ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~ 作:藤林 明
投稿速度がナマケモノや亀にも劣ってる作者です…。楽しみにされてる方々、大変申し訳ありませんm(_ _)m
…あ、ちなみに今回と次回は会話パートになりますのでバスケパートはありません。悪しからずm(_ _)m
それではどぞ!
~真帆side~
ビーーーーッ!!
たった今、試合終了のブザーが鳴った。結果はサキ達のチームの惨敗。…普段なら戻って来たサキをからかいたい所だけど、今回はしない。…いや、『出来ない』。だってさ
――――あれだけ圧倒的な『「素質」の差』を見せつけられたら、多分きっと、アタシも今のサキと同じ顔してると思ったから――――
~sideout~
~実況side~
誠に突然だがこんな娘達の話をご存知だろうか。
片や、天性の才能を持ってとてつもない速さで成長し、ここぞという場面でシュートを決める事が出来る生粋のフォワード適性を持つ娘。
片や、特に秀でた才能等無くともその卓越した努力で前者に引けを取らない程の成長を見せ、視野が広く的確な指示とプレーでチームをまとめる司令塔としての役割を得意とする生粋のガード適性を持つ娘。
また一方はチームのムードメーカーとして持ち前の明るさを花火の如き勢いで振り撒く娘。
また一方はチームのお姉さん役として落ち着いた振る舞いと冷静な判断力でメンバーのまとめ役となっている娘。
…そして、この対極を成す性質を持つ2人の娘。前述の娘を三沢真帆。後述の娘を永塚紗季という。
この2人は旧知の『幼なじみ』であり永遠の『ライバル』でもある。
……何故突然この様な事を語り出したかと言うと……
~sideout~
~ヒカリside~
ビーーーーッ!!
「試合終了!選手はこっち来て整列な!」
試合終了のブザーが鳴り、美星先生が試合をしていた私達に向かってそう言った。けど、私はそれに反応することが出来なかった。…何故なら
「はぁ…はぁ…………っ!」
息を切らしながら俯き、触ったら膝から崩れてしまうんじゃないかと思ってしまう程にはかなげな永塚さんの姿があったから。
「おーい紗季ーヒカリー早くしろー」
その場から動かない私達2人を見た美星先生が私達を呼ぶ声が聞こえた。
「…………っ!」
「あっ、おい紗季何処行くんだよ!」
そしてその声を聞いた紗季ちゃんは、美星先生の制止を無視して外へ繋がる扉へと走り出してしまった。
「……あっ、追わなきゃ」
美星先生の声で我に返った私は紗季ちゃんを追いかけようとして
「ヒカリんは行っちゃダメ!」
三沢さんに止められた。…でも
「…永塚さん、追わないと「アタシが行く」…え?」
引き下がれなかった私の台詞に割って入って来た三沢さんは、私にそう言いました。そして
「こういうのは、付き合いの長い奴が行ってやんないとさ、色々と大変な事になっちゃうんだよね。…だからさ、ここはアタシに任せてよ」
三沢さんは苦笑い気味にそう言ってから
「じゃそーゆーことで、みーたんちょっち行って来るねー」
と、美星先生に言いながらこっちを向かずにサムズアップして走って行きました。…ごめん三沢さん、後は頼んだよ!
~~~~~~
「………なぁヒカリ」
「はい?」
三沢さんが永塚さんを追って出て行った直後、美星先生が話し掛けてきました。…が、その表情は少し険しいものだったので私は少し驚きました。
「アレはどういうつもりだったんだ?…いくらなんでも紗季の事ナメ過ぎだろ」
そんな私の心境を無視したかの様に美星先生は私にそう言ってきたけど…う~ん
「いえ、むしろ永塚さんが私達初心者より上手いと思ったのでどうしたら良いか考えたつもりだったのですが……そういえば永塚さんも試合中に先生と似た様な事言ってましたが一体どういう事なんでしょう?」
正直な話、何を言われてるのかサッパリわからなかったのが本音なので真剣な表情で聞く。…ここでちょっとでも変な表情をしたら確実に恐ろしい事が起きると確信していたから。すると美星先生は、困ってるんだか悩んでるんだかよくわからない様な複雑な表情で「おいおい天然かよ…」と呟いた後
「紗季はお前の作戦に対して「お前なんぞ愛莉が出る幕じゃない。私で充分」って思われたって感じたんだよ。んで結果は惨敗。…ここまで言えば分かるよな」
と言った。…えっ?てことは…
「つまり…私が思ってた事と真逆に捉えられたって事…ですか?」
「そういう事だな。…さてと、取り敢えず次の試合始めるから、お前は真帆達帰って来るまでステージの上で反省してな」
「………はい」
………何も言えなかった。…だって
――――――――『尊敬』の意味を込めた行動で、逆に『屈辱』を与えてしまった事に『今ようやく気付いた』のだから――――
…………私、次会った時どうしたら良いんだろう…。
ステージ上へと向かいながら、私は自己嫌悪していた。
~sideout~
~真帆side~
サキを追って来た私は体育館から校舎へと続く通路を走り、そしてサキが途中で止まった事もあって追いつく事は出来たけど…
「(しまった!どうやって話し掛けるか考えて無かった!!)」
そう。アタシは忘れてたんだ。…どうやって説得するかを。
「……………………」
「……………………」
……気まずい。…なんて考えてたら
「…………アンタに、言われるまでもないわよ」
と、サキの方から話し掛けてきた。何も反応しないアタシの事を無視する様にそのままサキは続ける。
「八神さんが人を見下して楽しむ様な人じゃないって事位私にだってわかるわよ。…けどね……」
一度そこで区切ったサキは、こっちへと振り返り
「頭では分かってても、どうしても許せなかったし悔しいのよ!私は愛莉みたいに上背がある訳でも、ましてやアンタと違ってセンスがあるって訳でもないっ!…そうよ。これは…これは私の身勝手なわがままなのよ…」
と、一気にまくし立てて、また俯いた。…にしてもさ、アタシ的には…よかった…かな?
