ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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更新が遅くなって申し訳ないです。
リアルが忙しくて思うように書けません。
いえ言い訳ですね。
他の方のSSが面白くてついついソチラに目が行ってしまいww


本日の目玉商品『炎の盾、氷の盾』

ハドラーを倒した俺達は、ヒュンケルと合流。

バルジ島、中央の塔を目指して走る。道中、賢者の聖水でMPを回復する。

オレは道具袋から炎の盾と氷の盾を取り出した。

魔法使いのポップは装備不可だが、オレとダイ、マァムなら装備可能だろう。

ヒュンケルにも渡しておきたいが、数に限りがある。

それに単純に戦闘力が高いし鎧の魔剣がある為、必要ではないだろう。

盾を持てば手が塞がる。渡すのは一つだけだな。

 

「マァム!コイツを」

 

オレは走りながら取り出した炎の盾をマァムに渡してやる。

 

「これは?」

 

「炎の盾だ。『炎の壁』の言葉で、炎のバリアを張ってくれる

この先のフレイザードとの戦いで役に立つはずだ」

 

「ありがとう」

 

マァムは礼を言うと炎の盾を受け取った。

そしてオレは氷の盾を装備する。

先の戦いで力の盾・改が紛失したから丁度良い。

辺りを見渡しても無かった所を見ると、結構遠くまで吹き飛んだのだろう。

それを探しているヒマなど無いから仕方がない。

そして最後に魔封じの杖を取り出してベルトに差した。

 

「その袋、やっぱ便利だな…」

 

ポップは感心したように言った。

 

「まぁね。オレもそう思う」

 

ポップに相槌を打ちながらオレは走る。

この先のフレイザードとの戦いの作戦を考えながら。

フレイザードの秘技はアバンストラッシュを完成させる為の絶好の経験だ。

それでなくてもオレはヒュンケルがグランドクロスを習得していない事が気に掛かっていた。

このまま進めばラーハルトの戦いで勝利するのは不可能かもしれない。

だがまだ大丈夫な筈だ。

オレの持つ武具や回復アイテムで何とかなる範囲だ。

しかしこれ以上、ダイ達から実戦経験を奪う訳にもいかないだろう。

オレは商人らしく道具による支援のみに徹するとしよう。

原作知識を知っているというのは厄介だ。いっその事なにも知らなければと思う。

そうすれば何も気にせずにダイ達と付き合えるのに…。

 

 

少し走るとダイとレオナ姫が先を走っているのが見えた。

 

「ダイ、レオナ姫!」

 

「みんな!無事でよかった!」

 

「ヒュンケルも来てくれたの?」

 

「ああ」

 

ダイはヒュンケルの参戦に嬉しそうにはしゃぐ。

 

「けど二人だけでよく…」

 

「うん。クロコダインが妖魔師団と魔影軍団を引きつけてくれてるから」

 

「まさか…ミストバーンが」

 

「うん、気味の悪いやつだったけど」

 

ダイの言葉にヒュンケルの顔が険しくなる。

 

「すなまいがダイ、オレはクロコダインの救援に向かう」

 

「ええっ!?」

 

「クロコダインは強い。しかし軍団長が二人では少し分が悪いだろう」

 

ミストバーンが来ているならヒュンケルは行くだろう。

確かにクロコダインの身を案じているだろうが、ヒュンケルとミストバーンの間にはそれ以上の因縁がある。

マァムが心配そうにヒュンケルを見つめる。

 

「ヒュンケル…」

 

「マァム、心配するな。すぐに俺も追いつく」

 

「わかった。気をつけろよ」

 

オレは念の為にヒュンケルに回復アイテムを幾つか渡し、再び中央の塔を目指す。

 

 

道中、全員の体力と魔法力を全快させた俺達は駆け足で塔を目指して走る。

塔を睨みながら丘を駆け上がると、そこはもう塔の前だ。

遂にここまで辿り着いた。

間違いなくフレイザードも待ち構えている事だろう。

俺達は顔を見合わせる。

塔の外周をぐるりと歩き入口の前まで来た。

 

「あっ」

 

先頭のダイが立ち止まる。

その先には大きな岩玉が散乱している。

唯の岩じゃない。微妙に揺れ動いている。

 

「ばくだんいわ」

 

