ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~ 作:藤林 明
大変遅くなりましたが、後編どーぞー!
~続:エリーゼSide~
「お台場小学校から来ました八神ヒカリです。よろしくお願いします!」
最初に自己紹介をした人は、茶髪のショートカットに黄色のヘアピンを付けた愛莉と同じ位の身長を持つ女の子でした。…それにしても、手足が長い…です。
「俺は剛田剛憲です。湘南小学校から来ました。好きなスポーツはバスケで、前の学校ではクラブチームに入ってました。よろしくお願いします!!」
次に自己紹介した人は、…凄い体格の少し怖い感じもする男の人でした。角刈りの頭に鋭い眼光。加えてコーチの昴さんよりも大きいんじゃないかという身長に鍛えられた筋肉質な体型……うん、同じ歳には見えません。…あ…そういえばさっきバスケのチームに入ってたとか言ってた様な……………え?…まさか…この先この人と関わる事とかあるって事?……うぅ…正直、あまり関わりたくは無い…です。
「私は神無月瑞穂です。光が丘小学校という所から来ました。皆さん、よろしくお願いしますね」
最後に自己紹介した人は、最初に自己紹介をしたヤガミヒカリさんよりも少し低い位の長身で、綺麗な黒髪を腰の辺りまで伸ばした凄く清楚な印象の女の子です。…私達女の子から見ても魅力的な笑顔に丁寧な口調は正直同じ女子として羨ましいです…。
そして、自己紹介を終えた3人を見て私は思いました。
――どうして皆あんなに「背」が大きいんだろう…と。
…そんな事を考えていると、ちょうど転校生の3人が美星先生に席を指示されて移動している所でした。すると転校生のうちの1人が愛莉の通路を挟んだ隣に来ました。…えっと確か…
「は、初めまして香椎愛莉です!」
「初めまして、八神ヒカリです。ヒカリって呼んでね。…えっと、あとできれば普通に接してもらえると嬉しい、かな?」
…そうです!最初に自己紹介してたヤガミヒカリさんです。…なんて私が思い出してる間に愛莉が緊張しながらも彼女に話し掛けてました。…凄いなぁ愛莉は。私には無理だよ…。
「あ…うん、ごめんねひかりちゃん」
「ううん、謝られる様なことじゃないから気にしないで愛莉ちゃん。席近いし、これからよろしくね」
「うん!よろしくねひかりちゃん♪」
なんて感心してたらいつの間にか2人は打ち解けてました。…私も愛莉を見習わなきゃ!
「おー。あいり、エリーに話し掛けてから、とっても積極的になった~♪」
等と1人で決心してたら後ろ(愛莉の方を向いてる為)からひなの嬉しそうな声が聞こえてきました。するとその声に反応して
「ふふっ。そうね、少し前の愛莉からは考えられない行動よね」
「そうだね。愛莉、変わったよ」
「だな~。それもこれもすばるんとあおいっちのおかげだよな!」
なんて声がバスケ部の皆から聞こえて来ました。…真帆の呼び名が誰なのかは相変わらずよくわかりませんけど。
「そっそんなことないよぅ!…でも、少しずつ変わってきてるなら皆のおかげだよ♪」
愛莉も最初は謙遜してたけど、最後は嬉しそうに皆にお礼を言ってました。…ふふっ、やっぱりこの5人は仲良しですね。
「…少し羨ましいなぁ」
「えっ?どうしたのエリーちゃん?」
「ううん、なんでもないよ…ふふっ」
愛莉が私の独り言に反応してたけど、なんでもないよって伝えます。…この位の嘘なら良いよね?
~~~~~~~~~~~~♪
キーンコーンカーンコーン~♪
…それから時は過ぎて今は昼休み。あれから特に騒ぎも起きずにホームルームは終わりましたが、クラスの皆が待ちに待った授業終わりの休み時間はとんでもない騒ぎ様でした。…どんな感じだったかと言うと…
まず最初に標的となった八神ヒカリさんと神無月瑞穂さんは、男子バスケ部のタケナカ(真帆と同じ呼び方が嫌だったのでひなと同じ呼び方にした)以外のクラスの男子半数ずつにひたすら質問の嵐をぶつけられています。当人達もその勢いには驚き当惑している様ですが、私も似た様な経験をしているのでわかります。…アレを乗り越えるのは「戦争」でお互いの命をかけて戦うという事を経験している私ですら、恐ろしいと感じてしまう程に凄いのです。…とは言え、この2人には私の時みたいに委員長の紗季がフォローに入って行ってたのと、…これは余談ですが、2人共彼氏がいると公言した為、予想外に早く終息しました。…ただ、それを間近で聞いた紗季が「好きな人がいる…か…」と呟いていたのは、近くに居た私だけが知っている事だったりします。
…そして予想外に凄かったのは転校生で唯一の男の人だった剛田剛憲さん。あの人には転校生2人と私達女子バスケ部以外の女の子全員+タケナカが話し掛けていましたが……不思議な事に質問の嵐に対してとってもスムーズに受け答えをしてました。…「転校生」に慣れているのでしょうか?
