ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~ 作:藤林 明
忙しかったとはいえ遅すぎやな……orz
ということで今回は朝と試合前のブリーフィングです!
……すいません。試合は次回からです…とほほ
それではどうぞ!
~ジュードside~
合宿最終日の朝、小学生組は妙な静けさで朝食を食べていた。
創設時の初期メンバーである真帆、紗季、愛莉、ひなたは実質初めてだという他校との練習試合前の緊張で。転校生組と智花は合宿継続を賭けた模擬試合の際に見た相手チームのキャプテン――名前は
~side out~
~昴side~
「それじゃあまず、今日の試合のスタメンを発表します」
両チーム共試合前のアップが終わり、最後のミーティングをするために集まった皆にそう切り出す。――そう。今日この時まで皆には試合のメンバー…スタメンを言ってなかったりする。
「ちょっと昴!あんたまだ言ってなかったの!?」
「あぁ、ちょっと考えがあってな。もちろん皆がオッケーしてくれたからでもあるけど……」
「はい!昴さんの考えが私たちには解りましたので皆納得してます」
「智花ちゃん……でもだからって試合直前まで隠すなんて――」
「葵さん、直前やないとむしろ意味あらへんのよこれは。……まぁそれより時間もあんまり無いさかい、早よスタメン言ってや」
「ああ」
確かに葵の指摘も間違ってはいない。実際、このタイミングでサプライズ発表なんてしたら完全に捨てゲームになってしまうからな。……でもま、この辺詳しく説明してたら作戦や方針を言う暇がなくなるから葵には悪いけど試合中に説明するとして、今はスタメンを伝えないとな
「じゃあまず第1Q(クォーター)の5人だけど、ここは敢えていじらずに創設メンバーで行こうと思う。ポジションは、PG(ポイントガード)を紗季、SG(シューティングガード)を智花、PF(パワーフォワード)を真帆、SF(スモールフォワード)をひなたちゃん、C(センター)を愛莉で。……紗季はいきなり初めてのポジションで大変だと思うけど頑張って!」
「はい!自分の持てる力を出して頑張ります!」
「うん、そして第2Qは転校生メンバーでいくんだけど、ポジションはPGをミサ、SGをエリーゼ、SFをすずちゃん、PFを有紀。そしてCをヒカリでいきたいんだけどいいかな?」
「ま、無難な振り分けやろな」
「1、2Q共異議はないです」
「開幕を創設メンバー、2Qを転校生メンバー。当然の決定だから異論はない」
「私もそれでいいわ!」
「…………(コクン)」
上からミサ、すず、有紀、ヒカリ、エリーゼの順に快い返事がきたので一先ずは安心。さて、あとは――
「それと、転校生メンバーの方は第2Qではすずちゃんの飯綱落としとエリーゼの”アレ”は無しでお願い」
「なるほど、オッケーや」
「ち、ちょっと昴!?すずちゃんのはまぁわからなくはないけどエリーゼちゃんの”アレ”ってなによ?」
「……わかりました……」
「ごめんなエリーゼ。せっかく練習してたのに」
「ちょ!?また無視!?」
「昴さん、私の方は第2Q何をすればいいでしょう?」
「すずちゃんは第2Q、相手のボールをスティールすること
「わかりました。相手の全てのボールを盗ります」
「な…なんかニュアンスが怪しいけど……とりあえず最初の指示はそんな感じでいいかな?」
「私らはOKやで?」
「私たちもだいじょぶです!!」
「よし!じゃあ皆、思いっきりやろう!!」
「「「「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」」」」
「……ふん。昴のバーカ……」
……作戦会議の短い間に説明してる暇無いの知ってていじけるなよ葵。……まぁ言わないけどさ。蹴られるし…
~side out~
~ナレーションside@硯谷ベンチ~
慧心サイドが試合前ミーティングを行っている頃、硯谷ベンチ内は異様な雰囲気に包まれていた。
「…相手はどうやら素人達が先のようね」
「いや、皆素人でしょ」
「弱い方が先って、昨日あたしらに勝って慢心しちゃったのかな?」
試合には出ない下級生の3人――昨日の試合に出ていて泣き崩れた選手――が漫才のような掛け合いをしていると