ざっと見て二十体はいるだろう。

もしもコイツラが一斉に『あの呪文』を唱えれば…。

ダイ達の顔が青ざめる。

 

「自己犠牲呪文メガンテ…、不味いわね」

 

レオナが嫌そうに眉をしかめる。

 

「刺激しないように通るしかないよ」

 

「くそ!時間が無いってのにっ!」

 

「いや、みんな待ってくれ」

 

俺は皆の前に出ると同時に魔封じの杖を振りかざした。

そしてキーワードを口にする。

 

「封印」

 

魔封じの杖から放たれた青白い光がばくだんいわ達を包み込む。

 

「これは…」

 

「マホトーンの呪文だ。これでコイツらのメガンテは封じた」

 

「やったぜタケル!」

 

「あとは…ラリホー!」

 

メガンテを封じたとはいえ、無害とは言い切れない。

ついでだから眠ってもらう。

ばくだんいわ達は、為す術もなくラリホーの呪文に掛かり眠りに落ちていった。

 

「ちょろい」

 

「でもありがたいわ。エイミさんを助けるために無駄な戦いは避けるべきよ」

 

「うん!行こう!」

 

「まてっ!」

 

ばくだんいわの群れを素通りして行こうとした俺達の背後にはいつの間にか氷炎魔団が迫っていた。

フレイムとブリザードだ。しかもかなりの数がいる。

氷炎魔団は左右から一斉に襲いかかってきた。

コイツラは打撃に強いので魔法で蹴散らす。

 

「邪魔だ」

 

俺は右手からベギラマを、左手からヒャダルコをそれぞれブリザードとフレイム達に向かって放った。

 

「よし行くぞ」

 

「ああ」

 

ダイを先頭に俺が最後尾として歩き出す。

この後は確か地面からの奇襲があったはずだ。

オレは後方から足元を注意する。

 

「うわっ」

 

瞬間、オレの視界が反転した。

ていうかオレ狙いかよっ!原作だとマァムが捕まる筈なのに…。

 

「見てたぜぇっ!テメエがダイの次に厄介なのはよぉっ!」

 

「フレイザードッ!?」

 

フレイザードは素早く地面から飛び出すと、オレを頭上高く持ち上げる。

このままだと間違い無く叩きつけられる。

オレはその前にフレイザードに向かって手を伸ばした。

 

「先ずは一人目っ!!」

「イオラッ!!」

 

それはフレイザードが地面に向かってオレを振り下ろすと同時だった。

ズガガガーーンッ!!!!

 

「何ィッ!?」

 

至近距離で放たれた中級爆裂呪文はオレとフレイザードの間の空間で爆発して両者を吹き飛ばした。

 

「タケルーーッ!!」

 

オレは空中高くに吹く飛ばされる。

このままでは間違いなく地面に激突してしまうだろう。

せめて頭部は守らないと。

しかし、地面に激突するかに思われたオレは誰かに受け止められた。

固いゴツゴツした鱗に覆われた腕。これは間違いなく…。

 

「クロコダイン!ナイスタイミング!」

 

「間に合ったようだな」

 

妖魔師団を蹴散らした後、直ぐに追ってきてくれたのだろう。

本気でありがたい。

 

「オレもいるぞ」

 

魔剣戦士ヒュンケルも到着する。

 

「ふたりとも無事だったのか…。よかった」

 

「ああ、ミストバーンはどういうわけか早々に引き上げてしまってな…」

 

「ザボエラにはもう少しという所で逃げられてしまった…」

 

「それよりも今は…」

 

クロコダインとヒュンケルはそれぞれの武器を構えてフレイザードを睨みつけた。

正に四面楚歌。

六将軍フレイザードと対等の元獣王と元不死騎団長。

それに加え勇者ダイ達アバンの使徒。

配下の魔物たちはタケルのラリホーと魔封じによって無力化。

フレイザードは冷や汗を流して周囲を睨みつけた。

そして大きく息をつくと。

 

「クックク……カァ~~、カカカッ!!」

 

高らかに笑い出した。

その目は追い詰められた獲物も目ではない。

ギラリと闘争心を光らせた覚悟を決めた敵の目だった。

 

「な、なにを笑ってんだ!?気でも触れたか?」

 