だって
「そっか……でも、サキはまだバスケを好きでいてくれてんだろ?…今はそんだけでアタシは嬉しいよ…それにさ」
別にバスケをキライになった訳じゃなさそうだったからさ。…だから素直に自白したる。…多分最初で最後の本音を
「正直アタシもサキと同じ事考えてた。」
「えっ!?」
驚いて顔を上げるサキを無視してアタシは続ける。
「だってそうだろ?アタシ達と昼一緒だった時に『私体育でやったことある程度だけど?』って言ってた奴がさ、その…あ…アタシよりパスとかドリブルとか上手いサキをぶっ倒しちゃったんだぜ?…そんで身長はアイリーンと同じくらい。…これは誰にも言ってないしサキが気付いたか知らないけどすばるんは最初、女バスメンバー5人の中でアイリーンの事を1番期待してたんだぜ……理由は――」
「分かってるわ。……愛莉が私たちの中で1番背が高かったから、でしょ?」
「そーゆーこと。――なんだ、やっぱりサキは気付いてたか」
この事はすばるんから直接聞いた訳じゃないけど、もっかんとすばるんがずっとアイリーンの事を気にかけてたし、何よりゲームや漫画でも大きい選手って有利だったから気になってたけど…サキが気付いたんなら間違いなさそうだな。
「当然よ。長谷川さんもトモも隠してたつもりみたいだけど……あれだけあからさまじゃあ愛莉はともかく他の皆が気付いていてもおかしくないとは思ってたわ。…で、真帆。アンタは私に何を言いたいわけ?」
と、アタシの方を見て聞いてきた。――んじゃ、さっさと言って楽になりますかな。
「…つまり、まだアタシ達とバスケしょうぜって事だ。こんな事で逃げないでさ」
「なっ!?だっ、誰が逃げるですって!!――冗談じゃないわ!こんな楽しいものを簡単に辞めてたまるもんですか!!そっちこそ、飽きっぽいんだから途中で投げ出す様なマネしないでよね!」
アタシの挑発じみた説得に、サキの奴も似た様な感じで言い返してきた。…こんだけ元気なら大丈夫だな。
「誰が辞めるかこんな面白いこと!……んじゃ、さっさと戻るぞ。きっとアイリーン達心配してっから」
と言って体育館への道を戻るアタシ。…実際アイリーン辺りは涙目か青い顔して待ってそうだしな。
「…………真帆………………ありがとう」
歩いてる途中でそんな声が聞こえたけどあえてそれには反応しないでおく。こーゆーコトはお互い様だろうしな。
~sideout~
後書きスキット:おっかしいなぁ?
エリーゼ「う~ん……」
愛莉「エリーちゃんどうしたの?」
エリーゼ「あ…ううん。ちょっと気になることがあって…」
愛莉「?」
エリーゼ「いえ…ただ、そういえばこの小説って主人公誰なのかなぁ~ってふと思って…」
愛莉「う~ん……どうなんだろ?――あの、作者さん」
作者「あ、はい――え~っと……この小説は一応エリーゼさんが主人公って扱いのつもりですけど……」
愛莉「だそうだよ?」
エリーゼ「……それにしては扱いが酷くないですか?」キーン
作者「ちょっ!?まて!話せば分かる!だからそれだけは」
エリーゼ「問答無用!リベール・ゴーランドっ!!」
作者「うぎゃぁぁぁぁっ!!!」
終わり。
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m