、あらかじめ固める空気に目印を付け、スペルカード発動と同時に一斉に固めたのさ。ただ闇雲に飛び回っているだけじゃなかったんだぜ。さあ、この弾幕の嵐を避けきれるかな?」
そして、その立方体から真っ白な弾幕を次々と放出させた。
「ああ、避けきって見せるさ!天儀『オーレリーズソーラーシステム』!!」
魔理沙さんの周りに複数の球体が出現し、そこから大量の弾幕がばらまかれた。
放たれた弾幕は真っ白の弾幕を次々と打ち消し、
その華麗な動きに惚れ惚れするが、そろそろケリをつけよう。
大技を使い続け、体力を激しく消耗させてしまった。
残された体力の事を考えると、次が最後だろう。
上空に飛び上がり、右足に嘴が来るように周りの空気を固めて巨大なハヤブサを作り出す。
そのまま、猛スピードで魔理沙さんに向かってキックを繰り出した。
上空から真っ直ぐ急降下してくる俺の存在に気づいた魔理沙さんは、ほうきを縦に構え、星をまき散らしながら勢いよく垂直に飛びあがった。
「撃墜『ファルコンダイナマイト』!!」
「星符『エスケープベロシティ』!!」
「うーん…」
あれ…?
太陽が見える。ということは、俺は白玉楼の中庭にあおむけで横たわっているな。
両者のスペルカードがぶつかり合い、激突した衝撃に耐えきれず俺は中庭に落ちていったのか…。
ところで、魔理沙さんは?
「おい、生きてるか?」
太陽の光を遮るように、魔理沙さんが俺の顔を覗き込んだ。
弾幕ごっこによるものだろうか、かなりボロボロだ。
「ええ、生きてます。でも…。」
この状況から考えたら、俺は魔理沙さんに敗れたんだね。
負けたのは悔しいけど、とても楽しかったな。
「やっぱり魔理沙さんは強いですね。負けました。」
「いや、負けたのは私の方さ。欧我の弾幕の美しさに見惚れて危ない場面が何度もあった。だから、引き分けにしないか?お互いに思う存分戦った。それで十分だぜ。」
そう言うと、魔理沙さんは右手を差し伸べてくれた。
「魔理沙さん…。」
その手を掴み、魔理沙さんに手を貸してもらいながら立ち上がった。
そのまま固い握手を交わす2人に向かって、観客から一斉に歓声が起こった。
この終わり方に少し不安がありますが、いかがでしたでしょうか。
それにしても弾幕ごっこを書くのは楽しかったですね。
思わず興奮してしまいました。
その興奮が伝わればいいかなと思います。
では、次の更新をお待ちください。
ネタが思い浮かばないので、かなり後になるかと思いますが…。