ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~   作:藤林 明

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という事で小説家になろうで掲載していたロウきゅーぶ!!~異次元からの助っ人編~のラスト投稿話ですっ!
次回からは次章の硯谷合宿編、異世界の少女達編、公式大会編、異世界冒険編…と続いていく予定になっています。…安定の不定期更新ですが、これからもこの作品を宜しくお願いします。
それでは長くなりましたがどぞ!


第16話:問題解決? 後編

~エリーゼside~

 

昨日の帰りに皆と話していた時、智花達に『ポジション』というものについて聞いてみたのですが、どうやら戦闘時の役割分担みたいなもので私以外の皆は割と簡単に決まっていきました。…けど

 

 

 

…結局決まりませんでした。…私のポジション。

 

「…昴さん、何て言ったんだろうな……」

 

最近やっと慣れてきたスクールバスに乗りながら、昨日智花がスクールバスから降りる時に言った「昴さんに電話して聞いてみるから落ち込まないでね?」という言葉について考えながら、結論が出ないまま私はうたた寝してしました。…この揺れ具合は非常に眠くなりますね…

 

 

 

 

~~~~~♪

 

 

 

 

「それにしても、相変わらずエリーはバスの中では気持ち良さそうに寝てるわよねー」

 

「……………どうしていつも、起こしてくれないですか?」

 

「あはは…エリー、紗季も悪気があって起こさない訳じゃないから許してあげて?」

 

「うー……でも!毎日…ですよ?」

 

「ごめんね。エリーちゃん、すごく気持ち良さそうに寝てるから紗季ちゃんも私もつい起こしそびれちゃって…えへへ」

 

「むー…愛莉はずるい…です」

 

「え?」

 

朝のホームルーム前、私は起こしてくれない紗季に文句を言って、皆になだめられるといういつものやり取りをしています。…それにしても、私は愛莉に頭が上がらな過ぎな様な気がします。…何でだろう?

 

「…あ、そうだ!昨日昴さんと瑞穂とエリーのポジションについて話し合ってたんだけど」

 

「おっ、流石もっかんだな!仕事が早い。んで、すばるんは何て言ってたんだ?」

 

私がむくれていると、智花が昨日昴さんと電話で話したという事を報告していました。……結局どうなったんだろう…?

 

「えっとね、瑞穂は試しに私と同じシューティングガードをやらせてみようかなって言ってたよ」

 

「うおー!ついにもっかんにもライバル登場かぁ!!…だが!もっかんを先に倒すのはあたしだかんな!」

 

「あーはいはい。とりあえず真帆は少し黙ってなさい。「なんだとー!!サキ!そもそもあたしが…」…それでエリーについては何て?」

 

流石紗季です。真帆を完全にスルーして上手く軌道修正しました。

 

「あはは……えっと、実は昴さんも結構悩んでるみたいで…昨日は聞けなかったんだ」

 

「そう……。まぁ長谷川さんには何か考えがあるだろうし、エリーのポジションについては長谷川さんに任せましょう。トモの事だから私達の意見は全てお伝えしてあるだろうし、ね?」

 

「うん。もちろんちゃんと伝えてあるよ」

 

「そう。なら、私達は長谷川さんを信じましょう。今までも、長谷川さんはどんな状況も打ち破ってくださいましたしね」

 

「うん!私もそのつもりだよ。…あ、それと昼休みに皆に話しておきたい事があるんだけど…」

 

「おー?いまじゃだめなおはなし?」

 

「うん。エリーを含めた『6人』にとっては大事な話だから。…ダメかな?」

 

私を含めて?…どういう事だろう…?

 

「おっけー!んじゃ女バスメンバーは昼休みにミーティングだな!」

 

「そうね。ひょっとしたら長谷川さん絡みかもしれないし」

 

「うん、私も大丈夫だよ。それに紗季ちゃんの言う通り智花ちゃんひとりで抱えてた事じゃなさそうだよね」

 

「おー、ひなもいいよ」

 

「皆…ありがとう…エリーはどうかな?」

 

真帆も紗季も愛莉もひなも、智花の提案に賛成らしく、どうやら私の返事待ちの様です。…とは言え私も断る理由は特に無いので

 

「私も皆に賛成…です」

 

と答えました。…私としては友達のお願いを断りたくは無いですから……。

 

 

 

~~~~~♪

 

 

 

それから午前中の授業も終わって今は昼休み。ちょうどご飯を食べ終わった辺りで

 

「エリー、これから会議室行くから着いてきてくれないかな?皆も、良い?」

 

と、智花が言ってきました。

 

「ついて行くのは構わないわ。けど、朝言ってた大事な話の事よね?だったら今ここでも話せるんじゃ……」

 

智花の提案に対して紗季は疑問に思う事を聞いています。…確かに、話すだけならここでも良い気が…

 

「ごめんね紗季。…実は美星先生からの指示なんだ」

 

「えっ!?みーたんの?」

 

これは意外でした。まさか美星先生が関係しているとは思いませんでした…。…でも何でだろう?

