ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~ 作:藤林 明
いやー、深刻なスランプに陥ると全然抜け出せませんね……ものすごく時間がかかりました(ーー;)申し訳ありませんです。
…ということで今回から硯谷合同合宿編が始まる訳ですが、展開はオリジナル要素9割原作1割くらいになる予定ですので気長にお待ち頂ければ幸いです。
それではどぞ!
第17話:波乱の幕開け
~エリーゼside~
「合同合宿…ですか?」
今日は7月20日、学校は「夏休み」という長いお休みに入るそうで、今日はその前日「終業式」の日…なのですが、学校に来ていきなり智花から言われた一言はやっぱり私には聞いたことが無い単語なので聞き返してしまいました。
「合同合宿ってのは簡単に言うと知らない誰かと何日も生活を一緒にすることだぞエーりん!結構楽しiグハッ!!」
「真帆…その呼び方はやめなさい…です!」
「グッ…最近エリっちがサキ化し始めてrへぶしっ!!」
「失礼ね。私だって言って聞くならわざわざ殴らないわよ!…どっかの誰かさんが、言うこと聞かずに勝手な事するから仕方なくやってるだけでね」
「…です!」
うるさい真帆に制裁を与えたら、紗季も同じ様に制裁を加えました。…当然の処罰、です!
「あはは……けど、確かにエリーは紗季に似てきたよね」
「えへへ。エリーちゃん、紗季ちゃんと同じ様に真帆ちゃんと仲良くなったよね」
「おー、エリー、まほともなかよくなった♫それはとってもいいこと」
「……むー、最近智花と愛莉とひながイジワル…です」
一連の流れを見ていた智花、愛莉、ひなは笑顔でひどいことを言ってきます。…最近の3人はなんだかイジワル…です。
「まぁまぁエリーちゃん、3人も悪気があって言ってるんじゃないんだからさ」
むくれる私に対してヒカリはそう言いますけど……
「……ヒカリも面白がってます…よね…?」
「えっ!?い、いや、そんなつもりは……なくもない…かな?」
「…………ヒカリは素直過ぎ…です。もういいです…知りません」
顔が笑いを堪えてるのが丸わかりです…!
「あらあら…ふふっ」
瑞穂もこっちを見ながら笑っています。…隠す気が無さ過ぎてもう何も言いたくないです…。
「…さて、エリー弄りはこの辺にして本題の合宿について話しましょう?これ以上やると口きいてくれなくなりそうだし」
「そうだね」
「むぅ…」
紗季のため息交じりの言葉に苦笑い気味の智花が反応したけど…誰も否定してくれないのは正直ショック…です。
「…それで合宿なんだけど、本当は真帆ん家の別荘でやるつもりだったんだけど、みーたん…美星先生が葵さんの知り合いが経営している私立の小学校に3泊4日で合宿に行くから親御さんに話しておいてくれって言ってたのよ。…特に今月入ったメンバーにはちゃんと聞いておいてもらいたいみたいだから先行して聞いておくように私が頼まれたの」
「なるほど…それで、合宿というのはどんなものなんですか?」
「合宿っていうのは仲間達といろんな所へ行って練習したり遊んだり…あと皆で同じ所で寝泊まりすることよ」
「…つまり、短い旅みたいなもの…でしょうか…?」
「旅??」
「…エリーはここに来る前に世界を旅したことがあるのよ」
「まぁ!」
「そうなんだー…私と同じだったんだね」
私がかつてジュードやミラ達と旅をしていたことは最近入ったヒカリや瑞穂にはまだ話していなかったので瑞穂は口に手を当てて驚いていましたが…ヒカリは最初こそ驚いていましたが、瑞穂の声が聞こえると笑顔で予想外なことを言いました。
「えっ!?じ、じゃあヒカリもいs「ゴホン!」――仲間と旅をしていたの?学校にも行かないで??…その割にはエリーよりも全然常識知ってるわよね?」
紗季が動揺して秘密にしている「異世界で旅をしていた」という事を話そうとして真帆のあからさまに嘘の咳で我に返った後、この場にいる全員が疑問に思った事を聞きました。…最近知ったのですが、紗季って予想外の出来事に弱くて意外とうっかりさんなんですよね。
