魔法少女と黄金の獣   作:クリフォト・バチカル

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推奨BGM:俯瞰風景


48:いよいよ本戦?【本編】

【Side ???・???】

 

 暗闇の中、モニタに見知った相手が映し出される。

 

『それで……どうなった?』

「ちょっと予定外なことになりましたが、まぁ目的を考えれば好都合とも取れるかも知れません。

 リスクは跳ね上がりますが……」

 

 正直、立候補しているわけでもないのだから選ばれてしまうとは思わなかった。

 いや、それ以前に要員協力の依頼があったことすら予定外だ。

 周囲を煽動して外部協力者として動くつもりだったが、しかし内部で動けるならそれも悪くはない。

 勿論、確実に向けられるであろう疑いの目をどう逸らしていくかを考える必要はあるが……。

 

『それは良かった……のか?』

「微妙なところですね。

 そちらはどうですか?」

 

 彼に任せた方も重要だが、正直こちら以上に接触が難しい筈だ。

 

『こっちは難しいな。

 接触することは出来そうだが、どうやったって怪しまれる』

「そう……そうですよね」

『こっちは監視に留めるしかないな』

「仕方ありません、あまり無理をして貴方が目立ったら台無しですし。

 それにしても残り2人……一体何処に居るのでしょう」

 

 10年前に死亡しているのが1人、明らかに該当するのが2人、そして私達を合わせて5人が判明している。

 全部で7人居る筈なので、残り2人が未だに発見出来ていないことになる。

 

『今のところそちらにはそれらしい奴は居なかったんだろう?』

「ええ、と言っても隠れ潜んで居る可能性はゼロでは無いですが。

 ただ可能性としては低いと思います、普通ならどちらかを選ぶ筈ですし」

 

 私が現在接触しようとしているところ、そして彼に監視を頼んだところ。

 主なところはこの2つで、それ以外のところに所属するメリットはあまり無い筈だ。

 

『あるいは第三者って可能性もある……俺みたいにな』

「真っ当な選択肢じゃないけどね、それ」

『そいつはどうも』

「褒めてないですよ」

『知ってるさ。

 だけど、そもそもあんたが言えた台詞じゃないだろ。

 そんな奴だと分かって組んでるんだから、同類だ』

「まぁ、そう言われると否定出来ないのですが。

 取り合えず、残りの2人については様子見ですね。

 それに、目立つ2人を見張っていれば接触してくる可能性は高いです」

『囮……いや、撒き餌ってところだな』

 

 

 

『それで、あっちに行ったら連絡はどうする?

 向こうだって情報漏洩にはそれなりに気を使ってるだろう』

 

 唐突に話を変えられたが、これも結構重要な話だ。

 

「通信は勿論、普通の念話も傍受されるでしょうね」

『だろうな。

 しかし、連絡が取れないとそもそも大前提から成り立たないだろ』

 

 確かに、情報収集を行っても情報交換が出来ないと効率は劇的に悪化する。

 連絡手段の確立は必須だ。

 しかし、それについては既に目算がある。

 

「問題ないです、アレなら傍受はされない筈ですから」

『ああ、アレがあったか……って、何赤くなってるんだ』

 

 手段としては真っ当だが、その準備に些か問題がある方法だった。

 思わず思い出して顔を赤らめる私に、彼は指摘する。

 

「し、仕方ないじゃないですか!

 思い出しちゃったんですから」

『? ああ、そういうことか。

 案外初心なんだな』

 

 失礼な。

 

「……案外は余計です」

『まぁ、取り合えず連絡は何とかなりそうだな』

「そうですね」

 

 ミッドチルダの地で巻き起こされる一連の事件と戦争。

 上手く立ち回らなければ命を代償として支払う羽目になる。

 

「必ず勝ち抜いてみせます」




(後書き)
 以上で第4章完、次話から第5章のStrikers編になり、通常通りの1日1話投稿に戻ります。

 しかし、Strikers編は騎士団員の出番があまり……何せ舞台がミッドチルダ(敵地)ですし。
 平和にリリカルやる最後の機会です。

 なお、第4章のサブタイトルについては嘘です、獣殿は甘いもの以外も食べてます。

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