「あれだけ無様に負けた恥晒し達が何偉そうに語ってんのよ」
「「「ひ…っ…!」」」
硯谷のエースであり昨日の試合で後輩やチームメイトを引っ叩いた藍田未有が2人を睨みつけながらそう吐き捨てた。
「まぁまぁ、それくらいにしときなって未有。そんなにビビらせたら後輩たちまた漏らしちゃうよ?」
「……ふん」
未有の隣で準備をしていた6年生のセンター塚田 久美(つかだ くみ)が昨日の惨状を思い出し、苦笑いしながらキャプテンを諌める。――そう。昨日の試合後、負けた自分たちは制裁されるのではないかという恐怖から試合に出た下級生たちはベンチ内で放心して膝から崩れ落ちた後、お漏らしをしてしまったのだ。
それを先生やコーチと一緒に片づけた塚田以下6年生達は自分の試合前にそんな面倒は嫌なのもあり仲裁したのだ。――――勿論、塚田や他の部員も昨日の惨敗には思うところ(主に素人相手に対する醜態)はあるが、まずは自分も戦ってからにしよう。という結論になり
「……さて、昨日の試合で思う事が多い子も多いでしょうが先に言っておきます」
生徒達が落ち着いたのを見計らい、顧問である野比止初恵(のびどめ はつえ)はいつもの厳格な表情で告げた。
「慧心は間違いなく今の我々より強いです」
「「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」」
試合に出るメンバー10人は驚きの表情で先生を見上げる。そこへコーチの野比止麻奈佳(のびどめ まなか)が同意しながら説明をする。
「……そうだね。私もお姉ちゃん…初恵コーチの言う通りだと思う。だって今の皆、慧心さんを見下してる様に見えるから」
「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」
「……ハッキリ言うよ。慧心さんは強い。だから皆、最初から全力で点獲りに行くよ!!」
「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」
「……………………」
「……………………」
今目の前にいるメンバーの弱点を見抜き、自分が今言おうとしていた事をすべて言った妹を隣で見た姉は思う。
……やっぱりこの娘には才能があるのだと。――そして願わくば……
「……何よ皆して。あんな素人連中未有がいれば瞬殺だってのに……バカみたい」
――この未完の天才を…問題児エースを真の意味で覚醒させてほしいと。
~@sideout~
~実況side~
「それではこれより、硯谷女学園対慧心学園の練習試合を始めます。礼!!」
「「「「「「「「「「宜しくお願いします!!」」」」」」」」」」
コート上に2つのチーム、10名の選手に公式審判団から派遣された女性(硯谷が2日後に行う国際親善試合の為に呼んでいた方)が立ち、試合前のあいさつをする。
そして、最初のジャンプボールをする為に2人のセンター――慧心の愛莉と硯谷の塚田――がセンターサークル内で視線を交える。
「よろしくお願いします(10人揃っての初めての試合……頑張らなきゃ!!)」
「よろしく。(へぇ……ずいぶんと大きいな此奴。……でも、このままならアタシの相手じゃないね…!)」
そして……
「
「
慧心学園女子バスケ部の10人揃っての最初の試合が今始まった。
~sideout~
後書きスキッド:聞こえてるんですけど…
真帆「……なあ?」
紗季「言わないで。皆分かってるから」
美佐子「アレはすごかったなぁコーチ?」
昴「…………ノーコメントで」
智花「……………………」
ひなた「おー?ともか、どうしたの?」
智花「ふえっ!?な、何でもないよひなた」
ひなた「?」
紗季「トモ…あなたまさか…」
智花「それ以上は言わないでね紗季♪」
紗季「!!……は、ハイ……」
エリーゼ「……智花が怖い…です……」
葵「すーばーるー?」
ドカッ
昴「ぐふっ!……どうして……こうなった……」ガクッ
相手ベンチの雑談でとばっちりを受ける昴であった……合掌
終わり
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m