「あぁ、私は4年前の夏休みと去年の冬休みの短い期間だけだったから私生活には全然影響無かったのよ」
「あぁ、そういうことね。…でも4年前の夏休みってことは
「あ…えっと、うん、おかげさまで…あははは……そ、それよりもエリーちゃん、合宿っていうのは短い旅みたいなもので間違ってないよ」
紗季の質問に明後日のほうを向きながら答えてから私にそう答えるヒカリはどこか焦っているようにも見えます。…でも人には言えない事情のようですし、ここは流してあげたほうが良さそうなので
「なるほど…わかりました。それなら大丈夫そうです」
紗季に答えるだけにしました。
「え?…で、でもお父さんやお母さんに聞かないで大丈夫なの?」
虚を突かれたのか、ヒカリは驚いた顔で私に聞いてきます。
「はい…あの、何か変ですか?」
「…エリー、一応言っとくけど
「…………えっ!?そうなんですか?…知らなかった…です」
私は紗季の言葉でそのことを初めて知りました…けど、今まで両親がいなかった私には知る術なんてありませんから知らなくて当然だと思うことにします。
「…紗季、そろそろ朝のホームルームが始まっちゃうからとりあえずまとめよう?」
私への説明の間ずっと何も言わなかった智花が紗季に話をまとめるように言いました。…こういうところはエースという感じがしますね。
「……そうね。エリーの誤解とかその他諸々はこの際後回しにして、とりあえず皆にはご両親にこのことを話しておいてほしいってことでいいよね?」
「うん、分かった」
「許可を貰えたら紗季ちゃんに報告すれば良いのかな?」
「ええ、全員の参加の可否が分かったら私から報告することになってるからそれでお願いね」
「「「「「「「「了解」」」」」」」」
…合宿、楽しみです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日、私たちは全員無事保護者からの承諾を得られたので慧心学園初等部の職員駐車場に集合することになり、朝一番(昨夜は興奮してあまり眠れなかったのは内緒です)で来たのですが……
「…早く…着きすぎました」
時間は…朝6時を少し回ったところですね…確か集合時間が朝8時だったハズなので…
「…あと2時間…何してようかな…」
…昔の旅では一番最後に来ていた私なので、気持ち早めに出てきたつもりだったのですが…早すぎたようですね…
「…あ、そういえば校庭にゴールできてたな…よし」
皆が来るまで軽く練習してようかな…?
~sideout~
~紗季Side~
現在の時刻、7時30分。今日の集合時間、8時。…よし、いつも通り30分前に着いたわ。
「…さて、最初に来るのはだれかしr」
――――ダム!・・・ダムっ!・・・パスッ――――タタタッ・・・
!?わ、私より早く来ている人がいるの!?……転校生組の誰かかしら…?
「……気になるわね…誰も来てないし、行ってみましょう」
~~~~~♪
「――えいっ!」
シュッ・・・・・・パスッ!・・・ダン、ダン、ダン、
…私は今、最近できた校庭の隅にあるバスケットゴールの近くに来ている。理由は校庭の方から音が聞こえたから。…そしてこの光景を見た。
――――エリーがかなり遠くからものすごく≪低い≫ループでリングに当てずにシュートを決めているのを。
「(え…エリーって最近バスケの存在を知ったのにいつの間にこんな高等技術を…!?)」
「ふぅ…とりあえず
・・・ん?えっ…ちょっ!?シュート1日200本って真帆の日課より多いじゃない!!どうりで上手いw「7時40分だよー!そろそろ行った方が良いんじゃない?」…え?今の声一体どこから…?
「うん、わかった……今日の合宿楽しみだなぁ」
エリーは時間を聞いて、ボールをバックに仕舞うとタオルを1枚出して顔を拭きながら自分の荷物を背負って駐車場の方へ戻っていった……ってのんきに実況してる場合じゃないわ!私も早く戻らないと……!
