ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~   作:藤林 明

30 / 37
短めですが割と早めに投稿できました。
そして、修正も無事終わりました!…もしまだ変な部分がありましたら教えて頂けるとありがたいです。

因みに今回は先にベンチ裏の3人にスポットを当てています。
……多分、あの子のあんな感じは何処の二次小説でも無さそうだと思うので、出来れば批判は勘弁頂けるとありがたいです。…きっと誰よりも仲間思いなんだと思うから。

それではどぞ!


第24話 天使たちの負 ~体育館外~

~昴side~

 

智花とひなたちゃんを連れて体育館の外(と言っても試合中だから扉を挟んで外というだけだけど)へと出る。すると智花が不意に

 

「…………がっかり、しましたよね?」

 

と、問いかけてきた。その顔を覗くと――今にも泣きそうな表情をしていて、葵の言っていた言葉の本当の意味を知った気がした。だから

 

「そんなことはないよ。智花なら、この後いくらでも挽回できるって俺は信じてるから…それに、あの奇襲を読めなかったのには俺にも責任がある。だから謝るのはむしろ俺の方だ。……ごめんな、2人とも(・・・・)

 

そう言って俺は2人に頭を下げる。すると

 

「あ、あの頭を「お兄ちゃんは悪くない!!!」っ…ひなた?」

 

智花の声を遮りひなたちゃんの叫び声に近い大きな声が聞こえた。

 

「……お兄ちゃんはわるくない……わるいのは……あの人で……」

 

驚いて固まっていた俺と智花の前で――――ひなたちゃんは今まで堪えていたのか、大粒の涙を零しながらぽつぽつと喋りだした。

 

「グスッ……あの人が……あんなことしなければ……あいりも…ヒック…ともかも……かなしいかお…しなかった……」

 

「ひなた…………」

 

「……お兄ちゃんが…こんなおかおで…ごめんなさいしなかった…っ!!!」

 

「ひなたちゃん…………」

 

普段、天使のように可愛らしくふわふわとチームの輪で笑顔の花の中にいる純粋無垢な少女が、仲間や俺なんかの事で悔しそうに…泣きじゃくる姿を見て俺は……

 

「!…~~うわあぁぁん」

 

抱きしめて、気が済むまで泣かせてあげる事しか、できなかった。……正直、この子たちのコーチを引き受けてから初めて、己の無力さを痛感した。

 

「……ひなた……昴さん……私……」

 

そして、泣きじゃくるひなたちゃんを見ながら思いつめた表情の智花が話しかけてきた。

……けど、こういう時の智花は変な事を言い出しかねない。だから

 

「……智花、一つだけ相談したい事があるんだけど、いい?」

 

と、本題を切り出すことにした。――もちろん

 

「ふえっ!?…え、えっと、…はい。なんでしょう?」

 

智花はいきなり話を切られてあたふたしたが、それでも先に俺の話を聞いてくれるようで先を促してきた。

 

「第3Qだけどさ、瑞穂を1Qフルで出さないといけないから混成でいきたいんだけど……、智花以外で(・・・・・)未侑ちゃんと1対1でつけれる人いないかな?」

 

「え……それ…って…」

 

まずい!!

智花もメンタル崩壊寸前だったんだ!!!俺のバカ!!

 

「私……は……もう……い…いら「そうじゃない!!」っ!!!」

 

顔面蒼白・涙腺決壊寸前の小学生に大きな声は拙いけど、今はとにかく説明しないと!

 

「…大声出してごめん。でも聞いてくれ智花、これは作戦なんだ」

 

「……作……戦……?」

 

「そう!後半で逆転負けしない作戦なんだ。……もちろん智花が体力切れなんてしないのはわかるよ?でも他の皆はそうじゃない……次のQで必ずどこかが崩れる……もしそうなった時、どうすることもできないじゃ勝てないんだ」

 

「……けど……私以外で…って…」

 

「あぁ、確かに言った。……でもそれは要らないからじゃない!これは第4Qへの布石なんだ……これだけは……信じてくれ」

 

それだけ言って俺は、可能な限り頭を下げた。……本当は土下座でもするべきだろうけど、今はひなたちゃんを抱きしめている状態だからできない。…それでも智花は

 

「……わかりました、私は…昴さんを信じます。だから頭を上げてください」

 

「ありがとう、智花」

 

困り笑いをしながらだが納得してくれたみたいで頷いてくれた。……本当に、この子には頭が上がらないなぁと思う。

 

「…あ、それで昴さん。先ほどの質問なのですが」

 

「うん」

 

「多分――――なら」

 

「なるほど……」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

それから少し打ち合わせをしてから戻る為に体育館の扉を開ける。(ひなたちゃんは途中から泣き止んで話に入ってきてくれた。ひなたちゃんにも関係あることだから話せたのは良かった)

――そして、目に入ってきた光景に俺たちは言葉を失った。

 

「えっとぉ~……昴、さん…?」

 

智花も呆然とそう呟くのがやっとの様で先の言葉が出てこないみたいだ。……ひなたちゃんに至っては理解すら追い付かないようでビックリしたって顔のままで立ち尽くしている。

 

「……これは……想定外だな……うん」

 

俺も苦笑いしかでてこない。何故なら・・・

 

慧心 124-26 硯谷

 

というとんでもないスコアがついていたからなんだよね……この短時間に何があった…orz

 

~sideout~




後書きスキッド:大人の心配(笑)

葵「(昴にはああ言ったけど大丈夫かなぁ……アイツ女心と微塵も分からないからなぁ…)」

初恵「(長谷川君……あの子たち連れてどこへ行くのかしら?……頼むから問題だけは起こさないでよ~…あの理事長だけで厄介事はお腹一杯なんだから……)」

美星「(くぅ~腹痛ぇ……あのロリコン、問題起こしてなければいいが……頼んだぞ、葵!)」

レイア「(……葵ちゃん、我慢しないでついていけばよかったのに…不安なのが顔に出ちゃってるよ~……ふふっ、まぁそれだけ昴の事好きなんだろうけどな~)」

ジュード「(智花とひなた、大丈夫かなぁ……頼んだよ、昴…!)」

真面目なジュード君は平常運転だとさ、めでたしめでたし。
終わり
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。