ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~   作:藤林 明

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今回は文字数少ないのもあって早い投稿になりました(笑)

そして、この小説を読み返して思ったこと。それは……

修正箇所が全く修正・訂正されてないやん!!

ということ。……はぁ、早急にやらないとあかんなぁ……


愚痴が長くなりましたが、それでは本編をどぞ!


第22話 静か過ぎる幕開け

~実況side~

 

 センターサークルでのジャンプボールは愛莉が制し、慧心からの攻撃でスタートした試合は開始から3分近くが経過したが驚く程静かに進んでいた。

 

――――バシュッ!

 

「ナイスよトモ!」

 

「紗季もナイスパスだったよ」

 

この試合がポイントガードとしての初めての試合である紗季からエースの智花へのパスが通りそのままレイアップでゴールへと沈めて得点し、今現在のスコアは

 

慧心 8ー6 硯谷

 

となった。……が

 

「うーん……」

 

「……………………」

 

入れられ、ただのワンゴール差とはいえリードされた硯谷のメンバー…とくにエースの未侑とセンターの塚田はそれぞれ無言だったり首を傾げて唸っているだけでこの状況を気にした風ではない。

 

「……はぁ。久美、言いたいこととか気持ちは分かるけどもう少し試合に集中してくれない?未侑も、無言で睨んでないで連携に入ってきてよ!」

 

エンドラインからボールを受け取ったポイントガードの甲本みすずが塚田久美と藍田未侑へ抗議の声をあげる。

 

「んー……そう、だな。考えるのは後にするか」

 

色々と考えたが答えの出なかった塚田は甲本の抗議に謝り走っていった。

 

「……このQ(クォーター)はあんた達に任せるわ。ディフェンスは自分の持ち場だけはやるけどオフェンスはパスしかしないから」

 

未侑は甲本にそう言うと歩いて相手の陣地へと向かう。

 

「……はぁ。また怒られるよこのパターン……」

 

未侑の我儘で過去にキツーイ罰を受けた経験のある甲本は誰にも気づかれずにため息を吐くと、ドリブルを開始して相手のコートへと走って行った。

 

 

~~~

 

一方、ベンチでは未侑と甲本を見ていた野火止姉妹が同時にため息を吐いていた。

 

「……お姉ちゃん、まーた未侑が投げてるよ」

 

「……そうね。しかし、慧心はどういうつもりなのかしら?昨日のアレを使えば瞬殺だろうにこんな地味な子たちを重要な第1Qに起用するなんて」

 

「うーん……聞いた話だと、今出てる彼女たちがこの部活を作ったんだって。だから多分、バスケ選手としての経歴の長さで選んだんじゃないかな?…昨日の子たちはほぼ全員7月に転校してきた初心者らしいから」

 

妹麻奈佳の話を聞いた姉初恵は神妙な顔で頭を抱えると

 

「…そんな初めて1か月も経ってない素人に昨日は惨敗してたのね…」

 

と独り言の様に呟いたのだった……

 

 

~~~

 

第1Q開始から5分。お互い特に熱くなる事もなく得点を重ね、スコアは

 

慧心 20-20 硯谷

 

の同点で硯谷からの攻撃が始まろうとしていた。

 

「さてと、大体実力は分かったし……そろそろ点数取りに行くか……」

 

残り時間1分となり、甲本はパスを受け取るとそう呟き塚田へと目配せをする。

 

「(なるほど……あたしの所からか……了解!)」

 

甲本の意図を悟った塚田は不敵に笑いそれに応えると、敵陣のインサイドまで突っ走った。

 

「!愛莉、速攻来るよ!!」

 

「はいっ!」

 

甲本・塚田のファストブレイク狙いにいち早く気付いた紗季が愛莉へと指示を飛ばすが、ゲーム開始から塚田をマークしていた愛莉は既に自陣のインサイドで相手を待ち構えていた。――が

 

「読みは良いみたいだけど」

 

「!!」

 

「そんな身体じゃあたしは止められないよ!!」

 

「ぐぅぅっ…!」

 

塚田は自身の持ち味であるフィジカルの強さを活かしたパワードリブルで一気に押し込んできたが、愛莉はそれに必死に対応する。だが

 

「それっ!」

 

「あ…っ!?」

 

必死になり過ぎた為に相手のロールへの対応が遅れてしまい得点される。

 

慧心 20-22 硯谷

 

「ごめん紗季ちゃん」

 

「大丈夫!まだ時間はあるわ!ここしっかり決めるよ!!」

 

「うんっ!……紗季ちゃん!」

 

謝る愛莉に紗季が励ます。そして、エンドラインから愛莉がボールを紗季へと投げ入れて再開する……ハズだった。

 

「遅い」

 

スパン!

 

「え……」

 

不機嫌な声が聞こえたと思った次の瞬間には既にボールがリングへと吸い込まれていたのだった。

 

慧心 20-24 硯谷

 

ビーーーーーッ

 

そして、呆然と、何が起きたか分からない中第1Q終了のブザーが鳴り響いたのだった……。

 

続く…




後書きスキット:試合中のベンチ内~慧心side~

葵「……ねぇ昴、なんか静かすぎない?」

昴「そうだな……」

レイア「え?そうかな?皆しっかり声も出てるし、むしろうるさいくらいだと思うけど……」

ジュード「違うよレイア。二人が言ってるのは内容の事だよ…ほら、ここのチームって全国でも指折りの強豪だって言ってたでしょ?」

レイア「あー、そういえばそんな事言ってたよね」

ジュード「レイア……まさか聞いてなかったの?」

レイア「い、いや?ソンナコトナイヨ?」

ジュード「全く…レイアったら…」

昴「……お互い、幼馴染には苦労してるんだな…」

ジュード「あははは……」

葵「昴~?後で体育館裏に集合ね?」

レイア「じゃあ、ジュードもね!」

昴・ジュード「はぁ……」

終わり
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m

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