ポップがフレイザードの狂気じみた笑いに後ずさる。

他のメンバーも油断なくフレイザードの様子をうかがう。

本能的に判っているのだ。

目の前の男が素直に負けを認めるような殊勝な者ではないことに。

 

「もう過去の栄光は必要ねぇ…、バーン様…俺に新たな栄光を……っ」

 

フレイザードは身体の中心の大きなメダルに手を掛けて、一気に引き剥がした。

そしてメダルをゴミを捨てるように放り投げた。

その様子に元軍団長の二人が驚愕する。

それも無理の無き事だった。

あのメダルは嘗て大魔王バーンへの忠誠心を示す為に六将軍が奪い合った暴魔のメダル。

フレイザードの命の次に大切な物だったのだ。

それを捨てる意味はつまり…。

 

「そうっ!俺様の命をかけて貴様らを倒すっ!!!!」

 

瞬間、フレイザードの身体が弾けた。

無数の炎弾と氷弾が散弾の如く周囲にばら撒かれる。

ダイ達は目を疑った。

命を賭ける…フレイザードはそう言ったが、まさか自爆した?

 

「いや違う…、こいつはっ!?」

 

原作知識によってフレイザードの攻撃を読んでいたタケルは盾を構えて身を守る。

散らばった散弾は意志を持つように宙を舞ながらダイ達を次々と襲う。

パーティーはダメージを受けながら理解した!

この岩石の破片の一つ一つがフレイザードなのだとっ!!!

 

「うわーーーっ!!!」

 

「ぎゃっ!!」

 

この攻撃の前に盾など意味はなかった。

縦横無尽に上下左右、四方八方から攻め立ててくる弾丸の嵐。

反撃しようにも通常の攻撃など意味を成さない。

それどころかフレイザードの破片を増やし逆に不利に陥ってしまう。

攻撃魔法も同様だった。

 

「これがオレの最終奥義!弾丸爆花散だっ!!!」

 

タケルは身を守りながら考える。

火炎系呪文も氷系呪文も通じない。かといって真空系呪文も宙を自在に舞う弾丸に効果は薄いだろう。

フレイザードはハドラーの禁呪法によって生み出された生命体だ。

その生命活動を断つには、身体の何処かにある心臓『核』を破壊する必要があるのだ。

ともすれば爆裂系呪文が望ましい。

広範囲を一気に吹き飛ばすイオラならばフレイザードの核を破壊可能かもしれない。

しかし、フレイザードはダイ達が更にレベルアップする為のお誂え向きの経験値だ。

ならば…。

 

「スクルト!!」×2

 

タケルは全員の守備力を増強させる呪文を両の掌から発動させた。

青白い光がパーティーを包み、肉体の耐久力のみならず身に着けている衣服や防具に至るまで強化した。

 

「イタタタ……、あ、あれ?そんなに痛くねぇ?」

 

急に受けるダメージの軽減にポップは不思議そうに首をひねった。

他のメンバーも同様に。

 

「驚いたな…、だがこいつは良いっ!!」

 

スクルトの影響を最も受けたのはクロコダインだった。

その巨体を盾に前に躍り出る。

 

「更にピオラ!」

 

タケルは続けてクロコダインに加速呪文を掛ける。

今のクロコダインは高速で戦場をかけて味方を庇う防壁だ。

仲間たちを襲う嵐のような攻撃に回りこみ、その身体一身にフレイザードの攻撃を受ける。

 

「わっはっはっはっ!どうしたフレイザード!痒いぞっ!」

 

「な、なんだとっ!?あのガキの魔法かっ!厄介な真似をっ」

 

クロコダインが盾になってくれている。

その間にオレはダイ達の側まで走る。側には他のメンバーもいる。

散開するよりも今は固まっていたほうがクロコダインも守りやすいのだ。

 

「ダイっ!」

「タケル!おめえ、何か手はねぇか?状況は好転したけど…」

「……いや、流石にオレもフレイザードを倒すとなると…」

「くそっ決め手がねぇじゃねえかっ!」

 

ポップが悔しそうに宙を舞うフレイザードを睨みつける。

 

「みんな聞いてくれ。フレイザードは多分、禁呪によって作られた魔法生命体だ」

 

「ああ。その通りだ。奴の生みの親はハドラーだからな…」

 

タケルの言葉を肯定するようにヒュンケルが続ける。

 

