ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~   作:藤林 明

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ふぅ…バスケパートがヨボヨボ過ぎるな…。
…ま、いつもの事ですが(泣)

とりあえず体育バスケ編ラストです!

……台風すごかったなぁ…(棒読み)


第14話:電光石火とアリウープ

~エリーゼside~

 

 

私とみずほのDチームは今、Cチームとの試合に出ています。そして今は開始から僅か1分半を経過した辺りなのですが…スコアは

 

Cチーム 18-12 Dチーム

 

というハイペースで進んでいます。そのせいで

 

「はぁ…はぁ………は、速い…です」

 

「はぁ…はぁ…そう…ですわね……ふぅ」

 

私も他のチームメイト『3人』も、既に体力の限界が近いです。…その原因は

 

「――あれま。この学園のバスケ部って、こんなもんなん?…こりゃあいくらなんでも弱すぎやわな」

 

「………………」

 

このD組転校生。確か名前は「宮城美佐子(ミヤギミサコ)」さん。薄い緑色の髪を後ろで結ったロングヘアーに、ミラみたいな凛とした薄めの紫色をした瞳、そして1番目立つであろう左耳にある小さなピアスが特徴のちょっと変わった喋り方をする女の子。

…そうなんです。私、もとい私達はこの方に振り回されてしまっているんです。身長は智花くらいしかないけど、とにかく速いです。どれくらい速いかと言うならジュードの回避アクション並に速いです。

試合展開も、とにかくボールを保持する時間が短い為にほとんど休み無しでコート内を動いている感じで、ボールを持ってから相手にボールがいくまでお互いに5~7秒と極端に短く、最初の智花達の試合並かそれ以上に速く進んでいるせいで最初のうちはついて行けてましたが今現在(試合時間1分半経過)では、もはや一方的な状態になりかけています。…悔しいですが、あの子の言う事を反論出来る様な余裕は既に私にはありません。

…と、そんな時

 

「……エリーゼさん、でしたっけ?」

 

「は……はい…!」

 

私達のチームで唯一疲れが見えないD組の転校生さんが、私に話し掛けて来ました。…名前は確か、「藤井有紀(フジイユキ)」さん。

黒髪をポニーテールにしている彼女は愛莉と同じ位の身長で、スレンダーな体型の方で…私としては背の高い彼女はとってもうらやましかったりします。

 

「お願いがひとつ。パスをゴールリングより少し高い位置に出して貰えませんか?彼女は『速さ』はあっても『高さ』は無いのでそこへパスを出せるなら、この試合逆転することも可能です」

 

そして突然、フジイユキさんは私にそんな驚きの提案をしてきました。…でも、なんで私なんだろう…?

 

「でも、さっきからドリブルしてる時にスティールされてしまってますよ…?」

 

「大丈夫。エリーゼさん達がある程度パスを出せる所まで来る間は私があの方の動きを封じてますから。…そのかわり、出せると感じたら迷わずすぐにパスを出して下さい。少しでも遅いとスティールされてしまうので」

 

…自信満々でそう語る彼女は、試合前と印象がちょっと違う気がしますが、今は気にしないでおきます。…さて、ここまで言われたら出来ないなんて事は言いません。なので

 

「…わかり…ました。フジイユキさんの案でいきましょう……みずほも協力お願いね?」

 

「…ええ、もちろんですわ」

 

彼女――フジイユキさんを信じてやってみようと思います。

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 

「さ~て、お手並み拝見といきますか…お?」

 

こちらの攻撃が始まり、さっき話し合った通りにユキ(さっきの話し合いの際にそう呼んでほしいと言われたのでそう呼ぶことに…)がミヤギミサコさんの動きを封じています。…でも見た感じディフェンスの様なこの役割は苦手みたいで確かにそんなに持たないかもしれません。なので

 

「えいっ!」

 

ハーフラインを越えた辺りからゴールへ向けて『パス』を出します。

 

「うお!ごっつ高いシュートやなぁ。…けど、あれは入らんやろなー」

 

彼女はどうやら今の『パス』が『シュート』に見えるらしく、ゆっくりとリバウンドコースへと向かいます。…でも

 

「ナイスパス。せいっ!」

 

ガンッ!!!

 

「なっ!!?」

 

ユキは私が投げたのと同時に走り込み、ボールを空中キャッチした後そのままリングへと叩き込みました。…カッコイイ…です。

 

 

Cチーム 18ー14 Dチーム

 

 

「今んはまさか…アリウープ!?んなアホな!」

 

ミヤギミサコさんが凄く驚いていますが…どうやら今のシュートはアリウープという技らしいです。…ユキ、凄いです。

 

「エリーゼさん、ナイスパスでした。この調子でお願いします」

 

「いえ……その…ユキも…かっこよかった…です!」

 

「……こんなんアリかいな~」

 

…ため息を吐きながら呆れ気味にそう呟くミヤギミサコさんには悪いけど、このまま一気に攻めよう…です!

