ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~ 作:藤林 明
今年も宜しくお願いします。
だんだん迷走してきたこのロウきゅーぶ。ようやっと第3Q終わるなー
第4Qはもっとスピーディに進めたい今日この頃。…まぁグダるやろなw
ということで本編どぞ!
~実況Side~
ヒカリの指示でパスを貰いセンターサークルまでボールを運ぶ智花。
しかし相手はゾーンディフェンスの形を崩さず未侑共々自陣ゴール付近で各々のポジションに付いていた。
「(おかしい……今までは未侑さんがPGへのマンツー(1対1)という部分だけは変えて来なかった。なのに今は全員がゾーン……なにかあるのかな……?)」
その相手陣形を不審に思い警戒していると物凄いオーラを目の前から感じた。
「っ!(考えるのは後。今は…)ヒカリっ!!」
ゾーンディフェンスの頂きで待ち構えていた未侑が
「よしっ!予想通り」
パスが出される直前に動き出していた甲本がそのパスをスティールし、ターンオーバーを決める為に速攻を仕掛けた。
「っ!!ごめん!戻っt「……させない」…くっ!」
パスを盗られた智花は自身も追おうとしたがそれを未侑に阻まれてしまい釘付けにされてしまった。
「よし、これで…っ!?」
「あなたには入れさせないよ」
「なっ!?」
これで硯谷の得点か?!
誰もがそう思ったがそれをヒカリが阻んだ。――敵陣奥から自陣ゴール下まで瞬間移動したかの様な速さで、だ。
「自分のミスは自分で取り返さないとね…いくよ」
「っ!?」
今までのヒカリとは似ても似つかない平坦な声音でヒカリはそう甲本に言うと
「…………」
「…………」
そのままセンターサークルまで行くと未侑がヒカリを待ち受けていた。
だがここでヒカリは誰もが予想しない行動にでた。
「…………!」
「!?」
「…ナイスパスだよヒカリ!」
そう、未侑の反応できない速度で智花にパスを出したのだ。
それに誰もが驚愕するなか未侑は光速移動で智花とマッチアップした事に更に驚くが
「――ヒカリっ!!」
「!!」
「……ていっ!」
ガゴン!!
完全に付かれる前に智花はヒカリへとパス――といってもフリースローラインより少し前の空中だが――を放ち、それを
慧心 128-84 硯谷
「あの子、さっきと動きが違う……どういうこと…?」
甲本はただ驚き呆然とそう呟く。
が、以外にも冷静に事を見極めた塚本が甲本に近寄り
「あの子、雰囲気がゾーン状態の未侑と似てる…多分だけど、あの子もゾーンに入れるのかも」
と自身の考えを伝えた。
「……なるほど。ならゾーンにはゾーry「いや、それは無理。むしろマンツーマンディフェンスに変えるべきね」…未侑」
甲本がマッチアップ相手を変えるように指示したところ、意外なことにそれを未侑が制した。
彼女は気づいていた。今の慧心の弱点に……
「ごめんだけど、これ以上ゾーンを続けたら4Q全部は持たなくなる。けど今の慧心は未侑がわざわざ1人で点を獲る必要はないわ。…相手はほとんどワンマンチームの状態だから全員でいけば逆転は可能よ」
そう。
未侑が早い段階で自身の切り札を切った理由。それは――――
”
だったのだ。
「……なるほど。じゃあ4Qは最初からマンツーでいくようにコーチに進言するわ」
「ええ。だから今は」
「「「「「離されないように獲られたら獲り返す!!」」」」」
この後仕掛ける大々的な作戦を決めた硯谷メンバーは「詳細はこのQが終わったらね」という甲本の一声で各自のポジションへと戻っていった……。
一方、慧心メンバーは…
「……このままいくよ」
ヒカリの声は酷く冷め切っていた。それを聞いた智花は
「ヒカリ…あんまり思いつめないでね?何かあったら…」
と心配して声を掛けるも
「私は大丈夫。それよりも瑞穂の事お願い」
と言ってヒカリは自身のポジションへと戻っていった。
「……つまんない」
その場で立ち尽くす智花の耳に届いた聞きなれた、それでいて信じたくないような言葉。
その発生源は……
「……真帆?」
俯き、全身を震えさせている少女――真帆の声だった。
そんな真帆に恐る恐る声を掛けると
「だってさ、今コートでプレーしてるのもっかんとヒカリンだけじゃん。……あたし達、何もしてない。だからつまんない。……ねぇもっかん?これが本当の”バスケ”なの?…そうだとしたらさ、こんなつまんないスポーツないよ」
俯いたまま真帆はそう言い放つと、そのまま歩いて行った。――ベンチの方へ
「すばるん。メンバーチェンジして」
「あ、あぁ……すいません、メンバーチェンジお願いします」
真帆に言われるまま昴はメンバーチェンジを審判に告げる。
そして昴から告げられたのは意外な人物だった。
「ヒカリ、交代だ。あと真帆も」