「ヤツを倒すには身体の何処かに有る核を破壊しなければならない」

 

「でも、そんな事…」

 

フレイザードの破片群を眺めながらダイは戸惑った様に言った。

確かにあの無数の岩の破片の中から本体を見分けることは常人には無理だろう。

しかしソレ以外に方法はない。

 

「爆裂系呪文で一気に吹き飛ばす手もあるかもだけど、オレのイオラじゃ…」

 

タケルの言葉は事実だった。

フレイザードが身体を爆散させる前なら兎も角、今の時点では全ての破片を吹き飛ばすのは不可能だ。

運に任せてという手も有るかもしれないが…。

それに出会い頭にイオラを放ってみたが効果は薄かった。

あの時は体内深くに核を隠していたのだろうが…。

それでもイオラの呪文の効果が薄いことは解ったのだ。

ここは是非ともダイに空裂斬を習得して欲しいのが本音だった。

だからこそ一計を講じたのだった。

 

「あの中から本体だけを見つけて攻撃する…、そんな都合のいい技が…」

 

「……空裂斬」

 

ダイが気づいたように呟いた。

ヒュンケルも正解を肯定するように呟いた。

その時だった。

フレイザードの破片が集合していき…、元の姿に戻った。

しかし身体を覆っていた炎と氷は弱々しく、フレイザードは大きく消耗していた。

 

「なぜそこまでして…」

 

余りにも痛々しいフレイザードの姿にマァムは憐れむ。

しかしフレイザードはマァムの同情を一笑した。

同情など要らぬ。ハドラーに生み出されて一年しか立たない歴史の無い自分。

だからこそ自身の存在を周りに認めさせたい。

例え自身の命を削る事になろうとも、力ずくでも認めさせてやるのだ。

 

「クロコダイン…」

 

ダイはクロコダインの巨体の影からその小さな体を晒した。

 

「出てきやがったな…ダイッ!!」

 

「勝負だっ!」

 

「ダメよ!ダイ!こんな事に付き合う必要はないわっ!」

 

客観的に見ればマァムの言うとおりだった。

スクルトによって強化されたパーティーの守備力は驚異的だ。

例えフレイザードの奥義でも決定打ではない。

対してフレイザードは奥義の連発で体力を著しく消耗しているのだ。

先は見えていた。だからこそマァムはフレイザードに降伏を進めている。

しかし忘れてはならない。

三賢者の一人エイミが氷漬けにされたままなのだ。

そして過去の栄光を捨てて命がけで挑んでくるフレイザードには説得など通じないのだ。

エイミを救うにはフレイザードを倒す以外に方法はない。

フレイザードはダイの姿に口元を釣り上げた。

 

「オレとサシでやろうってかっ!」

 

「勝負だ!フレイザード!!」

 

「はっ!いい度胸だっ」

 

「これからオレは最後の技を繰り出す!まだ成功したことがない技だけど、失敗すればお前の勝ち…、だけど成功すればオレの勝ちだっ!!!」

 

ダイは剣を鞘に収めるとフレイザードを睨みつけて力強く叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

 

 

 

 

 

レベル25

 

さいだいHP:153

さいだいMP:600

 

ちから:67

すばやさ:170

たいりょく:77

かしこさ:300

うんのよさ:256

 

攻撃力:207

防御力:114

 

どうぐ

E:超・グリンガムの鞭

E:ビロードマント

E:幸せの帽子

E:氷の盾

E:スーパーリング

E:星降る腕輪

 

どうぐ(チート道具袋ではない手持ちの)

 

エルフの飲み薬

エルフの飲み薬

エルフの飲み薬

超万能薬

超万能薬

世界樹のしずく

賢者の石

魔封じの杖

 

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 大防御

連続魔法 思い出す もっと思い出す

 

 

ホイミ ベホイミ 

キアリー キアリク シャナク

メラ メラミ メラゾーマ

ギラ ベギラマ 

イオ イオラ

ヒャド ヒャダルコ ヒャダイン

バギ バギマ

ドラゴラム

ニフラム マホカトール

バイキルト スカラ スクルト 

ピオラ ピオリム 

ルカニ ルカナン

ラリホー

フバーハ

ラナリオン

トラマナ レミーラ 

インパス アバカム 

ルーラ トベルーラ リリルーラ

レムオル

 

氷の盾を装備しました。


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