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

「はぁはぁはぁ……くっ!」

 

「せいっ!」

 

 

ガゴン!!!

 

 

Cチーム 24-24 Dチーム

 

……や、やりました!ついに同点です!!…ふぅ…。

 

「ふぃ~…やっぱ高さフルに使われたらきついっての…っ!」

 

ミヤギミサコさんのオフェンス・ディフェンス技術はやはり凄いです。あの後も何回かスティールされての速攻とかもされてしまいました…でも!

 

「…抜かせ…ませんっ!!」

 

私もようやくですが彼女の動きに慣れてきましたのでディフェンス時にはユキを可能な限り援護します。…確かこの陣形が…

 

「……ダブルチームとか体育の授業で堪忍やわぁ…」

 

そうです。ダブルチームです!…忘れてたなとか言わないでください……

 

「…勝つためなので」

 

彼女の呟きをユキはあっさりと受け流してディフェンスをしています。…それにしても、ユキはバスケがとっても上手な気がします。

 

「(……終わったら誘ってみようかな…バスケ部に…)」

 

そう結論付けた私もユキ同様ディフェンスに集中する事にします。…残り2分頑張ろう…!

 

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

 

ビーーーーッ!!!

 

 

「試合終了!選手は集まれ~」

 

タタタッ

 

「26-28でDチームの勝ち。礼!」

 

「「ありがとうございましたっ!!!」」

 

…はぁ…はぁ…や、やっと…お、終わりました。

あれからミヤギミサコさんは私とユキのダブルチームで身動きが取れず、私達も私とユキはずっと彼女のマークについていたのでオフェンスでの得点は無理でした。…でも最終スコアは

 

Cチーム 26-28 Dチーム

 

という事でなんとか勝てました。…理由?それは

 

「はぁ…はぁ…なんとか…勝てましたわね…ふぅ」

 

「お疲れ様です。あなたがいなければ負けてました。…瑞穂さん」

 

「いえいえ、有紀さんが宮城さんを抑えてくれていたからですわ♪」

 

そうなんです!相手にはミヤギミサコさん以外にシュートがまともに入る人が居なかったけど、私達にはみずほという『第3の得点源』が存在していた事で、最後の決め手になりました。…それにしてもみずほはいつシュートの練習をしたのでしょうか?

 

「お疲れ!いや~あんたら強いなぁ~。前言撤回。ここのバスケプレイヤーは強いわなー」

 

私達が話していると、ミヤギミサコさんがこっちに来て話しかけてきました。そして

 

「うん決めた!わいはここのバスケ部入るわ!!てことでよろしくな!…え~っと」

 

「…私はエリーゼ。エリーゼ・ルタス…です。」

 

「エリーゼちゃんか。わいは宮城美佐子や。ミサ、でええよ。んじゃ、改めてよろしゅう頼むわ!」

 

「は、はい!よろしくです…ミサ!」

 

ミサはバスケ部に入部すると宣言した後に私と握手しました。…友達が増えるのは本当に嬉しい…です♪

 

 

 

キーンコーンカーンコーン…♪

 

 

 

「ありゃ。結局決勝戦まで行けなかったか…。…よーしじゃあ全員集まれー」

 

私達が握手したと同時位にちょうどチャイムが鳴り、C組とD組の女子が全員集まって整列しました。

 

「じゃあ6時間目はこれで終わりな。みんなちゃんと汗の処理をしてから自分の教室に戻れ。解散っ!」

 

美星さんはそう言ってから倉庫へボール等を片付けに行きました。

 

「……疲れた」

 

「エリーちゃんお疲れ様♪私達も更衣室行こ」

 

「あ…はい」

 

私も着替える為に愛莉と一緒に更衣室に向かいます。…それにしても…

 

「(初めての試合で勝てました……バスケって大変だけど、勝つと気持ち良いんですね……よし)………これからも頑張ろう…です!」

 

「?何か言った?」

 

「…あっ!ううん、何でもないよ…行こう、愛莉」

 

タタタッ

 

「あっ、待ってよエリーちゃ~ん」

 

バスケは楽しい…です!

 

 

~sideout~




後書きスキット:成り行きで…前半


授業終わりの更衣室にて


宮城「そんで活動日はいつなん?」

エリーゼ「えっと…確か月曜・水曜・金曜だったと思います。」

宮城「ってことは今日もあるんか…ほんなら、改めて今日からよろしゅうな!」

エリーゼ「あ、はい…こちらこそよろしく、です」

宮城「あ、そだ。ついでやないけど、藤井も連れてってええか?あいつもなんやかんや経験者やからな!この先役立つと思うで?」

エリーゼ「え、えっと……その…本人は、この話の内容を知っているんですか……?」

宮城「いや知らんよ」

エリーゼ「即答!?」

宮城「まぁなんとかなるやろ。てことで放課後よろしくな!」

タッタッタッ…

エリーゼ「えっ?待って…!。…行っちゃった…」

後半へ…続く…

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