Muv-Luv Unlimited Base Shielders   作:しゅーがく

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どうも、お久しぶりです。しゅーがくです。
マジでお久しぶりですわ。2週間ぶり位の投稿になるんでしょうか?
取り敢えず、話を進めようと思います。


episode 6 記憶

「遥姉、あの人と友達......では無かったみたいだね。」

 

『うん。同じ訓練小隊だったんだけど、演習なんかはずっと隠れてて何にもしなかったし、協調性に欠けてたんだよ。だから、あんまり好かれてなかったし、友達もいなかったみたい。』

 

そう言って、いつもなら笑いながら話し掛けてくれていた遥音がピクリとも表情を変えなかった。

格納庫へ向かう列には機械化歩兵が16機、戦術機3機が戻っていた。

 

「そもそも新兵がこんな前線に配属なんて可笑しいな。俺らは特例らしいが、他の士官学校上がりの新兵は普通、後方で1年間教導を受けた後、前線配置じゃなかったのか?」

 

『普通はそうだけど、何せ日本の目と鼻の先までBETAに攻められてたら、自国の領土に入られまいと現在の前線に兵士を派遣するのは頷けるし、誰が司令官でもそうしてると思うよ。』

 

すぐ前の返しとはうって変わって、普通に返事を遥音は圭吾に返した。

BETAが東アジアに侵攻を始めてから確かに、日本国内の政治・帝国軍の動きは普段とは変わっていた。制度を変え兵員を増強するかのような働きを見せていた。士官学校も増設され、県内に3校程しか無かったが、

突然何校も創設されていた。それだけ、国が危ういという事だろう。

圭吾黙って、遥音の様子を見ながら格納庫へ向かう列に並んだ。

___________________________

 

基地に帰ってきてからというもの、他部隊の雰囲気は殺伐としていた。普通は賑やかなPXでも、葬儀後の様な様子で、全員の表情が曇っていた。

帰還できた戦術機の衛士も精神的に追い込まれ、自殺してしまったという噂も出ている程だった。

そんな時、格納庫ではまだ帰還してから整備の終わってない機械化歩兵装甲の整備に追われていた。どうやら整備兵には、そう言った噂に耳を傾ける程暇は無い様に見えた。

圭吾は格納庫に来ていた。自分の機械化歩兵装甲の整備状況を把握する為だ。

 

「おっ、整備は終わってるのか。」

 

圭吾はそう独り言をいい、自分の機械化歩兵装甲の前まで歩いた。格納庫を見渡せば、まだ整備中の機械化歩兵装甲もあれば、既に整備の終わっている機械化歩兵装甲もあった。

整備の終わった機械化歩兵装甲は出撃してからの汚れが落とされていて、跳躍する際に付くエンジンから吹き出す噴煙や、巻き上げた砂埃などが汚れとなって、灰色の機体を少しブラウンな色にさせたり、油で虹色に変えたりするのだ。

そういった汚れは整備の最後に入念に落とされるのだが、大概戦場から帰還した戦術機や機械化歩兵装甲は『除染作業』という作業を行うはずなのだが、基地に到着して案内されたのは自分らが出撃した格納庫だった。

今圭吾の居る格納庫でどう『除染作業』をしたのかは知らないが、BETAに関わって除染と聞くとBETAの死骸から発せられる刺激臭以外思いつかなかった。

 

「鉄無二等軍曹、どうされました?」

 

自分の機械化歩兵装甲を眺めていた時、突然話しかけてきたのは摂津基地から一緒に輸送機に乗って敦煌基地まで来た整備兵だった。見るからに自分とそう対して年齢の変わらない様に見えた。

 

「いえ。整備の状況を見に来たんです。」

 

「そうなんですか。それより、鉄無二等軍曹の方が階級は上なので敬語はお止めになって下さい。」

 

「そうだったのか。」

 

自分の目の前に立つ作業服の整備兵の襟章を見ると伍長だった。

 

「それで伍長。少し気になる事があるんだ。」

 