「!?」
「うん、…すばるんならそう言うと思った。流石すばるんだな」
「どうしてd「理由はベンチで話す。だから今は下がるんだ」……はい」
OUT 八神ヒカリ 三沢真帆
IN 香椎愛莉 藤林すず
「「「「!?」」」」
「……やっぱり、出て来たわね。望むところだ」
慧心のメンバーチェンジに硯谷メンバーも驚きを隠せないが、未侑だけはその登場に闘争心に火を点けた。
そして慧心のメンバーは……
「だ、大丈夫なのすず?」
「……はい、まだ動けます。ご心配をおかけしました」
「……あ、愛莉」
「うん…最初は私も心配だったんだけど、起きたらこんな感じで…」
すずを中心に心配そうに聞く智花にいつものポーカーフェイスで答えるすずと、その様子に苦笑いの愛莉という不思議な構図ができていた。そんな時
「……すず…後で少しいいですか?」
エリーゼがすずに声を掛けた。…そのニュアンスにはいろんな意味ですず以外の他のチームメイトの頭に「?」が浮かんだという。
「……わかりました」
すずがそう答えるとエリーゼは自分のポジションへと戻っていった。
「皆さん、今は試合に集中しましょう」
すずはエリーゼを見送った後にそう言って自分のポジションへと戻ろうとして
「……そう言えば智花さん、私の位置は何処になるのですか?」
と無表情の中に困ったようなニュアンスを含めてそう言ったのだった。
~~~~~~~~
メンバーチェンジで中断していた試合も、審判の笛が鳴り再開したが、両チームの雰囲気には大きな差があった。
片や希望の為にと一眼になって戦おうとする熱い集団。片やチーム内に生じた不協和音によって戸惑うものとやる気に満ちたバラバラな集団。
一見するとそれは戦況をひっくり返しかねない大きな違いのハズなのだが、1人のプレイヤーがそれを阻止し均衡を保っている。
「――忍法・写身!!」
「ちょっ!?」
「はいっ!」
バシュッ
慧心 132-90 硯谷
多少のターンオーバーでの連続失点こそあるがすずの写身による分身戦法でなんとか得点を挙げ均衡を保ってはいる。……いるが
「はぁ……はぁ……っ」
第2Qでの無理がすずの体力の限界を早めた事実は覆らない。自然と息が荒くなる。
「もう限界なの?未侑はまだまだ余裕だし…あんたが潰れれば第4Qで逆転して勝てるわね」
「…………ひとつ……約束…してください」
膝に手をつくすずに未侑が近づくと、それに気づいたすずは未侑の挑発を無視してそう言った。
「はぁ?そんな状態で未侑に勝とうとか馬鹿じゃないの?」
それを聞いた未侑は呆れたように返す。
まるで嘲笑うかのような態度の未侑を、すずは無視して言葉を紡ぐ。
「この試合に…私たちが勝ったら……あなたのチームメイト全員に謝って…ください…」
「あのさぁ…別に未侑は何も間違った事は言ってないじゃない。なんでわざわざ謝らないといけないわけ?」
「あなたは…仲間に手を出した…。…それだけは…例え誰でも許されません…だからです」
「ふぅん?……まぁ良いわ。その条件乗ってあげる。……その代わり」
シュッ
パスッ
ビィーーーッ!!!
第3Q終了!インターバルです!!
「あなたたちが負けたら、土下座か坊主ね♪」
「……わかりました。約束、忘れないでください」
硯谷の選手がブザービーターを決める音と終了のコールが響く中、二人のバケモノはそう約束し合った。
慧心 132-92 硯谷
後書きスキッド:あれ誰かな?
メンバーチェンジ後の慧心ベンチにて
紗季「真帆……」
真帆「ごめん紗季。ちょっと頭冷やしてくる」
・・・
外・水場にて
ジャー…キュッ
真帆「……ふぅ。思わず頭から水被っちゃったけどどうすっかなー…髪結び直すのメンドーだし、とりあえす軽くふいてゆっくり帰ろ」
タッタッタ
真帆「ん?」
タッタッタッ
真帆「銀髪…?金髪…?……光のせいでわっかんないけど、ガイジン…だよなぁ?目も…蒼っぽいし、…この学校の生徒かな?んー……」
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???「ココガ、ススリダニジョガクエン……ン?アノキンパツノショウジョハワタシトオナジナノデショウカ……ココハタシカメ…」
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真帆「……なんかこっち見てんなー…とりあえずすばるんに報告しに行こう!」
ダダダッ
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???「アッ!……イッテシマイマシタ……ドウシマショウ……」
終わり
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m