ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~ 作:藤林 明
それではどぞ!
~エリーゼside~
あれから持っていたハンカチで涙を拭いてから気合い一閃で扉を開けたのですが…
バタン!!
………勢いつけすぎました。皆も先生も驚いた感じで目を丸くしています。
「…え、エリーゼ?いくらなんでも緊張し過ぎだぞ?」
…さっき私をからかってた美星さんも、からかうのを忘れて呆然としてます。…私、そんなにガチガチなんでしょうか?
「しっ、失礼しましゅっ!?」
痛い…舌を噛みました…どうやら緊張はしてるみたいです。さらに驚いたことに身体が凄い動きをしています。…例えるなら、今日の朝見たテレビに出て来た「両手と両足が同時に動いてる人」みたいな感じです。…どうやら架空の話の中だけじゃなかった様ですね。
……当然、自己紹介も緊張のあまり舌を噛んでしまいながら自分の名前を言うのが精一杯だったので、見かねた美星さんが「エリーゼの席はあそこの1番後ろの真ん中の席な」と言ってくれたのでこの時は特に質問や騒ぎ等は何もありませんでした。(というより皆さん唖然としてます…うぅ)
…………はぁ……こんな状態で、友達なんて出来るのでしょうか…グスン。
~sideout~
~真帆side~
えっと、アタシ三沢真帆。今は転校生の紹介…のハズだったんだけど……
「えっ、エリーゼ…ルタス…でひゅっ!?……~~~!!!あうぅぅぅ~っ!!」
あ、噛んだ……えっと、うん、なんだか、昔のアイリーンみたいな子でさ、とてもじゃないけど早速質問、って空気じゃないんだよね……ん?あ、アタシだってちゃんと場の空気位読めるよもう!!
……まぁそれは良いんだけど、結構恥ずかしがり屋みたいだし、ホームルーム終わった後で話し掛けてみよう…かな?…あ、みーたん見かねて席を教えてるや…ってもっかんの後ろか!…こりゃあ話し掛け無い手は…無い…けど…
…あんな誰でも分かる位泣きかけてたら、難しい…かなぁ?
~sideout~
~愛莉side~
か、香椎愛莉…です。えっと…転校してきたエリーゼちゃんはちょっと前までの私に似てる様に見えました。
だって、今こっちに…私とひなちゃんの間の空いてる席に来ているエリーゼちゃんはとっても悲しそうな顔をして、今にも泣きそうな顔をしてるの…昔の、泣いてばかりだった頃の私みたいに――――――
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5年生に上がった時に最初にやった自己紹介。私はクラスに馴染めるか、友達は出来るか、ちゃんと自己紹介出来るか。凄く不安で、緊張して……結局、喋ってる途中で舌を噛んで失敗しちゃった。今さっきのエリーゼちゃんと同じ様に……。
…だからあの時は凄く怖かった。もう絶対に友達なんて出来ない。きっと虐められるって思うと、凄く悲くて、泣きたくて……。
だから――
「ねーねー、アイリーンって凄いね!」
…って声かけてくれた真帆ちゃんには凄く感謝してるんだ。
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……でも、実はあの後に続いた「背が大きくて」って言葉を聞いて大声で泣いちゃったんだよね。…あの時は真帆ちゃんに悪い事しちゃったなぁ~。真帆ちゃん、紗季ちゃんと美星先生にすごく怒られちゃってたし……。
…だから、今度は私の番だ。真帆ちゃんにしてもらったみたいに――彼女を、助けてあげるんだ!
~sideout~
後書きスキット:デジャヴュ!?
智花「転校生の子、エリーゼって言ってたよね?あの子も恥ずかしがり屋さんなのかな?」
ひなた「おー、エリーは恥ずかしがり屋さん」
智花「エリー?…あ、もしかしてエリーゼのあだ名?」
ひなた「おー、そうだよ~。エリーゼだからエリー。ひなもひなただからひな」
智花「そ、そうなんだ…と、ところでさ、エリーゼの自己紹介なんだけど、私なんだか何処かで同じ様な光景を見た様な気がするんだけど……」
ひなた「おー、ひなもそう思ってた」
智花「う~ん…何処でだろう?」
ひなた「むーん……」
智花「うーん…」
智花&ひなた「「う~~ん」」
おわり
御愛読ありがとうございましたm(_ _)m