 

「ま、行ってみりゃ分かるんじゃね?とりあえず行こうよ」

 

「…それもそうね。考えてても仕方ないし。…愛莉とひなもそれで良い?」

 

「おー、ひなはいいよ♪」

 

「うん。私もそれで良いよ」

 

「皆……ありがとう」

 

「ふふっ、お礼なんて良いから。それよりも早く行きましょ。昼休み終わっちゃうし」

 

「うん。じゃあエリーも一緒についてきてね」

 

「わかりました」

 

…きっと、行けばわかりますよね。

そう考えながら、私は皆についていきました。

 

 

 

~~~~~♪

 

 

 

「よし、皆集まったな」

 

会議室に行ってみると、1番奥の席に美星先生がいました。…やっぱり今回の件は美星先生にも関係がある様です。

 

「みーたん一体どうしたんだよ」

 

「真帆、それは今から話すから、今は席につけ。皆も好きな所に座りな」

 

……珍しく、といっては失礼ですが、美星先生はすごく真剣な表情で私達に指示をしました。…何が始まるんだろう…

 

「…それでみーたん。皆に、というか『私達6人』に話というのは…?」

 

全員が用意されていた席に座ったのを確認した紗季が美星先生に問い掛けました。

 

「ああ。実は「美星先生」…智花…」

 

紗季の質問に答えようとした美星先生の言葉を遮る様にして智花が声を出してきました。

 

「美星先生。この話は私からしても良いですか?…結局皆を…騙してしまったので――」

 

「――先に言っとくぞ。今回の件、智花は何も悪くない。…皆も、これから智花が話す事は智花に非は無い事だと思って聞いて欲しい」

 

「先生……でも」

 

「でももへちまもねぇよ。言うなっつたのは私と昴なんだからな」

 

「……よくわかりませんが、要は別にトモが悪い訳じゃない、って事ですか?」

 

2人のよくわからないやり取りに対して紗季が皆の思いを代弁して聞いてくれました。

 

「ああ。そういう事だな」

 

「…なんだかよくわかんないけどさぁ、そろそろ話してくれよ~」

 

「おぉ、すまんな真帆。んじゃ智花、これ以上待たせるのも悪いし、頼んだぜ」

 

「は、はい…では………実は、ね」

 

~~~~~

 

……智花の話を聞いて思った事があります。それは智花に非、どころか罪なんて何も無いという事です。――だって、『10人いないと公式戦に出れない事を隠してた』って本人は言ってますけど…実際隠せと言ったのは美星先生と昴さんですし、仮にまだばれてなかったからこういう展開になっていたんだとは言え、もし誰かが試合のルールについて調べていたら間違いなくアッサリとばれていたことです。

――――何よりも今は人数が10人いる以上別に謝られる様な話ではない気がします。…でも、どうやら皆はそうは思わなかったみたいですね。

 

「……話はわかったわ。まぁ確かにみーたんの言う通り別にトモが悪いとかは思わないわ。長谷川さんやみーたんの指示じゃ仕方ないしね…けど、嘘吐かれてたってのはちょっと思う所があるわ…」

 

「そうだなー。もっかんもすばるんもみーたんもさ、もー少しアタシ達の事信用してくれても良いのになー!」

 

「わ、私もそう思うかな。…頼りないかもしれないけど、迷惑じゃなかったら相談とかしてほしかったかも」

 

「ぶー、ひなも、そーだんしてほしかった。おにーちゃんもともかも、ひとりでなんでもやりすぎ」

 

…どうやら、相談しなかった事を皆は気にしているみたいです…ひなも珍しく怒ってます。

 

「皆……ごめんね」

 

「ふふっ、それはどういう意味でのごめんなのかしらね。長谷川さんとふたりっきりの秘密にしちゃった事?――それとも相談しなかった事?」

 

「紗季…」

 

紗季はこんな時まで智花の事を弄ってます。…何となくですが、紗季の持つアイス・エイジの二つ名の意味がわかった様な気がします…。

 

「ま、そういう訳で、10人無事揃ったからひとまずこの問題は解決した訳だ」

 

「おぅ!てことは試合出来るって事だよなみーたん!?」

 

「ああ!だから試合の心配はしなくて良いからな。お前らも練習頑張れよ!にゃふふ」

 

「「「「「「はい!!」」」」」」

 

「んじゃ、休み時間も終わる頃だから早く教室戻れ…遅れんなよ~」

 

「「はい!(おぅ!)(はーい♪)」」

 

話し合いも終わったので私達は教室へと帰りました。

…この後に待つ予期せぬ出来事が起きる事など想像せずに……

 

 

~sideout~




後書きスキット:首脳会談(笑)


電話にて(美星視点)


昴『ミホ姉どうした?』

美星「いや、あいつらの練習試合と合同合宿について相談したくてな」

昴『なるほど。それで、どこかみつかったのか?』

美星「まぁ、7月頭に1校だけうちに連絡してきた所があってな。そこと葵の友達の紹介してくれた学校の2校が今のところ候補なんだが……」

昴『ん?なんか問題でもあんのか?』

美星「実は日程がかなりハードでな。葵の友達が紹介してくれた学校は7月の最後の週から8月頭辺りまでの1週間で予定の変更がきかないらしいんだよね~。んで、最初話した所は8月の第1週の週末で同じく変更がきかないんだと」

昴『つまり、試合と合宿が連続するって事か……』

美星「そゆこと。…そこでアンタに聞きたい訳」

昴『何をだ?』

美星「……両方、組みたいなぁ~って」

昴『…………ミホ姉なら言うと思った……俺もせっかくだし良いんじゃないかとは思うんだが……』

美星「だが?」

昴『…いくらなんでも厳しくないか?』

美星「そうかな…」

昴『普通はそうだ。始めてまだ間がない子ばっかりなんだから当たり前だろ……だがまぁ、智花達に相談してから決めても良いんじゃないか?』

美星「つまり、本人達がやりたいならやらせても良いと?」

昴『あぁ。それに、初めての対外試合だからな。経験は積ませたいよ』

美星「そうか!んじゃあ早速聞いてみるわ!!んじゃね」

昴『あ!おい』

ブチッ

美星「にゃふふ~。明日から忙しくなるぞ~」

ズキッ!

美星「ぐっ!!…ちくしょう。頼むから試合までもってくれよ…」

終わり

ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m

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