「はい。答えられる範囲でしたらお答えします。」

 

そう言って整備兵は脇に抱えていた端末を近くにあった移動できる作業台の上に置くと、姿勢を少し正した。

少し緊張している様にも見えるが、圭吾がその時少しもそのことに関してどうも思わなかった。

 

「現在、敦煌基地内に駐留する部隊内で少し混乱が在る様なのだが、第13機械化歩兵中隊の整備陣ではどうなのかと思ってな。」

 

圭吾がそう言うと整備兵の表情は一遍し、何か深く考えている様に見えた。

 

「整備が忙しくてそれどころじゃないので、こっちに移る前とあまり変わりませんよ。」

 

「そうか。」

 

「でも何故です?」

 

整備兵の回答を聞いて格納庫を出ようとすると、整備兵に止められた。

 

「あの噂でこっちの部隊まで混乱されたら、たまったもんじゃないだろう?」

 

「そうですか。そう言えばほんの少し前にも鉄無二等軍曹と同じ質問をしてきた人がいましたよ?」

 

「誰?」

 

 

 

「御宮大尉です。」

 

 

 

整備兵の口から出たのは第13機械化歩兵中隊の長の名前だった。

 

「ですが、大尉だったら聞くまでもなく部隊内の状況は把握出来ていたでしょうね。確認で聞きに来たんでしょうね。」

 

そうニッコリ言って整備兵は端末を持って立ち尽くす圭吾の前から離れていった。

 

(俺はこの部隊内の状況を聞かずには把握できなかった。大尉は何を考えて聞いたのだろう。)

 

そんな事を機械化歩兵装甲を見つめながら考えた。

周りでは騒々しくも機械化歩兵装甲の整備作業が続いた。

______________________________

 

圭吾は格納庫を出た後、御宮大尉の居ると思われる中隊長室に向かっていた。

圭吾は向かっている最中、現在の敦煌基地内に蔓延する不安について最初から考えていた。

 

(敦煌基地は日本帝国軍の大陸派遣が決定されてから建造された基地。司令部設置や部隊編成は始まって間もないだろう。未だに戦術機や機械化歩兵、機甲師団、砲兵科部隊が続々と入ってきているところから見ると、完璧な編成は完了していないだろう。精々2日に1回のペースで再編成が行われているだろうから、まだ着任が続くという事は、予定保有戦力未満の兵力しか集まっていないと考えられる。そう考えると、前回の前線補給基地防衛戦での敗北は完璧な編成をしていない敦煌基地所属の兵士にとってはかなりストレスになるはずだ。)

 

圭吾は歩きながらそんな事を考えていた。

圭吾の考えている事は最もだった。編成の終わっていない状態でいつ来るか分からないBETA、実戦経験の無い状態で戦場に放り込まれた時にどうなるかを自分たちの目で確認したのだ。

敦煌基地内の雰囲気を作った一番の原因は、ボロボロな状態で帰って来て機能停止した機械化歩兵だろうと考えられた。

あんな状況になって帰って来た機械化歩兵装甲を見れば誰しもが不安になり、恐怖に怯え、逃げ出したくなる。現に、帰還した戦術機の衛士は自殺を計ったのだ。

 

(そうすると基地内に駐留する部隊や職員のメンタルケアをしなければならない状況になってしまう。)

 

「鉄無二等軍曹。」

 

今後どう敦煌基地司令部が動くかを考えている最中、後ろから自分の名前を呼ばれ、考えることを停止してしまった。

圭吾を呼び止めたのは皐だった。皐の表情は相変わらずで、無表情だった。

 




今回は前線補給基地防衛戦後の話になってます。ここからドンドン話を書いていきたいす(願望)。時間が無いんですよね。

今回の話を書いてて思ったのは、「あれっ、機械化歩兵、需要無いの?」とか考えて話考えるのを一度放棄してます(笑)。
ですが、戦術機よりも惨たらしい戦場だろう機械化歩兵の戦場はどうだろうと考えて書いているのがこの作品なので、めげずに書いていこう!(無理やり)

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