ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~ 作:藤林 明
……はい、すいません。修正サボってます。頑張ってやらな…
それではどぞー
〜実況side〜
慧心の選手は一様に唖然としていた。何故なら…
「お…おいサキ。い、今何が起きた?!」
「……ごめん真帆。私にもよくわからないわ…一体何をしたのあの子は?」
「……皆、とにかく今はベンチに戻ろう?…愛莉も、まだ試合は始まったばっかりだから今のは気にしないでね?」
「うん……ありがとう、智花ちゃん…」
「…………」
驚きと分からなさから半ば興奮気味に紗季へと質問する真帆と、呆然と真帆の質問に答える紗季、事態を把握し半泣き状態の愛莉を慰めベンチへと戻ろうと気丈に振る舞う慧心のエース智花。無言で未侑を――彼女にしては珍しく――睨みつけるように見続けるひなたと、それぞれが違う意味で普段の彼女たちからは想像つかない様な行動をしていたから。
「ふん……やっぱこんなもんか…つまんないの」
硯谷の選手がベンチへと帰る中、そのうちの一人である未侑は誰にも聞こえないようにボソッと愚痴るのであった。
~side out~
~昴side~
第1Qのラスト、硯谷のエースとして聞いていた少女藍田未侑のスティールからのシュートというプレーで呆然としている智花をはじめとした創設メンバー達。だが、それとは対照的にベンチでは…
「…………」
「……あの人、あれだけの事言っといて大したことない?」
「…あれならまだすずの方が速い…です」
「…相手のエース、上手いけど弱い」
「……なんや、ここまでぼろくそな言われ方されてるの聞いてたらえらい同情したなってきたわ…」
「あはは……」
「そうだね……」
「すずちゃんに至っては最早相手に興味なし、って感じだしねぇ…それより昴、あの子たちのケア。しっかりやんないと」
「ああ、わかってる」
俺の予想に反して酷評を始めた転校生メンバーと苦笑いが止まらないジュードとレイア、葵に説教される俺というカオスな会話がされていた。すると
「あの…昴さん」
まさに意気消沈、とでも言うような智花の声と、苦しそうな顔をしている紗季に真帆。最早涙を堪えているだけという状態の愛莉に本当に珍しい(というより俺は見たことが無い)暗い怒った顔をしているひなたちゃんがそこにいた。
「ん。…皆、最後の展開には思う所があると思うけど、今はまだ試合中だ。次はエリーゼ達の出番だからしっかり応援しよう!」
「…………」
「そうだな、応援するのも大事だよな……でもすばるん、あたし達負けてるのに怒らないの?」
「っ!」
まぁ確かに真帆の言い分もわかる。……でも
「真帆、確かに負けてるかもしれないけど、まだ
「……グスッ……はい…」
「……そうだな。こんな弱気なんてあたしらしくないよな…うん、ありがとすばるん!」
ビーーーーッ!!
「…よし、じゃあ第2Q頼んだよミサ!」
「ほいほい、一気に大差つけてくるわ…ほな皆、いくで!」
「「「「はい!!」」」」
インターバル終了のブザーが鳴ったのでミサ達転校生組5人がコート中央へと歩いていく。それを見届けながら俺は……
「智花、ひなたちゃん。ちょっと俺と一緒に外来てもらえる?…少し話がある」
真剣な表情で二人にそう言うと
「はい」
「…お兄ちゃん…いいよ?」
と、言ってくれた。すると
「あれ?すばるん達は応援しないの?」
と真帆から声を掛けられた。…まぁそうだよね。俺がしっかり応援しようって言ったのにその当事者がしないんじゃね。
……でも
「ごめんな真帆、…でも、二人との話は第3Qに必要な事だから…」
「そっか……ん、分かったよすばるん!!こっちはあたしにまかせとけ!」
「ありがとう真帆。…葵、ジュード、レイア、すまないが…」
「はいはい、なんかあったら呼びに行くから、早く行きな」
「ん。頼んだ…じゃあ二人とも」
「はい」
「うん…」
葵に試合を頼んだ俺は二人を連れて体育館の入り口まで行った。……文字通り、第3Qの作戦会議をする為に――
~side out~
~実況side~
第2Qの開始が審判から宣言され、硯谷から攻撃が始まった。――はずが
「ほな、早速攻めますか。――すず!」
「はい、――忍法・不知火!!」
すずがそう叫ぶと、一瞬でボールを持つ硯谷PGの手からボールを奪い去り慧心の攻撃に変わる。
「ミサさん」
「ほいほい、おおきになすず」
「え…ちょっ!?何が起きたの!?」
ボールをミサにパスしたすずはそのまま自陣のコートへと戻っていく。…もちろんボールを盗られた硯谷の選手は動揺を隠せない。
「混乱してるとこすまんが……一気にいくで!!」
そう言うとミサは相手PGをいとも簡単に抜くと相手コートまで一気に走っていく。
「ちょっ!?早すぎっ…!!」
「あんたらが遅いだけや」
スパンッ
誰にも追い付かれる事もなくあっさりとレイアップを決めたミサは冷たく言い放った。
慧心 22-24 硯谷
「……あんたに恨みは無いけど、あんなもん見せられて黙ってらんないんはわいも一緒やから手加減なんてせんで。……一気に潰す!!」
「ひっ…!」
そして、普段は比較的笑った顔の方が多いミサが鋭い眼光で相手を睨み、それを見た硯谷PGの少女は怯えた声を出す。
「ほな皆、いくで!弔い合戦や!!」
「……ミサ、ひなたたちは死んでないから」
ミサが真剣な顔でそう言うのに対して有紀が冷静にツッコミを入れる。それを聞いたミサは
「そうや…こんなキレのいいツッコミを待っとんたんや…!」
と、感動したように呟く。……やはり彼女にシリアスは向かないようだ。
「未知子落ち着いて!次獲れば良いんだから」
SGをしている少女がPGをしている少女――未知子というようだ――へと声を掛ける。そしてボールをエンドラインから投げ入れるが・・・
「遅いっ!」
そう声が聞こえた直後、再びボールはすずの手の中にあった。そして今度は
「ヒカリさん」
と、相手ゴールの丁度上位にボールを投げる。それを空中でキャッチしたヒカリは
「はい…っ!!」
と、ゴールへ叩き付けた。――ダンクシュートで
すると
ビーーーーッ!!「タイムアウト!硯谷!!」
という声とブザーの音が鳴り響いたのだった……。
慧心 24-24 硯谷
続く
後書きスキッド:ギャップ怖い
第1Qラスト。慧心ベンチでは……
ミサ「なんやあいつ、思ったより早いやないかい」
エリーゼ「え…?あんなにゆっくりなのに…ですか?」
ミサ「…………じぶん、感覚おかしいんやないん?」
ヒカリ「え?私もゆっくりだなぁって思ったけど……私たちおかしいのかなぁエリーちゃん?」
エリーゼ「……ヒカリと一緒はちょっと……」
ヒカリ「ちょっ!?どういう意味よー!」
有紀「そんなことよりも大事な事」
ミサ「あぁ、…すまんがわい、いまのプレーはちょっとばっかしキレたわ」
ミサ・すず以外の3人「え……っ!?」
ミサ「精神的なダメージを狙ったクラッチプレー…ああいうのはほんと気に入らん」
有紀「それは私も賛成。あれは完全に狙ってやった。許せない」
ミサ「せやからすずとヒカリには最初に大ダメージをあたえてもらうわ。……昨日の再現しちゃる」
エリーゼ・ヒカリ・有紀「(…ミサのことは怒らせない様にしよ。あとが怖い…)」
終わり
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m