ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~   作:藤林 明

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何年か振りの投稿になります。
遅くなって大変申し訳ないですが、次話で対硯谷を終えてみせます。(打ち切りっぽく見えたらごめんなさい…)

それではどうぞ!!


第30話 「外国人」VS「異世界人」後編 ~第4Q~

~回想~

 

とある練習日の休憩中の事だった。

 

「長谷川さん」

 

チームメイトの輪から離れ、コーチ陣がいる所に来た紗季は昴へと声を掛けた。

 

「ん?どうした?」

 

「実は、すずの事なのですが……」

 

「すずちゃんがどうかしたの?」

 

隣で聞いていた葵が質問すると、神妙な表情で

 

「——さっき少し聞こえてきたのですが、すずにディフェンスを教えなくても大丈夫なんですか?」

 

と質問してきた。

 

「あぁ、そのことか」

 

「やっぱり、気になっちゃうよね…」

 

二人は顔を見合わせるとお互いに苦笑気味に話し始めた。

 

「確かに全く教えないとなると問題あるんだけど、型通りに全部をしっかり教えちゃうとすずのいいところが無くなっちゃうんだ」

 

「いいところ……?」

 

「うん。すずちゃんの動きって、全てが忍術をベースにしてるのは紗季ちゃんも知ってると思うんだけど…そもそもバスケにあんな動きも技も無いんだ」

 

「あぁ。だからすずにはディフェンスのルールだけを教えてあとは実戦で覚えてもらう方が伸びると思ってな。…だから今は、すずにしかできないすずだけの型を模索中…ってことさ」

 

「あっ!それで今は教えない、なんですね!?」

 

「そういう事」

 

そう。すずの動きは基本的には忍術をベースにしている。その為忍術にあまり詳しくない昴達は基本は教えられても実践的な応用までは教える事ができないのである。

 

「……まぁ、特殊なのはすずだけじゃないのも事実だけどね」

 

「エリーの事ですよね…?」

 

「あぁ、……運動神経が図抜けていいわけでもないし、かと言ってバスケの経験者でもないんだけど……何故か身体能力が高いんだよなぁ……」

 

「うん、普通ならあれだけの身体能力なら何かしらのスポーツ経験があってもおかしくないよね」

 

「旅の中でついた…って言ってましたけど……」

 

そう紗季が言うと3人は一様に「うーん…」と唸る。その中で最初に顔を上げたのは葵だった。

 

「あ、ねぇ昴。エリーちゃんにクイックシュートなんて教えた?」

 

「え?何だよ急に?」

 

「いやね?この前昴より先にこっち来た時にさ、ひなたちゃんとすずちゃんと3人でシュート練習してる所見たんだけど……その時にエリーちゃん、パス貰ってからすぐにシュートを打つ練習してたからさ…」

 

「あ、それ私も見ました。本人に聞いてみたのですが、どうやら真帆のゲームで知ったみたいです」

 

「あ、そうなの?」

 

「はい、エリーがバスケのルールを知りたいと言ってきて…その時に真帆がたまたまバスケのゲームを持っていたのでそれをやっていた時にエリーが興味深そうに聞いていたのを覚えています」

 

「……知らなかった…」

 

「それはそうですよ、学校の昼休みにあった出来事ですから」

 

「あぁいやそっちじゃなくて、シュート練習の事」

 

「それも仕方ないわよ。私も昴に内緒にしてくれって3人には言われてたしさ」

 

「マジかよ……」

 

「ごめんごめん、でも、無理はさせてないからそこは安心して」

 

「……あいよ」

 

「あの……」

 

ゲンナリする昴と苦笑の葵に、後ろから智花が遠慮がちに声を掛けてきた。

 

「あ、トモ。どうしたの?」

 

「あうん、もう休憩終わりの時間だから呼びに来たんだけど……お邪魔だった、かな?」

 

「大丈夫だよ智花、葵も紗季もいいよね?」

 

「ええ」

 

「はい!」

 

「よーし!じゃあ後半の練習始めようか!!」

 

昴の掛け声とともに練習は再開したのだった。

 

~回想終わり~

 

〜実況side〜

 

「……これで、あんたの攻略は終わり。ここからは何にもさせてあげないから」

 

未侑がそう宣言し、フリースローを決めた後の彗心ボール。

 

「皆さんすみません。次はやり返します」

 

リスタート直後にすずはヒカリへと謝罪した。

しかしヒカリは

 

「大丈夫だよ。まだ点差もあるし次頑張ろ!」

 

と笑顔で返した。

–-–そこでふと、ある事に気付いた愛莉はヒカリへと問いかけた。

 