なんて考えていたら、いつの間にか剛田剛憲さんは居なくなっていました。…もちろん何処へ行ったのかわかりません。
…そんな感じで休み時間は過ぎて行き、授業に関してはグループ学習が無い日だったので特に問題も起きずに今に至ります。
…ちなみに私達女子バスケ部のメンバーは、愛莉や私と仲良くなったヒカリと、ヒカリと一緒に質問攻めされていたミズホの2人を合わせた8人で、今日は給食ではなくお弁当だった事もあり教室ではなく外でお昼ご飯を食べています。
「ふいー。たまには教室じゃなくて外で皆と食べるのも良いな!」
「ええそうね。真帆にしては良い提案だと思うわ」
「んだとー!サキ!アタシにしてはってどーゆー意味だよ!」
…そして恒例となってるコレ。最近になってようやく慣れてきましたけど……いつも思うのですが、毎日喧嘩ばっかりしてるのに何で仲間になれたのでしょう?…2人は幼馴染だって愛莉に聞いたけど……私には幼馴染という関係がよくわかりません。…そういえばジュードとレイアも幼馴染だったような…今度詳しく聞いてみようかな……。
「言葉通りよ。…それよりも真帆、今日は八神さんと神無月さんも一緒なんだから少しは大人しくしてなさい」
そんな感じで心の中でため息を吐いていると、紗季が真帆にそう言っていました。…確かにいきなり喧嘩してたら…
「ふふふっ♪」
「2人は仲が良いんだね」
「「そんなこと(無いわ!)(あるか!)」」
紗季と真帆、相変わらず言葉の共鳴(リンク)凄いです…ってあれ?2人共驚く所か楽しそうです。…確かに2人の仲はとっても良いのですが、これを見てそれを言えるのは…凄いです。
「あらあら、仲が良いのは悪い事ではないですよ?」
「だからそんなんじゃ…ってもう良いわ。これ以上はボロが出そうだから…あぁ、それより八神さんは私達に話しがあったんだっけ?」
みずほの言葉を聞いて額に手を当てながらため息を吐いた紗季は、何かを思い出した様に話し掛けます。
「あ、うん…えっと、ここの小学校にチアリーディング部ってあるの?」
紗季の質問にいすみは思い出した様に質問してきました。…あれ?
「あの…部活ってバスケ部だけじゃ無いんですか?」
私は疑問に思った事を言ってみます。すると紗季が
「エリー…それについてはまた後で話すわ」
と、返してきました。
「むー……」
「…それより部活の事なんだけど…ごめんなさい、チアリーディング部っていうのは聞いた事が無いわね」
そしてむくれる私を無視して紗季はさっきの質問に答えます。
「そうなんだ……教えてくれてありがとう永塚さん」
そして紗季の答えを聞いたヒカリは、少し残念そうにしてましたが笑顔で紗季にお礼を言いました。…紗季の事を気遣ってあげていて良い人です。
「…部活どうしよっかなぁ~」
そんなことを考えながら3人の事を眺めていたら、ヒカリがそんなことを呟いていました。…あ、ここでそんなこと言ったら…
「あ!じゃあさじゃあさ、アタシ達とバスケしよーよ!うちのバスケ部、アタシが創ったんだぜ!」
…やっぱり真帆がここぞとばかりにそんな主張を始めました。
「え?…う~ん、私、体育の授業でやってた程度しかできないし…足手まといだと思うよ?」
ヒカリも急な提案に戸惑っている様です。そんな所へ紗季が
「そんなこと無いわよ。私達だってちゃんと部として始めたのは4月からだからそこにいるトモ…湊さん以外は全員まだ初心者だし…今から始めればむしろ大きな戦力よ!」
と、珍しく眼鏡を光らせながら真帆の提案に乗っています。そして
「ううん私だってまだまだだよ。…でも、仲間が増えるのは今よりもっと色んな練習が出来るし入ってくれたら嬉しいな」
と、智花が言えば
「うん♪仲間が増えれば今よりもっと沢山色んな事出来るもんね」
「おー。ひなも、ヒカリと一緒にバスケしたいな♪」
と、愛莉とひなも智花の意見に同調。そして
「ヒカリさん、皆さんもこう言ってますし、やってみてはどうですか?」
今まで話し聞いていただけだったミズホまでもがヒカリに入部を薦めていました。…あれ?どういう事なんでしょうか?
「瑞穂さん……うん、いいよ!何処まで出来るかわからないけど私、入部するね。これからよろしく!」
そしてヒカリは、ミズホの勧めもありバスケ部に入ってくれる事になりました。…仲間が増えるのは私も嬉しいです。
「――あの、もし良かったら私も一緒に入部しても宜しいですか?」
そしてヒカリが入部を決めたのと同時に、ミズホがそう言って来ました。それに対して
「ええ、もちろん!宜しくね神無月さん」
紗季が答えていました。…ちなみに真帆はヒカリの入部に興奮していて紗季が了承した事に気付いていません。…否定はしないでしょうが、後々一悶着ありそうです。…そこは皆でフォローすれば大丈夫…だよね?
~~~~~
それから昼食を食べ終えた私は皆と一緒に教室へと帰っていたのですが――
「…………あと3人」
「えっ…?」
「…あっ!ううん、何でもないよ!気にしないで!」
智花が不意にそんな不思議な事を呟いていたので聞いてみました。でも返って来たのは何でもないという返事だけでした。…けどその時私は思いました。
――――智花は、私達に何かを
~sideout~
後書きスキット:恋の話
~とある休み時間にて~
瑞穂「永塚さん、ちょっとよろしいですか?」
紗季「ん?どうしたの急に?」
瑞穂「いえ、少し聞きたい事がありまして…」
紗季「聞きたい事…?」
瑞穂「はい♪先程の私達の言葉を聞いて何か呟いていたみたいでしたので気になってしまいまして…」
紗季「んなっ!?」
瑞穂「うふふ♪…その様子ですと、いるみたいですわね…好きな方が」
紗季「ななななな何言ってんのよ急に!?わ、私には…そんな人……」
瑞穂「隠さなくてもよろしいですわ。他の方には話しませんから」
紗季「…………真帆とトモ……智花には言わないでよ?面倒な事になるから」
瑞穂「わかってますわ♪こんな面白そうな事、他人に話したりなんてしませんわ!ふふふ~」
紗季「………………。(…あれ?まさか私初対面の人に弱み握られた?)」
おわり
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m