「…それにしても最後に聞こえたあの声は一体なんだったのかしら?」
最後に聞こえたエリーとは反対の活発そうな声の主について気になるけど、多分教えてはくれないだろうなぁ……。
や、無理には聞き出さないけど。
~Sideout~
~エリーゼside~
2時間位自主練習をしてから駐車場の方へ行くと、すでにバスが来ていて美星先生がドアの前に立っていました。
「遅いぞエリーゼ。どこ行ってたんだ?」
「えっと…早く着きすぎたので校庭で練習を…」
「おいおい…これから嫌って位練習するのに朝から飛ばしてるなぁ!本番でバテんなよー」
「はい…大丈夫です…頑張ります!」
先生とそんなやり取りをしてからバスに乗り込むと、後ろから足音が聞こえてきました。…私より遅い人居たんですね。
「はぁ…はぁ…み…みーたん…エリー、来ましたか…?…ふぅ」
足音の方を向いてみると、息を切らした紗季が膝に手をつきながら私のことを先生に聞いてます。…え?私?
「あぁ、ついさっき来たよ。もう乗ってるから早く乗れ」
「はい…ふぅ…」
紗季に早く乗る様に促した美星先生は運転席へと移動します。…ちなみに紗季は
「…おはようエリー。車内でゆっくり事情を聞かせてもらうから覚悟なさい」
私の前に来ると、眼鏡を光らせながら私にそう言って自分の席へと向かいました。…なんと言うか…後が怖い…です…。
〜sideout〜
〜昴side〜
ここ数日で一気に増えた女バスのメンバーに俺と葵、ジュードにレイアを含めたコーチ陣を乗せたバスは、ミホ姉の運転で硯谷女学園へと向かっていた。
「あ…あの、昴さん」
「ん?どうした智花?」
「実は朝、おにぎりを作って来たんですけど…もしよかったら昴さんも食べませんか?」
ふむ、おにぎりか…確かに今日は朝早くて朝食食べそびれてたし、ここは素直に頂いておこうかな。
「今日は朝早かったから朝ごはん食べて来れなかったし、智花が大丈夫なら是非頂きたいな」
「!ほ、ほんとですか!ではそちらに持って…きゃっ!」
「危ない智花っ!!」
智花がおにぎりを手に持ってこちらに来る途中に突然バスが急ブレーキで停止した。…幸い俺も智花の方へ行こうとしてたからギリギリかばえたけど、一歩間違えたら大惨事になるとこだったぞ…
「ーー大丈夫?智花」
「は…はい、なんとか……庇って頂きありがとうございました。昴さんは大丈夫でしたか?」
「あ、あぁ。俺は大丈夫…おいミホ姉!いきなり過ぎるぞ」
智花の無事を確認して安心した後、ミホ姉を糾弾したのだが……
「……………………………………………」
…あれ?反応が、無い?
「…おいミホ姉どうしt」
ミホ姉にしては無反応なのが気になったから運転席まで行ってみたが、そこには…
「……わりー……限界、みたいだわ……」
腹を抱えて力尽き、ハンドルに倒れかかっているミホ姉の弱々しい姿があった……。
〜sideout〜
後書きスキット:旅
〜合宿へ向かう車内にて〜
ひかり「そういえばエリーちゃんって昔旅をしてたって聞いたけど、どんな所を回ったの?」
エリーゼ「えっと…そうですね…リーゼ・マクシアならカラハ・シャールやイル・ファン、シャン・ドゥやカン・バルク。エレンピオスならトリグラフですね…あと世精ノ途(ウルス・カーラ)という不思議な所にも行きました。…ひかりはどこに行きました?」
ひかり「ウルス…カーラ?…あ、え、えっと私は中国とかかな?…あとはファイル島とかスパイラルマウンテンにも行ったけど……」
エリーゼ「ちゅう…ごく?…って何処ですか?」
ひかり「えっ!?…え、えっと…ってそれよりリーゼ・マクシアとかエレンピオスって何処なの?全然聞いた事無いけど…それってデジタルワールドにあるの??」
エリーゼ「デジタルワールド…ですか?…うーん…それも私には聞いた事がありませんよ…?」
ひかり「えー…」
エリーゼ「うーん…」
愛莉「……(わ、私には中国以外全く分からない…けどそれ以上に中国を知らないんだエリーちゃん…うー、すごく言いたい事があるのに何て言えばいいか分からないよぅ)」
おわり
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m