「ヒカリちゃん…?」

 

「……心配かけてごめんね愛莉。…けど話は試合終わってからしよう」

 

「あ…う、うんわかった!…えへへっ」

 

少ない言葉数の中に愛莉が聞きたかった答えが入っていたのであえて続きは聞かない。

…けど、それでも嬉しかった愛莉は思わず笑顔になっていたのだった。

 

〜〜〜〜

 

「さて、今度はどうしようかな?」

 

「あれ?自分で来ないんだ?」

 

センターラインを超え、硯谷陣営へと攻め込むヒカリへと、半ば挑発じみた台詞をぶつけたのは硯谷のポイントガード・甲本みすず。

彼女は今、自分とのミスマッチを相手に知られている上であえて挑発している。そう、まるで−−–

 

"私のところが一番弱いよ"

 

とでもアピールするかの様な物言いだ。

 

「…何が言いたいの?」

 

「そんなの決まってるじゃない。自信があるんなら攻めて来たら?って言ったのよ!」

 

「っ!」

 

もちろんただ会話をする訳でもなく、隙あらばスティールを狙って動き続けている甲本に対して、パスもドリブルでの前進も憚られる状態に陥るヒカリ。

 

「…前の威勢の良さは何処へ行ったのかしらね?––隙ありっ!!」

 

「っ!…あっ!!」

 

僅かに緩んだドリブルの隙を突いてスティールを成功させる甲本。

そして––

 

「マリア!!」

 

「ハイ!」

 

スティール成功にいち早く気付いたマリアが、甲本からのパスを貰ってドリブルを開始。即彗心ゴールへと攻め込む。しかし

 

「やらせません!!」

 

マリアが反応したのを見たエリーゼが瞬時にディフェンスに入る。

 

「サッキノオカエシデス!!…ハッ!!」

 

「えっ!?」

 

マリアはエリーゼへとそう宣言するやいなや、ドリブルをしながら突然後ろへとバックステップをし、そこから2、3歩踏み出し飛んだ。

そして––

 

「ダンク!!」

ドガシャン!!

 

掛け声と共に繰り出されたダンクが起こした地鳴りの様な音が、体育館中に鳴り響いた。

 

慧心 136 - 102 硯谷

 

「コレガジツリョクノチガイデス!」

 

ゴールから降りたマリアがエリーゼに対してそう言い放つ。

しかし

 

「…私が負けても…試合に勝てればいい…です!…私は…私達は負けません!!」

 

そう言い返すエリーゼは、旅をしていた時の最後の戦いで見せた様な強気の姿勢でマリアへと言い返す。

そこへ未侑がやってきて宣言した。

 

「ま、確かにアンタの言う通り、マリア1人じゃ勝ち目は薄いかもしれないわね。けど今は未侑とマリア、2人のエースがいるの。だからこんな点差、すぐに逆転してやるわ!」

 

「そんな事にはさせない!…勝つのは私達だよ!!––行くよ皆!!」

 

「「「「おー!!」」」」

 

未侑の言葉に負けないくらいの宣言をして智花はチームを鼓舞する。

 

––残り試合時間5分。

勝敗が決まるまであと僅か。




あとがきスキッド:混沌とした空間

回想時の紗希以外のメンバー

智花「あれ?紗希と昴さん達何の話してるんだろう?」

真帆「んあ?また何時もの作戦だろ?もっかんは心配性だなー」

ひなた「おー?ともかしんぱい?」

智花「ふえっ!?」

ミサ「ははぁ〜なるほどな〜…智花ちゃんもしかしなくても…」

愛莉「はい♪智花ちゃんは長谷川さんの事がry」

智花「!!」ギュッ

愛莉「うー!うー!」バタバタ

ヒカリ「えっと……愛莉は大丈夫なの?」

真帆「あー…多分大丈夫。最近よくあるから」

愛莉「きゅぅ〜」(昇天)

すず「いけません。愛莉さんが息してません。ここは––」

エリーゼ「––かの者を死の淵より呼び覚ませ"レイズデッド"」

愛莉「––ハッ!私は何を!?」

ミサ「魔法って便利やなぁ…(トオイメ)」

真帆「最近もっかん容赦無いな…」

ひなた「おー…ともか、まほうしってからえんりょしなくなった」

ヒカリ「あはは…そうなんだ…」

智花「…そろそろ休憩時間終わるから昴さん達呼んでくるね」

・・・

すず「エリーゼさん、これをどうぞ。いつもお疲れ様です」

エリーゼ「…オレンジグミ…いつもありがとう…すず」

終わり
ご愛読ありがとうございました。

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